Gメモリーズブログ

有限会社クリエイティブデザイン羽沢組

ゴジラ対メガロ見聞録3

2012年09月22日 | 羽沢組的怪獣見聞録


3 人間臭さと観客ターゲット


▲「メガロゴジラ グリーンバージョン」(10月発売予定)

正義のゴジラがいても良いじゃないか
 この作品は内容的にゴジラが主人公とは言いがたい物語になっています。
 基本的にストーリーの中心となるのはジェットジャガー。ゴジラは助っ人的キャラクターとして描かれています。
 それまでのゴジラ映画でもたびたび見られていましたが、ゴジラや怪獣達の動きやアクションがコミカルだったり人間臭かったりする要素。この作品からはより多く表現されたと言っても過言ではありません。
 それに子供達は喜びつつも、大人やマニアには苦笑いされてしまった部分なのかもしれませんが、ターゲットとなる観客の年齢層を完全に意識したという点では徹底したのかもしれません。書籍やメイキング等での中野監督の言葉からもそういったニュアンスは感じられます。
 ジェットジャガーの手信号(?)で会話が通じてしまうゴジラ、ゴジラとジェットジャガーの握手、ピンチのジェットジャガーを必死で助けるゴジラと、人間臭い友情という部分で子供に教えるためだろう要素がいくつも作品内では見られます。
 またメガロとガイガンにしても、優勢に笑う仕草を見せたり、死んだ振りをしてみせたり、ジェットジャガーを人質にしてまるで「動くなゴジラ」と言わんばかりの悪者ぶりも、まさに時代劇や刑事ドラマの悪役。

 子供達にとっては自然でも、大人やマニアにとっては「自分たちの望む怪獣映画」ではなかったのかもしれません。
 私は当時10歳。コミカルなゴジラに苦笑いをしつつもそれなりに楽しんでいたと記憶しています。大人になってからは「恐怖のゴジラ」が好きではある事は変わりませんが、「正義のゴジラがいても良いじゃないか」と揚げ足を取らずに素直に楽しめるようになりました。
 この作品ももうすぐ公開から40年。興行的事情があった事を理解する云々は別にしても、一つのゴジラ作品として楽しめた方が幸せだと思いません!?

ゴジラ対メガロ見聞録2

2012年09月21日 | 羽沢組的怪獣見聞録


2 流用シーンとならではのシーン


▲「メガロゴジラ ブラックバージョン」(発売中)

当時の興行的事情
 この『ゴジラ対メガロ』は制作の上でも大変であったことを書籍、メイキング等で関係者の方々が語られているものは多々あります。
 興行的事情で、ゴジラ映画の予算も前作よりだんだん削られ、スケジュールもタイトになってきた時期であったそうです。
 特に特撮パートはその影響が大きかったと言われています。

 例を挙げればそれまでのゴジラ映画の流用シーンがいくつもあった事です。
 冒頭の爆発する怪獣島でのシーン。ラドンやアンギラスもそのまま使用されています。
 ジェットジャガーに呼ばれた後、海にジャンプして飛び込むシーン。
 メガロの光線による町を破壊するシーン。光線そのものをキングギドラの光線と色や形を近くする事で破壊されるビル等のシーンはそのまま流用されています。
 ガイガンの飛行シーン。
 ガイガンがゴジラと戦い、飛んで傷つけるシーン…等。
 他にも細かくいくつかあるようです。
 今でこそこうしてDVD等で見直したり比べたりできるからこそ言えるのですが、予算や時間のためとはいえ、中野監督や当時のスタッフのご苦労がわかります。
 その分、新しさを印象に残すべく数少ない(?)大掛かりで新たに作られたメガロのダム破壊シーンは、名場面の一つと言えるでしょう。
 また、最後の4体の対決シーンのスタジオセットの広さも後のゴジラ映画ではほとんど見られない規模。戦い後のゴジラが歩いて去っていく引きの絵ではその広さがよくわかります。
 意地悪な気持ちを抜きにしての流用シーンを見つける事や、この作品ならではの特撮シーンを見つける事も楽しみの一つとして見るのも良いではありませんか。

ゴジラ対メガロ見聞録1

2012年09月20日 | 羽沢組的怪獣見聞録


1 作品とゴジラスーツ

 10月7・8日発売予定の「メガロゴジラ グリーンバージョン」を控えていますので、今日から少し『ゴジラ対メガロ』についての事をいくつか。


▲左「メガロゴジラ グリーンバージョン」(10月発売予定)
右「74ゴジラ ダークブルー」(発売中)

正義の味方のゴジラ
 1973年に公開された『ゴジラ対メガロ』。
 これまで何度か書いてきましたが、ゴジラの造形がリニューアルされたというくくりで言えば、ゴジラ映画昭和シリーズ後期3作品の最初の作品。

