
ベートーベンの遺作と言われている「さらばピアノよ」というピアノ曲があります。
この曲に関してはいろいろな説がありますが、現在ではベートーベンの友人であった作曲家アントン・ディアベリがベートーベン最晩年の弦楽五重奏の為のスケッチの楽想を編曲して「さらばピアノよ」というタイトルで出版したものという説が有力です。
楽譜も出版されていますが「ベートーベン作」となっていますね。
とりあえずどんな曲か聴いてみてください。写真をクリックするとyoutubeへアクセスできますので。
なかなかキレイな曲で「ピアノとの別れ」のイメージはあまりないですね。
ところでなぜ「さらばピアノよ」かと言いますと、我が家を37年前に新築した際に、地下の「音楽室」の主役がヤマハのG-3Eというグランドピアノだったのですが、今回耐震補強のため全面的にリフォームするにあたってこのグランドピアノをはじめ、母親の形見であるアップライトピアノや私がエレクトーンの指導5級を取得した際に日夜練習したエレクトーンのE-800という3段鍵盤の楽器をまとめて手放すことになったのです。
具体的にはアップライトピアノとエレクトーンは「無価値!」のため売り渡しどころか運搬費用や処分費用が発生してしまいますので、これ以外のエクセルシャーの最高級120ベース37鍵盤などのアコーディオン2台やヤマハのシンセサイザーDX-7、ティアックの38cm/s_2トラックの10"オープンデッキ、アイワのリボンマイク(ベロシティーマイク)3台、ソニーのプロ用マイク3台、フォステクスの双指向性マイク2台その他機材数点を付けて差し引きわずかのプラスで引き渡すことができました。
もちろんその価値の中心はこのグランドピアノなのです。
私が物心ついたときには我が家に「ピアノ」という楽器がありました。それは私の母親が高女時代に音楽の先生から「歌が上手」といわれたので、自分ではまったく弾けないのに「嫁入り道具」として箪笥や鏡台ではなくピアノを親にねだり、将来自分の子供たちに習わせたいと思ったようなのです。
そのため私も姉も小さいときからピアノ教室に通わされたのですが、姉が先に脱落し、私も続いて教室を辞めてしまいました。
そのアップライトピアノは第二次大戦時に父親の勤務先(当時は日本電興、その後東芝電興から東芝セラミックス、さらにコバレントマテリアル、クアーズテック、日本重化学工業と社名が何度も変わっています)のあった山形県西置賜郡小国町に疎開したときにも貨物として持って行き、終戦に伴いふたたび東京に持ち帰ったのですが、よくあの時代に輸送できたものと今でも感心しています。
37年前に我が家を立て直すに当たって、本来でしたら処分すべきだったのかもしれませんが、まだ母親も健在でしたのでなんと狭い仮住まいにまでこれを運んで行き、その後持ち帰りました。こんな重たい楽器をよく何度も動かせたものですね。みんなが若かったとは言え・・・
この結果、建て直した我が家にできた「音楽室」にはアップライトピアノと新規購入のグランドピアノの2台が揃いましたが、当然ながらアップライトは次第に見向きもされなくなりました。
一方、「四十の手習い」で始めたエレクトーンは9級、8級、7級、6級、42歳の1982年には演奏5級さらに指導5級とトントン拍子にグレードアップしたのですが、(演奏グレード5級の証書の方が指導グレード5級証書より小さいですね)
演奏5級受験時にそれに対応した楽器が自宅にないと受験が難しいという問題が起こり、止む無くグレード試験対象機種の一つであったE-800を購入しました。実際にはワンランク下のE-700でもよかったのですが、E-800が珍しい「三段鍵盤(37鍵、49鍵、49鍵)」のモデルでしたので差額を払って上位機種を購入しました。
でもピアノと違いエレクトーンは3年ごとにモデルチェンジをしているのでせっかく購入した楽器も数年で「タダ同然」になってしまうのです。その結果ほぼ同時期に購入したグランドピアノは中古品としての価格が付けられるのに対してエレクトーンは逆に「処分費用」がかかってしまいました。
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37年前の1980年(昭和55年)当時は「三層住宅」という住宅が珍しかったこともあっていろいろな雑誌や週刊誌さらにはNHKのシンポジュウムまでいろいろと引用されました。
ここではそのうちの3誌の記事をご紹介しましょう。
まずは1981年5月1日発行の「住宅新報」の記事です。それぞれの写真をクリックすると大きなサイズの画面が現れます。
このときはまだエレクトーンの購入前で、米国のウーリッツアーのスピネットオルガンを弾いていました。
続いてこの6年後に出版されました2冊「書斎の本(1987年2月10日発行)写真右」と「週刊サンケイ(1987年5月7日号)」の記事です。
まず「書斎の本」の記事です。ウーリッツァーに代わってエレクトーンが置かれていますね。
まだワープロ全盛期で、オアシスのワープロが頑張っています。ちなみにこのワープロで「ワープロ検定2級」を取得したのですが「計算尺技能検定2級」とともに存在価値がなくなりました。
子供たちもしっかりと大きくなっています。
そして「週刊サンケイ」の記事です。「鉄骨を二重に」は間違いで、正しくは「鉄筋を二重に」です。
以上が代表的な紹介記事ですが、いずれも主役は「グランドピアノ」と言えましょう。
2台のピアノとエレクトーンは地下室でこんな位置関係で設置してありました。写真をクリックすると大きな写真になります。
なお、母親の形見のアップライト・ピアノは現在では珍しい85鍵となっていて最高音のB♭7、B7、C8の3音がありません。
こちらがグランドピアノ(もちろん88鍵)の最高音付近の写真で
