先月ショックなことがあり、いろいろ思いを巡らせてきました。今日はそれを吐き出してしまうことにします。
私は今週3年ぶりに里帰り(実家には寄りませんが)します。一番の目的は母に会うこと。
私の兄弟は兄ひとりですが、その兄は実家の庭の仕事場でモノづくりの仕事をしています。兄の自宅は車で片道30~40分ほどの町にあり、そこから仕事に通ってきます。認知症を発症するまでの約20年間、母は兄の昼食・夕食の支度、後片付け、洗濯(汚れた作業服を脱ぎ捨てていくため)、多忙期に雇うバイトさんのお茶出し、忙しい時に泊まっていく兄の布団の上げ下ろしなどを手伝っていました。父は20年前に66歳で亡くなりましたが、亡くなる7年前に脳溢血で半身に部分的麻痺が残り、仕事ができなくなりました。そこでそれまで父が使っていた仕事場を兄に使わせてあげることにしたわけです。
そんな母も認知症が進み、介護ヘルパーさんの助けを借りても兄だけで介護するのは限界に達したため、昨年特養に入所しました。母が電話に出なくなってしまったため、私が最後に母と電話で話したのはもう何年か前のこと。母の入所は、東北に住む叔母(母の妹)に電話したとき教えてもらいました。
兄と私は、水と油。同じ親に育てられてもこれほどまでに違えるものかと自分で驚くくらい、好みが違います。性格も、残念ながら、合いません。一歳半年上の兄は、一浪して入った大学3年生のときに一人暮らしするため実家を出ました。自宅から通える距離だったにもかかわらず。
長子で一人息子で兄だからなのか、思春期以降の兄は常に私を見下しているように感じていました。でもそれは長男だし一人息子だし兄なんだから普通なんだろうと思っていました。イギリスに来てからも、私が電話するのはもっぱら母。その母が認知症で電話に出なくなってから、必要な連絡を兄とメールするようになりました。でも多忙な兄なのでめったにメールは来ませんでしたし、私も兄を煩わせたくないのでよほどの用件がない限り連絡することはありませんでした。
以前は母に頼まれて、年末になると日本の食材の小包を、運転できない母の代わりに兄が発送してくれていました。『もう結構です』とメールしたのにもかかわらず、その習慣は母が認知症になってからも兄だけで続けてくれて、それには感謝しています。なので先月(船便だったので2ヶ月かかって先月到着した)無事届いたことを知らせるメールを送りました。すると兄から『(母の入所している)特養がインフルエンザ感染防止のため、ひょっとしたら3月末まで面会禁止になった』とのメールが返ってきました。兄のスマホにテキストが入ったそうです。2月7日のことでした。
3年ぶりなのに、母に会えないかも!?想定外のことに、パニックした私。私も高齢者専門の精神病棟で働いているので、病棟閉鎖は経験しています。でも遠路はるばる来た家族は、『患者さんの個室のみで面会』という条件つきで面会させてもらえます。だから日本の特養だって、多少は融通をつけてくれるものだと思っていたのですが。あれはイギリスだからだったのかな!?個人主義のイギリスと違い日本は集団主義だから、『ダメなものは絶対ダメ』なのかな!?・・・ 無い知恵絞って悩みました。
一度は予定を延期することも考えたんです。でもそうすると変更手数料はかかるし、4月のフライトは3月よりずっと高くなるし、だいいち予定を遅らせて4月あるいは5月に行ったところで、突然ノロウィルスが発症して面会禁止!なんてことだって絶対ないとは限らない・・・。オットーに相談したところ、「問い合わせてみたら?」と。私もそうすることを考えていたので、ダメもとで問い合わせてみました。特養のウェブサイトの問い合わせフォームを使って。もちろん『モンスター被介護者家族』にならないよう気をつけて、丁寧な内容にしました。イギリス在住で3年ぶりの里帰りを予定しています、自分も高齢者専用病棟で働いているので事情は理解しております、でも3年ぶりなので手洗いとうがいをしてマスク着用の上で、たとえ10分でもいいから母に会わせていただくことはできませんでしょうか、ご一考いただければ幸いです・・・というような内容で。(特養のフォームを使ったので原文は残りませんでした。)
