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春庭パンセソバージュ

野生の思考パンセソバージュが春の庭で満開です。

ぽかぽか春庭ブックスタンド>2013年1月~4月の読書メモ(1)

2013-05-24 | 本と雑誌

2013/04/28
ぽかぽか春庭ブックスタンド>2013年1月~4月の読書メモ(1)

 2013年1月~4月の読書メモ。
 例によって、何をいつ読んだか忘れていて、本の山の中から、「これは今年になってから読んだ気がする」と思えたのは、以下の通り。

 他の人の読書記録を見ると、児童書を中心に読んでいる人、旅行記を中心に読んでいる人、それぞれの好みがあって、とても参考になり、ああ、こういう本をいつか読んでみたいと思うのですが、私の読書は系統だってもいなくて、てんでんばらばらでそのときそのときに目移りした本を読み散らしています。それもこれも100円で手に入った本を読んでいくので、その時々でテーマがバラバラなのです。あえて、広くテーマをいえば、日本語言語文化、社会文化となりますが、これをいえば何でもアリです。

@は図書館本 ¥は定価で買った本 ・は、ほとんどBookoffの定価半額本&100円本。

<日本語・日本語言語文化関連>
@湯沢質幸『古代日本人と外国語』
@蛇蔵&海野凪子『日本人の知らない日本語3』2012メディアファクトリー

<評論・エッセイ、その他>
・辺見庸『いまここに在ることの恥』2006 毎日新聞社
¥田中忠三郎『物には心がある』2011 アミューズエディテュメント
・佐野洋子『がんばりません』2010 新潮文庫
・佐野洋子『覚えていない』2009 新潮文庫
・司馬遼太郎『歴史の世界から』2004 中公文庫
・司馬遼太郎『長安から北京へ』1996 中公文庫
・司馬遼太郎『中国・蜀と雲南のみち街道をゆく〈20〉』1987 朝日文庫
・司馬遼太郎『「明治」という国家 上』2008NHKブックス
・司馬遼太郎・陳舜臣『対談 中国を考える』1983 文春文庫
・松本侑子『アメリカ・カナダ物語紀行』2009 幻冬舎文庫
・田村仁『アンコール遺跡の光』2002 小学館文庫
・米原万里『ロシアは今日も荒れ模様』2001 講談社文庫
・高松宮喜久子『菊と葵のものがたり』2002 中公文庫
・関川夏央『昭和時代回想』2002 集英社文庫
・高山宏『近代文化史入門 超英文学講義 』2007 講談社学術文庫
@荒俣宏『イギリス魔界紀行』2003 NHK出版
@ジル・ネレ『バルデュス 猫たちの王』2006 タッシェンジャパン
・ハーバート・ピックス『昭和天皇上』2002 講談社

<小説・戯曲・ノンフィクション>
・村上春樹『1Q84 Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ』2009,2010 新潮社 
・黒田夏子『abさんご』2013 文藝春秋3月号
・田辺聖子『姥ざかり花の旅笠』2004 集英社文庫
・杉本苑子『雪中松梅図』1985 集英社文庫
・松井今朝子『幕末あどれさん』2007 PHP文庫
¥常見藤代『女ノマド、一人沙漠に生きる』2012集英社新書

 『1Q84』は、ブックオフで半額になってから買い、それからしばらく寝かせておいて、やっと読みました。ベストセラー本は、売れる前に読むか、すたれてから読むかで、売れている最中に読むのは気恥ずかしい。年末に『アフターダーク』を読んで、正月に『1Q84』と連続で読んだので、なんだかストーリーがごちゃまぜになって記憶されている。『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』も、読むのはいつになることだろう。

 米原万里のエッセイなんかも、百円本になってから読むので、評判になっている最中は読めない。マンガの『日本人の知らない日本語3』もようやく読んだ。講師室の同僚達は1も2も、いち早く読んで「日本語教師にとっては知っていることばかりだけれど、こうしてマンガにすると売れるのねぇ」という感想を聞いてきた。日本語学習者の誤用とか、「日本でびっくりしたこと、初めて見たもの」とか、毎期毎期必ずひとりはいる定番の発言や行動なんだけれど、これをだれが読んでもおもしろく笑える本にしたのは、蛇蔵のお手柄だと思います。

 石牟礼道子などと並んで、私が「印税を払わず読むのは申し訳ない」と思える数少ない作家のひとりである辺見庸。『いまここに在ることの恥』は、すみません、古本屋で100円で買いました。私もぎりぎり節約、、、、、家賃払えとUR都市機構が手紙よこして、期日に遅れた分には滞納利子をつけて払えという。辺見さんに印税払うべき分が、家賃の利息になってしまいました。次回は、新刊単行本で買いますから、今回はお許しください。

 久しぶりに雑誌を定価で買った『文藝春秋3月号』。いつも1、2冊入っているはずの文庫本が入っていなくて、何でもいいから読むもんと思って駅のキオスクの棚を見ても、読みたいような文庫がない。「文藝春秋」は芥川賞全文掲載っていう号で、そのうち、単行本が古本屋に出回ったら読もうと思っていた『abさんご』を読むことになってしまいました。芥川賞が話題になってベストセラーになれば、単行本売れて、1年後には古本屋に出回るのに、こんなに早く読むことになるなんて。いや、自分に合っている本なら定価で買っても文句は言わないけれど、合わない本だったので。