 昭和シリーズの後半頃からは、ゴジラシリーズをはじめとする東宝特撮映画が観客動員で苦戦を強いられる時期でした。「チャンピオンまつり」をスタートさせ、ターゲットを本格的に子供向けにした事から、次第にゴジラは正義の味方となり、子供達のヒーローになっていきます。
「正義のゴジラ」の最終章の始まりとも言えるこの『ゴジラ対メガロ』で愛嬌のある親しみの持てるルックス、そしてアクションへと変わっていきました。
 そのためにゴジラ離れをする怪獣ファンが当時いたのは事実。逆にこの頃からゴジラ映画を見始めた子供達にとっては「正義のゴジラ=僕らのゴジラ」。
 そういう点では、いろんな意味でターニングポイントとなる作品と言えるのかもしれません。

 この時のゴジラ「メガロゴジラ」スーツは、後の2作に流用改修されて使用されています。合わせての3作は頭部が全く違うのですが、未だこの「メガロゴジラ」と「74ゴジラ」が全く同じと勘違いされている人も多いようです。ある意味ゴジラファンの7不思議の一つかもしれません(笑)。
 情報がアバウトのまま、後のムック本で間違って掲載されたり、他社さんのレトロタイプソフビの発売の際に「同じ」と謳ってしまったものがあったりしたためと思われます。
 Gメモリーズセレクションでは、ディフォルメテイストの中ではありますがその違いを明確にすべく両方を商品化。これまでもここで何度か「違う」ものであるとお知らせしてきました。すでに弊社商品をお求めいただいた方々にはご理解いただけたと思いますが、ライトなファン、ビギナーのファンの方々はまだご存知ないかもしれません。具体的な違いは、2011年12月10~20日掲載の「見聞録」をご覧いただければ参考になると思いますので、ぜひこの機会にご理解いただければ嬉しく思います。

特撮博物館見聞録5

2012年09月11日 | 羽沢組的怪獣見聞録


5 特撮美術倉庫の品々について

 ゴジラやメカゴジラ2だけではなく、他にも東宝特撮の品々はたくさんありました。その中の「特撮美術倉庫」と題したコーナーでは、昔の東宝倉庫の雰囲気が再現されています。

東宝特撮ファンにとってはお宝の山!
 この「特撮博物館」の1コーナーに「特撮美術倉庫」があります。ここで展示されているものは、現在の東宝の倉庫にあるものばかりです。戦車、戦闘機、電車、建物……etc。
 1年前に東宝倉庫に行った時はほとんどが埃をかぶっていました。倉庫を移動したばかりの時期でしたから、きれいにする時間もきちんと整頓されてもいませんでした。ですから見てもどれがどの作品に使われたのかは見ただけですぐわからなかった程です。
 今回「特撮博物館」ではきちんと登場作品の明記もほとんどありましたし、ほとんどきれい(たぶん……汗)にされていたので「あーこれはこの作品に出てたやつだった」とわかったのでなんだか嬉しくなりました。クリーニングして作品明記して飾られていたのを見ても「大変だったろうなぁ…」とご苦労が感じられます。
 スーバーX2(上の方にあったので見逃した方もいたかも)やメーサー車などゴジラ映画で印象に残るメカ達もありましたが、細部の細かな部品等は取れちゃっていたので残念ではありましたが、東宝倉庫でもほぼあれに近い感じでしたから仕方がないと言えば仕方がないのかもしれません。
 GMKキングギドラスーツもここでは展示されています。私にとっては1年ぶりの再会ですが、前はゆっくり見ていられなかったので、今回改めて見て迫力に感激しておりました。

 この「特撮美術倉庫」に展示してあるものは東宝所有のものですが、他の東宝特撮映画の関係の展示の品々で個人所有のものが多くあります。プロットや資料等、私にとっても初めて見るもの、書籍等でしか見た事がなかったものも多く、懐かしくも新鮮でした。大型ポスター等は今回のために新たにデジタルでスキャンして複製したようです。
 いずれにしてもゴジラファン、特撮ファンにとっては嬉しい催しです。一日いてもたっぷり楽しめます。
 もちろん東宝特撮以外のものも多く、それらについては私は「へえー」「こんなのがあったんだ」「おー懐かしい」の連呼でした。ですから東宝特撮以外への疑問等がおありの方は、そちら方面の詳しい方に聞いて下さい。

