ミル姐さんのカフェ



アニメ演出家を生業にしている兼業主婦のたわいない呟き

『今更人に聞けない座談会』を終えて

2012-04-13 12:30:58 | 仕事
アニメ業界懇親会『今更人に聞けない座談会』、昨日無事終了しましたので、その感触等を残しておきたいと思います。長いので、お時間のあるときにでも読んでいただけたらと思います。

まず、今回のイベントの概要から

アニメ業界人、関係者限定の座談会を昨日、14:00~16:00、都内某所で行いました。会費は当日徴収のの900円。
平日なのは幹事である私の個人的な都合によるところが大きく、ご迷惑をおかけしました。14:00
という設定は、業界時間は一般企業に比べて始動が遅いので、このくらいの時間なら仕事前に立ち寄ることができるのでは・・・というトコロを狙ってみたのと、日中はレンタルスタジオが安い価格帯なので、会費を最小限にできるという理由です。
25名の方に応募頂き、当日仕事の都合が合わず来られなかった方が数名。しかし、場所は意外とギュウギュウになってしまいました。
参加者の役職は、演出・制作・作画・撮影・仕上げと様々で、配分もいい感じにばらけていましたが、残念な事に美術さんは一人もいらっしゃいませんでした。
男女比も若干女性が多かったように見受けられましたがほぼ半々だったと思います。
飲食物はわずかばかりこちらで用意させて頂きましたが基本当人持ち込みで、結果ものすごく余ったという(^^;)
集まった人達で普段疑問に思っている事を投げかけてみんなでそれぞれの思惑を言い合うような、自由な会合です。
本当は多少議論がぶつかり合って仲裁に入るくらいのことも想定しました(笑)が、皆さん非常に穏やかに礼儀正しく話されて、大きなトラブルも無く終了しました。
準備期間が殆どなく色々到らない点も多くありましたが、1回めとしてはまずまずな感触かな、と。続けるにあたってはブラッシュアップが必要ですので、今後はもう少し準備から丹念にやろうと思います。

さて、私がこの会を企画した理由は二つ程あります
一つはセクションごとの相互理解があまりに乏しいと感じたこと。
一般の方々ももはやご存知かと思いますが、アニメーションは分業作業。制作・脚本・演出・作画・美術・仕上げ・撮影・編集等それぞれのセクションのプロが自分たちの役割分担の責任を担って一つの作品を作り上げて行きます。(このセクションもさらに細分化されていますが今は割愛させて頂きます)
上記の通り、それぞれのセクションがそれぞれのプロなのですから、他のセクションに比べ自身の仕事に関して知識が豊富なのは当然です。逆を返せば他のセクションの人が知識が浅くても当然。
なのに、それを知らない事を悪として頭ごなしに罵倒するような(説明ではありません。あくまでも罵倒です)文面や口論の現場をみる事が年々増えて来たように思え、不安になったのです。
これは、それぞれのパート同士でコンセンサスがとれていないことが原因なのは明らかです。
流れ作業的な傾向のあるアニメ業界の作業の中で、全てのパートを集めてディスカッションをする時間は殆どありませんから、コンセンサスがはかれないのも無理は無いでしょう。
それらの意見をまとめる舵取り役としても演出は機能しなければいけないのですが、そういう作業が得意な人ばかりではありません。
一つの綻びを修繕している間に他の綻びがどんどん大きくなってしまうこと・・・私もよくあります。
みんな一つの作品を作り上げるために終結した同胞で、仕事内容の違いこそあれ上も下もありません。
知識が乏しい事で見下し、まともな会話を持たないのは仕事の妨げでしかありませんし、知識がないことを理由に相手に丸投げし、知識を増やす努力をしないのはただの仕事放棄です。どちらにもいいことはまるでない。
ちょっとした話し合いでお互いのストレスが軽減できるのであれば、その話し合いの現場を設けるのが一番建設的ではないかと思った次第です。

もう一つは私自身が演出なので演出のことになりますが、アニメ演出をやるにあたって基本的に習得しておかなければならないスキル(センスとかの問題ではなく、方程式のようにアニメを作る上では必ず必要になってくる知識)を習得しないままうやむやに演出を続けていて、現場を混乱させた上自身もパニックになっている人を目の当たりにしたことです。
しかし、この例だけではない筈です。私にも聞くタイミングを逸してしまった疑問はありますし、私の先輩にあたる方々も、デジタルに移行してシステムが変わってからこういう問題は増えて来たのではないでしょうか。
これは、こういった些細な疑問を解消できる環境(育成システムがあったり、経験値の高い先輩が身近にいるなど)になかったり、本人のプライドが高すぎて『知らない』と言えずにきたり理由は様々あるでしょう。いずれにしても放置していい問題ではありません。
前者にせよ後者にせよ、普段会うきっかけのない人達の前でなら、何か解決策が見いだせるのではないかと考えました。それがこの会合のタイトル『今更人に聞けない座談会』の発端です。

