健康を科学する!

豊橋創造大学大学院健康科学研究科生体機能学のつぶやき

膵島移植の細胞移植治療

2013-05-21 08:30:38 | 研究
膵島の細胞移植治療に利用する免疫抑制剤タクロリムスが、移植後に膵島周囲の栄養血管網の新生構築を阻害することが明らかになったそうです(QLife Pro)。重症の糖尿病に膵島移植の細胞移植治療を行うそうです。膵臓移植などの臓器移植治療に比べ、細胞移植は全身麻酔や開腹手術が不要、点滴の要領で短時間に終了するため、安全・簡便・低侵襲と期待されているそうです。一方で、移植後の細胞の生着率の低さなど課題も多く、臓器移植より治療効果が弱いとされているとも。同種細胞移植(亡くなった他人からの移植)は自家細胞移植(自分の細胞を戻す移植)より長期的な生着率が低いそうです。同種細胞移植で使う免疫抑制剤が原因と目され、ラバマイシンの血管新生抑制効果が最近わかったそうです。シロリムスも血管構築阻害効果など副作用をもつそうですが、現在、安全性が高いとタクロリムスが使われるが血管新生に及ぼす影響は未検証だったそうです。今回の研究で、タクロリムスが移植膵島の血管新生に及ぼす影響を高感度イメージングシステムで調べたそうです。その結果、移植後14日以内に血管新生が完了し、タクロリムスの投与で新生血管体積が減少したそうです。遺伝子発現の変化を調べると、血管誘導因子は上昇したが細胞周期への影響は確認されなかったというのです。したがって、タクロリムスは移植膵島からの血管誘導因子の放出制御を介さずに血管新生を抑制することが明らかになったというものです。この阻害効果を考慮して免疫抑制療法を至適化すれば、同種細胞移植療法の成績は改善することが期待できるそうです。
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腸内細菌は肥満を防ぐ

2013-05-20 08:30:33 | 研究
腸内細菌がエネルギー調節や栄養摂取のエネルギー恒常性維持に関与し、生活習慣病の病態に影響するそうです。腸内細菌が産生する短鎖脂肪酸がエネルギー源として利用されるだけでなく、脂肪酸受容体GPR41を活性化させ交感神経系を介してエネルギー恒常性の維持に関わることをが明らかにされていたそうです。今回は、さらにもう一つの短鎖脂肪酸の受容体GPR43の働きが解明されたそうです(QLife Pro)。Gpr43遺伝子を欠損したマウスは肥満の傾向を示し、GPR43を過剰発現させると痩せの傾向を示したというものです。腸内細菌を消失させるとエネルギー代謝異常は見られないことから、腸内細菌が原因とわかったそうです。さらにGPR43が筋肉、肝臓など他のインスリン作用組織ではなく、脂肪組織でのインスリン作用のみを選択的に抑制するとも明らかになったそうです。このGPR43をターゲットとした生活習慣病への予防や治療薬の開発が可能なのかもしれません。
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年をとると脳が色の見え方を調節

2013-05-19 08:30:59 | 研究
老人性白内障とは、年をとると伴ない、目のレンズの役割をする水晶体が、白濁したり、黄色っぽくなったりする変化です。また、青色の光に対する感受性が変わり、黄色から緑、青色で色の見え方が異なるとされているそうです。ところが、このようなレンズの物理的な状態に反して、色の見え方にあまり変化が出ない人が多いというのです(QLife Pro)。18歳から75歳までの185人の人たちを対象に、ものの色の見え方を調査し、様々な色の違いを見分けることができるかを観察したそうです。すると、年をとってくると、似た色同士での見分けは難しくなり、異なる色に関しては見分けることができることが分かったというのです。レンズの物理的な状態に反するこの結果については、脳が色の調節機能を持っていて、若い頃のレンズで見ていたような状態に視覚情報を再調節するのではないかというのです。不思議な、そしてすごい能力ですね。
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更年期障害へのホルモン治療で乳がんリスクアップ

