老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

失態

2022-02-10 16:17:48 | 阿呆者

写真は本文とは関係ありません

1802 失態

尿意を感じながらも
いまこれをやり終えてから
トイレに行こうと思って我慢をしていた。
(腎臓外科医からは尿は我慢してはだめだ、と言われていた)

尿意は我慢しきれなくなり
尿失禁しては大変と思い
慌ててトイレに駆け込み
便器の蓋を開け座ったら

お尻も腰も便器の中へ沈むと同時に
便器の硬い淵にあたり違和感を感じ
お尻も腰も持ち上げた姿勢のまま
振り返ったら
便器の蓋と一緒に便座の蓋も持ち上げていた

急いで便座をおろし ことなきを得た

男性老人は、デイサービスの介護員に小言を言われていた
「洋式便器のときは立ちションベンはダメ。必ず座っておしっこをしてください」

的が定まらず、便器の淵や床までおしっこが飛び散っている
なかには便座も上げずにしている人もいた。

昔の男(じいさま)は、立ちションベンで過ごしてきた。
いまの若い男性諸君は、便座に座っておしっこをしている。

男はズボン、パンツを下げおしっこをするのは面倒だ、と思ってしまう。
しかし、便座に座って用を足してみると
おしっこの飛び散りや飛び跳ねが脚や床になく気持ちがいい。

意識して便座に座って用を足さないと大変なことなるときがある
気を抜くと、便器と便座の隙間からおしっこが飛び散り
ズボンやパンツを濡らしてしまう失態もある。
失態を犯し、恥ずかしく思う。

そのときwifeは「家でよかったね」と小言を頂く。

【付け足し】
要介護認定調査の項目に「排尿」があり、1)介助されていない(自立) 2)見守り等 3)一部介助 4)全介助 と回答欄があります。
要介護老人が排尿、排便をした際、自分で用を足すことができても、便器や床を糞尿で汚し、毎日のように家族介護者が掃除をしていると、
「一部介助」になります。床などが汚れ家族介護者が掃除をしていることを認定調査員に話さないと、「介助されていない」、つまり自分で排せつができている、
と解釈されてしまいます。特に、排せつは手間がかかる介護(介助)です。排せつ以外でも手間がかかっていいることを具体的に調査員に話すことが大切です。
本人を前にして、調査員に話しにくいときは、メモに書いて調査員に手渡しするとよいでしょう。




銀の紬

2022-02-10 07:36:00 | 老いの光影 第7章 「老人のねがい」


1801 銀の紬

昔は、くず繭(まゆ)を紡いだ糸で織った絹織物を「紬」と呼び
江戸時代までは庶民の普段着であった。

くず繭であっても、出来上がり上品で素晴らしい着物になった。
紬は、太さがバラバラで均一でない紬糸を複雑に絡めて織っていくことで丈夫な着物が出来上がる。

デイサービスに集う老人たちも紬と同様に
生活歴や躰の状態や性格は、それぞれに違い個性派の集まりである。
90歳を越えた老人は、人生の達人であり、マイペースであり、くよくよしない。。

「紬」は、繭を紡ぐことから、「紡ぐ」という言葉を考えてみた。
言葉を紡ぐ 思いを紡ぐ 幸せを紡ぐ 命を紡ぐ 人生を紡ぐ などなど
どの「紡ぐ」を見ても 大切なことであり、それは眼に見えないものである

介護相談や介護、教育も保育も同じ
老人や子どもの思いや言葉に傾け、どう紡いでいるのだろうか。

言葉(思い)や命の「紡ぐ」が欠落すると
安易に人の命を弄ぶ輩(やから)が増え嘆かわしい社会になった昨今。

「紡ぐ」という言葉から、ふと立ち止まってしまった。