「特撮博物館」は10月8日まで開催しておりますので、まだの方はぜひどうぞ!
 私も時間を作ってまた行くつもりです。

特撮博物館見聞録4

2012年09月10日 | 羽沢組的怪獣見聞録


4 ゴジラのスーツについて

 今日は同じく展示されている「ゴジラ」のスーツについて。私にとっても思い入れのあるゴジラです。

デスゴジ改修の「平成ゴジラ」
 この「特撮博物館」で展示されているゴジラスーツは、デスゴジ(『ゴジラVSデストロイア』)として紹介されています。
「なんでデスゴジなのに全身が黒なんですか?」と聞かれた方もいらっしゃいますが、これは元々がモゲゴジ(『ゴジラVSスペースゴジラ』)なんです。もちろん東宝所有のものです。
 デスゴジスーツは複数ありますが、メインのアクション用はモゲゴジの改修です。背びれの配置や内蔵されたメカ、発光ギミック等で姿勢やフォルムが変わってしまい、モゲゴジに比べてデスゴジの方が猫背です。
 デスゴジ後にこのスーツは、「平成ゴジラ」として展示用に改修されたものなのです。ですから内蔵メカや発光ギミックは取り除かれ、姿勢も変えられ、全身を再び黒に塗り直されたものです。展示用ですから、姿勢も固定されていますし脚はアームで固定されています。さらに東宝の倉庫内では、移動用にキャスターのついた岩の形の台座(高さ40~50cmぐらい)に固定されて保管されていたものです。そのため同じく展示されていたメカゴジラ2とは違い、中に人は入る事はできません。
 今回の展示では岩の台座から外され、キャスター付きアームのみに付けられているだけですので、リアルな大きさが近くで感じられます。

 このゴジラは「平成ゴジラクロニクル」「平成ゴジラパーフェクション」でも特写で紹介されていますので、これらの本をお持ちの方は見ていただければわかると思います。ちなみに東宝の倉庫が移動したため、この2冊でも撮影場所は違う所です。
 そして「パーフェクション」の撮影時にこのゴジラ(他の怪獣達もですが)のクリーニングをしたのは実は私です(これらの裏話?はいずれ機会を改めて…)。当時の撮影中では時間が足りずに100%きれいにできなかったのですが、「特撮博物館」ではほとんどそのままだったので見ていて「ノーギャラでも良いから、あーもっときれいにしてあげたい!!」と心の中で叫んでいました。
 そういう意味で思い入れのあるゴジラですから、勝手に私は「ウチの子」と呼んでいます(笑)。でも1年ぶりに会えて嬉しかったですね。「元気だったか?」と思わず声をかけてしまいました。

特撮博物館見聞録3

2012年09月08日 | 羽沢組的怪獣見聞録


3 メカゴジラ2のスーツについて(3)

 今日も展示されているメカゴジラスーツです。今回の展示をするために改修したと思われる所について。

展示のための修正箇所
 今回展示されているメカゴジラスーツ。撮影終了からだいぶ経っていますので、劣化や破損は仕方のない事です。
 以前、ムック本やDVDの特典映像で紹介されていたので、そこから比較して違いや改修したと思われる部分について書きます。

 展示のために完全に新装されたと思われるのはいくつかあります。
 まず、手首から先です。ミサイルになるように鍵状になっている指は「2」の特徴です。これはきちんと作られていて私も穴があく程見てしまいました。塗装色で違いがわかりますが、表面には痛みはありませんので、これはすぐには気がつくでしょう。
 首の後ろの下にあるひれの一部(中央一番上)。これはちぎれていた事が確認されていましたので、新造されたと思われます。
 胸の台形部分。劇中では開いてビームが発射された所です。これは取れて中が見えてしまっていたため、新たに作られてはめ込まれたようです。
 膝の突起。これも取れていたはずですので、新たに作られてくっつけられています。
 これは推測ですが、脚の指に当たる部分。新造なのか、改修なのかはわかりませんでしたが、かなり痛んだ部分がなくなっている事がわかります。

 あとはほとんど当時のままのようですが、過去に紹介されたものと比較して見ると、劣化や痛みの度合いから見て、見えない部分や細かな部分等、言われてみなければわからない箇所も多数修正箇所はあったと思われます。
 当然、当時の色に近づけるために新たに塗装された所も多いと思われます。
 劣化や痛みが顕著に見られ、ほとんど修正していないだろう部分もあります。お尻から下にかけての部分、尻尾等はほとんど当時のままです。
 もしこれから見に行かれる方は後ろの方を注意してみていただければわかると思いますが、かなりの劣化は痛みが見られます。尻尾の先等はちぎれたままですし、角も欠けています。
 また、頭部はFRP樹脂ですから、時間の経過でよりボディとの質感の違い、色の変化がはっきりわかります。

 首から下は元々当時の硬質ウレタンで作られていますので、いくら大掛かりな改修をしたとはいえ、このレベルで保存されていた事を考えると奇跡的かもしれません。
 いずれにしてもこれらの改修は並大抵ではなかった事でしょう。「ちゃんとしたメカゴジラ2じゃない!!」と言うのもわかりますが、見られるレベルに保存された事も大変なことですし、展示できるように改修された事はかなり大変だったことが想像できますので、感謝したい気持ちの方が大きいと思いません!?
 スーツ自体大きくて迫力ありますし、すぐそばには人工頭脳も展示されていますので、劇中の雰囲気は充分に感じられると思います。
 とうしても「……」という方は、ブラックホール第3惑星人が、初代から「2」に改造するときの途中過程のメカゴジラと考えちゃダメですか!?

