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浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

あいさつ文読み飛ばし問題

2022-01-06 20:56:24 | メディア

 『Journalism』一月号が届いた。朝日新聞社が発行する雑誌である。

 そのなかに、首相あいさつ文の「ノリ付着」報道がウソであったことをきちんとした取材で明らかにした宮崎園子さんの文があった。その文中に宮崎さんのジャーナリズムはかくあるべきだという主張があった。当たり前の内容だから引用はしないが、そういう考えを持つ記者は少なくなっている。

 宮崎さんはもと朝日新聞記者、ここで書いた内容を朝日新聞紙上に特集として載せたら、朝日新聞の格が上がるだろうと思う。私が朝日新聞を購読しないのは、社全体の方向性が権力との融和にあると判断しているからだ。宮崎さんの文を引用しておく。その通りだと思うからである。

「メディアの多様化とともに、マスメディア不信が言われて久しい。権力側との一体化ぶり、あるいは「中立」「客観」を振りかざした結果の「傍観者」ぶりに起因するところが多いのではないか。」

 さて宮崎さんは、首相が読んだあいさつ文を情報公開請求により直接見た。「ノリ付着」により読み飛ばしたということがあり得ないことだと確信し、それを書いた。

 ノリ付着が原因で読み飛ばしたという記事を発したのは、共同通信。その共同記者はウラをとったのか。それとも官僚の「弁護発言」をそのまま書いたのか。

 共同通信、最近は地に堕ちたものだ。昔は斎藤茂男がいた。その他にも問題意識が鮮明で取材力がある記者がいた。最近共同は悪いことで話題になる。

 さて宮崎さんの前に、中国新聞の記者があいさつ文の現物を見たそうだ。写真も撮ったそうだ。しかし中国新聞社は記事を載せなかった。なぜ?

 ジャーナリストは宮崎さん、共同の記者や中国新聞の書かれたはずのその記事を公にしなかったデスク(?)はジャーナリスト失格である。

 新聞も含めたメディアは、朴正煕政権下の韓国メディアの状況に似てきている。つまり独裁政権下のメディアである。


朴正煕政権

2022-01-06 12:09:13 | 国際

 『韓国からの通信』を再読した。

 「朴政権は拷問と恐怖政治においてそのもっとも近代化した面目を示している」(193)と記されているように、朴政権の政治についてはいつもこころを痛めていたことを思い出す。

 朴正煕という人物はこういう者だった。

「一体朴正煕ってどんな人です。韓国の言論、キリスト教、知識人と学生、これは愛国のシンボルです。この人々が日帝で苦しむとき、彼は何をしたのです。満洲で何をしたのです。李承晩の下で民主主義のための戦いをした時、彼は何をしたのです。彼は反共を口にしますが、それもこれらの人々がしたことです。彼は共産主義団体に入り危険が自分に及ぶと多くの同志たちを裏切ったじゃないですか。人間的に頽廃しすぎています。彼がこの愛国のシンボルをぶちこわしているのです・・・」(80)

 朴正煕は、時流に合わせて自分自身をつくりかえ、常にその時々の権力にすりよっていた。そんな臆病な人物なのだ。

 彼は暴力とカネ(そのカネは日本からももたらされた)により、人々をだまらせてきた。知識人にもそうしてきた。

 「批判的な知識人でも権力側につけばもっとも反知性的・反動的になり、誰よりも忠誠を捧げる」(55)

 そして朴は、こういう戦術を採用した。

「嘘も百ぺん繰り返せば信じこませることができるという戦術」(62)

「国民を愚劣化することこそが朴政権の目ざすものであろう。愚劣なる国民でなければ彼らの手で統治しえないからである。それに抵抗する高き精神は悩み多き人生をさすらっている」(200)

 そしてマスメディア。

 「韓国には韓国の新聞がない。日本の新聞が韓国の新聞だよ」(78)

 韓国の新聞は当時すべて「御用メディア」であった。ほんとうのことは報じられない。だから日本の新聞を読んだ。日本は、韓国のことならば忖度もなく書けたからである。

 朴政権下の新聞に対する見方。

「この頃新聞に見入っていた人々が吐き捨てるように話す言葉をしばしば耳にするだがこんな時には胸が痛む。「こんなものなら、こんな新聞のようなもの一つも残さずになくしてしまえ」。民衆がこんな反応を見せるのはその時代の社会において公開メディアが「体制化」されているからである。体制化されたメディアは民衆から遊離された状態であり、それは民衆の糾弾と怨声の対象になる。」(96)

「マスコミはただ民衆を麻痺させているのではなかろうか。」(188~9)

 現在の日本のメディア状況は、朴正煕政権下の韓国と相似的である。

 そして労働組合。

「韓国の労働組合の多くは御用化している。労働組合と企業主、特にCIAは一体になっている」(123)

 朴政権下と現在の日本、労働組合も相似的である。

 朴政権を支えていたのは、アメリカ政府と日本政府であった。今は、日本政府は韓国政府に対して冷酷に対応している。日本政府は、恐怖政治をおこなっていた朴政権のほうが親和的なのだ。

 「金大中事件の時、日韓両政府の癒着ぶりと日本政府の弱腰を見せつけられて懐くようになった日本のイメージをいっそう深めた。彼らの目には、本当に人権も国民もないのだろうか、企業の利益だけがあるのだろうか」(198)

 今も日本政府の本質はそのまま変わっていない。ミャンマーで軍隊が人民を弾圧しても、日本だけが人権状況を無視してミャンマーでのカネ儲けを推進している。中国と歩調を合わせているのだ。

 韓国は変わった。朴政権下の韓国は昔の話になった。しかし日本政府はまったく変わっていない。

 

 


こういう事実があっても、怒らない日本

2022-01-06 09:13:01 | 政治

全国で広がる在日米軍の感染 初動遅れに地位協定の壁 玉城デニー知事「構造的問題」と見直し求める

 対米隷属国・日本の姿がここにある。このような状況を選択したのは、昭和天皇はじめあの戦争を招き寄せたときの支配層である。みずからの延命のために米軍に頭を垂れたのだ。「鬼畜米英」を叫んでいた者たちが、マッカーサーらに拝跪したのである。


ニュース

2022-01-06 09:02:15 | メディア

 Yahoo!ニュースにアクセスすると、そのトップに芸能ニュースが多いように思う。人びとの関心がそんなにも芸能関係にあるのかと思い、「国内」をクリックする。

 すると、そこには橋下らがテレビで発言したことをそのまま記事にしている項目がある。スポーツ新聞がそれらを報じているが、何とも安易な記事である。テレビを見ていて、そこでの発言を記事にしていればよいとするのは、報道機関として邪道ではないかと思う。

 現代のメディアはその役割を放棄して、エンタメへとシフトしているように思われる。「お笑い」などのカルイ記事を並べていれば、読者や視聴者は喜ぶだろうという発想か。

 人びとに知らせるべき事実を丹念に追って書いていく(報じていく)という姿勢が、日本のメディアからなくなっている。