老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

抱かれる

2022-02-07 08:38:17 | 阿呆者
1797 抱かれる



昨日の日曜日、片田舎にあるラーメン屋で評判の塩ラーメンを頂いた

コブシの花のように
両手指はしっかりと握り
母親の胸に抱かれている赤子
一抹の不安もなく
まどろみの心地にある

老いゆくあたしは
すがるものはなく
一抹の不安を感じながら
ともに老いゆく愛犬を抱きしめ
癒され気持ちを静める


この空を飛べたら

2022-02-06 15:32:27 | 阿呆者
1796この空を飛べたら



那須高原、冬の青空

この空を飛べたら
鳥になりたい

人間は空を飛ぶ鳥のように
自由に空を飛びまわりたい

自分は忘れた頃に
空を飛ぶ夢を見る

鳥のように羽ばたいて飛ぶのではなく
高いところに立ち
眼下に海や湖、大河が見える

海や大河に向かって「飛び」
両手を広げ鳥のように手を羽ばたくと
空を飛んでいる

海は碧く 大河は青く映り
空から見える景色は最高
夢は時代に合わせカラー色

飛んでいて下降になると
上昇することが難しくなり
着地となる

羽ばたいても飛び立つことはできず
そこで夢は途切れる

眼を閉じ
飛ぶ夢は再び「体験」することはできない

いい夢は いいですね






食べたそばから下痢

2022-02-05 09:21:32 | 老いの光影 第7章 「老人のねがい」
1795 下痢便



まだ65歳の「若さ」なのに
頭から肛門へ命令する信号が弱いのか
それとも肛門の括約筋が緩いのか
便意を感じないのか

ご飯を食べ終えてまもなく
便を漏らしてしまう
便だけでなく尿も漏らしてしまう

自宅のベッドは糞尿の臭いが充満
トイレまでもたない、と彼女は話す
紙パンツのなかにオシッコをする「ずるさ」なのか、「ズボラ」なのか
紙パンツ代も馬鹿にならず月に一万円を越え
その支払いも滞っている。

デイサービスの介護員は
狭いトイレのなかで
彼女の便失禁の「世話」に悪戦苦闘している
介護とはいえ本当に頭が下がる

大下痢をした彼女の顔はスッキリ
お粥などお腹に優しい食べ物を摂れば良いのだが
「食べたくない」、とわがままな言葉を吐く

彼女は「便」がでたからもう食べれる、と思い
ラーメンや揚げ物などを食べてしまう
案の定、翌日は下痢をしたまま、デイサービスの迎えを待っている

どうしたらよいか
65歳の年齢で特別養護老人ホームの入所申請するのもためらう

紙パンツを購入するお金はあるのだが
年金が入ると
怪しい光色の誘惑に負け
2、3日でスロットに「呑まれて」しまい
「年金」はスッカラカンになってしまう

なんとかなる、と呟く彼女
誰かがだしてくれる
明日のことはわからない
いまが楽しければそれでよい

この気持ちはわからないでもない
人生は一度きり
好きなように生きる

ケ・セラ・セラ、といきたいけれど
生きているといろんな柵(しがらみ)があり
縺れた糸を鋏でバサリと切るわけにもいかない




春を迎えたい

2022-02-04 08:56:39 | 阿呆者
1794 命取り



老いの齢(とし)になると
風邪に罹ると大変
生前お袋は 風邪は万病のもと、とよく話していた

風邪の症状に似たオミクロン型コロナウイルス感染も
心配

風邪が元で命取りになる
さらに今日は
コロナウイルス感染で命取りになる

寒い季節がまだ続く
先の見えないコロナウイルス感染も続く

寒さに負けず
風邪に負けず
コロナウイルスに負けず
春を迎えたい

昔の石油ストーブは危険がいっぱい

2022-02-03 12:14:16 | 老いの光影
1793 昔の石油ストーブは危険がいっぱい



在宅訪問に行くと
俗に言う昔タイプの石油ストーブが
赤々と点いている
85歳以上の独居高齢者は
よく使われている
いまどきの温風ヒーターに比べ
便利であり
多機能型石油ストーブでもある