特撮博物館見聞録2

2012年09月07日 | 羽沢組的怪獣見聞録


2 メカゴジラ2のスーツについて(2)

 昨日の続きです。今日は展示されているこのメカゴジラスーツ。初代のスーツを流用・改修されて『メカゴジラの逆襲』で使われたものでした。その違いについて。

初代と「2」の合体版!?
 ここで展示されている、劇中で使われた初代を半ば無理矢理(?)「2」に流用改修されたスーツ。
 具体的にどう変えられ、どう違うのか。

 基本フォルムは初代のままです。胸回りの体型が初代と「2」では違うので、これを「2」にするには新造しなくてはなりませんので変えようがありません。
 初代と「2」の違いが一目で分かる胸からお腹にかけての台形の部分。この台形部分は初代のままですが、肩からその台形に流れる形状の部分は「2」の形に変えられています。首周り(襟に当たる部分)もそれに合わせて微調整程度に修正されたと思われますが、ほぼ初代のままです。
 腕のマークは言うまでもなく、「MG2」にされています。
 他の大きな違いはカラーリングです。初代とは違い、少し青の入ったダークグレー(シルバーも入っていたか?)が部分的に塗装されています。
 他は基本的に初代のまま、劇中では使用されました。
 どのシーンで主に使われたかというと、戦いの後半、ゴジラによって首をもがれてしまい、人工頭脳がむき出しになってしまうシーンです。基本はアップのシーンではありますが、首が取れた状態でも動いているシーンがありますし、全身のカットもありますので、その辺を気にして映像を見ていただければこのスーツを「メカゴジラ2」として使用されているのが確認できます。
 ですから一般的に知られている「2」の造形とは異なりますが、ある意味このスーツも「メカゴジラ2」と言っても間違いではないのです。
 ちなみに『メカゴジラの逆襲』でのメカゴジラのビームやら光線が発射されるアップのシーンでは、初代のままの映像が流用されて使用されている箇所もあります。そこでもスーツの違いが見つけられます。

 そしてこの初代のフォルムを残したままで一部分だけが「2」にされたスーツが、今回の特撮博物館で展示されたものなのです。
 しかし、展示するためには、劣化や破損箇所もあり、現状では厳しいと言わざるを得ません。修正・改修が行われました。この辺についてはまた明日。

特撮博物館見聞録1

2012年09月06日 | 羽沢組的怪獣見聞録


1 メカゴジラ2のスーツについて(1)

 関係者ではないのですが、現在開催中の「特撮博物館」で展示されているゴジラやメカゴジラ2のスーツ等についていくつか質問されましたので、私なりの解釈をいくつか。答えになるかどうかはわかりませんが、参考になれば幸いです。

 7月のワンフェでは羽沢組スペースにお越しいただいたお馴染みの皆様の多くはすでに「特撮博物館」に行かれたようで、皆さんが口々に「よかった」という感想をおっしゃっていました。そして展示されているゴジラやメカゴジラ2、その他東宝特撮映画の展示物等にいくつか疑問やわからないこともあったようで、私に聞いてこられた方も何人かいらっしゃいました。
 私はまだこの時は行っていないので明確には答えられませんでしたが、先日直接見に行ってわかった事がありましたので、お答えしたいと思います。あくまで私の解釈も含まれていますので、その点はご了承下さい。

