はる風かわら版

たかぎはるみつ の ぼやき・意見・主張・勝手コメント・コラム、投稿、原稿などの綴り箱です。・・・

春もみじ

2006-06-08 11:04:51 | コラム記事
「春の森がこんなにも色づいていることをこの歳になるまで知りませんでした」
 木漏れ日のさす露天風呂で心地よく身をひたしていると、隣の男性がひとり言のような口調で話しかけてきました。一緒に学校近くの春の野山をのんびりと散策した後のことでした。

 北海道の落葉広葉樹の森は、このころ、遠くから見ると、淡い黄色や桃色、だいだい色や黄緑色など明るく柔らかなパステルカラーで彩られます。その様子はあたかも紅(黄)葉しているようです。これらは、花や葉の芽吹きの色なのです。
 「そんなものを見たことがない」と意外に思う方もいるでしょう。誰にでも見ることができるのですが、実はちょっとしたコツが必要なのです。物が見えるのは、頭で認識をする(わかる)からです。つまり見ようとしないと見えないのです。

 試しにいろいろな形の木があり、夏になると緑でこん盛りとしている山を遠くから、「どんな色があるかな」と好奇心を持って、焦点を絞るように目を凝らしてみてください。双眼鏡などは要りません。 目の不自由な方も、ぜひじっくりと全身で春の山に向かい合ってください。萌黄(もえぎ)色を感じることができるでしょう。

 ちなみに、色合いをにぎわす樹木は、ハウチワカエデ、イタヤカエデ、ヤマザクラ、ミズナラなどなど。どれがどの色かは、ぜひ森の中で確認しましょう。

(北海道新聞 5月14日掲載)