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浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

戦争の本

2011-11-25 16:49:33 | 日記
 今、12月の歴史講座の準備のために、ずっと前に読んだ本を読み返している。

 昨日読み終えたのが、上前淳一郎『太平洋の生還者』(文春文庫)である。これは対米戦争を戦った兵士の中で、捕虜になった人々の物語である。

 日本軍は、捕虜をださないことを原則としていたから、捕虜になった日本兵の氏名を第三国経由で日本政府に知らせても、受け取らなかったそうだ。

 日本軍は捕虜になることを許さなかった(捕虜になる前に死ね!)から、捕虜になったらどう対応するかという教育を全然していなかった。日本兵の捕虜は、捕虜になったからにはもう日本には帰れない、だからということで重要な機密に近い情報をも米軍に提供したそうだ。そういう本が最近発売されたそうだが、私は読んでいない。

 この本は、ハワイにあった日本兵捕虜収容所についての話である。ここでは米軍が日本各地に撒布した伝単(ビラ)の類を作成していたとのこと、ポツダム宣言やそれに対する日本政府の対応も、日本政府は公表しないだろうということから、捕虜達が日本語に翻訳してそれが撒かれ、日本政府の戦争終結に少しの影響を与えたことなどが書かれていた。

 また飯田進『地獄の日本兵 ニューギニア戦線の真相』(新潮新書)を読んだ。ニューギニアはじめ、日本兵士の圧倒的多数は餓えやそれによる病気などでいのちを落としている。その背景には、日本の生産力の限界もあるが、日本軍の軍指導部の無謀な作戦によるものが多い。ノモンハン、ガダルカナル、インパールがその代表的なものだ。

 日本兵が、太平洋やアジア諸地域で、戦時下どういう状況におかれていたのかを知ることも重要である。そしてその作戦指揮した者たちが責任も取らず、のうのうと天寿を全うしている姿も知るべきである。鬼畜米英を叫んでいた者たちが、戦後はどう生きたのかも知るべきである。戦後の日本は、そういう者たちがつくってきたともいえる。

 戦争は、振りかえることが必要である。忘れてはならない。