健康を科学する!

豊橋創造大学大学院健康科学研究科生体機能学のつぶやき

薬剤耐性菌のリスク

2014-09-07 08:30:56 | 研究
米国プリンストン大学が7月に発表した研究「Global Trends in Antibiotic Consumption 2000-2010(抗生物質消費の世界的傾向・2000~2010年)」によれば、抗生物質の過剰使用は、インドをはじめとする新興国で顕著だそうです(AFPBB NEWS)。経済規模124億ドル(約1.3兆円)のインドの医薬品産業は、世界の抗生物質の3分の1近くをまかなっているそうです。インドでは、寝ていれば自然に治るような軽い病気でもすぐに治そうと抗生物質を常用する人々が、台頭する中間所得層で増えているそうです。プリンストン大学の研究では、世界の抗生物質の使用量は2000年からの10年間で36%増え、世界最大の消費国は62%増のインドだそうです。抗生剤の乱用は、薬物耐性のある「スーパーバグ(超強力細菌)」を生む温床となりつつあり、貧困層が多く公衆衛生が不十分なインドに甚大な影響をもたらしていると専門家は指摘しているそうです。2010年、ニューデリーで、ほとんどの抗生物質が効かない新型スーパー耐性菌「NDM-1(ニューデリー・メタロベータラクタマーゼ、New Delhi metallo-beta-lactamase 1)」が発見された際は、世界中がパニックに。一方、インドには世界の結核患者860万人の25%が暮らしており、2種類以上の抗生物質に耐性のある「多剤耐性結核」の症例も増えているとも。インド政府は昨年、46種類の強力な抗生物質について、処方箋なしの販売を禁止。この中には結核治療に使われる抗生剤も含まれているそうです。
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