あれは本当に「メカゴジラ2」!?
 一番聞かれたのが、展示してある「メカゴジラ2」のスーツについて。
 まず初代メカゴジラスーツの話からしなくてはなりません。『ゴジラ対メカゴジラ』では劇中で使用された複数のスーツがありました。詳しい事は2011年2月21~23日の「見聞録」に書いていますのでそちらをご覧下さい。そのうちのアップ用のスーツは、「メカゴジラ2」としてそのまま続編の『メカゴジラの逆襲』に使用されました。
 とは言っても初代メカゴジラとメカゴジラ2は、似ていはますが、造形は全く違います。お腹や胸、腕のマークだけが違うと勘違いされている方もいらっしゃいますが、肘や膝、指の形状、尻尾や各ヒレにあたる部分の配列等、違いは多数です。比較すると全身のフォルムすら違いますし、塗装色も違います。全身に渡って違うものと判断しても良いでしょう。(細かな違い等も含めて、いつかしっかり機会を設けてここで検証したいと思います。)
 その流用されたスーツはどこに使われたのかというと、ラストシーンです。ゴジラがメカゴジラ2の首をもいでしまい、人工頭脳がむき出しになるアップのシーンで使われました。そのためボディ等各部は初代のままの状態で使用されたものです。
 ですから外見は初代のままですが、一応『メカゴジラの逆襲』でも使われたのであながち「メカゴジラ2」といわれても100%間違いではないのです。
 その後このスーツは某氏の個人所有となり、これまでいくつかの展示に使用されたり各ムック本等で紹介されました(これだけで某氏がどなたなのかわかっちゃいますね…笑)。DVDの特典映像等でも紹介されています。
 そして今回の展示のために、アップ用のヘッド(同じく某氏所有)とくっつけられ、さらにいくつかの部分だけ「メカゴジラ2」に近づけるために新たに手を加えられて改修されたのです。

 続きはまた明日。

昭和のキングギドラ その7

2012年07月19日 | 羽沢組的怪獣見聞録


7 ガイガンの助っ人キングギドラ

 昭和の最後の登場は『地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン』。頭部だけが完全新規造形で敵側の助っ人として登場しました。

全く違うと言える顔になったキングギドラ
『怪獣総進撃』で倒されてしまったので、まさかの登場となった4度目のキングギドラ。頭部が新規造形されているのは有名です。
 造形的な違いは一目瞭然で、鼻が若干大きくなり、狛犬に近い雰囲気の顔に変えられています。それぞれの角は形状だけではなく、角度が大きく違います。一番大きな2つの角は、これまではどちらかというと上に向いていたのですが、ここでは後ろ向きになっています。眼球も赤から白に変わりました。
 頭部以外目立つ違いは翼。形状そのものが悪魔的な形ではなく、ほぼ三角と言えるものに変わっています。全体の羽部分のビニールが、前作のような張りがなく、しわやヨレが目立つ事も特徴です。
 ボディそのものは流用である事がわかりますが、ガニ股具合は前作よりはやや抑えられているように感じます。飛行時にはむしろ内股すぎに見えるシーンもいくつか。

 全身の金色は前作よりかなり明るくなりました。平成以降のキングギドラも含めても最も明るい色のキングギドラと言えます。そのせいもあるでしょうし、顔の雰囲気や眼球の色等の影響もあってか写真だけて見れば初期の頃に比べて軽いイメージになってしまったと言えるかもしれません。

 このキングギドラはさらに改修されて、テレビシリーズ『流星人間ゾーン』にも登場しています。大きな違いはないのですが、部分的に劣化や損傷、ボディのたるみ等が見られて、比較して見るといささか痛々しい感じにも見えます。


 たくさんの方が好きな怪獣として挙げる事の多いキングギドラ。造形を中心にいろいろと調べてみると、僭越ながら造形制作の大変さだけではなく、それを生きた怪獣として演じさせる撮影スタッフの大変さも感じます。こういった怪獣は形だけではなく、芝居をさせてこそかっこ良さを感じたり強さをイメージさせたりできるのだと改めて思いました。

昭和のキングギドラ その6

2012年07月18日 | 羽沢組的怪獣見聞録


6 総進撃キングギドラ

 3回目の登場となったのは『怪獣総進撃』。キラアク星人の手先として、形状にも変化が見られたキングギドラです。

ある意味新しく作られたと言えるキングギドラ
 3年ぶりに登場したキングギドラ。造形的には『怪獣大戦争』と違いが多々あるのですが、新規造形説と流用・改修説と2つあってどれを信じていいのか弊社では不明なままです。
 仮に流用・改修説だとすれば違いが多すぎるので、改修部分はかなり多くあったと言えます。もしそうならボディの真に当たる部分だけが流用で、細部から表面のウロコは新たに作られたと言えるでしょう。

 形状的に『怪獣大戦争』より『三大怪獣~』に近い感じになっていますので、頭部はおそらく元型から作り直されたと言える造形です。もし流用・改修であれば、腫れた感じの顔の表面だった所をかなり圧縮した作り直しをしたと言えるでしょう。ただ、細部のモールドは初代程複雑ではないようですので、写真や映像でも造形がわかりやすくなっています。
 全身のフォルムでの違いは脚の付け根。股の部分が前2作に比べて広がっています。ですからややガニ股ぎみに見えがち。見比べてみるとかなりわかりやすい違いです。内股ぎみの方がイメージとして強いキングギドラなので、多少の違和感は感じてしまいます。
 一番の大きな違いは翼です。翼そのものは完全に新規造形です。全体の形状も違うし、付け根の部分はかなり太めに造形され、ウロコもつきました。前2作は羽の部分は布だったのですが、このときからビニールになっています。ですから雰囲気がまるで違うものになっています。
 ちなみに昭和4作のキングギドラの中で、最もVSシリーズのキングギドラの翼に近いのがこの時のものです。

