春庭パンセソバージュ

野生の思考パンセソバージュが春の庭で満開です。

ポカポカ春庭のへぇへぇ平成(へぇなる)言語文化教育研究「本歌取りとパロディ②」

2004-01-19 | インポート
ポカポカ春庭のへぇへぇ平成(へぇなる)言語文化教育研究「本歌取りとパロディ②」
(2004/01/19)

 寒い日がつづきますね。春庭の足跡も、冬まっさかりの寒い文言が続きます。

 霜柱の公園囲む団地群 春庭
 団地2DKのベランダから見たままの光景ですが、元句があります。

 霜柱公園を出てビル林立 松崎鉄之助

 こちらの句は、日比谷公園の霜柱と官庁街ビル群の対比を思い出しました。公園を出て林立するビルの中に入っていくビジネスマンの「冬よぼくに来い!」みたいな気概も感じられます。

 一方春庭の本句取り「霜柱の公園囲む団地群」は、家に残っている人々の住まいをめぐる冬景色。同じような団地の棟が立ち並び、同じような2DK,3DKの窓が続く。まったく同じ造りの2DKとはいえ、部屋それぞれに人が生活し、それぞれの冬の暮らしがある。元句とはまた違った味わいに仕上がったと、自己満足。

 ある作品を一部分改変して、おもしろおかしさをねらって作り替えるパロディ。例を上げると。
(元句) らあめんの肉のひとひら冬しんしん 石塚友二

 寒い冬の帰り道。小腹もすいたし、何より温まりたい。立ち寄ったラーメン屋は、屋台か場末の中華店。あったかいラーメンだが、高級品じゃない。チャーシューもほんの一切れ申し訳程度に入っているだけ。食べながらも、場末のらーめんと、そのらーめんをすするしか温まる方法がない自分の身の上にしんしんと冬がせまってくる。そんな味わいの俳句です。

 安全と言われたアメリカ産の牛肉にもBSE牛海綿状脳症が発症したという騒動。次は鶏インフルエンザ。ひとくちものを食べるにも、うすら寒さが身に染みる昨今の世相。
 1/17の夜、最寄り駅から自転車で帰るときのこと。夜空からは白い雪。街灯の明りの中に、風に吹かれて舞い落ちてきます。
 牛丼屋の前を通り過ぎる。アメリカから肉を輸入していた牛丼屋は、牛丼メニューを停止しているか、縮小しているとききました。店内には人も少なく、食べている人は皆を背を丸めて、いっそうわびしげなようすに見えます。人が出入りすると、自動ドアがしばらく開いていて強い風に雪が舞い込みます。雪が吹き抜ける商店街には人通りも絶え、冬の冷気がしんしんと迫る。そんな中、自転車をこいで帰宅しました。冷えた。しんしん。

 そこで、石塚の「らあめん」をパロディにすると

 牛丼の肉のひとひら冬しんしん 春庭
 BSEに翻弄される人間たちにとって、よりいっそう冬の寒さが身に染みているのじゃないかと思って。

 パロディと変わらないと評されるかもしれないけれど、自分では本歌取りのつもりというのが、次の作。
 ひとひらの雪のかけらをのせて食う牛丼の肉しんしんと冬

 歳時記をぱらぱらとめくるのは、とても楽しい言葉遊びです。

 新しい言葉を知ること、今まで知らなかったことばを覚えることが大好きなので、パソコンまわりにも、、国語、漢和、古語、類語、英和、和英、英英、仏語、独語などの辞典類を並べています。毎日どれかは辞書を使っている。

 しかし、昔に比べて活用しなくなったのが、イミダス、知恵蔵、現代用語の基礎知識など。これらはとても重いので、引くより先にネット検索してしまい、たいてい用がたりる。検索がすぐれているのは、正確なことばをわすれたとき。思い出せない語に関連したことばを並べて検索かけると、忘れていた肝腎なことばを含めて表示されるので、「ど忘れ辞典」としても重宝。

 辞書のほか、季節の歳時記も毎日のようにぱらぱらページをめくる。辞書や歳時記が検索と異なる点は、目的の語を調べるほか、ぱらぱらめくっていると、知らなかったことばにめぐり会えること。旧正月に関わる季語を調べていて、「骨正月」ということばを初めて知りました。
 「小正月」「女正月」は知っていましたが、私の育った地方でも東京でも「骨正月」という言葉はきいたことがありませんでした。

 骨正月=1月20日の行事。「二十日正月」とも言う。全国で行われている節目で、関西から九州にかけて骨正月という。正月用のごちそうにしてきた魚をこの日までに食べてしまい、20日には、残った骨で正月最後のごちそうを作って出す。関東でも、20日以後の客には正月用の接待せず、通常の扱いになるという。
 
 ものがたき骨正月の老母かな 高浜虚子
 正月も襤褸市たちて二十日かな 村上鬼城

 自衛隊先遣隊の出発に際して春庭のよめる
 軍靴の音、骨まで響く骨正月
 女正月雄々しき女達集い「殺すな」という声を揃えて

 春庭の言葉遊び足跡つけにおつきあいくださった皆さん、ありがとう。返歌、返句、付け合いを寄せてくださった方々にお礼申し上げます。遊びと思うので、全部を記録記憶していません。たのしく遊べた、で、流してしまっていいと思っています。

 言葉遊び応酬の一端だけですが、ご披露。百人一首の小野小町の「花のいろは~」や紀貫之「久方の光~」を、賭場で展開すると、というパロディ遊びです。

haruniwa  花の色もうつりにけりな春庭のわがみ片脱ぎ丁半壺ふり
2004/01/09 8: 9 zai5cyujo 花の札はめくりにけりな小博打に我手よくない雨シマばかり
haruniwa 馬鹿っ花おばか比べにゃ負けないが、在五の雨シマに笑い負けした
2004/01/09 19:45 zai5cyujo 久方の五光のどけき春庭に月もとられて花の散るらん
haruniwa 猪鹿蝶道風蛙も月見酒 酔うて恋こい小町せシマに
2004/01/09 20:33 zai5cyujo 青タンよし奈良の都の八重咲くは赤タンそろえて匂いつるかな

 在五中将様、言葉遊びの相手してくださり、ありがとうございました。