健康を科学する!

豊橋創造大学大学院健康科学研究科生体機能学のつぶやき

骨の健康と感覚神経

2013-05-10 08:30:14 | 研究
体や内臓の感覚を伝える感覚神経が骨内に侵入し、骨代謝の調節や骨の再生に関わって骨量の維持に重要な働きをしていることが明らかになったそうです(QLife Pro)。骨の健康には骨代謝の維持が欠かせないのは言うまでもありません。古い骨を破壊(骨吸収)してその場所に新しい骨を形成(骨形成)することで、血清中のカルシウム値を調節し骨の強度を保っています。骨粗鬆症では骨の強度が低下して骨折のリスクが高くなります。骨粗鬆症の患者は1300万人に達する見込みで75歳以上の女性の2人に1人が発症するそうです。そして、骨粗鬆症による骨折は寝たきりを招き、死亡率を高めています。ホルモンなどが骨代謝を調節するという定説に加え、最近では神経の関連も明らかになってきているそうですが、骨代謝のメカニズムの全貌はわかっていないそうです。今回、神経の伸長に関わるセマフォリン3Aに着目し、これを欠損したマウスは骨の細胞には異常がないが、骨密度が低下して骨粗鬆症の病態を呈したそうです。解析の結果、正常マウスの骨には数多くの感覚神経が侵入していたが、欠損マウスでは侵入が低下し、骨粗鬆症が発症しているとわかったというものです。感覚神経の侵入が低下すると、骨の障害に対する再生能力も大きく低下していたそうです。骨ができるときに侵入してくる感覚神経系が健康な骨の発達、怪我の後の骨の再生、治癒に重要であることが明らかになったと言うことになるようです。骨に侵入した感覚神経が骨代謝を調節する、とは骨代謝調節機構の新たな発見だそうです。従来の骨粗鬆症の治療薬は骨の破壊を抑えるものでしたが。感覚神経に骨の再生を促す作用があるとわかったことで、骨の形成を促す新規治療薬の開発につながると期待されています。
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