 常見藤子『女ノマド一人沙漠に生きる』は、フォトジャーナリストの「ホームステイ」記録。片倉もと子らの「女性によるイスラム社会」の記録、たとえば『イスラム社会の日常生活』などに比べるとややツッコミが足りず物足りない部分があります。表面上仲良くしていても、実は女同士のあいだに、嫉妬や反感が渦巻いている描写など、そうそう、それがホントよね。妻が4人いても、4人平等に扱われるから妻同士に嫉妬などないと言われていても、現実は違うよねと、同感できる部分もありました。
 文章リポートとして足りない部分は、本来写真で表現する人なのだろうけれど、この新書には写真はそう多くは掲載されていません。それで物足りない感がのこったのだと思います。

 高松宮喜久子『菊と葵のものがたり』は、高松宮妃の妹、榊原喜佐子『徳川慶喜家の子ども部屋』を読んだときに、「自伝を書くと結局は自慢話になってしまう階級の人(by佐野洋子の評)」の思い出話だと思ったので、皇室自慢話など読んでもなあ、と思ったのだけれど、『高松宮日記』の裏話でも書かれているのかと買って置いた百円本。
 東御苑お花見散歩のついでに三の丸尚蔵館で「旧高松宮家と伝来の品々」という展覧会を見たので、そうそうと思い出して読みました。

 「秩父宮に松平容保の孫を配し、高松宮に徳川慶喜の孫を配したのは、朝敵賊軍の末裔たち、まつろわぬ者どもをまつろわせるための婚姻だったのだなあ」と、あらためて感じたこと。新島八重も秩父宮妃に容保の孫の勢津子姫が決定したとき「これで会津の名誉が回復した」と感じたと語ったそう。征服者が被征服側から妃を選ぶという「まつろわぬ者」対策は、太古から変わっていないのね。

 ハーバート・ピックス『昭和天皇上』
 戦後の象徴天皇制度のもとでは「無力で実権なき平和主義者だった昭和天皇」というイメージが全国津々浦々に行き渡ったが、実際は強いリーダーシップを発揮して日本を戦争に導く役割を果たしてきた、という説を出してピュリツアー賞をとった。
 10年たった今では、反ピックス説も出そろった。私は出版後に評判になっていたころは特別読みたいとも思わなかったのだけれど、100円本になっていたので、まあころあいかと思って読んでみたら面白かった。

 種々の反論も含めて、これから検証していくべき人の伝記。昭和天皇にかかわった人がつぎつぎ鬼籍に入っていく今、側近の日記などがさらなる資料として世に公になることを望みます。周囲の大反対を押し切って、ひとつの記録として「高松宮日記」を公にした喜久子妃は、それだけでも評価できる。

 地震後の耐震化で休館していた国立文書館がリニューアルオープンして「近代国家成立時の記録」が展示されていたので、花見がてら見て来ました。晩年の明治天皇の御名御璽のサインの文字が極端に右肩下がりの「睦仁」なっていたのが気になりました。なぜあんなにも仁の「二」が右下がりになったのだろう。晩年の病気のせい?こういうのも、筆跡鑑定と身体状態がわかる人が見れば、わかるのだろうけど。糖尿病悪化の尿毒症で、満59歳での崩御。ワォ、今の私より若くしてみまかったのだわん。その明治天皇を「お手本」として生きた昭和天皇。

 さて、「退位なさいませ」だの国内公務もせずにオランダ行きはけしからぬだの、かまびすしい昨今、皇室ウォッチングも忙しい。本日オランダへ向けてご出発とか。リラックスしてすごせるといいですね。

 私の頭は一年中リラックスです。そりゃこんな私でも、悩みはありますよ。金がないとか、カネがないとか、かねがないとか、、、、。まあ、せいぜい古本屋の100円本でも買って読めば、悩み事大いなるこのご時世でも、ささやかな楽しみを見いだして生きて行けるというもんです。

橘曙覧の歌三首
たのしみは珍しき書(ふみ)人にかり始め一ひらひろげたる時
たのしみはそぞろ読みゆく書の中(うち)に我とひとしき人をみし時
たのしみは銭なくなりてわびをるに人の来たりて銭くれし時

私にもください。

<つづく>


ぽかぽか春庭ブックスタンド>2012年10月~12月の読書

2012-12-31 | 本と雑誌

2012/12/26
ぽかぽか春庭ブックスタンド>2012年10月~12月の読書

 2012年秋冬の読書メモ。
 読んだ本をメモしておこうと思うたびに、3ヶ月前に何を読んだかなどは、すっかり忘れている。毎度ながら、記憶力のなさを痛感します。おととい何を食べたのかも忘れているけれど。

 本のタイトルなど、読んだときにメモしておけばいいのだけれど、週に5ヶ所の大学へ出講する、その大学別にトートバッグを用意し、それぞれに1,2冊の文庫本やら出版社の宣伝雑誌(「図書」とか「波」とか「UP」とか)を突っ込んでおく。電車の行き帰りに読んで、読み終わると本をどこかにつっこんでしまうので、どれが読了したのやらしてないのやら、もとより整理整頓は大の苦手なので、忘れた本は、まあそれくらいの印象しか残さなかったのだろうと思って、とりあえず、目に見える範囲にころがっている本を拾い上げてメモしておきます。

 奥のほうにつっこまれてしまったものなどは、3年後くらいにひょっこり出てくるかも。去年、息子が大学卒業式総代になった記念品の時計をもらって、それを母へプレゼントしてくれたのですが、半年ほどでどこかにしまい忘れてしまい、こりゃ3年は見つからないかと思っていたら、ひょっこり出てきました。時計が見つからなくなったことを息子に隠しているうちに出てきてほっとしました。