本当にダメもとだったんです。『申し訳ありませんが面会はお断りさせていただきます』との返事が来ればあきらめるつもりでした。(まぁあきらめるしかないわけですが。)感染に弱い高齢者が集団生活している施設ですから、症状は出ていなくても私がキャリアーとしてウィルスを持ち込んでしまい、その結果入居者さんたちが発症してしまうかもしれない。でも「面会禁止です」と言われて「はいそうですか」とすんなり引き下がる気にもなれなかったので、悪あがきのダメもとでした。そして兄にも「小包に入れたDVDは大丈夫だったか」とメールで訊かれたので、返信したわけです。
ところが、兄から怒りに満ちたメールが届きました。以下原文のまま(=受信メールのスクリーンショット)です。
兄の言う「毎度のことだけれども」は、2013年2月の介護里帰りのことを指しているものと思われます。2010年を最後に、兄は私の里帰りを断っていました。「介護ヘルパーさんの助けを借りてやっているから大丈夫、こっちのことは心配いらない」と。私には(どうせ短期間しか行けない)という負い目があり、(せっかく出来ている生活のリズムを崩されるとかえって迷惑なのかな?)などとも考えてしまい、強くはお願いできませんでした。しつこくお願いして兄を怒らせても困るし。なので2012年12月に「どうしても来たいなら」と兄から許可がもらえたとき、(兄の気が変わらないうちに)とすぐに1月のフライトを予約してしまったんです。予約後兄に里帰りの予定期間をメールしたところ、怒りのメールが来ました。「1月はもう末まで介護ヘルパーさんの予約をしてあるんだから来るのは2月以降にしろ」と。
イギリスでは訪問介護ヘルパーさんの需要は供給がとても追いつけないほどあるので、予約のキャンセルは問題ないと思っていました。でもそのときは私が間違っていたと思ったので、予約変更をして(150ポンドの変更手数料は痛かったですが)2月に里帰りしました。
そんなことがあったので、その後は母の介護に短期里帰りすることはあきらめました。自分の母親なのに、兄の許可がないと行けない。行くと必ず、苦手な兄にも会わなければならない。なので母が特養に入所したと聞いて、じつは嬉しく思ったんです。これで母に自由に会いに行ける!って。それで兄にもそれまでの母の介護の感謝の言葉とともに「叔母さんからお母さんの特養入所を聞いた」こと、「3月にホテル泊で10日ほど里帰りする」ことを伝えてあったんですが・・・。
今回の怒りのメールに対する私の感想は: ショックと怒りが大半でした。「ここまで言うか!」って。「なぜそこまで居丈高になれる?」って。ダメもとで問い合わせをすることが、こんな風にとらえられるとは思ってもみませんでした。だいいち直接問い合わせることにしたのだって、兄を煩わせたくなかったからなんです。「本当にダメでしょうか、問い合わせていただけませんか?」なんて兄にメールしようものならまた怒られそうだったし。まぁ兄によると、そんな風に問い合わせること自体がすでにとてつもない非常識なようですが。
その一方で、特養から返事が来ることもありませんでした。これにも(???)です。私はそれほどまでに非常識な問い合わせをしたんだろうか。でもだからといって、キレたヒステリックな文章だったならともかく丁寧な文章で問い合わせが来たのなら、(なにこの非常識な人!)とたとえ思っても、返事はくれるべきじゃないの!?と思うんです。
『発言小町』でこのようなケースのトピックを探したところ、参考になるものがありました。なるほど、施設によって対応は様々なんですね。
