垂木(たるき)は、屋根の斜面にそって下側に並んで屋根を支える部材のことをいうようです。分類するために、3つの視点があるようです。一つ目①は、垂木の並び方で、平行垂木(平行)、扇垂木(軒先の方が末広がりにひろがる)、隅扇垂木(軒の隅だけが末広がりになる)です。次②は、垂木の間隔で、繁(しげ)垂木(間隔が狭い)、疎(まばら)垂木(間隔が広い)、吹寄(ふきよせ)垂木(規則正しく、狭い広いを繰り返す)です。3つ目③は何段に重ねられるかで、一軒(ひとのき)垂木(1段)、二軒(ふたのき)垂木(2段)、三軒垂木(3段)です。以下に、水戸で見た主な形の垂木のいくつかをご紹介します。
①平行+②繁+③二軒 本法寺別院(河和田町4382-100)
寺社の偉観を示すために、こういった垂木をほどこすことが一般的なようです。ここでは、垂木の先端に錺(かざり)金物をつけています。
①平行+②疎+③一軒 酒門神社(酒門町94)
あまり規模の大きくない寺社では、この形が多いようです。酒門神社は、宮内町吉田神社の別宮だそうです。
①平行+②繁+③一軒 孔子廟(三の丸1-6)
一軒の繁垂木は、数がすくないようですが、孔子廟では見ることができました。
①平行と扇+②疎+③一軒 芳賀神社(栗崎町1677)
これは珍しい形のようで、拝殿正面側は平行垂木で、側面は扇垂木です。水戸ではここだけで見ました。
①扇+②繁+③一軒 祇園寺(八幡町11-69)
祇園寺境内にある、開山の東皐心越(とうこうしんえつ)がもたらした、穢跡金剛尊天(えしゃくこんごうそんてん)を納めたというお堂の垂木で、全体的にかつての形をある程度残しているようです。
①扇+②繁+③二軒 仏性寺(栗崎町1984)
国の重要文化財である八角の本堂は、二軒の扇垂木になっているようです。
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