 「部屋の中を整理しておかないとベッドまで行き着くための通路がなくなる」という気持ちにならないと、なかなか失せものは出てこない。
 思いがけず、出てくる本もある。
 『日本精神分析』は、雑誌掲載時にコピーをとって読んだだけで、単行本発行時には買わなかった。コピーなどはすぐにどこにしまったか、わからなくなる。ちょっと必要があって図書館で単行本を借りました。1行2行、引用文を確認して、読みさしたままにしておいたら、ぐちゃぐちゃの室内でどこに隠れてしまったのか。図書館から返却せよという催促が来たけれど見つからなくなって、困ってしまいました。

 図書館の規定では、貸借本を紛失した場合、同じ本を買って返すことになっています。アマゾンで注文したのが届き、図書館に持って行こうとした矢先のこと。部屋の中のぐちゃぐちゃの本のうち、娘と息子が夫からもらって読んでいる「モーニング」「ビックコミックオリジナル」という漫画週刊誌が山積みになっているのを、団地1階の不要品集積所に持っていこうと紐で縛ったら、ビッグコミックの下から『日本精神分析』が出てきました。「遅れてすみません」と図書館に返却し、かくて『日本精神分析』は私の手元に一冊残る事になりました。最初から図書館本でなく、買っておけばよかったのです。

 しかし、図書館から借りて読むという習慣を失いたくない、という気持ちもほんとう。図書館文化が根付いている、ということ、江戸の貸本ブーム以来、日本が誇る「読書文化」の源だと思うので、 
@は図書館本 ¥は定価で買った本 ・は、ほとんどBookoffの定価半額本&100円本。
 今回、☆マークはあまり意味がない。読書の趣味はそれぞれ。私は読んで面白かったけれど、趣味の異なる人様にまで勧めたいと思うほどの本がないので、ほとんどが☆みっつ。ほかにも何冊か読んだ気もしますが、タイトル思い出さない本は、読んだ本のうちにいれなうてもいいんじゃないかと思います。

<日本語・日本語言語文化関連>
・中嶋尚竹内清己(編)『概説日本文学文化』2001/05おうふう☆
・宮腰賢『日本語の難問』2011宝島新書☆☆
 
<評論・エッセイ、その他>
・米原万里『ガセネッタシモネッタ』2006文春文庫☆☆☆
・杉本苑子『片方の耳飾り』1983中公文庫☆☆☆
・森茉莉『私の美の世界』1984/2007新潮文庫☆☆☆
・柄谷行人『日本精神分析』2002/2007文藝春秋☆☆☆
・インゴ・F・ヴァルター『ポール・ゴーガン』2001タッシェンジャパン☆☆☆
・柴田トヨ『くじけないで』2010 飛鳥新社☆☆☆☆

<小説・戯曲・ノンフィクション>
・吉田修一『悪人 上下』2010朝日文庫☆☆☆
・李相日・吉田修一『悪人シナリオ版』2010朝日文庫☆☆☆
@大岡昇平『武蔵野夫人』1953/1999新潮文庫☆☆☆
・椎名麟三『永遠なる序章』1970日本文学全集56筑摩書房☆☆☆
・野上弥生子『海神丸』1929/1992岩波文庫☆☆☆
・井伏鱒二『珍品堂主人』1977/81中公文庫☆☆☆
・井上ひさし『頭痛肩こり樋口一葉』1999集英社☆☆☆
・司馬遼太郎『妖怪』2007講談社文庫☆☆☆
・村上春樹『アフターダーク』2004講談社☆☆☆
・西村賢太『落ちぶれて袖に涙の降りかかる』2010新潮11月号☆☆☆

 ほとんどの本に☆三つつけた中、たったひとつ「趣味が何であろうと読んだら好きになる本」すなわち「万人向け」だろうとオススメするのは、柴田トヨさんの『くじけないで』一冊。今さらお勧めしなくても、たいていの人はもうすでに読んでいるんだけれどね。160万部出ているので。

 やさしい言葉で綴られた90歳から始めた詩が並んでいます。 3・11で悲しみにあった人々をもなぐさめ勇気を与える言葉になった、というのもうなずけます。1911年生まれ。2012年は101歳。いつまでも輝く感性で詩を作り続けてほしいです
 
 著者が精魂込めた研究結果を世に問う専門書は、千冊程度しか売れないので、印税を納めないと著者に悪いから一冊5千円ときには1万円する場合でも新刊書を買います。古本屋に出ることは少ないし。
 息子から「2012年の誕生日プレゼント兼クリスマスプレゼント」としておねだりされているのは、吉川弘文館発行、奥野高広『織田信長文書の研究』上下巻+補遺・索引の3巻。修士論文を書くために図書館から借りてやりくりしたけれど、この先、博士論文を書くには手元に置きたいというのです。でも、3巻合計で52,500円なので、まだ買えていません。

 どの本を単行本定価で買うか、どの本を文庫になってから買うか、どの本を古本屋に並ぶまで待つか、それぞれの見極めをしながら、本を読む楽しみは、自分が読んで楽しむだけでなく、他の人の感想ブログを読んだり、ああ、こういう本があったのかと気づかされたりするのも楽しみのひとつ。私の「ネット読書サークル」と、勝手に思っている仲間は少数ですが、私の気づかなかった本のタイトルを教えてもらうことができてうれしく思っています。ナタリーさん、ホークさん、いつもありがとう。