ちなみに母が入所している特養のウェブページでは、私が問い合わせを送った翌週くらいまで『面会禁止のお知らせ』をUPしていませんでした。後日バックデートしてウェブに載ったのがこれ です。
兄からの怒りのメールは本当にショックで、ものすごーく落ち込んで、そんなメールが来たことをすぐにはオットーに言えませんでした。いったいどう返信したものかと、思い悩みました。でも・・・・・
日が経つにつれて、返信せず沈黙を守ってこのまま疎遠でいいんじゃ?と思うようになったんです。これまでだって必要最低限しか連絡を取ってこなかったんだし。母の特養入所だって直接伝えてはもらえず、叔母経由で知ったんだし。母も実家を、兄による介護を離れたのだから、連絡を取り合ってお互い不快になるだけなら、たとえ兄妹とはいえもう疎遠でいいんじゃ?そう思えるようになりました。だから兄には返信していません。今後もよほどのことがないかぎり、こちらからは連絡しないつもりです。母が亡くなっても、お葬式に出るつもりもありません。母はよく「私が元気なうちにできるだけ顔を見せてね。死んでからじゃ、もう来てもらってもわからないんだから」と言っていました。だからできるだけ里帰りしてきたつもりです。ムスメが幼いころは特に。なのでお葬式には出なくていいと思っています。兄にすれば、これも非常識のひとつでしょうが。
疎遠になることを決めたら心が軽くなり、ようやくオットーにも兄からの怒りのメールのことを話すことができました。オットーも私と同様「直接問い合わせることがそんなに非常識!?」と驚き呆れていました。「昔の日本が男性上位で決まりごとに柔軟性がないのは知っていたけど、現代はもっとましになっているかと思ってた」とも。
私も『発言小町』にトピックを立てようかとも思いましたが、意見は人それぞれのようなのでやめました。だいいち私は、兄のメールを読んでも自分が悪いことをしたとは思えません。私の考え方は、いつの間にかすっかり英国的になってしまったのでしょうか?兄の言うように、問い合わせをすること自体が信じ難い非常識??『面会禁止』と連絡されたら真摯に受け止め問い合わせなど絶対にしてはならない???それが日本の常識であるのなら、私にはとうてい受け入れられないので、
イギリスに来てよかった。ここで暮らすのがやはり私には合っていたんだ。
と、心の底から思います。
里帰りの予定は、結局延期しませんでした。10日間の里帰りの終わり近くに特養を訪れて、まだ面会禁止で母に会わせてもらえなかったら職員の方に挨拶だけしてこようと思っていました。ところが一昨日特養のウェブページをチェックしたら、面会禁止が解除になっていました
母に面会できることになり、一応ひと安心です。また面会禁止なんて事態にはなりませんように。
年末の小包なんて送ってくれなくていい。「おにいちゃん」と屈託なく呼べるような、私が非常識なことをしでかしても「まったく、ほんっとバカだなおまえは~」みたいに笑い飛ばしてくれるような、『あんちゃん』的兄が欲しかったな・・・。母の介護を一手に引き受けてもらっておきながら言うべきことでないのは百も承知ですが。
疎遠を決めたので、身内の内情ながら、こうしてブログに書いてしまった次第です。兄はこのブログの存在を知りませんから兄の眼に触れる可能性は低いですが、たとえ触れてももういいや、と思っています。ここに書いたのは、すべて自分の正直な気持ちなので。オットーは「あそこまで言う兄なら、特養に連絡してお母さんに会わせないよう頼むんじゃないか」と心配しています。兄、そこまでするでしょうか?本当にそんなことをしたら、それはもう私には精神疾患を疑うレベルなんですが??
今回は個人的な兄妹間の軋轢を記事にしてしまい、お目汚し失礼しました。
今日は気温が9℃まで上がり、雪もほとんど溶けました。朝と夕方の画像です。
出発は水曜日。里帰り、めいぱい楽しんできますね~!!