 操演のミニサイズの飛行タイプは明らかにフォルムや翼の形が違う事から、新たに作られていると考えられます。

 全身の色ですが、同じ金色でもこの時の色はだいぶ明るくなりました。使用している塗料の影響なのか、あえて明るめの金に意図的にしたのかはわかりませんが、撮影時のライティングのせいだけではないと思います。全身の色としてもVSキングギドラがこれに一番近い金色と言えるかもしれません。
 また、造形とは違いますが引力光線の表現も前2作とは違うものになっています。

昭和のキングギドラ その5

2012年07月17日 | 羽沢組的怪獣見聞録


5 大戦争キングギドラ

 キングギドラは初登場からすぐに次の『怪獣大戦争』にも敵役として登場。

初代キングギドラとの違い
 この『怪獣大戦争』は、『三大怪獣~』の翌年に公開された事もあって、前作のキングギドラと造形が全く同じと思っている方が多くいるようですが、そうではありません。確かに流用スーツである事は間違いないようですが、たくさんの違いがある事はあまり知られていないようです。

 映像を見ていただければすぐにわかると思いますが、前作よりスーツの中に人間(前作同様広瀬正一氏)が入っているシーンが多くある事がわかります。そのため造形的な変化以外でも前作より下半身に重みを感じさせるシーンが多々あります。
 半分程の操演のものでも飛行以外で使用されているので、前作より姿勢やポーズのバリエーションは豊富と言えるでしょう。

 外見的な一番の違いは首でしょう。メイキングの写真等でもわかるように、首が前作より長くなりました。写真から推定するに、各3本の首は20m前後足されています。映像でもよりクネクネしていますし、見下ろす感じもあって大きく見えています。
 顔はおそらく前作のままを改修したと思われますが、アップで見ると細部の造形は大きく違います。造形素材であるラテックスを金色塗料が溶かしてしまうらしく、細かなモールドが滑らかになり、やや腫れた感じの顔になっています。その具合が3つとも同じレベルではないので、前作より更に顔の形状に差が出ているようです。
 同じく大きな違いは頭の後ろの毛。量が増えています。首の長さをのばす時に、一旦全ての毛を取ってから改修したための結果のようです。毛そのものの長さも前作より若干長い事がわかります。
 翼も改修時に一旦外されてから付け直されているのがわかります。付け根の部分が太く作り直されているからです。意外に気づきにくい点ではありますが、そのために前作よりは力強さを感じさせていると言えます。

 個人的な感想になってしまいますが、顔は前作が好みでカッコいいと思うのですが、全身のフォルムとしてはこちらの「大戦争版」の方がバランス良く、最も「昭和のキングギドラ」をイメージさせると思うのです。

昭和のキングギドラ その4

2012年07月16日 | 羽沢組的怪獣見聞録


4 初代キングギドラ(2)

 昨日の続き。今日も初代キングギドラについて。

不世出のキャラクター
 劇中スーツはほとんどが操演で撮影されていましたが、他にも飛行用のものが複数あり、これは小さいサイズで作られていました。サイズも全て違っていたそうです。人間大のものとの違いでは、翼の形状に差が見られます。良く見ると尻尾の先の葉っぱ状の部分も大きく違うのがわかります。
 もちろん映像でもわかるように人間大のものでも一部では飛行シーンを撮られています。おそらくは飛行用のミニサイズのものは口の開閉ができず、光線発射のシーンの場合や着地のシーン等のために人間用のものをその時は使用したと考えられます。

 いくつかの紹介されている書籍、ムック本を見てわかる事ですが、掲載されている写真の種類がほとんどスチールでの青いキングギドラ、劇中撮影時の写真でも多くが飛行タイプのもの。そのため、劇中でのスーツにこだわった弊社のキングギドラの原型を作る時に困ったものですが、地上に降りた時の人間大のスーツの写真が実は少ない事がわかります。ゴジラ達と戦ったシーンの写真等が掲載されている場合は、主に映像フィルムのものから使用されている場合がほとんどなので、撮影時にそういった写真を撮る余裕がなかったと思われます。
 他社商品でソフビに限らずリアルなガレージキットでも、スチールでの青いキングギドラの造形をモチーフとして作られているもの(塗装はゴールドでも)が多いのは、そういった理由もあるからなのかもしれません。