 私の読書リスト、並べてみると系統やら傾向というものがなくて、雑駁な読み散らしですが、もし、あなたのお好みにかないそうな本が一冊でもお目にとまれば幸いです。

<おわり>


ぽかぽか春庭ブックスタンド2012年3月~6月

2012-07-11 | 本と雑誌
2012/07/03
ぽかぽか春庭ブックスタンド>2012年3月~6月のブックスタンド(1)上半期ベストセラー

 7月2日の授業で、文型「~かもしれない」を導入しました。欠席者について「Aさんは、病気かもしれません。病気ではないかも知れません」という文を出席者に提示しました。真実は、どうやら、「病気ではない」というほうらしい。というのも、他のクラスでも欠席者が何人かいて、理由は「サッカーのスペインvsイタリア戦を見ていて、徹夜し、寝るのが明け方になった。結局起きられなくて、欠席」だったようです。

 まあ、留学生活、そんなに勉強勉強ばかりでなく、たまにはサッカー中継に夢中で日本語の授業を忘れる、という日もあっていいかなとは思いますが。
 私は、何かに夢中になってテレビ中継を見ていて徹夜して、翌日起きられなかった、というのは今まであまり経験してこなかった。
 眠いほうが優先で、「明日のスポーツニュースで結果を見ればいいや」と寝てしまう。
 寝床では、「入眠剤」として、「数ページも読まないうちに眠くなる本」を読むことにしています。今の入眠剤は、分厚い『日本の古代 14 ことばと文字』さて、650ページの大部、寝る前に数ページずつ読んで、いつ読み終わることでしょう。なにせ、すぐ寝られるので。


出講先の図書館の壁。ツタが北海道の形になっていて、面白かったので、ぱちり。2012年6月

 2012年度の上半期書籍売上げランキングが発表されたということを、私の「本仲間」ホークさんのブログで知りました。
 売れた本ベストテンのうち、ダイエット&美容本が5冊。買ったことないし、これからもダイエット本のお世話になることはないでしょう。読んでも実行しないから、買ってもムダ。古本屋100円本だとしても買わない。

 みんなが買って読むような本をお勧めするのはおこがましいけれど、そこは本屋さん、「いい本なのに、まだみんなは知らないから」という理由で「本屋大賞」を始めたのだろうと思ったら、少しずつそれも変わっていって、要するに「売れそうな本を選ぶ」という方向になってきたみたい。三浦しをん『舟を編む』は、小説部門の2位。
 2012年の本屋大賞『舟を編む』は、私の好きな「辞書作り」がテーマだから、昨年秋に単行本が出てすぐくらいに、ジュンク堂で半分だけ座り読みしました。それで、「この内容ならすぐに売れて、すぐに文庫化するだろうから、文庫になるまで待つ本」に決めました。まだ文庫になっていないけど。

 新書ベストテンのうち、昨年秋に買った瀧本哲史『武器としての決断思考』、さっくり読んであまりピンとこないうちにベストセラーになってしまったから、もう一度読み直すのは、ずっと後のことになるでしょう。要するに、ディベートによって思考を鍛えるってことを言いたいみたい。筆者が実践している授業でのディベート方法を、広く世に問いたいというのは、わかるけれど、大学での授業方法としてディベートのやり方をさぐってきた者にとっては、「う~ん、これだけかい」という気分が残ってしまう作り方。

 2012年1月&2月の読書メモはこちらに。
 http://blog.goo.ne.jp/hal-niwa/e/ec112708305153096b4228d948dbc1af

 2012年3~6月の読書メモ(再読、再再読を含む)
読んだ順番は、順不同にて。
@は図書館本 ¥は定価で買った本 ・は、ほとんどBookoffの100円本、定価の半額本。
☆☆☆☆☆これを読まずに死ぬのは惜しい!あなたも絶対読むべきだ 
☆☆☆☆いい本です。あなたの趣味がどうあれ、お勧め  
☆☆☆私は読んでよかったけど、あなたの趣味は知らんので。 
☆☆お暇なときのお供にどうぞ 
☆他に読む本ないとき、読んで損はない 
無☆読まなくとも人生、大過なく生きてける

<日本語・日本語言語文化関連>
¥牲川波都季『戦後日本語教育学とナショナリズム』くろしお出版2012☆☆☆
・近藤安月子『日本語学入門』研究社2008☆☆☆
・中山和芳『ミカドの外交儀礼』朝日新聞社2007☆☆☆
@中尾央・三中信宏『文化系統学への招待』勁草書房2012☆☆
@柄谷行人『日本精神分析』文藝春秋2002☆☆☆☆
@柄谷行人『近代文学の終り』インスクリプト2005☆☆☆☆
@菅聡子『時代と女と樋口一葉』NHKライブラリー1999☆☆☆

<評論・エッセイ、その他>
@辺見庸『記憶と沈黙』毎日新聞社2007☆☆☆☆
@磯貝勝太郎『司馬遼太郎の幻想ロマン』☆☆☆
・秋山豊寛『原発難民日記』岩波ブックレット2011☆☆☆
・佐々木忠次『闘うバレエ』文春文庫2009☆☆☆
・山本夏彦『完本文語文』文春文庫2003☆☆☆☆
・米原万里『旅行者の朝食』2004☆☆☆☆
・ナンシー関『何を根拠に』角川文庫2007☆☆☆☆
・ナンシー関『何をかいわんや』角川文庫2006☆☆☆☆
・幸田文『雀の手帖』新潮文庫1997☆☆☆
・開高健『人とその世界』中公文庫1990☆☆☆☆

