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楽学天真のWrap Up


一語一句・一期一会
知的遺産のピラミッド作り

たそがれのカーチェイス

2007-04-12 01:47:16 | 人間
先週のわくわく興奮実話です。

あ~、疲れた。調査を終えた。
「さ、これらから温泉へ行くぞ!」
四国の古い田舎町、やっと車がすれ違うことのできる細い道。
我れらが優秀なドライバー院生は、止まった。
すれ違い時の原則、<避けるに容易な方が動け、さもなくば相手を動かせ>を確実に実行している。
相手は下がらない。
<あれ?後ろに広場があるのに?>
運転手後ろの席にいたヒメネズミは、すれ違いさまに、どろんとした目の運転手の顔をはっきりと見た。
バリバリバリ!
「うわ!やりやがった!」
皆、後ろを振り向く。
相手の車が、そのまま走り去っている。
「???なんじゃあれ!止めろ!逃がすな!」
助手席にいた、猿のように俊敏な柴猿君は一気に飛び出し、追いかけた。
「おりゃ!待て!止まれ!こら!」
猿叫である。
しかし、敵は曲がり角の先へ消えた。
柴猿君、全力で回転数を上げても、コンパスの長さの宿命には勝てなかった。
「車を切り返して追え!」
優秀ドライバー君は、切り返し、追い始めた。
曲がり角で柴猿君を拾い、
「どっちへ逃げた?」
「右へ曲がってーー」
「よっしゃ!いた!あれだ!」
相手の車はまた走り始めた。
そして、たそがれのカーチェイスがはじまった。
敵は狭い田舎町の路地裏のような道を逃げ回る。
ブブ!ブブブ!
クラクションをいくら鳴らしても、止まらない。
明らかに逃げている。
「くそ!意識的当て逃げだ!許さん!」
「路地から人が飛び出すとやばい!気をつけろ!」
「相手のナンバーが見えるところまで近づいて、写真だ!」
「そうだ!110番だ!」
その時、私の脳裏には、昔カリフォルニアで、私らの側がおしゃべりをしていて追突した時のアメリカ人の対応が浮かんだ。
相手は決して車から出てこなかった。電話をしている。そしてすぐにパトカーがやって来た。にわかに相手が出て来て、冷静に処理された。私らはボディーチェック。(とほほ。なんせ、アメリカでは皆、鉄砲を持っている。汚いアジア人が4人も乗っていたら恐れられるよな、と思った。その時運転していたのは今では極めて有名なこの業界の教授なのだが)。

私には相手の車に何人乗っているのか、気になった。カリフォルニアの時とは逆だ。
正義は我らに有り!しかし、屈強なおじさんが複数いて、居直った時、まずい!

110番がつながった。
電話の向こうで、叫んでいる。
「とにかく2重事故を避けてください!深呼吸をしてください!」
<ん、こちらの判断と一致している。その冷静さはある。>
やがて敵は、人里離れた海辺への道へと我々を引き込んでいる。
相手は何人いるか、まだ確認できない!
日はもうとっぷりと暮れた。
<やばい!人のいない暗がりに引き込んで、居直るつもりか!>
「いま!どこですか!」
110番の向こうから叫ぶ声が聞こえる。
しかし、よそ者の我らには、わからない。説明できない。
<まずいぞ!>

つづく


コメント
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