アールグレイ日和

春畑 茜(短歌人+里俳句会)のつれづれ。
降っても晴れても、そこにサッカーはある。

街路樹

2006年12月04日 21時36分18秒 | つれづれ
今日はときどき時雨の降る寒い一日だった。

地下鉄の駅から地上に出て歩き始めると、
寒風のさきに立つ街路樹の枝ぶりが妙に寒いことに気づく。
その数十メートル先に
今まさに街路樹剪定作業中の車と作業員の方々がおられた。

交通量の多い道路につづく唐楓(トウカエデ)の並木は
葉が色づくゆとりもないままに
そのゆたかな枝葉を
つぎつぎに失っていった。

歩道にはその唐楓の3浅烈の葉がまだ緑のまま
ところどころに散らばっていて、
日没間近のその道を帰りながら
なにか泣きたいような気持ちになってしまった。


抗がん剤によって髪などをすべて失ってしまった母の現在も
そして、
病むまではとても美しかった母であったことも
わたしには
この街路樹の運命とどこか重なるように思われたのだった。





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(けふの即詠/十二月四日)

・日の暮れに立つ街路樹よ枝も葉も伐らるるままに失ひゆけり  (春畑 茜)






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(画像は「写真KAN公式サイト」さんよりお借りしました)