<小説・戯曲・ノンフィクション>
・林望『小説集 絵の中の物語』集英社文庫2006☆☆☆
・三島由紀夫『サド侯爵夫人』新潮文庫1984☆☆☆
・吉井磨弥『ゴルディータは食べて、寝て、働くだけ』(2011文学界新人賞)☆☆
@市川森一『バースデーカード』1977東芝日曜劇場シナリオ「月刊ドラマ2012年5月号」☆☆
¥三上延『ビブリア古書堂の事件手帖1&2』メディアワークス2011

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2012-07-04 00:00:01 | エッセイ、コラム
ラトゥール「読書」

2012/07/04
ぽかぽか春庭ブックスタンド>2012年3月~6月のブックスタンド(2)栞子さん

 私はベストセラーというのを、売れてる最中に読んだことがない。ベストセラーになる前に知って読むか、はやりが終わって100円本になってから読むってことはあるけれど。
 その、めったにない、売れているのに買ってしまった本が、文庫ベストテンのうち、4位になった三上延『ビブリア古書堂の事件手帖1、2』 (メディアワークス文庫)

 図書館への「新刊書予約受付」にちょっと出遅れてしまった。「予約者がすでに100人もいる」とレファレンス係に聞いて「あら~、そんなにいるんじゃ、借りられるのは、ずっと先になりそうですね」と言いました。そしたら、係員は「文庫本なんだから、早く読みたいなら、自分で買えば?」と、言いました。ムカっときました。確かに、文庫1冊580円、1巻2巻を同時に買っても、千円ちょっとの値段です。区の職員として年収ウン百万円を得ている「安定した公務員」から見れば、千円の本代をケチっているように見えたのは仕方がないことなのでしょう。でも、それって、区の公務員である図書館員が言うべきことば?

 図書館員のなかには、本好きもいますけれど、それはパートタイムの職員のことが多い。区の公務員が図書館に配属される職員は、定期異動でくるくる変わる。レファレンスの椅子に座っていたのは、「こんな図書館の仕事を早く卒業して、区役所の出世コースへ戻りたい」という顔をしたおっさんでした。千円の本を買うのに、今夜のオカズ代との兼ね合いを考えるオバハンは、いじましくみえたことでしょう。
 1巻2巻を買って、新刊をひとりで読むのはもったいないから、娘と息子にも「読め」と強制しました。ははは、やっぱりイジマしいな、私。
                黒田清輝「読書」

 ナンシー関は、没後10年。39歳での死は、なんとしても惜しかった。ほとんどのコラム集は読んできたけれど、没後の編集というのもあるので、ブックオフなどで、目についたら、買う。私は百円本しか買わないけれど、娘は300円のも買ってくるので、私とは違う種類を買ってくる。「読んじゃったから、あげる」と、娘からまわってくる。それで、読んでみると、編集をちょっと違えただけのものも多い。たとえば、『何を根拠に』は、以前読んだ角川文庫の『何様のつもり』で読んだのと重なっている。しかし、2度読んでも面白い。笑える。批評コラムというのは、こういう批評精神を言うのだ、と、笑いながら思う。
浅井忠「読書」
 米原万里も早世した。おもしろさはナンシー関とは異なるけれど、笑いながら読む。幸田文の『雀の手帖』、文庫が出たのは1997年だが、初出は、1959年の新聞連載。皇太子ご成婚(現・天皇と皇后)への祝意などが書き綴られており、それこそ「三丁目の夕陽」時代の東京の雰囲気が濃い。文章のうまさは抜群だけれど、明治の語彙を露伴からたたき込まれた人の文の中に、私の知らない語を見つけるのが楽しい。
マリーローランサン「読書」

 林望は、書誌学専門家をやめてから、源氏物語の新訳を出したり、文学づいていることは知っていたけれど、小説も出していたこと知らなかった。絵画をモチーフにした作品、なかなかよかった。
                     コロー「読書」

 辺見庸の『記憶と沈黙』は、新たに「辺見庸コレクション」と再編集されたもので、ほとんどは前に読んだものだったけれど、68歳の身にいくつもの病気を抱えて、それでも書かずにはいない魂の迫力を感じる。好き!
                        フラゴナール「読書」 
 秋山豊寛『原発難民日記』、被災者の生の声。日本人で最初に宇宙を見た元ジャーナリスト、今、農民の秋山さん。めぐまれた立場にいることは承知で、原発汚染地域から逐われた農民の闘いを伝えています。

 磯貝勝太郎『司馬遼太郎の幻想ロマン』、この新書を読むと、司馬の『ペルシャの幻術師』などを読み返したくなった。書評というのは、そうあるべき。読んでいない人には、ぜひ読まなくちゃ、と思わせ、読んだ人には「もう一度読みたい」と思わせる。
ゴッホ「読書」

 雑誌掲載時には記録せず、単行本文庫本で読んだものだけを記録しておく方針だけれど、吉井磨弥『ゴルディータは食べて、寝て、働くだけ』@市川森一『バースデーカード』は、この先、単行本になるかどうかわからないから、ちょっとメモ。出稿先の講師室においてあったのを、仕事が終わってからちょこっと読んだ。
 柄谷行人『日本精神分析』も、最初に雑誌に掲載されたときコピーをとって読み、なんどか必要があって再読してきたのだけれど、単行本になってから雑誌に載っていなかった部分も含めて読んでいなかったので、今回やっと全体を読むことができた。

