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健康を科学する!

豊橋創造大学大学院健康科学研究科生体機能学のつぶやき

理学療法士の大学院進学(その2)

2014-07-04 08:30:51 | 研究
理学療法士の方、あるいはこれから理学療法士になる方で、大学院への進学について興味を持っている方も多いでしょう。
でも、大学院に進学してどうなるのか?という疑問を持っている方も結構いると思います。
そこで、理学療法士が大学院に進学することについて少し私の考えを書いてみたいと思います。そのPART2です。
前回(その1)同様、あくまでも私の個人的な考え方ですので、特定の大学や組織の考えを代表するものではありませんので、予め承知してください。

(Q)大学院で何を研究していいかよくわからないけど、でも進学には興味があるが・・・・・
こういう方、多いのではないでしょうか。大丈夫です。私の研究室では少なくとも全く問題ありません。よく話し合って、テーマを決めていきます。修士課程は2年間です。長いようで短く、あっという間です。本学大学院では、2年目の1月中旬には修士論文を提出しなければなりません。ですので、できるだけ早い時期に研究テーマを決めていきます。もちろん、出願時に研究計画書を提出しますので、予め面接をしてなんとなく持っている疑問や興味などを活かしたテーマを設定するように努力します。本研究室の設備や実験経験など勘案して、最終的に研究テーマを決めます。それでも実験を始めるまでに、いろいろな手技をマスターするのに数か月はかかります。具体的なテーマは、ここでは控えます。というのは、テーマ=実験のアイデア=論文になります。基本的には、国際誌に原著論文として掲載できるような研究を目指します。


(Q)大学院で学ぶこと
前回も述べたように、大学院では研究のプロセスを学びます。大学時代に行った卒業研究と何が違うのかと思う方もいるかと思います。大きな違いはないと思いますが、強いて言えばそれは「研究論文を書く」ということでしょう。「修士論文」を書くことになります。どんなに良い実験をして、どんなに良い結果が得られても、それを「論文」にまとめられなければ修士号は授与されません。「研究の背景」「目的」「方法」「結果」「考察」「参考文献」という基本パターンに沿って、自らが行った研究を要領よくまとめ、その論文を読んだ人であれば同じ研究をして同じ結果が得られる。これが研究論文です。なかなか大変な作業です。この論文を書く作業が、研究の中で最も重要なことであるといっても過言ではありません。というのは、自らの研究を説明して納得してもらって初めてその研究の価値が生まれるからです。


(Q)その他

大学院進学に関して、この他にも疑問を抱いている方がいると思います。何か質問があれば連絡ください。答えられる範囲で答えるつもりです。
メールアドレスは
goto「アット」sozo.ac.jp
です(「アット」の部分を@に変えてください)。

次回は、本学大学院に入学した場合の授業(履修)について説明してみたいと思います。

理学療法士の大学院進学(その1)

2014-07-03 08:30:07 | 研究
理学療法士の方、あるいはこれから理学療法士になる方で、大学院への進学について興味を持っている方も多いでしょう。
でも、大学院に進学してどうなるのか?という疑問を持っている方も結構いると思います。
そこで、理学療法士が大学院に進学することについて少し私の考えを書いてみたいと思います。あくまでも私の個人的な考え方ですので、特定の大学や組織の考えを代表するものではありませんので、予め承知してください。

(Q)大学院に進学する理由は?
理学療法士は国家資格で、この国家試験をに合格して資格を取得すれば就職できます(現在は)。そうした理学療法士が大学院に行く理由は何でしょうか?それは、理学療法士になるために学んできたことでは、ヒトの身体のことをすべて理解したとは決して言えません。教科書に載っていないことの方が多いのです。効果的なリハビリテーションや予防介護を行うためには、なぜその介入が必要なのか?なぜその介入が有効なのか?ということを意識すべきですね。でも、そもそものなぜそうした状態に陥ってしまったのか、そのメカニズム機序)が分かっていないといけません。ですが、残念ながら、骨格筋の廃用性萎縮でさえ、現象的には明らかなのですが「どうしてそうなるのか?」については未だに研究が行われているのです。「どうしてそうなるのか?」が明らかになって初めて、予防方法が確立し、効果的なリハビリテーション技術の開発も可能になります。実際、多くの疾患の治療薬や治療法というものは、多くの場合その基には発症メカニズムの解明があるのです。ですが、残念ながら・・・・・。