 いくつか調べてみると、映画撮影の当時のスケジュールのタイトさがわかります。同じ1964年には4月に『モスラ対ゴジラ』が公開したのですが、その後すぐに撮影に入り8月に公開された『宇宙大怪獣ドゴラ』が興行的にふるわなかった事で、急きょ企画されたのがこの『三大怪獣~』。しかも同じ東宝撮影所で撮られていた黒沢監督の『赤ひげ』が予定を越えて撮影が延びてしまった事から、かなり厳しいスケジュールでこの作品が撮られたと思われます。
 それを思うと写真の点数が少ない事もキングギドラの初期カラーの急ごしらえ感も納得できます。
 そんな中で登場した新怪獣であるキングギドラ。今もなお人気が高い不世出のキャラクターを生み出した事は本当にすごい事だと言えるでしょう。


▲7月29・30日発売予定「キングギドラ ライトゴールド」。

昭和のキングギドラ その3

2012年07月14日 | 羽沢組的怪獣見聞録


3 初代キングギドラ(1)

 今日は『三大怪獣 地球最大の決戦』に登場した初代キングギドラについて。弊社商品のキングギドラもこれです。

青いキングギドラとの違い
 どの書籍やムック本にも掲載されているのが「(スチールでの)青いキングギドラは、全身金色に塗り直されて劇中で使用された」と言う記述。
 これらを前提に比較してみると、あの青いキングギドラとの違いはいろいろわかります。
 造形的な特徴や弊社で調べてみたたくさんの初代キングギドラの事については、最初に発売した「キングギドラ スタンダードカラー」の「こだわり」(2008年2月14~19日掲載)と「制作裏話」(2009年3月23~30日掲載)に書いていますので、そちらをご覧下さい。今日はできる限りかぶらない事だけを書きたいと思います。

 劇中でゴジラたちと戦ったキングギドラですが、シーンの多くは操演で登場しています。そのためか基本は前傾姿勢です。自分でソフビの原型を作ってみてわかった事ですが、どうしても少しの前傾姿勢にしようと思うとより前屈みになって倒れてしまう形状の怪獣である事がわかります。前傾姿勢で二本脚で立たせる事を考えれば、ゴジラと比べて重心を後ろにしなくてはなりませんので、物理的に脚や背中付近に重さをプラスする等の処置をしないとバランスをとる事ができません。が、撮影では戦闘、光線発射のアクションが必要とされますし常に翼を動かさなくてはなりません。そういった重さの調整は困難と言えます。ですから全身を見せる場合は、基本的に操演でなければ不可能な怪獣です。
 動いているキングギドラという事を考えれば、スチールでの青いキングギドラのような姿勢はほぼ劇中シーンでは難しい事がわかります。

 顔については「こだわり」でも一部書きましたが、金色を塗っているという事で、当時の塗料との相性で造形に変化が見られます。さらに撮影を重ねていく上で痛んだり、色落ちしたりで修正、再塗装を繰り返したと思われるので、スチールのときよりも少しだけ腫れぼったく見えるシーンもあります。
 同じ型から抜かれて作られていると思われる首が3つあるのですが、当然痛み具合にも差が出るので微妙に違いが出ているのもわかります。
 スチールでの青いキングギドラがカッコいいのは、痛んでいないすっきりした顔立ちの3つの統一された形状の顔のせいもあるのでしょう。
 頭部でスチールとの一番の違いは、頭の後ろの毛です。まず量がかなり違います。毛そのものにも金色を重ね塗りしたと思われるので、かなりがさつきふっくらしていません。撮影時の損傷等もあったでしょう。結果的にスチールの時より半分ぐらい、もしくはそれ以下の量になっている事がわかります。毛だけに注意して映像を見ても、シーン毎に違いがわかるし3つの首の毛の量の差もわかると思います。


▲劇中でのカラーをイメージして配色した「キングギドラ スタンダードカラー」(完売)。

昭和のキングギドラ その2

2012年07月13日 | 羽沢組的怪獣見聞録


2 スチールでのキングギドラ(2)

 今日も初代キングギドラの公開前のスチールで紹介されている青いキングギドラについて。

青いキングギドラのいろいろ
 各書籍等で紹介されている青いキングギドラの写真。これらをよくよく細かく観察していると面白い事がいくつかわかります。

 まず姿勢。スチールで紹介されているものは人が入っていません。上から吊るされています。そのため姿勢が良く、直立して立っているように見えます。後の劇中をご覧いただければわかりますが、こういった姿勢のシーンはほとんどありません。基本的に劇中では前傾姿勢なのです。
 全身をはっきり見せるためというスチールでの意図と思われますが、劇中で吊られて立っているシーンよりも姿勢が良いので、劇中のときよりも脚が長い事がわかります。お腹のふくらみ加減も違う事から劇中の時とは重心にも差がある事もわかります。
 頭部にもいくつか変化がありますが、この辺は劇中での初代キングギドラの所で書きましょう。