 この春休みから夏休み前までの読書、そうたくさんは読む時間がとれなかった。車内読書が唯一の読書タイムなのに、電車爆睡ってのが多かったから。それにしても、電車内で文庫を広げている人がまだまだいます。しかし、向かい側の座席、7人中5人はケータイでメールやネットゲーム。この前は、隣の人、アイパッドで株価をチェックしていました。私は当分、車中では電子ブックではなく、百円文庫を広げることにします。数ページ読むと寝てしまうことが多いけれど。

 夏休み中は、電車に乗らない分、読書時間が減る傾向にあるけれど、ツンドク本が山積みになっている。山高きが故に貴からず。


<おわり>

ぽかぽか春庭ブックスタンドDISCO他

2012-03-09 | 本と雑誌

2012/03/06
ぽかぽか春庭ブックスタンド>読んだ本、読みたい本(1)DISCO

 読んでよかった本の紹介ページです。
~~~~~~~~~
『DISCO』 
本文80ページ  1000円(税抜価格)
ISBN978-4-9906075-0-0
発行:co-LLaps(コラプス)

 「dis-communication/discommunicationを、一般的な英和辞典を調べても出てこないことが多い。「ディスコミュニケーション」は和製英語だからです。日本では、1988年に出版された植島啓司・伊藤俊治の共著『ディスコミュニケーション』によって一般に認知された語であるが、最初にこの語を使ったのは鶴見俊輔(1922-)だとか。(ここらへんの詳しい分析は和製英語の研究者にまかせるとして)一般には「ディスコミュニケーションは、コミュニケーションの不全や不能状態のことをさし、研究者によっては、反コミュニケーション、矛盾コミュニケーション、ゼロ度のコミュニケーションの意味を含ませる、のだそうです。

 真っ白い中にアルファベットで『DISCO VOL1』と印字されたシンプルな表紙。シンプルな全80ページの、小冊子ともいえる体裁の『DISCO』は、そのページ数からみると、ずしりと濃い内容を含んでいます。

 最初に「生きるためのテクスト」と銘打たれた5人の表現者へのインタビュー。山城むつみ、鈴木雅雄、岩本正恵、北小路隆志、磯部涼。そして杉井ギサブローと山村浩二との対談。この冊子を手にして目次を眺めただけで、ワクワクしてくるような人々が並び、これらの人たちにインタビューをし、編集作業を行ったのが、ひとりの若者であったことを知ると、若者ことばでいうところの「スゴッ!!」という感嘆が洩れます。

 編集担当者は、まえがきに言う。
 『世界をまたいで、通じないかもしれない言葉を、お互いにおずおずと差し出し会うこと。ディスコミュニケーションを成立させる場を準備すること。ささやかな足場を考える中で、誰もが関係し、興味がある共通のテーマとして-当たり前かもしれませんが-日常を「生きる」ことが浮かんできました。、、、、』

 2011年11月に発行された、志の大きなこの本を、「”生きる”ためのテクスト」として、ぜひ手にとってほしい。
 書評子が興味深く読んだ若い執筆者のテクストを紹介しましょう。張予思(ちょうよし)の「南京 東京」です。これは、私が日本語教師であり、1994、2007、2009年と3度にわたって中国の大学で日本語教育に従事した経験を持つことからの興味でもありますが、日本語を学んだ若い中国人学徒の声が、真っ白な表紙のシンプルさと響き合うように率直に表明されていることに気持ちよく読めたのです。日中の歴史問題を若者がどのように受け止め、どのようにこの先へ進んでいこうとしているのか、そのを聞くことができ、うれしく思います。

 編集を担当している「co-LLaps(コラプス)」、発行人宮田文久氏は、出版関係の仕事を続けつつ松岡ゼミに所属する院生です。
 まえがきの「生きるためのテクスト」ラストに編集子は言う。
 『夜をこえ、同じステップさえもふめずに、それでもぎくしゃくと共に踊るためのダンスフロア『DISCO』が始動します。』

 書評子は、毎週2回、ジャズダンスのレッスンに通っています。ダイエットの目的はいっこうに果たされていないけれど、心身の健康には役だっていると信じて、毎週ぎくしゃくと踊っています。さび付いた頭で振り付けが覚えられない。
 『DISCO』の始動に合わせて、さび付いた頭を生き生きとさせるために、同じステップは踏めないかも知れませんが、次回の出版『DISCO VOL2』を楽しみに待っています。

(某電子マガジンに掲載される予定の書評を先行UPしました)
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 踊りならなんでも踊りたがる春庭ですが、超若いころに「ゴーゴー喫茶」ってのにいったことはあるのに、ディスコ全盛時はでかけるヒマもなく、ディスコというところに行ったことがないのです。ジャズダンス仲間、ゆみさんの音頭で「ジュリアナ東京にみんなで乗り込んで、おばさんたちも負けてないとこ、見せてやろうじゃないの」ってことになったときも、疑似母子家庭で息子と娘をふたりだけで夜ほっておくことができずに、ディスコクイーンになり損ねました。

 ダンスのほうのディスコはフランス語のdiscothèque(ディスコテーク、または、ディスコテック)で、その元はマルセイユの方言で「レコード置き場」という意味なんだとか。
