◆自己紹介 NPO法人ねおす の活動理念
北海道の森や山、海や川、山麓の町や村に触れ、
自然豊かな地域に暮らす人たちに出会う、自然への旅と交流づくりを通して、
自然と社会との心地よい関係(人・地域)づくりに貢献し、
人々の心の糧になるような 北海道らしい自然体験文化を育ててゆきます。
ねおすの意味 北海道自然体験学校NEOS
• N 自然 Nature
• E 体験 Experience
• O 野外 Outdoor
• S 学校 School
Education(教育)、Enviroment(環境)、Ecology(生態学)、 Neo (新しい)
子どもの自然体験活動、エコツアー、国立公園や農山漁村地域での様々な地域活動
医療介護と自然体験活動、関わる人材育成(自然ガイド、地域コーディネイター)など
◆自分で自分を育ててオトナにする「学び方を学ぶ場」が大学。
◆東日本大震災から3年目. 被災地に独自のボランティアセンターを維持し、子どものケア、漁業支援、起業支援、交流・ツアー事業の継続支援をしています。この2年間の経験と激動する今の社会の中にあって、活動方針の原点に帰ろうとしています。
◆いつの時代でも大激動の時代があった。 その時期に世界は入っている。 これまでとは違う世の中に変わってくる時代に今、君達は生きている。 何が違うのか・・・3つばかりあげます。
①人口が減じる。
それも先進国と言われる文化生活が進んだ国において、これから30年位の間に人口が3~4000万人も減る。太平洋戦争後からずっと統計数字が右肩あがりの状態から減少に転じた時代を生きる。 今、1億3000万いる人口が、君たちが私と同じような年齢になると、9000万人から8000万人になる。 どう考えたって、今の日本の社会とは異なる社会システムが必要だ。
②資本主義が行く着くところまで行くだろう。いわゆるグローバル社会だ。
みなさんが生まれた頃に、昭和の好景気が一気に落ち込む「バブルの崩壊」という時代があった。それから、今話題になっているデフレ経済に陥り、日本の経済力が落ちてきたと言われている。それを打開すべき、政府・日銀が市場資金を2倍にするという大政策を打ち出し起死回生しようと試みている・・・本当にできるのか・・。
人口が減っていくのに、GDPは経済成長させてゆく・・・私にはその算数がどうしても理解できないなあ。
③原発事故の影響
福島第一原発は今も壊れたままである。放射能を周辺に放出し続けている。電源も今だに喪失事故を連続的に起こしている。世界は日本をどのように見ているのか? 農業生産品の輸出を増やすことは本当にできるのか・ なぜ、国は国の調査団を送り込まないのだ???この事態への危機意識があまりにも政府・電力会社に希薄だと言わざるをえない。
◆社会は本当に変わってゆくのか? 変わると私は信じている。
というよりも、この大きな社会課題さえしっかりと押さえておけば、一部でありとも解決の方向性はある。グローバリズムに対するローカリズムが社会のセイフティネットの役割を果たしてゆくと考えています。
◆そういう時代背景の中、大学を出ても就職が大変になってきた。
だから、どこの大学でも「キャリア教育」が盛んになっているようですね。ここ札幌学院大学でも力を入れていると聞いています。やっと受験が終わったばかりなのに、入学と同時に「自分の将来の職業、就職について考えなければならない。」 大変だね。 私がオリエンテーションで話をする依頼を受け、事務局と打ち合わせているうちに、「キャリア教育」との言葉のやりとりはありませんでしたが、どうも、このキャリア教育の一環であるらしいと感じました。
にも関わらず・・、企業の経営者でもない、人材育成の専門家でもない、NPOの経営者である、私を講師として呼んでくれた札幌学院大学は、かなり思い切った選抜をしてくれたなと、自分でも驚いていますし、札幌学院大学が、社会へ諸君を輩出する気概を感じました。
さて、ここで問題・・。今言った、「はいしゅつ」と「きがい」を漢字で書ける? ごめんね、こんなことを大学生に聞いて・・。 最近、学生さんの基礎学力が落ちていることにがっくりくることがあるんだな。 理科系の学生にカヌーが浮かぶ理由を説明しなさいと聞いたら「浮力」とは答えるが、浮力はどうして生じるのかを説明できない人がいた・・。
