健康を科学する!

豊橋創造大学大学院健康科学研究科生体機能学のつぶやき

統合失調症は脳の慢性炎症が要因の1つ

2013-02-14 08:30:06 | 研究
遺伝子操作により脳内で軽度の慢性炎症を起こさせたマウスは、脳の一部が未成熟な状態になっており、その結果、「作業記憶」の低下や巣作り行動の障害などが統合失調症に似た行動異常、中でも作業記憶の障害や巣作り行動の異常を引き起こしていることが明らかになったそうです(マイナビニュース)。統合失調症は、あらゆる人種や地域において、総人口の約1%で発症しますが、未だに十分な予防・治療法が確立されていない精神疾患で、近年その原因遺伝子探索に向けた大規模な「ゲノムワイド関連解析」が実施されているそうです。その結果、統合失調症は単独の遺伝子変異で引き起こされることはごくまれで、多くの場合は複数の小さい効果を持つ遺伝子多型による遺伝的要因とさまざまな環境要因の組み合わせによって発症するものであると考えられるようになっているそうです。また、複数の信頼性の高い大規模解析により、免疫に関わる遺伝子情報が多く含まれる領域である「主要組織適合遺伝子複合体(MHC)」において、統合失調症に関連する遺伝子多型が多数同定されており、そのMHC領域と統合失調症との関係が注目されるようになってきており、今回「Schnurri-2欠損(Shn-2 KO)マウス」が、顕著な行動異常を示す系統であることを見出したそうです。ちなみにShn-2は当初、MHC領域に結合する分子として発見されたが、現在ではMHC領域にある遺伝子の発現制御に関わっているものであると考えられるようになっているそうです。今回の研究では、Shn-2 KOマウスは、野生型マウスに比べて作業記憶(状況の変化や作業の進行に応じて、必要な情報の処理と保持を行う一時的な記憶機能)が悪くなっていたほか、「プレパルス抑制(PPI)」の障害、社会的行動の低下、巣作り行動の障害、快楽消失など統合失調症とよく似た行動異常のパターンを示すことが網羅的行動テストバッテリーによる解析で明らかにされたそうです。
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