 和製英語、ディスコミュニケーション(「dis-communication/discommunication)も、人の交流不全、という意味にダブルミーニングとして、レコード置き場、記録倉庫という意味を含ませれば、この「無名人のブログ書き」も、「ディスコ」で踊るひとつの媒体となるにちがいない。

 踊れ!

2012/03/07
ぽかぽか春庭ブックスタンド>HALの読書メモ(2)2011年4月の本棚

 2011年3月11日に崩れた本棚、天の啓示と思ってずいぶん本を捨てたのだけれど、1年たってみれば、捨てた数以上にも買い込んでいた。相変わらず部屋の中に本散乱。
 昔は文庫一冊買うのに1週間悩み、単行本ともなると、1ヶ月も逡巡したのちに買ったものなのに。100円だからいいやと思って気軽に買うようになったのがいかんのだね。

昨年の本棚状況を、bbsコピペ再録します。

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ジュンク堂(2011/4/19)
haruniwa
 池袋のジュンク堂で待ち合わせ。ジュンク堂に30分早めに着いて、久しぶりに本のお買い物。地震の片付けをしたら、ツンドク本がいっぱい出てきて、「これを読み終わるまでは古本屋めぐりは封印」と思ったのですが、K子さんが待ち合わせ場所をジュンク堂に指定してきたのですから、これは「大嫌いな片付け事をがんばった自分にごほうび」しなさい、という天の声だと思って、少々購入。
2011-04-19 07:40:19 返信フォームへ 掲示板へ戻る

Re:ジュンク堂
haruniwa
 池袋のジュンク堂読みたかった本のうち、単行本は図書館にリクエストすることにして、文庫と新書のみ買いました。

・井上ひさし『日本語教室』新潮新書 \714 日本語教員養成コースの「現代日本語概論」という授業で参照本として学生に推薦するため。

・色川武大『色川武大・阿佐田哲也エッセイズ2芸能』ちくま文庫 \819 色川武大『なつかしい芸人たち』がとてもよかったので、内容はかぶっているだろうと思ったけれど、買いました。ダダかぶりかと思ったのだけれど、ひとつでも新しいのがあればいいと思って。帰ってから目次を比べたら、かぶりは半分くらいでした。

・ロランバルト『映画論集』ちくま学芸文庫 \924 品薄稀少本コーナーに並べられていたのでつい。絶版になったところで、この手の本はオンデマンドもきくだろうし、焦って買うこともなかったのに。新たなツンドク本になる予感。

・五味文彦『絵巻で読む中世』ちくま学芸文庫 \998 これも品薄希少本コーナーにあったのだけれど、調べてみたら1994年発行ちくま新書のリメイク。これが絶版になったとしても、またリメイクされたであろうから、そう稀少というわけでもなかった。読み終わったら、息子にあげることにしたが、「いらない」と言う。

・網野善彦『日本中世都市の世界』ちくま学芸文庫 \1575 これも息子に渡す用。
2011-04-19 07:40:31 ページのトップへ

本捨て
haruniwa
 本を捨てられない性分。ちょっとでも活字がある紙は、ながめてからでないと、広告チラシひとつ捨てられないし、ましてや本はなかなか捨てられない。

 でも、新しい本を買ったら、置く場所確保のために古本を処分する「震災後ルール」

 去年の漏水事故でも段ボール箱10箱分はすてた。濡れなかった古本も捨てたが、やはり捨ててしまったあと、「しまった、あれは捨てなきゃよかった」というのが出てきた。
 それで、今回は、自分がこのあと引用も参照もしないであろう本、読み返すことはない本は捨てる、というルール。
 そうなると、読み返すことがなく、参照することもない本というのは、ほとんどが夫の本であって、夫の本はほとんど捨てた。
 夫が集めていた森村誠一は捨ててよいと言われたので、団地の「新聞古本」置き場へ。三好徹のうち、私が読むかも知れないと思ったのは『チェ・ゲバラ伝』一冊のみで、あとは団地の本置き場へ。

 むのたけじ『詞集たいまつ』など、夫がとっておきたいかもしれないのは、カートに放り込んで、事務所へ運び、自分でとっておくかどうか判断してくれと言う。

 マンガは、古本屋でで売るにはきれいにしてあることが条件なので、地下鉄駒込駅の「文庫だな」へ運ぶ。マンガは一日で、文庫本も2日たつと、誰かしらがもらっていく。

 今回、本の整理をして、去年やみくもに突っ込んだ本を整理し直した。本というのは、背表紙が見えていないと、あることを忘れてしまう。同じ文庫が2冊、同じ新書が3冊というのがいっぱいあった。つっこんで買ったことを忘れる。それでも読みたいという意識があるので、ブックオフでまた買ってしまう。
だから、できる限り背表紙が見える並べ方にしたのだけれど、全部は並ばない。新書は玄関の押し入れ棚につっこんだので、また3冊同じのを買うのが出るかも知れない。
2011-04-19 19:13:29 ページのトップへ

2012/03/08
ぽかぽか春庭ブックスタンド>読んだ本、読みたい本(2)リッパな読書-あと千回の晩飯再読

 今週月曜日、3月5日は啓蟄でした。