こちらは珍しい85鍵の最高音部です。
ついでにピアノ88鍵(実際には52個の白鍵だけですが)のA4=440Hzのときの12平均律における振動数 (Hz) を下記に示します。パイプオルガンを除けば現存する楽器では最も音域が広い楽器と言えますね。
よく言われる「中央のC」というのはこの図のC4(A0から数えて40番目の鍵)のことで振動数は261.6Hzとなります。
この振動数はA4=440Hzのときに低音から高音まで正確に12平均律で調律した場合の値ですが、実際のピアノでは倍音との協和性を考慮して低音側はわずか低めに、高音側はわずか高めに調律するようです。
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実は1週間前に大きなクレーン車でピアノとエレクトーンの引き取りに来て貰ったのですが、我が家の前が狭くて駐車できないことと、我が家の車庫に古いオートバイが置いてあって動かせないことがわかったため、改めて本日、小形のクレーン車を使っての引き取りとなりました。
早速グランド・ピアノのラッピングが始まりました。
続いて横にして脚をはずし、ソフトな材料での梱包がおこなわれました。
いよいよ運び出しです。
ピアノをおいてある半地下室から表に出て階段をあがり車庫の足元まで二人がかりで運びます。
慣れた仕事とはいえこんな重たい楽器をわざか二人で運ぶのは驚嘆に値します。
ここからクレーンで吊上げるのですが、ちょうど夏ミカンの木にクレーンのアームが触れるため、まだ青いミカンの実が容赦なく頭上に落下してくるので迷惑をかけました。
吊上げる様子は下記の写真をクリックすることで動画に飛ぶことができます。
続いてエレクトーンの搬出です。グランドピアノと違って「無価値」なのでラッピングしただけの簡易梱包です。
これも吊上げます。やはり画面をクリックすると動画になります。
最後は母親の形見のアップライトですが、こちらも「無価値」のためラッピングのみとなっていました。
これもクレーンで吊上げました。グランドピアノやエレクトーンのような重量級を2台扱ったあとのためか「軽いな!」という反応でした。これも画面クリックで動画になります。
次はクレーンを畳んで荷台へのアップライト積み込みです。
続いてグランドピアノを積み込みました。
でもこれで荷台はほぼ満杯です。
もう余地がないのでエレクトーンは車庫に置いたままなのに荷台を閉じてしまいました。
どうするのかと心配していたところ、エレクトーンを台車に載せもう1台のクレーン車が駐車している駐車場まで雨の中を押していくとのこと。
わずか1時間ちょっとという手際のよい作業で、地下室はガランといたしました。
「搬出前」「搬出後」のパノラマ写真です。いずれもクリックすると大きな写真が現れます。
エレクトーンのほうは一応指導者の資格までとれたのはよかったのですが、現在はまったくの「無価値」、これに対してグランドピアノは「中古」としての価値が僅かに残っているのですが、それでも購入価格との差額に見合う活用ができたかは大変疑問のあるところです。
事情があるにせよ、売り払うことは寂しさが残ってしまいます。
それとも・・サッパリ!って感じでしょうか?
オイラだったら 寂しい! 方になりますね。
書籍や手で運べる楽器・機材でしたら思ったときに処分できるのですが、さすがにグランドピアノや大型エレクトーンとなると私の手に負えない存在なのです。
子供たちに遺しても活用できるわけではなく持て余すだけでしょうから、たまたま自宅の耐震補強リフォームを行うにあたって決断した次第です。
結構な購入価格でしたがそれに見合うほど活用できたとは言い切れません。
エレクトーンのほうはそれでも教師の資格を取得できましたが、ピアノは趣味の段階で足踏みですので楽器に対しても申し訳ない気持ちです。
ピアノを勉強したくても買えなかったり、音が出せないアパート住まいのミュージシャンもたくさん居る中で、これだけの楽器を置いて音が出せた幸せを噛み締めております。
あのころはお互いに若かった(って当然ですが・・・)
ところで来月のオハナ・パーティーには期待しておりますのでご準備のほどよろしく!
よろしくお願いします。
ピアノやエレクトーンはもちろん愛着があるのですが、これまたやむを得ないこととあきらめています。
どうも誤解していたようです。私はてっきり廃材と錆びたトタンを利用してMATTさんが自作した家とおもっていましたよ。
まさかお隣のゴージャズな家を借りて撮影した写真ではないですよね?(ん?そういえば写真の隅っこにトタンが見えるような・・・)。
楽器が消えた地下室は寂しいでしょう?こんどこの場所を借りてオフ会もいいかもしれません(勝手に決めるな?)。
ピアノの運送は大変な仕事ですね。大分前に知人が戸建てからマンションに移り、Upピアノの移動を依頼しました。10階建てマンションの最上階でした。電話で依頼すると、まず「エレベーターはありますか」と確認されました。10階ですから当然あります。「では大体***円くらいです」と見積額が提示され、承諾しました。
で当日、大変なことになりました。エレベーターはあったものの、大変古いマンションです。入口が狭いのと奥行きがないため、どうしてもピアノが入りません。やむを得ず、二人がかりで階段を使って上げて行ったそうです。途中2,3回休んでは運んだとか。嫌味を散々言われ、仕方なく見積額に1万円上乗せして支払ったようです。
今では考えられませんが、古いマンションだとこのようなケースもあるようです。
ホンモノのピアノではなく電子ピアノが普及し始めたのも住宅事情と電子技術の進歩のおかげかもしれませんね。
もっとも「腐っても鯛」でホンモノ志向は根強いとは思いますが。