お母様にお会い出来そうで良かった。せっかくの里帰り、後悔無いようにして下さいね。(美味しいもの食べて元気出して下さいね。)
私にも6歳上、3歳上の姉と双子の片割れ買い手、一番上の姉に似たような気持ちを持つことがあります。
お兄さんの言っていることが正しいとか間違いと言うよりも、なぜかハナママゴンさんを攻撃(批判)したくてこういうことを書くのかな・・・と、ちょっとそんな気がしました。すいません、たぶん永年の流れのようなものもあるのでしょうが・・・。
いずれにせよ、母が生きてる内に会うことは私も応援しています。そして良い旅を堪能できることを祈っています。
変わり身が速いのが私の取り得、もう大丈夫です。
母に会えそうなのでほっとしました。美味しいものもたくさん・・・適度に食べて、命の洗濯してきます!
兄弟間でも、色々とあるものですよね・・・・
ただ、兄弟間での出来事を、「昔はそうでも、現代の日本の男性は違うと思っていた」みたいに一括りで言われると、日本人男性としては、ちょっと悲しいです。
お母様にお会いになれることになって、良かったですね。
40年前、イギリスに住んでいた者より
お兄さんのこと、残念でしたね。
そんなメールを送ってくるなんて、やっぱりちょっと個人的な攻撃に思えてしまいます。
直接聞くにが悪いとは思いませんし、丁寧に聞いているわけだし。。。
でもそれに返信がないのはびっくりですが。
疎遠にすること、仕方ないですよね。
というか、ハナママゴンさんがいいと思う方法を選んでいいと思います。
相手はきっと変わらないだろうし。。。
何はともあれお母様と会えることになって本当に良かったですね。
思う存分いい時間を過ごしてくださいね。
お気をつけて〜
ご気分を害されましたら申し訳ありませんでした。
今日無事母に会うことができました、ご心配いただきありがとうございました。
兄が書いてきたことは、枝葉を除けば『自分を通さず施設に直接問い合わせるなどとんでもない非常識』と私は解釈し、とてもついていけない考え方だと思ったのです。それにいくら兄妹とはいえ、言い方というものもあるのでは?とも。
私は姉妹をもつことにずっと憧れてきましたが、そうですよね、たとえ同性の姉妹だってやはり性格が合わないこともありますよね・・・。
おかげさまで今日無事母に会うことができました
ご心配いただきありがとうございました!
施設からは兄のところにも『面会禁止解除』の連絡がいっているはずですが、兄からは音沙汰なしです。私が返信しなかったので当然ですが、ほっとしました。
兄も私も50代でもうお互いに変われるとは思えないので、連絡を取り合っても不愉快になるだけなら疎遠でいいと心から思えます。
10日なんてあっという間だと思うので、日本にいられる時間を満喫しますね!
このところ、日本では「集団〇〇」に神経質になってます。ハナママゴン様は当然、チェックされてると思いますけれども。
恐らくお兄様は施設と利用者家族が協力して作り上げる「快適で安全な環境」を、この上なく大切なものとしているんでしょうね。
ハナママゴン様からの発言からは高齢者の施設で働いているため、日本の施設での指針を理解をする事が出来るし邪魔にならぬよう協力できることは伝わります。
「家族としてお母様の今の生活の向上に微力ながらも出来得る限りの協力をさせてください」
の一言があると良かったのかなあ。だってそういうお気持ちでいらっしゃるでしょう?
限られたぎりぎりの条件での来日で、お金もたくさん使って、お母様お兄様、施設の方々のお役に立てれば無上の喜びが得られるわけですから。元もとれちゃいますよね。
(結果的には解除があり、良い線行けたので良かったですね)
きっと言葉が出尽くされていないのだと思います。これからもご家族と幸せを紡ぐ事が出来ますよう強く願います。
「里帰り」に訂正いたします。