浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

呉 炳学の展覧会

2012-02-08 14:45:28 | 日記
 今、といっても2月12日までだが、豊橋市の美術博物館で「呉 炳学 88歳 大回顧展」が開かれている。無料である。88点の作品が並ぶが、下記のような仮面舞などが圧巻である。



 このような大作が2点ある。躍動感に満ち、チャンゴなどが響いてきたら、動き出すのではないかという迫力だ。仮面舞に、リズムがある。

 また白が多い。朝鮮民族は、白を神聖視していたという。また白は白でも、多様な白があるともいう。朝鮮民族にとって、白は貴重な「色」だ。その白は、おそらく植民地時代においては抵抗の色だっただろうし、この呉 炳学の絵の白は、希望の色のような気がした。

 また仮面の絵もあった。しかし額に納められた仮面の絵は、なぜか窮屈な感じであった。仮面は、自由へと飛翔したいという願望を持っているのではないのか。
 額は、ひょっとしたら38度線?南北を分断している38度線が、朝鮮民族の自由な飛翔を妨げている。だが額からとりだせば、仮面は自由に38度線を越えて飛翔していく。額は、一時的なものだ。

 呉 炳学の絵を、インターネット上で見て関心を抱き、ちょうど豊橋で展覧会があるというので行ってみたのだが、なるほどよい絵だ。

 すでに亡くなった美術評論家の針生一郎が「呉 炳学は、セザンヌやゴヤ、クレーらの精神を、皮相な模倣の域を超えて刻苦勉励しながら真のうちに体得する事に賭けた。困難のうちに同様の志を抱く画家は多いが、ここまで見事にそれを実現した画家は他に知らない」と書いているが、そうかもしれないしそうでないかもしれない。
 だが、朝鮮民族の民族性を、仮面や、仮面舞、あるいは李朝の磁器などで描くことにより、世界へとつながる普遍性へと飛翔している。その表現の手段としてセザンヌなどがあるのだろう。

 短い期間であるが、行ってみるとよい。
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