老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

老父と娘

2022-02-22 04:19:40 | 阿呆者


夕方帰宅したら、アルトは小さな氷柱ができていた

1817 病気は治らないから、病院には行かない

飲み薬がなくなり、前立腺癌の治療(注射)しに
今日は泌尿器科受診をしなければならない
老妻に言われても「病気は治らないから、病院に行かない」、と
夫は全く行く気がない。

通院介助のために実家に帰った次女。
妻には強いが、娘には弱い老父。

電話で「病院に行かない」、と母から聞いていたので
居間に入るなり娘は連発して言葉を浴びせ倒す。
「病気が治らないから、病院に行かない、というけれど
お父さんの前立腺癌はもう治らないの」
「治らないからって病院に行かないと、病気は更に悪くなるの。
体のあっちこっちに癌は転移して、体中痛くなるよ。それでもいいの」
娘からかなり厳しい口調で言われても、
まだ椅子から立ち上がろうともせず、無言のまま。

「お父さんは、歩けないというけど、
歩行器を使ってトイレに行ったりしてどうにか歩いているでしょ」
「病院に行かなければ、寝たきりになり大変な思いをするのはお母さんだよ。
これ以上お母さんに大変な思いをさせないの」、と言われ
ようやく体の向きを変え立ち上がった。

病院の帰り路
大好きなスターバックスのコーヒーを飲むことができ
朝の苦言はどこ吹く風となく忘れていた。