米原万里の「愛の法則」 (集英社新書 406F)米原 万里集英社このアイテムの詳細を見る |
久しぶりの読書。ようやく涼しくなり読書の秋だね。
さて、米原万里。彼女が昨年亡くなったとき、大変ショックであった。彼女は私と同じ年、しかもなぜかその妹(井上ひさし夫人)の学生時代を知っている、などということもあった。当時の世の中、学生運動の余波の時代。米原万里氏の親は米原いたるといって当時の共産党の国会議員。彼女らは大学受験の外国語はめずらしくもロシア語で、姉妹の喧嘩はロシア語でする、など学生の中でも有名であったからだ。男社会の学生運動のセクト間の論争でも民青系の目立った存在だったからだ。おまけにその有名さは、後に姉はテレビでずばずばものをいい、妹は井上ひさし夫人(離婚後の再婚した夫人)となったから一層、増幅された。
米原万里氏の発言は、そんなルーツを反映はしているが、その筋に特有の臭さというか、決して押しつけ的なものではなく自らの信念に基づくものであり、小気味良いものであった。だから私もその密かなファンであったのかもしれない。
さて、その彼女の亡くなる前の講演録。やはり、実に小気味よい。女性もこのくらい自由でなくちゃ!と思う。男と女、セックスに関心を寄せた青春時代。<な~んだ!男とおんなじじゃないか!>と思いつつ笑ってしまう。その違いもしっかり分析。生物学者、負けてますぞ!そして、真骨頂の国際と通訳業とコミュケーションを巡るメッセージ。明快だ!本質は自分の頭を使え、という一点。それはただただ大量に本を読むことから生まれる、という。死してなお、このように彼女のメッセージを聞きたいと思う人はそういない。
改めて合掌。