「わからない」と感じたことは、わからないままにしない、わかったつもりにしない。
これが、まず、オトナになる学び方を学ぶ第一歩だ。
さて、私たちの時代には、とは言ってもかなり昔ですが、「キャリア教育」なんてなかった・・・。
辞書を引いて見ると・・・、
「個々人が生涯にわたって遂行する様々な立場や役割の連鎖及びその過程における自己と働くこととの関係付けや価値付けの累積」 キャリア教育の推進に関する総合的調査研究協力者会議報告書-児童生徒一人一人の勤労観、職業観を育てるために-(平成16年1月)
「望ましい職業観・勤労観及び職業に関する知識や技能を身に付けさせるとともに,自己の個性を理解し,主体的に進路を選択する能力・態度を育てる教育」 中央教育審議会答申 初等中等教育と高等教育との接続の改善について (平成11年12月)
難しいなあ・・・なんだかおせっかいだよなあ・・・。
でもね、もう少しわかりやすく言うと、こういうことだと思うのです。
「子どものときは、家の手伝いをしなさいとか、下級生の面倒を見なさいと言われます。特に小中学校では、日直、給食係り、飼育当番など様々な役割があり学級という小さな社会での役割が与えられます。さらには、就職したり、結婚することによってまた新たな役割が生じます。私のように田舎にいると、地域社会とつながる中で、様々な役割を果たしていかなければなりません。すなわち、人は生まれてから死ぬまで様々な立場でいろいろな役割を果たしながら生活していく。」ということなんだよね・・と学ぶことがことだと思います。
だから、キャリア教育は 就職テクニックを学ぶことではない。
今から、自分が進むべき職種を限定してしまうこともない。
それを模索する、社会を少しずつ知ってオトナになる準備をするのが 大学なのですから。
では、私達の時代はキャリア教育なんて言葉は聞いたことがなかった。なのに何故、今こんなにもキャリア・キャリアというのか・・、考えてみたのですが・・、
私達の時代というよりは、ちょっと前までなのですが、あまりにも世の中がConvenienceになっちゃったんですよね。 皆さんが生まれた頃からではないかな。私が今のシゴトを始めたのは20年前ですが、パソコンは一人一台もなかった。まだワープロでした。携帯電話なんて金持ちが大きなサイズを持っているだけだった。 コンビニは人口2000人の田舎にもある。チェーン店の居酒屋なんてこんなにもなかった・・・。 ですから、アルバイト先は多種多様であったなあ。
それに気づける者が時代のイニシアティブ(率先して物事の主導権をとること)を握ることができる。
それを練習するのが大学時代だ。
◆まずは一番大切なことは何か? 「物事に関心を持つこと」です。
人間が持って生まれた、他の動物よりかなり秀でた能力は何だと思いますか?
それは、「好奇心」です。 他の動物に比べても特異的に好奇心が高い。この好奇心の有効利用こそが 非力であった我々のご先祖様の霊長類が自らを生きながえるためにとった生存戦略だ。
そのために人類は大脳の前頭葉を発達させてきました。前頭葉は物事を組み合わせて考えたり、理性的、論理的に考えることを司っています。この部分が活躍するようにするためには、特に幼児期が大切であることが大脳生理学によりわかっています。好奇心のままに動き回る乳児から幼児期に脳細胞のネットワーク・回路が複雑にできあがってきます。いわゆる物事を判断できるようになり、言葉も無意識のうちに論理的に組み合わせて使いこなせるようになります。 物事に関心を持てる能力は、幼稚園、小学校で身につけさせる最大の教育目標です。
しかし、能力だから生まれながらの特性もある、好奇心が強い人もいれば、そうでもない人もいる。あるいは、幼児期や小学生時代に大脳の前頭葉の刺激が足りなかった人もいる・・・
では、もう遅いのか・・・? そんなことはない、一般生活に必要なことは、幼稚園の砂場で遊んでいれば覚えることはできるが、学び方を学ぶことができれば、人間は成長し続けることができる。
だから、大学にきたんでしょ?
自分を自分で育てるための学び場として自分で大学を利用できないと、それは、やはり人生にとって大損だな。
ならばどうするか・・・、
◆自らを自らに刺激のある環境に置くことが大切だ!