例えば、廃用性症候群に骨格筋の萎縮があります。骨格筋の萎縮は、筋タンパク量の減少に起因する筋細胞サイズの低下が原因です。筋タンパク量は、タンパクの合成と分解のバランスにより変化します。仮に、タンパク合成が分解に比べて増加すれば筋タンパク量は増加しますので、筋細胞サイズは大きくなり、筋は肥大します。筋トレなどはこうしたことが筋細胞内で起こっていることになります。逆に、タンパク分解が合成より多くなれば、筋タンパク量は減少して筋細胞サイズは小さくなります。これが骨格筋の萎縮です。ここで注意しなければいけないのは、筋萎縮時にも筋タンパク合成は行われているだろうということです。ですが、安静時のどの程度のレベルのタンパク合成が行われているかわかっていません。
仮に、タンパク合成には安静時と変化がないとするならば、筋タンパク合成を増加させるかあるいは筋タンパク分解を抑制すれば筋萎縮は回復することになります。
あるいは筋タンパク合成が抑制されているならば、筋タンパク合成を刺激するような理学療法が萎縮筋の回復には効果的ということになります。あるいは、筋タンパク合成を刺激するような薬品の開発も視野に入ります。この時、タンパク合成には多くの分子が関与しているので、廃用性萎縮時に特に影響を受けてタンパク合成を抑制している分子特異的な薬品を開発できれば、副作用が少なくなると考えられます。

以上は一例ですが、まだまだメカニズムが明らかになっていないことがたくさんあります。現象が明らかなものほど、メカニズムが解明されていないことが多いような印象を受けます。

ですので、大学院に進学して、自ら研究することで「骨格筋はなぜ萎縮するのか?」「萎縮した骨格筋の回復はどのような仕組みなのか?」について追究することは、臨床の現場で役立つエビデンスを求めることになります。もちろん、たった1つのことかもしれませんが、でも何もエビデンスがないより良いことですね。


(Q)大学院では何をする?
大学院では、自ら課題を見つけて、その課題解決に最適な手法を見出して、解決するというプロセスを学びます。このプロセスこそ「研究」です。
大学院は修士課程(博士前期課程)や博士後期課程に大別されます。修士課程は、研究への導入部分です。研究のやり方、論理的なものの考え方(ロジック)を学びます。もちろん、研究もします。ですが、多くの場合は、教員などが全面的にバックアップして研究は行われます。なぜなら、本格的に研究をするのは初めてな上、修学期間が2年間と短いからです。
博士後期課程で行うことは、ズバリ研究です。ここで研究して結果を残すことで、研究者としての仲間入りをします。


(Q)大学院を修了するとどうなる?
修士課程を修了すると「修士号」が授与されます。でも、この修士号は、特に役に立ちません。おそらく給与や昇進にも反映されません。ではなぜ修士号を取得するのか。それは、研究ということを通して真理を追究するロジックを身につけるためです。これが身につけば、分野が異なったとしても研究活動を行うことができます。ですので、いろいろな状況で発生する諸問題に対する問題解決能力が養われることになります。
そして、もう1つは博士後期課程へのステップです。博士課程を設置している大学院の中には、5年間一貫教育を行っていることころ、前期課程と後期課程を分けているところがあります。いずれの場合も、修士号を持っていれば、受験資格が得られます。
博士後期課程を修了すると「博士号」が授与されます。この博士号は、職場によっては、給与や昇進に影響するケースもあると思います。また、理学療法分野の大学の教員や研究所の研究員などを目指したい方は、この博士号は必須になりつつあります(理系の分野では、まず必須です)。また、博士号を取得すると、米国など外国の大学への留学という選択肢も大きく広がります。というのは、博士号取得者を研究者として言って期間雇うというシステムが広く普及しているからです。


(Q)大学院で何を研究していいかよくわからないけど、でも進学には興味があるが・・・・・
こういう方、結構いると思います。
こういう方に対するアドバイスについては、次回書くことにします。

