源氏物語と共に

源氏物語関連

秋の花

2007-07-07 09:08:49 | 
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我が家に雑草のハルジオンかヒメジオン?が咲いてきた。

咲くと白い菊のような小花が可愛いので、少しだけ残しています。

これが紫苑に似た花?と思っていたけれど、
紫苑は紫系の色です。
源氏物語にも良く登場する花で、キク科、多年草で秋の花。
吉岡幸雄氏は、古くは中国の<神農本草経>にも記された薬草で、
遅くとも平安時代のはじめまでには渡来して、
貴族の庭園の池のまわりに好んで植えられたようであると述べられている。

神農本草経中品
http://www.yakuzenjoho.net/data/sinnou/2chu.html

野分
『紫苑、撫子、濃き薄きあこめどもに、女郎花のかざみなどやうの
 時にあひたるさまにて・・・』

紫苑色は紫苑重ねもあるようです。
紫と青(緑)あるいは、紫と蘇芳。

我が家は萩の花も咲いています。残念ながら有名な宮城野萩ではありません。
紫と白の江戸絞りという種類。

萩は秋の七草。
今は夏なので変な感じですが、旧暦だとすでに秋に近い?
萩の重ねは吉岡幸雄氏は表蘇芳裏萌黄で薄い赤系の色になっていました。
長崎盛兼氏は紫と白。あるいは紫と二藍で紫系の色
重ねも諸説があるのでしょう。

吉岡幸雄氏いわく、萩は万葉集の昔から親しまれた花。枕草子にも事例がある。

『わが衣摺れるにはあらず高松の野辺行きましかば萩の摺れるそ 』(万葉集巻十)

『朽葉の唐衣・淡色の裳に、紫苑・萩などをかしうて・・』  (枕草子)

京都の梨木神社の萩は有名。咲きかけた時に一度行きましたが、
見事!という時期には行っていません。

ちなみに紫式部がいたという慮山寺(ろさんじ)もすぐ近くで桔梗が有名です。

秋の七草の女郎花(オミナエシ)という黄色い花。
以前は植えていましたが、枯れました。
この漢字名に最初はびっくりするけれど、
オトコエシという花に対してつけられたそうです。
香りがあまり好きではありませんでした。
仏花に入っていて日がたつと臭くなるせいでしょうか(笑)

秋の草木は、国宝源氏物語絵巻にもよく描かれています
萩やススキ、女郎花、紫苑、藤袴(フジバカマ)が風になびく様子はなかなか風情があります。

特に<よみがえる源氏物語絵巻>では、
(東屋二)の肉眼では見えなかった紫苑が再現されました。
少し赤色の花。
薫が浮舟のいる三条の隠れ家に行って待つ場面。
また(御法)の秋草も薄、萩、桔梗、女郎花、藤袴が再現されています。
風になびく秋草の様子が紫上の終焉を感じさせて秀逸。

藤袴も去年手に入れましたので、今年の秋を楽しみにしたいと思います。
鉢なので枯れるかもしれません。

藤袴はかなり薄い紫で赤色がかかった地味な花ですが、
香りがするという事です。
そこはかとなく桜餅の香りがするとか。
先ほどの<神農本草経>にも載っています。<上品>71番蘭草。
吉岡幸雄氏いわく、中国では蘭と呼ばれていた。乾燥した茎や葉が蘭と同じ芳香を放つかららしい。

山上億良
『萩の花尾花葛花なでしこの花女郎花また藤袴朝顔の花』  (万葉集)
秋の七草にあげられている。

こうして見ると、この時代の植物はみな漢方の薬草として渡来しているのですね。

藤袴の花自体は地味な感じがするので、当時は何故もてはやされたかはわかりませんが、
源氏物語にはよく出てきます。

<よみがえる源氏物語絵巻>で<宿木三>の薄、萩、藤袴(赤い色)が再現されました。
匂宮の琵琶を宇治の中の君が身重でじっと聞く場面です。

紫苑 (植物園へようこそ)
http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/BotanicalGarden/HTMLs/sion.html

藤袴 女郎花 (同上索引参照)
http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/BotanicalGarden/BotanicalGarden-F.html

写真は紫苑色(吉岡幸雄)、紫苑重ね(長崎盛兼)
よみがえる源氏物語絵巻より東屋二、御法、宿木の部分


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