高校の同級生であったO君、オーム真理教が陰惨な事件を起こす前、彼はオーム真理教に入った。書道が上手で、みずからの書を売りもしていた。
いつしかO君は、「これを聴いてみろよ」とカセットテープをよこした。それは教祖・松本が作曲した音楽が入っているとのことだった。「君子危うきに近寄らず」をモットーにしているわたしは、しばらくたって、聴くことなくそのテープを返した。
O君は、教祖に会ったことがあるとも言っていた。またこれを飲めば健康になるという小さなガラス瓶を見せてくれた。オーム真理教が事件を起こした後、それは教祖が入ったふろの水であることがわかった。
事件が起きた頃から、O君はわたしの前に現れなくなった。彼は今、どうしているのだろうと思う。
オーム真理教から離れているのか、それとも後継組織であるアレフなどにいるのだろうか。その後の音信はまったくない。
どういう経緯で、彼はオーム真理教に近づいたのか。