私はヤゴです

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17 医療事故は聖域?

2008-08-21 15:49:19 | weblog
女性に帝王切開手術を行った産婦人科医(40)が、業務上過失致死の罪などを問われた裁判で福島地裁は昨日(8/20)無罪判決を言い渡した。
この裁判、今まで医療界は一貫して猛反発してきた。明白な医療ミスではなく、通常の医療行為の過程で発生した結果について、医師が逮捕されたり刑事責任が問われるようになったらまともな診療が出来なくなり、将来産科医のなり手がなくなる、というのだ。
過去2年余、司法試験を通った検察官と片や医師試験を突破した医師らエリート達のプライドをかけた構図が全面対決という形でこの裁判が展開されてきた。
このケースばかりではないが、産科医の不足に拍車がかかる一方、これまで数多くの医療事故を隠蔽してきた医療界への不信感も患者側には根強い。
今回医師の逮捕に関して医師会をはじめ100を超える医療系団体から、捜査に抗議する声明が出されたが、医療ミスによって死の結果が出たのであれば、どのような立場のものであれ刑事責任が免責されるものではないことは当然だ。医師不足と免責とは別次元の問題であって、医療界の事故は聖域だと勘違いされては困る。
そうは言っても、医療事故の原因究明は高度な専門性を有することから、刑事裁判にはなじまない声も聞かれる。だとするならば、刑事捜査に優先して専門家らが原因究明する組織「医療事故調」(医療安全調査委員会)を早急に立ち上げ、機能させるべきではないだろうか。それさえも出来ずに司法界と医療界とが面子をかけて争っているだけでは、被害者の死や遺族の意思は抹殺され、医療事故の再発防止にはつながらない。