Gメモリーズブログ

有限会社クリエイティブデザイン羽沢組

ソフビ制作裏話 その186

2010年06月16日 | 制作裏話


PART.2「モスゴジ」の造形的イメージ(2)



■「モスゴジ」への印象をリセット
「モスゴジ」はパッと見の印象とは違い、実際のスーツは全体的にスリムでもなければ、顔や各パーツが小さいわけではありません。
 これらについては「こだわり」でもいくつか書きましたが、補足的にまとめてみます。

 理由はいくつかありますが、その最もたるものとしては「キンゴジ」との比較でしょう。お腹回りや足や手の太さ等、実はさほど太さと言う点だけに限るとあまり違いがありません。
 頭部が小さく思われがちですが、原因は劇中スーツの造りの違いです。スーツの中に入っている人間の頭の位置でわかりますが、「モスゴジ」の方が頭半分以上高い位置に配置されています。つまりゴジラとして首が「モスゴジ」の方が長いわけです。実際にスーツ自体を並べて比べた写真はありませんが、書籍等で見られる当時の撮影風景時のスナップ写真で見ると、一緒に写っているスタッフ(人間)との比較でよくわかります。結論から言うとスーツ自体「モスゴジ」の方が「キンゴジ」より頭ひとつ大きいわけです。
 付け加えるとしたら、頭部そのものは、むしろ「モスゴジ」の方がやや大きく厚みがあるのです。
 さらに足の付け根の角度の違いで「キンゴジ」より足が長く見えてしまっている事も上げられます。当然足が長く見える方がスリムと錯覚させるわけです。
「キンゴジ」との比較で大きく目立つのは、足の形。さほど太さ的に変わりがないのに「キンゴジ」の方が太く見えがちな造形です(特に太ももから膝にかけて)。さらには手首から先の大きさになると、これはあきらかに「キンゴジ」の方が大きく作られています。これらから見ても「キンゴジ」の方がぽっちゃりして見えてしまうのです。
 比較と言う点での総括をすると、各部の造形、全体のパランスで錯覚して「モスゴジ」の方がスリムに見えてしまっていると言う事がわかるのです。

 そして印象としてそう見えるので、過去に「モスゴジ」フィギュアを発売された各メーカーさんも同社発売の「キンゴジ」等と比べて「モスゴジ」をスリムがちに作ってしまわれるのでしょう。(あえてそうされた所もあるでしょうし、知らずしてそうなってしまった所もあるでしょう。)

 弊社で「モスゴジ」を作る際に、これらにいつの間にか影響されていた自分に気がつきました。ちょっとびっくりです。
 ですから原型制作時には、他社製品は一切見ないようにしたのです。そしてこれまで持っていた「モスゴジ」への印象を完全にリセットしてから作ろう、自分の目で見た資料や映像だけに集中しようと決めてから始めたのです。当然、弊社が発売したガレージキットの「モスゴジ」ですら、原型どころか商品完成まで一切見なかったのです。

(2010.7.5更新)
「モスゴジ スタンダードカラー」は完売致しました。ありがとうございました。

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