・「安全の領域・Czone―Comfortable Zone」から出てみること。そのことによって自分の活動できる領域が広がる。
この大学に来たこともCzoneを広げる大チャンスだ。 だから、いつまでも高校時代からの友達だけと付き合っていてはだめだ。 新しい仲間をつくらなければいけない。
「自らを自らに刺激のある環境に置く」とはどういうことか、具体的に3つあげよう。
① 自分と同年代以外の人と話をする
ソーシャルコミュニケーション力の基礎力をつける。
社会的渉外力(この漢字と意味も大丈夫かい)。人との交渉事は自分の思うようにゆかない。説得するだけでは人は本気で動かない、どんなにディベート・討論が上手でも普段の人間関係もうまくなるわけではない。相手の立場、意見も尊重しながら共感できる考え方、シゴトの進め方を一致させていくことは、とても難しい。それができるようになるためには、ソーシャルコミュニケーション能力を高めなければならない。 これは、試験勉強のようには行かない。とってつけた面接試験対策でも身につかない。 失敗を重ねながら、時には叱られながら、相手との距離感を測り、共感を呼ぶためコミュニケーション力は、長い訓練をしなければ身につかない。もちろん、技術として獲得できるるやり方もあるが、それを使いこなすためには、自分の元々の個性も活かしながら、人それぞれがそれぞれの方法で体得するしかない。
② 様々な職業人に出会う
会って話を聞くだけではわからない、その人と行動を共にする。
もし、自分がなりたい職業像がすでにあるのであれば、その職業についている人に数多くであう。 話だけを聞いて自分に「合う、合わない」を勝手に決めないことだ。
③ 旅に出る。 身体で確かめる
情報映像社会になって、それこそ地球の果てまでレポーターや芸能有名人が訪れて、あたかも自分が行ったような錯覚に陥る疑似体験ができる時代になった。いった気になってしまう。 しかし、実際に行って見る実体験には、匂い、音、肌に触れる感覚がある。
津波被災地の映像はたくさん見たと思うが、現地へ行き、その風景の中にいると映像では感じられなかったことが身体に襲ってくる。 そこで感じたことは、実感をもって伝えらるようになる。
****
私は、あの震災の後、北海道に居た民間人としては、おそらく一番最初に現場に入りました。なぜかというと、列車もフェリーも欠航し、被災地の空港も閉鎖されていた。だからあの時、北海道は本当の孤立した島国になっていた。その再開第一便のフェリーに函館から乗ったのだが、そのほとんどは港で足止めをくらっていた長距離トラックであり、一般乗用車は、最後の最後となり、待っていたうちの3台しか乗れなかった。その一台が私たちのワゴンだった。翌日の現地入りも、余震が続く中、土砂崩れの危険もあった。現地は津波が到達していた場所とそうでないところが、一線となり天国と地獄だった・・・。 今はがれきは多方かたづいているが、先週始めて現地へいったボランティアでさえ、その光景に絶句する。 私達が支援に向かった先は、現在封切りされている映画「遺体」のモデルとなっている遺体安置所があった釜石市鵜住居です。私たちはその横を毎日通っていました・・・・。
もう何年も遠い歴史のかなたのように風化しつつありますが、現地ではまだ仮設生活、職業がない人たちが大勢います。復興は停滞しています。我々の支援地での漁港再興第一次計画からは外れていますが、釜石、大槌で3万人以上の人々が懸命に生きようとしています。 現地に行っているから、それが実感できた。
****
ジャングルの奥地や被災地支援に行かなくてもいい、観光旅行であってもいいと思うよ。だだし、若いのだから観光旅行であってもパッケージ旅行ではなく、自分で情報を集めて、自分の力で旅をしてみる。自分で確かめることが大切だ。自分の言葉で実感を持って、しゃべれるようになります。
◆最後にひとつ・・・私が被災地支援において、自らキャリア教育されて気づいたことなのですが・・・、
役割は待っていてもこない。
役割は探し出すものだ。
その時、自らの能力を把握し、ない能力は他者と協力しつつ働く方法(協働)考えること。人と人をネットワークすること・・・ワーキングネット 徐々につくりあげてゆく。
◆ ソーシャルコミュニケーション能力を高める「そだちば」というインターシップ受け入れを仕組み化しようと動いています。
どんなことでもいい、こんな職業体験、地域活動がしてみたいことがあれば、相談に来てください。 何か今なくてもいい、「何かしたい」でもいい・・、相談に乗ります。