今回の会合は広く色々な環境から応募して頂けるように、わざと漠然とした情報を流してみました。かなり試験的でしたが。
あまりにも怪しげな呼びかけなので、躊躇された方も多いかと思いますが、遠くからもこうして集まって頂けたので、こういう集まりは必要とされているんだという実感を得る事が出来ました。
今は全てのパートを抱えている会社さんも少なくなく、『うちは各部署ひっくるめて意思疎通ができている!』とおっしゃる経営者さんもいらっしゃるかもしれません。
また『作品ごとの打ち上げで他のパートの方とも十分話しているから大丈夫』・・・と斜めにご覧になる方もいるでしょう。
しかし、それでは不十分であると僭越ながら言わせて頂きます。
今回の会合の一番の収穫は、『自分が現在置かれている環境が、制作現場の全てではない』ということを、参加者の皆様に実感して頂けたことだと思います。
我々はフリーであっても意外と行動範囲はそれほど広く無く、知らず知らずのうちに視野が狭くなっています。
他の環境を知る事により、今自分たちが何に恵まれ何が足り無いのか考えるきっかけになると思いますし、それを考えることが、仕事に対しての意識責任感に結びついていくのではないかと私は思います。
なので、私が今後企画するこういった会合は、まったくの新人の方(入社1年未満)の参加をお断りすることにします。
理由は、『一年未満では自社のシステムの善し悪しも把握しきることが難しいから』です。善し悪しの判断もつかない状態の所に新たな情報を詰め込んでもそれは刷り込みでしかなく、自身の判断とは言い難いからです。
仕事は自分の人生を大きく左右する重要なファクターですから、方向性は自分で選びとって自分の手で切り開いて欲しい。
この集まりで得た物を持ち帰り、自ら会社のシステムを変えるもよし、他の組織に移るのもよし。ただし自己責任でやることが絶対条件。その条件をクリアできると判断される方のみ参加して頂きたいです。

あと私個人では新人さん対象の講義形式の業界説明会などを開くことは多分ありません。
私個人の知識レベルで業界のことを語ってそれを鵜呑みにされるようなことがあっては先輩方に申し訳がたちませんし、講義形式のイベントをやってらっしゃる方は他に団体でも個人でもたくさんいらっしゃいます。
好きな教科はスルスルと入ってくるのに嫌いな教科は全く覚えられないのと同じ事で、興味のある人の言葉以外は語られても耳に入りづらいし、身につきにくいでしょう。
今はインターネットという便利なツールもありますから、自分が教えて欲しい人の講義を探す事も容易にできますので、限られた時間の中で、自分に最も必要な情報を選びとって頂けたらいいと思います。
私がそれらのイベント情報を手に入れたら拡散しますし、イベントのお手伝い等は普通にやります。
万が一私個人に聞きたいことがある方がいれば、ツイッターや掲示板等で答えられる範囲でお答えします。
ただ、講壇に立って話をするのが私向きじゃないようなので、今後も少人数のゆるっとした集まりを企画することになると思います。
一回の募集人数が少なくても、参加された方が今度は幹事になって活動を広げて下さったり、仕事場で他のスタッフの方に話して下されば、大規模なイベントと同じ効果が得られると信じています。

今回の一番の反省点は場所が細長すぎてせっかく集まって頂いても二つに分断された形になってしまったこと。

次は『今更人に聞けない座談会~和室で車座になってアツアツ!~』でお会いしましょう
皆様のご参加、お待ちしております。



ここから先はイベントを企画して幹事をやってみようと思われた方へのちょっとしたヒントです

今回仕事の隙間にふらっと参加を見越して、『JR線主要駅が最寄りの、駅から徒歩5分の場所』を優先条件で探しました。あとは飲食できるようキッチン付き。
この条件の中では恐らくもっとも安いスタジオだと思われます。
場所を借りる際は設営撤収まで含めての時間借りることになりますので、倍の時間借りているとお考え下さい。
上記の会費は会合の時間分のみご負担頂いている状況ですので、すべてを会費で賄うつもりであれば会費の額か、立地のいずれかを考え直す必要があります
駅から離れれば安いスタジオは結構有ります
自治体の会議場等は非常にリーズナブルに借りる事ができますが、飲食物の持ち込みが禁止されていることが多いので、イベントの内容によって使い分けるのがよいかと思われます
その他何かご質問あれば、メインHPのメールマークからメールでどうぞ
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3 コメント

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スキップ・ビート! (Morgan)
2012-05-07 16:07:48
On behalf of the American population and the Love of the Anime Skip Beat aka スキップ・ビート!- we were all wondering if we should continue to have hopes for a Season 2? or are we should we all allow our dreams to die. As much as we love the manga, nothing says a good time like an anime. If you could just let us know if there is atleast talk about スキップ・ビート!season 2, that is all I ask. I know petition's have been going around, so I'm hoping to find out if it's all in vein. Thank you.
Re:スキップ・ビート! (Kiyoko Sayama)
2012-05-07 18:11:00
Thank you for staying as the fan of Skip Beat!.
I would also like to make a season2.
However, for that purpose, many staff's power is required.
My being able to do it individually is only continuing conveying this "desire to make a season2" to a production company.
Once, many fans did the signature-collecting campaign.
I am very glad, if the zeal reaches a production company and a second season is realized.

The round-table talk which I planned this time does not offer the information on my work.
It is difficult to reply to each question also by this blog.
Please ask each production company the information on a work.
Skip Beat! (Morgan)
2012-05-08 12:42:21
Thank you so much for replying.

I'm going to relay this message to as many forums as I can and I will do my best to contact production companies and get fans to also contact them as well. I'll send them the petition and with such a HUGE fanbase that Skip Beat has, and how it is still GROWING, I'm sure we will catch someones attention.

As fans, we have to stick by the best works that we all know should be finished. Keep up the amazing job, and just know that you have fans talking about your work each day!!

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