認知症の人が、事実と異なる過去を語ることがある
これは別段相手を騙してやろうとか、自分を飾り立てようとかそういうつもりは全くなく、今の本人にとっては事実である
話す内容に悪意は微塵もない
一日のうちで何度もその状況が変わることもあるが、少なくとも話しているその瞬間、その話に矛盾点は見えない
だからそれが正しいか正しくないかは初めて会話をした相手には全くわからないくらいである
ただ真実を知っている人間だけが複雑な心境になる
『なぜそんなことを話すのか』
では、本当の過去・・・実際にその人が歩んできた時間は一体何なんだろう
今語っている過去が本当になりたい自分なのだろうか?
この現象を目の当たりにした時、私は正直鈍器で頭を殴られたような衝撃を覚えた
その人が実に自信満々に生きてきたと私の目には少なからず見えていたからだ
これまでの経験に誇りを持って生きているように見えたからだ
これを自分に置き換えて考えて私は恐怖を感じた
『今の私は本当の自分なのか』
そんな誰にでもわかる簡単なことがわからなくなってしまった
これまで私は自分の気持ちに正直に、自分が求める道を自ら選んで進んできていると思っていたし、現状後悔もしていない
が、それが本心であるのかどうかの自信がぐらついてしまった
というのは前述の人の物の考え方は非常に自分によく似ているとずっと感じていたから
私が同じ状況に陥ったとき、私は過去の自分をどのように語るのだろうか
同じように全く違う人間の半生を語りだすのだろうか
それこそが自分の求めていたものであり、過去の自分を自ら否定・抹消するのだろうか
そんなのは嫌だ
私は自分の経験を誇りを持って生きていきたい
嫌だけれど、自分の本心すらわからないポンコツな自分が今ここにいて・・・
この自信を回復するのはどうにも容易にはいかないらしい
今の自分が本当の自分かどうかはもはや同じような環境にならなければ判明しないだろう
だから少なくとも今自分ができることすべてを、一つ一つ大事に積み重ねていくしかない
これから見るもの、聞くもの、すること、感じること・・・大事に丁重に扱えば、それは体に染み付いてきっと『自分』になるのだと思う
そう信じて日々を大切に過ごそうと思う
前述の人はもう私が誰なのかはわかっていない
名前はおろか、自分との関係性も忘れてしまった
でも忘れられてしまったことを私は悲観はしない
会うたびに『かわいいね』と言ってくれるその言葉の中にこの人の真実が残っているから
愛情が変わっていないことを実感させてもらえるから
こんな真実を一つでも多く握りしめたまま私は旅立ちたい
いや、そうする努力を惜しまない
これは別段相手を騙してやろうとか、自分を飾り立てようとかそういうつもりは全くなく、今の本人にとっては事実である
話す内容に悪意は微塵もない
一日のうちで何度もその状況が変わることもあるが、少なくとも話しているその瞬間、その話に矛盾点は見えない
だからそれが正しいか正しくないかは初めて会話をした相手には全くわからないくらいである
ただ真実を知っている人間だけが複雑な心境になる
『なぜそんなことを話すのか』
では、本当の過去・・・実際にその人が歩んできた時間は一体何なんだろう
今語っている過去が本当になりたい自分なのだろうか?
この現象を目の当たりにした時、私は正直鈍器で頭を殴られたような衝撃を覚えた
その人が実に自信満々に生きてきたと私の目には少なからず見えていたからだ
これまでの経験に誇りを持って生きているように見えたからだ
これを自分に置き換えて考えて私は恐怖を感じた
『今の私は本当の自分なのか』
そんな誰にでもわかる簡単なことがわからなくなってしまった
これまで私は自分の気持ちに正直に、自分が求める道を自ら選んで進んできていると思っていたし、現状後悔もしていない
が、それが本心であるのかどうかの自信がぐらついてしまった
というのは前述の人の物の考え方は非常に自分によく似ているとずっと感じていたから
私が同じ状況に陥ったとき、私は過去の自分をどのように語るのだろうか
同じように全く違う人間の半生を語りだすのだろうか
それこそが自分の求めていたものであり、過去の自分を自ら否定・抹消するのだろうか
そんなのは嫌だ
私は自分の経験を誇りを持って生きていきたい
嫌だけれど、自分の本心すらわからないポンコツな自分が今ここにいて・・・
この自信を回復するのはどうにも容易にはいかないらしい
今の自分が本当の自分かどうかはもはや同じような環境にならなければ判明しないだろう
だから少なくとも今自分ができることすべてを、一つ一つ大事に積み重ねていくしかない
これから見るもの、聞くもの、すること、感じること・・・大事に丁重に扱えば、それは体に染み付いてきっと『自分』になるのだと思う
そう信じて日々を大切に過ごそうと思う
前述の人はもう私が誰なのかはわかっていない
名前はおろか、自分との関係性も忘れてしまった
でも忘れられてしまったことを私は悲観はしない
会うたびに『かわいいね』と言ってくれるその言葉の中にこの人の真実が残っているから
愛情が変わっていないことを実感させてもらえるから
こんな真実を一つでも多く握りしめたまま私は旅立ちたい
いや、そうする努力を惜しまない
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