フカヒレの行く末

2014-07-02 08:30:59 | 日記
先日、シンガポールの高級リゾートホテル、マリーナ・ベイ・サンズ(Marina Bay Sands)のカジノで、施設内のレストランでのフカヒレ提供を中止すると発表したことが報道されていました(AFPBB NEWS)。国連食糧農業機関(Food and Agriculture Organisation、FAO)によると、シンガポールはフカヒレの取引において、香港に次いで世界第2位だそうです。世界自然保護基金(WWF)によると、世界中で毎年7000万頭以上のサメが殺され、そのフカヒレの多くが中華系の市場で消費されているそうです。シンガポールの主要スーパーマーケットチェーンも2012年にフカヒレ製品の販売を停止しているほか、シャングリ・ラ(Shangri-La)やスイソテル・ザ・スタンフォード(Swissotel the Stamford)などの主要ホテルもフカヒレの提供を停止しているそうです。日本でもいずれこうした流れになるのでしょうか。

骨格筋について研究しませんか?

2014-07-01 08:30:49 | 研究
筆者の研究室では、骨格筋を対象に研究を展開しています。骨格筋の萎縮や肥大のメカニズム、損傷骨格筋の再生など骨格筋の可塑性制御機構の解明に取り組んでいます。
骨格筋は関節を固定したり動かしたりするのはもちろん、人体最大の器官でありその代謝も重要です。骨格筋が萎縮してしまうと、姿勢の維持や逆に動作が困難になります。さらに、基礎代謝が減少してしまいます。健康長寿のためには適度な運動が欠かせないとよく言われますが、これは骨格筋の機能が維持されているからこそ具現化できるものです。
骨格筋はトレーニングなどで鍛えれば肥大し大きな力を出せるようになりますが、トレーニングをやめれば元の状態に戻ってしまうのはよく知られています。さらに、日常の活動レベルが少なくなっていくと、徐々に骨格筋は萎縮し、虚弱化していきます。萎縮し虚弱化すると、階段の上り下りが辛くなってエスカレーターやエレベーターを使用しがちになりますが、こうした行為はさらなる骨格筋の萎縮・虚弱化を招くという負のスパイラルになってしまいます。
でも、辛いものはできれば避けたいというのが人の常ですね。そこで、骨格筋の萎縮や虚弱化を防ぐ方策はないものか、日常生活活動レベルで骨格筋を鍛えることはできないかと、研究を展開しています。
こうした研究は、リハビリテーション領域ではもちろん、宇宙飛行士の健康管理の上でも有用なものです。ですので、宇宙医学も本研究室の研究領域の1つになっています。
「骨格筋の萎縮や虚弱化を防ぐ方策はないものか、日常生活活動レベルで骨格筋を鍛えることを明らかにする」と口で言うのはたやすいことですが、これらを解明することはそう簡単ではありません。骨格筋萎縮や虚弱化を防ぐためには、その前になぜ骨格筋は萎縮するのか、なぜ虚弱化するのか、骨格筋ななぜトレーニングに対して適応するのか、ということを1つ1つ明らかにしていかなければなりません。
研究のアプローチとしてはタンパク質やmRNA発現を解析していますが、初心者の方でも丁寧に教えますのでやる気・意欲のある方ならどなたでもできるようになります。

骨格筋研究に興味関心のある方ならバックグラウンドは問いません。まずはお問い合わせください。出身学部学科を問わず大学(4年生専門学校で大学院入学資格を得た得られる学校)を卒業されている方ならどなたでも受験できます。
短期大学や3年生の専門学校を卒業されている方でも、卒後の職務経歴により受験資格が与えられるかどうか審査を受けられます。

平成26年度より、受験科目が軽減されます。さらに、シニア入試も実施されるなど、門戸は広がっています。また、平成26年度よりテレビ会議システムを活用した遠隔授業が導入されますので、働きながら修学を考えている方や遠方の方でも学修できる可能性が高まります。

また、本学には修士課程しかありませんが、博士課程への進学を希望する方には、進学に関する指導も行います。

もちろん、研究室の見学も大歓迎です。
まずは、お気軽にお問い合わせください。

E-mail goto「アット」sozo.ac.jp
  (上記アドレスの「アット」の部分を@に変えてください。)