しかも赤い炎が出る石油ストーブの強みは
災害などにより停電になっても
温風ヒーターとは違い
「暖」をとることができることだ

昼間でも「やかん」を乗せ
お湯を沸かすことができる
また加湿器の働きもする

味噌汁鍋や煮物が入った鍋を乗せたりして
煮炊きもできる

暮れになると
網をのせ餅を焼いたりする

前述したように確かに便利であり
重宝がられている一方で
危険も隣り合わせにある

やかんなどが乗っていると
危険がW(ダブル)となり
余計に心配が重なってしまう。
足元が心もとなくなりふらつきもある
ふらついたとき
やかんのとってに手が触れ
やかんがひっくり返ったとき
熱湯で火傷! その場面を想像してしまうと
いてもたってもいられないが
老人には
「できればやかんは乗せないほうがいいんだけどなあ~」で終わってしまう。

やかんを乗せなければ、乗せないで別の心配が出てくる
ふらついたときにストーブの熱い天板(上面)に手を着いてしまう
(人間の癖でバランスを崩したとき転ぶのを防ごうと手を着く習性がある)
これもまた火傷の事故

火傷防止するということで金網で囲いをすると
ないよりは安全だが、それを手すり代わりにつかまると
囲いごと倒れ火傷,骨折の心配は残る
また囲いに洗濯した衣類をかけ洗濯干しをする老人もいる
火災の心配をしてしまう

いま使っているストーブがあるのに
温風ヒーターの方が危険のリスクはぐ~んと減る
温風ヒーターの方がいいな~とは老人には言えない
ときどき実家を訪れたり、実家を帰ったときに
息子、娘たちが半ば強引に温風ヒーターを置き
旧式の石油ストーブを引き上げ持ち返るくらいでないと
「危険がいっぱい」の冬を乗りこえることはできない

冬のニュース
それも毎年正月のニュースでは
火事で老人は焼死体となり
石油ストーブが出火原因であったりする

ひとり暮らしの老人が
石油タンクに灯油を入れるのは
本当に危なっかしい
こぼしたり溢れたり
またストーブを点けたまま灯油を入れたり
想像つかないようなことをしている

在宅訪問のときは
灯油が半分以下になっていたら
おせっかいやきになるが
灯油を入れて帰る
またデイサービスの事業所で協力を頂けるところは
送迎(送ったとき)時に灯油の残量を確認し
少ないときは入れて頂いていいる

寒いと人間は 心がわびしく寂しくなる

2017/12/07に掲載し
それ以降冬の季節になると、訪問・閲覧されることが多く
今回、一部加筆し再掲載することにしました




怖れる

2022-02-02 13:02:10 | 阿呆者
1792  怖れる


                冬の阿武隈川(写真は本文とは関係ありません)

自分は「2つ」のことを怖れている

ひとつは、認知症になった自分である。
いまは、物忘れ、しまい忘れの症状がでているが、
物がなくなったこと、他者の「せい」にはしていない。

認知症になった老人をみると様々なタイプがあるが
素直な性格の老人は、認知症になっても素直で笑顔が多く、「ありがとう」の言葉がでる
性格のきつい老人は、認知症になっても意地悪で、他者に嫌われるような言葉を吐く、「ありがとう」の言葉が少ない。

生き方は老い方そして死に方にもつながる
惚け方も同じく生き方、老い方の結果として表れてくるのではないだろうか・・・
穏やかに惚けたい。

もうひとつの怖れは、永眠したときの顔(表情)である。
瞼を閉じ、いまにも眼が覚め起きだしてきそうな表情で穏やかに眠っている老人の顔をみると
自分もこんなふうに永い眠りにつけることができたら、と
眠った老人の顔を見るたびに思う。

眼も口も開いたような眠り顔では
線香をあげに訪れた人は苦笑するであろう。
そのときはそのときで仕方がないけれど
できれば穏やかな死に顔を願いたいものだ。




「救心」が意味するもの

2022-02-01 05:59:38 | 老いの光影 第2章
1791 老人の好きなドリンク



余が関わり知っている老人
在宅訪問をすると
お茶代わり或は帰り際に
よく出されたりするドリンク
リポビタンD
チオビタ
オロナミンC

認知症を患う老人のなかには
体に「いい(良い)」と思い込み
1日に3、4本飲んだりしてしまう
トイレに通うこと頻回

頭痛や腹痛などすると
家庭薬である置き薬箱から
せきどめ
ケロリン
救心
などを手軽に服用してしまう
置き薬の人が
これは体調が悪いときに
よく効く薬だよ、と置いていく高価な薬

何でも効くと誤解される救心

救って欲しいのは
老人の心(気持ち)

そう「痛く」なくとも
「痛い」と訴えることで
あなたの傍に「居たい」
または
「生きたい」とも聞こえて来る



※再掲 2018/07/07