私はヤゴです

水中から地上へそして空中へ飛び立つ人生を

19  北京五輪考(Ⅱ)

2008-08-27 13:49:04 | weblog
第29回夏季五輪北京大会(北京オリンピック)は、8月24日男子マラソンを最後に全ての競技が終了、国家体育場での閉会式とともに17日間にわたった「中華民族100年の夢」は終幕、2012年のロンドンに引き継がれた。
スポーツの祭典としてはこれほどまでに世界的規模で、壮大、華麗、躍動、感動を極め、アスリートや見る人をしてひきつけ夢中にさせてくれる大会は、オリンピックをおいてほかにない。兎角、勝敗やメダルの色、数等現象ばかりに関心が及んだが、インフォーマルの部分では中国共産党の国威発揚を主眼に政治的な思惑から数兆円の金をかけた上、あらゆる問題を中国当局が力ずくで押さえ込み、オリンピックの一点に国力を結集させた感がしないでもない。
巨大施設建設のための住民や労働者への強制処遇、チベット・ウイグル族らの弾圧と活動家の除去、各地への「文明応援隊」の大動員、世界報道陣への厳しい報道規制等々全体主義国家の威力の片鱗を見た思いがする。100個のメダルを獲得したその陰には、恐らく国家が管理関与したことは容易に想像できる。この事態を英フィナンシャルタイム紙は「独裁主義の新時代の到来か」「偽装五輪」(BBC)と皮肉り、米学者もスポーツの国家管理制度を批判している。
80年に旧ソ連で行われたモスクワ五輪は、独裁国家であったばかりにその後孤立を深め、内部分裂を起こしソ連崩壊へと繋がっていった。北京五輪は民族問題等さまざまな問題を残して閉幕したが、これからの中国や国交のあり方など示唆に富むものがあったかしっかりと見極めたい。