昭和から平成、そして…

天皇陛下の退位の時期が決まりましたね。

１年後には平成の時代が終わる。
そんなニュースを、ちょうど皇居を眺めるホテルで聞いたのが不思議な気分でした。



新しい時代を予感させるように、皇居、そしてその向こうに林立するビル群の間から
富士山が輝いていました。
平成の次には、何が来るのでしょうか？


一橋大学大学院での授業を聴いた後は、新幹線に飛び乗って京都へ。
そして夜には、さらに岡山まで移動しました。

さて今夜はどこで食事をしようか？ と いつもの食べログ検索。

すると面白そうな店がヒットしました。

ホテルからも歩いてすぐだったので、電話で予約して、向かったところ。。。



「ホントにここ？」と心配になるような店構え。
昭和を感じさせる、よく言えば、レトロなたたずまいです。

入ってみると、カウンターと小さなテーブル3つだけ。
カウンターの中には、いかにも頑固そうなおじいさんがひとり。
接客は、その連れ合いとおぼしきおばあさん。

私は、ネットで見た、この店の名物である 鰆丼を注文したのですが、同行のIくんは
なぜか 「天丼」 。

すると注文を聞きに来たおばあさんが、

「料理するのは主人だけなので、天丼はやってないんです」

でも確かに品札には天丼とあるんですよ。。。

「じゃあ、私も鰆丼を」

「お客さんたちどこから来たの？」

「私は名古屋からです」

「せっっかく遠くから来たんだから、鰆のお刺身かタタキを
オススメしますよ」

「でも鰆丼を食べるのに、さらに同じ鰆じゃ。。。」

「それがまったく別物なの」

「でも丼食べて、刺身やタタキまで食べられるかな？」

「何言ってるの！ 刺身やタタキなんて、ほんのひと口じゃない」

「そうですか。。。 じゃあ、そこまで言われるんだったら、食べようか。
刺身か、タタキか。。。？」

「ハイ、じゃあタタキね」

「‼︎」

と相当強引に勧誘されて、タタキも食べることに。


ほどなく、



タタキが運ばれて来ましたが、ただ運んで来ただけじゃなく、

「本当は一人前だからお醤油はひとつだけなんだけど、
特別にふたつ付けてあげたから」

ここでもひと言余分に付いてきます。そうまで言われるとお礼を言わない訳には
いかなくって、気弱な二人はついつい、

「特別サービス すみませんね。ありがとうございます」

とお礼を言わざるを得なくなってしまいました 汗


タタキに続いて、お待ちかねの鰆丼が出てきました。



これを見た瞬間、Iくんが、

「いわゆる 漬け（づけ） ですね」

と言った途端、店主の顔色が変わりました。

「東京なんかでは、鮮度が悪くて、腐りかけている魚をごまかす
ために、醤油漬けにするけど、そんなのとウチのを一緒にして
もらっちゃたまらない。
ウチは刺身に出すものと同じ鮮度のものを、今、この場で和えて
出しているんだから！」

「いえ、いえ、決してそういう訳ではないけれど。。。」汗


で、食べ出したら、今度は奥さんが、

「ちょうど半分だけ食べてね。食べ過ぎても、食べ足りなくても
ダメだよ。ちょうど半分ね」

「？？？」

「半分食べたら、出汁をかけるから、茶漬けで食べて」

それまでのやり取りがあったので、食べるのも緊張しちゃいます。
まずはIくんが斥候として、

「はい、半分食べました」

と丼を差し出すと、OKが出ました。それに遅れて私も恐る恐る丼を出したら、

「ちょうど半分だね」

と承認してもらえました。



半分食べて、そこに出汁をかけると、ちょうどいい味の茶漬けになるという計算の
もとでの「半分」だそうです。


さて、さて、鰆のウンチクをたっぷり拝聴しながら、タタキ、丼、茶漬けと、３通りの
鰆を食しました。
私は、こういうお店、こういうおもてなし（？）結構好きなので、楽しませてもらいました。


で、味はというと。。。

丼は最高に美味かったです。
タタキは美味しかった。
茶漬けは。。。

もちろんお店の人たちには、怖くて言えません。 汗

でも間違いなく、また岡山に来たら、鰆丼は食べに戻って来ます！


昭和のレトロを感じるお店のことを、岡山のお客様に話したら、

「ああ、あそこか！
もう長らく行ってないけど、昔からなかなかの名物店だよ」

とお墨付きを頂戴しました。


ぜひ出掛けて、鰆のウンチクを堪能して来て下さい。