2013-05-18 08:30:05 | 研究
更年期障害の辛い症状を和らげるために、ホルモン治療が行われることがあります。これは更年期障害の原因に加齢に伴うエストロゲンというホルモンの低下が挙げられるからです。更年期障害の一般的な症状としては、のぼせやほてりといった血管運動性のものの他に、精神的にも不安定になるケースも見られるそうです。ホルモンの変化が原因のため、治療ではホルモンを使うことが一般的で、エストロゲンが単発で用いられたり、エストロゲンとプロゲスチンというホルモンが併用されたりしているそうです。しかし、エストロゲンとプロゲスチンを併用する療法で、さらに閉経してから使い始めるまでの期間が短いと、乳がんの罹患リスクと、これに伴う死亡率が上がることが報告されました(QLife Pro)。これは、随分前から指摘されていたことだったと記憶しています。エストロゲンとプロゲスチンを組み合わせた人は、ホルモン療法をしていない人よりも0.18%乳がんにかかるリスクがアップしたと言う研究結果で、閉経からホルモン治療開始までの期間が短ければ短いほど、後に乳がんと診断されるリスクが高くなるというものです。内分泌系に大きな影響を与えるからではないでしょうか。
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思春期特発性側彎症

2013-05-17 08:30:43 | 研究
思春期特発性側彎症発症に関わる遺伝子「GPR126」が同定されたそうです(QLife Pro)。思春期特発性側彎症(AIS:Adolescent Idiopathic Scoliosis)は、日本人の約2%に見られ、原因が特定できない背骨が横に曲がる病気です。背骨が10度以上曲がった状態が側彎症とされますが、重度になると装具の着用や外科的手術が必要となり、進行すると治療が困難となります。現在、その発症頻度の高さと社会的重大性から、学校教育現場でも側彎の検診が義務づけられているそうです。発症の背景には遺伝的要因があるとされ、世界でその探索が行われてきたそうです。今回、約2500人の集団について55万個の一塩基多型(SNP)を解析、AISと強い相関を示したいくつかについて別の2万5千人の日本人集団でさらに相関を解析したそうです。その結果、AISと強く相関するSNPがGPR126の遺伝子領域内にあり、ゼブラフィッシュでの実験ではこの遺伝子の機能を阻害することで骨化が遅れることがわかったそうです。このSNPは中国人と欧米人でも相関が確認されているそうです。この世界初の発見により、今後研究チームでは、ゲノム情報をもとに診断・予測モデルを作成し、AISの病態を詳細に解明し、オーダーメイド治療や新しい治療薬の開発を目指すそうです。
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不安と恐怖

2013-05-16 08:30:30 | 研究
「不安」と「恐怖」を引き起こす神経回路が脳内で別々に存在することが発見されたそうです(QLife Pro)。感情の発現には脳の異なる部位が関わるとされているそうですが、どの部位にどの感情が関わっているかを正確に規定することは難しいそうです。感情を客観的に評価する指標が少ないためで、「不安」「恐怖」という類似の感情ではなおさら詳細な部位の区分は困難です。心理学、精神医学、哲学などでも「不安」と「恐怖」の関連性や違いについて取り上げてきたそうですが、二つの感情を主観的な体験や心理学的な体系づけで説明するにとどまり、脳内の情報伝達基盤を生物学的に解明してされていないそうです。ヒトと同様の神経ネットワークをもち遺伝子操作もしやすいマウスの脳内で「不安」「恐怖」という情動行動の発現機構を解析したそうです。その結果、中隔核に属する三角中隔核と前交連視床核が内側手綱核への主要な入力経路であること、内側手綱核の腹側または背側とそれぞれ異なる部位に投射することを突きとめたそうです。さらに神経細胞を特異的に除去したマウスの行動を解析したそうです。三角中隔核の神経細胞を除去すると「不安」様行動が減弱し、前交連視床核の神経細胞を除去すると「恐怖」行動が亢進したそうです。つまり、三角中隔核と前交連視床核は解剖学的に分離した投射を内側手綱核に送り、二つの異なる神経連絡は機能的にも分離されてそれぞれ「不安」と「恐怖」を制御していることが明らかになったというものです。「不安」と「恐怖」の脳内で発現する仕組みのちがいが立証されましたが、実は「不安」や「恐怖」は統合失調症、不安障害などの精神疾患にも深く関与するそうです。今後、精神疾患の発症機序の解明、新たな診断・治療法につながると期待されているそうです。
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ダイエット中の水