 冬至から60日ほどたったころ、雪が雨に変わります。これを暦の二十四節気では「雨水」と呼びます。雨水から17日ほどで、啓蟄。虫たちが土穴から出てくる。
 雨水のころ、川の氷が溶けて水になると獺(カワウソ)は魚を捕まえます。そして捕らえた魚を川岸に並べる習性があります。そのため、古代中国で、雨水の節気の初候には、「獺祭魚(たつ うおを まつる)」という行事が行われたそうです。

 礼記「月令孟春」の条に「東風凍を解き、蟄虫は始めて振く。魚冰に上り、獺魚を祭り、鴻雁来る」と書かれていることを出典として、カワウソが獲った獲物を並べておくにぎやかなさまを「獺祭だっさい」 と呼び、書物を多く紐解き、座右に並べて詩文を作ること、また好書家、考証癖、書癖などを言う言葉にもなりました。

 転じて、書物を整理できず、カワウソが捕った魚を周りに並べておくように散らかしておくようすを「獺祭のようだ」と形容しました。正岡子規は、書物を部屋のそこらじゅうに片っぱしから並べておき、「片付けられない男」でしたので、自ら号を「獺祭屋主人」とし、根岸の子規宅を訪れる友人達は、その盛大な散らかりぶりを見て「獺祭屋主人」の号に納得したといいます。

 こういう立派な先例があると、春庭が本を片付けられず、部屋中に散乱しているようすも、なにやら獺祭屋主人末裔のようで、あながち責めを負うに如かずという気分になってきます。困るのは、図書館で借りてきた本が山の中に埋没し、貸出期限がきても返却できないこと。このごろ、できるだけ図書館では借りずに古本屋百均本を探すようにしているのは、返却できなくなると困るからです。

 図書館借りて読んだ本もツンドク本も、本の山の中に埋没してしまえば、買ったか買わなかったか忘れてしまい、同じ本をブックオフ飯田橋店と白金店と池袋店でそれぞれで買い込んでしまう始末。

 しかるに、一度読んだ本もすぐ忘れるぽかぽか頭の春庭だからして、3回読んでも毎度新鮮に楽しめるので損はない。
 たとえば、山田風太郎の『あと千回の晩飯』。新聞連載時に楽しみに読んでいたのだけれど、1995年の連載から17年もたっていれば、ほとんど忘れていたゆえに、もう一度たっぷり楽しんだ。
 


 「生きすぎて」と題された中に武者小路実篤89歳のときの随筆が引用されている。17年前も大笑いしたはずの文章、電車の中で、人目をはばかりつつ笑った。

 「--(実篤翁89歳の文章)人間にはいろいろな人がいる。その内には実にいい人がいる。立派に生きたひと、立派に生きられない人もいた。しかし人間には立派に生きた人もいるが、なかなか生きられない人もいた。人間は皆、立派に生きられるだけ生きたいものと思う。この世には立派に生きた人、立派に生きられなかった人がいる。皆立派に生きてもらいたい。皆立派に生きて、この世に立派に生きられる人は、立派に生きられるだけ生きてもらいたく思う。皆人間らしく立派に生きてもらいたい。--(風太郎翁72歳の感想)1回転ごとに針がもとにもどるレコードのようなもので、果てしがない。こういう状態で、武者小路実篤は九十歳で死んだ。」

 小説の神様が志賀直哉なら、ムシャ翁だって文章の天神様くらいの扱いはされていただろうから、こういう文章を渡されても編集者は「推敲せよ」の一言もなく「玉稿」押し頂き、ありがたがって紙面を飾ったのだろうと思うと、おかしくておかしくて。
 はい、私もリッパに生きられるだけ生きてみようと思います。そして90婆になれたなら、同じことを繰り返しくり返し呟きながら、日がな昔ばなしでもしようと思う。「あたしゃねぇ、リッパに生きたいと思って、がんばって立派な本も読んで、リッパに論文も書いたのよぅ。それでリッパに生きられるだけ生きたいから、立派な本も読んで、、、、、、」
 まあ、ぐうたら生きるのもキッパリ逝くのも芸のうち。

 2012年1月2月に読んだ本のタイトルだけメモしておきます。
 読んだ順番は、順不同にて。
@は図書館本 ¥は定価で買った本 ・は、ほとんどBookoffの100円本、定価の半額本。
☆☆☆☆☆これを読まずに死ぬのは惜しい!あなたも絶対読むべきだ 
☆☆☆☆いい本です。あなたの趣味がどうあれ、お勧め  
☆☆☆私は読んでよかったけど、あなたの趣味は知らんので。 
☆☆お暇なときのお供にどうぞ 
☆他に読む本ないとき、読んで損はない 
無☆読まなくとも人生、大過なく生きてける

日本語、日本文化関連
@佐藤智子『アート・イン・ディテール』ゆまに書房 ☆☆☆☆
@星野勉編『外から見た日本文化』法政大学出版局 ☆☆☆
@馬淵章子『ジャポニスム』ビリュッケ ☆☆☆
・中村重樹『日本の伝統文様』エムディエヌコーポレーション ☆☆

小説
・杉本章子『東京新大橋雨中図』文春文庫 ☆☆☆☆
・上橋菜穂子『精霊の守り人』新潮文庫 ☆☆☆
・村上春樹『東京奇譚集』☆☆☆

エッセイその他
・山田風太郎『あと千回の晩飯』☆☆☆☆
・幸田文『季節のかたみ』新潮文庫☆☆☆
・米原万里『魔女の1ダース』新潮文庫☆☆☆
・ドナルドキーン『日本語の美』中公文庫☆☆☆
・小林紀晴『アジアの少年』幻冬舎文庫☆☆☆
・村上春樹『雨天炎天』新潮文庫☆☆☆☆
・村上春樹『辺境・近境』新潮文庫☆☆☆☆
・松村映三・村上春樹『辺境近況写真篇』新潮文庫☆☆☆

<1月2月読書メモおわり>