一生

人生観と死生観

いまここ主義

2007-05-08 10:38:12 | 哲学
5月8日 快晴 五月晴れ 
 加藤周一87歳が日本文化について、その特質はいま、ここ、に拘る部分主義だという(朝日新聞、5月8日)。目の前のいま、ここが大事なのは何も日本人に限ったことではない。しかしこの人にそう言われるとそうかと思う人も多いだろう。
 私はより本質的なことは、歴史から学び、さらに自分で納得するまで思索すること、そしてそれを多くの人に伝える努力をすること、それが本当の文化的いとなみであり、国家社会に貢献し、人類に益することだと思う。
 日本史をふり返ると、あの明治維新に人々はどう振舞ったか。尊皇攘夷を唱えていた薩長は、外国の艦隊と戦って敗れると開国へ、倒幕へと舵を切ったではないか。痛い目をして世界の流れが分かり、日本はこれではいけないと悟った。そして薩長はイギリスの後押し、幕府はフランスの後押しで戦い、内戦が長引けば日本は外国の植民地になることが目に見えていた。幕府側の勝海舟は薩長の倒幕司令官西郷隆盛と会談し、江戸城明け渡しを決めて江戸を救い、日本を救ったといわれる。勝海舟は咸臨丸の艦長としてアメリカにわたり、世界の情勢を知っていた。
 いまとここを無視して現実の政治は成り立たないといわれるが、日本の現在の政治のトップはおかしい。歴史の学び方がどこか狂っている。憲法改正は日本人の自主に基づいて、というが平和憲法はその成立の過程で、戦争に嫌気がさした日本人の気分にもとずき、アメリカ人の中での理想主義者の汎人類的発想に立脚しているからこそ、60年ももったのだ。しかもこの60年日本人はこの憲法のおかげで平和と繁栄をうたうことが出来た。最大の実利を得たのは日本人だったのだ。それを捨てることを考えるなど、なんと情けない,信念に乏しい,はずかしいことだと思わないのか。世界的にも憲法9条は人類の理想として尊重されているのだ。北朝鮮の暴発を心配したり、アメリカのいざないにぐらぐらしたり、心許ない人もいるが、北朝鮮もそれほど愚かであるとは思わない。なぜなら亡びに至ったかっての軍国主義の日本の見本がある。また外交面で日本は不器用といわれるが、アメリカに対してもっと自信を持った対応が出来るはずだ。そういう人材を育てることこそこの国の重大事だ。