2013-05-15 08:30:39 | 研究
ダイエットには水をたくさん飲むと良い?水をたくさん飲むことで、満腹感が得られると全体の食事量が抑えられることで、減量に役立つという考え方だそうです(QLife Pro)。スタンフォード大で行われた、ダイエットの調査、A TO Zのデータを、水を飲む量という視点で見てみたそうです。 A TO Z とは、Atkins (超低炭水化物), Zone (低炭水化物、高タンパク質), Ornish (低脂肪), or USDA/Food LEARN (高炭水化物、低めの脂肪) という4タイプのレシピの成果を比べたもので、この調査でもっとも体重が減ったのは、Atkins (超低炭水化物)の方法をとった人だったそうです。この調査に参加した人で、25歳から50歳の173人が、調査開始時で1日あたりに飲む水の量が1リットル以下としていたそうです。この人たちを対象に、2ヶ月、6ヶ月、12ヶ月時点で水や食物中の水分量をチェックし、スタート時からの水分摂取量の増減と減量の成果に関連があるかを調べたそうです。すると、水分摂取量が増えた人の方が、体重や脂肪の減少率が大きいことが分かったというのです。水を飲むことが全ての人のダイエットにつながるかは、まだ解明されているわけではないそうですが、閉経前の女性であれば、ダイエット中に水分を多く摂るよう心がけると良さそうというのです。ただし、この研究はあくまでもダイエットと組み合わせたものであり、水を飲んだだけで痩せるという報告ではないそうです。
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コカ・コーラの肥満対策

2013-05-14 08:30:59 | 研究
米清涼飲料最大手コカ・コーラが、127周年を記念して世界事業に関する4つの取り組みを発表したそうです(QLife Pro)。
1.すべての市場で低カロリーまたはノンカロリーの飲料を発売する。
2.すべての飲料商品のパッケージにカロリーを表示する。
3.事業を行うすべての国で、運動プログラムを支援する。
4.世界中で12歳未満の子ども向けの宣伝を中止するである。
これらの取り組みは同社が事業を行う200カ国以上の国に適用されるそうです。コカ・コーラなど清涼飲料メーカーは、糖分の多い飲料が肥満率の高さにつながっているとの批判にさらされており、今回の取り組みはそれに対応するものだそうです。
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肥満の進行

2013-05-13 08:30:06 | 研究
肥大化した脂肪組織の中で血液が巡らず低酸素状態となった部分に、肥満や糖尿病の原因となる免疫細胞が集まり、さらにこの免疫細胞から肥満を進行させる「悪玉分子」が出現することが明らかになったそうです(北國新聞)。肥満化したマウスの脂肪組織を調べたところ、脂肪細胞の増殖に血管の新生が追い付かず、酸素不足となった部分に免疫細胞「マクロファージ」が集積することを新たに確認したというもの。さらにマクロファージからは「炎症性サイトカイン」と呼ばれる分子が分泌されることも分かったそうです。この分子は高山など酸素の薄い場所では人間の体を適応させる「善玉」の役割を果たす一方、脂肪組織内で発現すると、組織に炎症状態を引き起こし、インスリンの効き目を悪くする上、肥満を進行させる「悪玉」となるそうです。サイトカインを誘導する低酸素に適応するための遺伝子は、がん細胞も増殖させることが明らかになっているそうです。サイトカインの阻害薬が抗がん剤として期待され 、開発が進んでいます。こうした阻害薬がメタボリック症候群や糖尿、心筋梗塞、脳卒中の治療薬としても適用できる可能性があるかもしれないということです。
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パーキン遺伝子と寿命延長効果

2013-05-12 08:30:30 | 研究
細胞内の古くなった物質を「ごみ掃除」のように除去する遺伝子によって、ミバエの寿命を延ばすことができたとする研究論文が発表されたそうです(AFPBB NEWS)。この遺伝子「パーキン」は、損傷したタンパク質に印を付けて有害になる前に細胞から除去されるようにするほか、細胞内の損傷したミトコンドリアの除去にも関与しているとみられているそうです。パーキンソン病は高齢になって発病することが多いことが知られていますが、生まれつきパーキン遺伝子に変異がある人は若年性パーキンソン病を発症するリスクが高くなるそうです。研究チームによると、神経細胞を改変して通常より高いレベルのパーキンを含むようにしたミバエは寿命が28%長くなり、その間も健康を維持した状態だったというのです。人間にも高レベルのパーキンによる寿命延長効果があるのか、今後の研究で明らかになるかもしれないということです。人間の老化にともなう病気の予防につながる可能性もあるそうです。面白そうですね。
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