 ボディ、顔、首の後ろ側に塗られている青の部分。
 細かく見ていると、青を塗る前の地色がわかります。青の塗装そのものにムラが多く見られるからです。
 おそらくは首の内側と同じ、肌色に近いベージュの可能性が大きいと思われます。青の塗り方がかなり雑である事から、青の濃度に差が大きく、急ごしらえで塗装した可能性は大きいでしょう。DVD等で見られるメイキングの映像では、パートのおばちゃん達がひとつひとつウロコをこしらえていたりして時間のかかる作業である事がわかりますから、造形そのものに時間がかかり、発表までかなりタイトなスケジュールであった事は想像できます。
 もしかしたらスチール発表時のカラーリングの全ては、その時点ですでに変更の可能性が大である前提だったのかもしれません。

 ちなみにかなり前から現在に至るまで、東宝ではグッズやフィギュアの許諾で企画段階のひな形の造形物や未決定のカラーリングの商品に対してOKは出ません。劇中に登場したものを前提としたものでなければ許諾はされません。ですからあきらかにこの企画段階である「青いキングギドラ」を思わせる商品は発売できないのです。
 何年か前に「カッコかわいく」で某メーカー(笑)が発売した「青いキングギドラ」はミラクルとしか言いようがありません。そのため再販は不可能ですのでお持ちの方はぜひ大事にしてあげて下さい。


▲「キングギドラ ブルーバージョン」(完売)。文中とは一切関係ありません。

昭和のキングギドラ その1

2012年07月12日 | 羽沢組的怪獣見聞録


1 スチールでのキングギドラ(1)

 7月29・30日の「キングギドラ ライトゴールド」発売を機に、改めて昭和のゴジラシリーズに登場したキングギドラについていくつか調べてみた事を書きます。
 参考になる事があれば幸いです。


スチールで見られた青いキングギドラ
 皆さんご承知の通り、昭和のゴジラ映画に登場したキングギドラは4回(他作品や流用フィルム等は除きます)。
 しかし、4作とも全く同じ造形やカラーリングではありません。意外とこれらを知らないライトなファンも多いようです。
 Gメモリーズセレクションで発売してきた「キングギドラ」は、『三大怪獣 地球最大の決戦』に登場した劇中スーツにこだわってディフォルメして作ったものです。もうすぐ新規カラー「ライトゴールド」を発売させていただくので、良い機会と思い、この4回のキングギドラについて書きたいと思います。

 まずは初代キングギドラ。
 その前にマスコミ向けのスチール写真等で見られた青いキングギドラについて触れましょう。

 最初の企画で全身が青で塗装されていた事はファンの間でも有名です。3本の首の内側は、肌色に近いベージュ、頭の毛はオレンジに近いブラウン、翼は青、白、赤のトリコロールカラーと、劇中でのゴールドのカラーリングとは全く違うものになっています。

 このキングギドラを紹介した写真は、数多くの書籍、ムック本等に掲載されてきました。複数持っている方はお気づきかもしれませんが、掲載されている写真を見比べてみると、青の色味に違いがあります。かなり明るい青だったり、紺に近かったりダークシアンと言える青だったりとまちまちです。発売された時期の本の印刷・製版技術の差もありますが、作品が古いためネガの変色が一番の原因と思われます。それをさらに印刷段階で製版で微調整していますので、それぞれ違う青になってしまっていると考えられます。
 さらにグッズ関係やブロマイド等でもこのスチール写真は使用されていますが、その多くは人工着色されたものも多く、劇場ポスターも例外ではありません。明らかに作った色で重ねられています。中にはボディのみ金色をイメージさせるべく黄色を乗せて着色されたものもあります。
 現存する東宝の写真でもネガが古いので、今では当時の青がどういった青だったのか解明するには困難と言えます。
 どう見ても作品公開時にはまだ生まれていなかったと思われるファンの方が、まるで青いキングギドラを見たかのようにどういう色だったかを自慢げに語られる方が何人かいらっしゃいますが、申し訳ないんですが信じられません。
 どんな色だったのか、実際あのスチールを撮影した時に立ち合った方にお話を聞くのが一番なのかもしれません。が、どなたがいらっしゃったのか不明ですし、多くがすでに引退、もしくは鬼籍に入られたと思われますので、まさに「幻のキングギドラ」と言えるのかもしれません。