楽学天真のWrap Up


一語一句・一期一会
知的遺産のピラミッド作り

熱中・「釣り教授」とよばれて 

2006-07-15 18:47:37 | 教育
 今から十数年前まで、私はとある地方大学にいた。私は日本も世界も実に多くのところに住んだり、旅をしたが、最も楽しかったとこでもある。まだ大学に教鞭の職を得て、さほど年月が過ぎてはいない時である。研究や教育以外で最初に熱中したのが「釣り」。
 北海道から突然、南へ。大学院の学生の時に結婚した妻も私も道産子。スーパーへ行っても魚がわからない!妻はなじみのある鮭の切り身を買ってしまう。高い、まずい。
 赴任した大学で教職員「釣り大会」が行われた。釣れる!釣れる!それも魚屋に並んでいる魚!
「おお!これはなんという魚?どうやって料理するの?」
私は童心に帰り、大興奮。ドッサリ入ったクーラーを持って帰って自慢げに妻へみせた。料理法までとくとくと説明した。それから、週末のスーパーでは二人して地元の魚を買うようになった。
しかし、それらの値段はその釣りのときのえさ代、針代を考えると高い!
「ん、これは自分で釣らねば」と思った。実はそれは仕事以外にのめりこむための表の口実。本当はとにかく楽しかったからである。
 それから、釣り三昧の日々が始まった。最初は週末だけであった。週末が近づくと寝ても覚めても釣りのことを考えている。時間があると本屋で釣りの本。釣り屋でしかけを見て回る。水族館へいって魚の生態を探る。--
徐々に、釣り熱はエスカレート。週末はついにテントで、まだ幼い長男とおなかの大きい妻を伴い、釣りへ出かけるようになった。長女が生まれても赤ん坊を連れて、レジャーは海と釣りと決まっていた。
 釣りは早朝が勝負、おまけに週末の家族のケアも両立させる。その手だてはキャンプ。キャンプは学生のときからの得意技。
釣れるとまた釣りたくなる。釣れない時は、「次は釣ってやるぞ!」となり、無限に続く熱中の連鎖。ついに、週末だけではなく仕事の日々もやるようになった。
 朝、夜明け狙いの朝釣り。朝、汐があがってくる日などはもう我慢できない。朝満づめ(アサマズメとその地では呼んでいる)。大学の講義のある日には8時半まで帰ってこなければならない。
3時起床。1時間車を飛ばし、釣り場へ。
<夜明けが近い!急がねば!> と50km制限を100kmで飛ばし、追い越し。あわや絶体絶命、正面衝突か!てな場面もあった。
2時間釣って、トンボ帰り。そしらぬ顔で講義をする。
「先生、随分日に焼けましたね。運動ですか?」なんて、同僚や学生に言われる。
「まーね、そんなもんだね」
食いついたときの引きで、魚の種類も大きさもだいたい分かるようになった。「キス」の連鎖つりでは、何匹かもわかるようになった。いよいよ挑戦は夏の「チヌ」。あまりにも暑いのと、最高の釣果は夜ということで、夜も釣りをするようになった。
電気浮き、夜のえさ。
釣れに釣れ、1時間で15匹のことも。これを「入れ食い」という。
 この頃大学でも学生の間に知れ渡り、「釣り教授」と呼ばれるようになった。
私は<時間外で自分の趣味としてやっている、なんの問題もない>と心の中で居直りつつ、研究や教育への熱中ではないことに対する心の痛みもあった。
 そこで、いっそのこと、<一緒にしてしまえ!>と思った。
集中合宿セミナーを釣り場に近い海辺で、行うことにした。
朝と夜は釣り、どうせ釣れない昼間は徹底勉強。経費節約のため、合宿は自炊。釣果はおかず。
うまく行けば全てが楽しみなる、釣りにのめり込んでいる後ろめたさも消える。
男子学生に、やはり釣りにはまっている奴もいるので、彼らに学生の釣り大会を組織させる。女子学生や男子学生の中に料理を得意とする奴もいるので、料理係。なんの芸もない学生はセミナーの準備と夜の宴会の準備、などと勝手に役割分担。大宴会つきの寝る暇のないセミナーとなった。
 ヘロヘロ不眠合宿セミナーは毎年の恒例となった。そのセミナーの子達は今、その地で多くが小.中、高の先生になっている。その大学を去る時に、学生達は私に数万円もするカーボンロッドをくれた。私の釣り竿は、いつもバーゲンの安竿であるからと。落涙。
 その時、私の移った大学は海も遠く、本当の教授になってしまったので時間もなく、そのカーボンロッドは一度も使うことなく今でもケースに入ったままである。ごめんなさい。釣りへの熱中はもはや遠い時代の思い出となってしまった。
 しかし、そこでの「釣り」への熱中が私の人生を決定づけることとなった。「釣りと一期一会」、そのうちまた記そう。
 
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多重熱中

2006-07-15 17:00:50 | 生活
熱中症で人が死んでいる時に「あなたの熱中していることは?」なんてうますぎるね。お題の設定。

仕事ほかがめちゃくちゃ忙しいけれど、一番力が入っているのはブログと表個人サイトの更新。
このサイトは匿名の方が言い易いことを記す。ペンネーム楽学天真。
個人サイトは仕事+アルファでの熱中事項のこと。実名 ○●××。

気がついたらデジカメをぶらさげいつもネタを探している自分がいる。一昨日までの仕事で行ったワシントンでも一緒にいった人たちに「お、お上りさんをやってるね」などといわれてしまった。たったお上りさん時間は2時間であったが。(写真はワシントンD.C.ケネディ記念館前の群像の一部:多重熱中の顔:勝手につけた題)
ちょっと仕事がおろそかになっているかもしれないと思う時もあるが、Webを充実させ、ブログでいろいろ展開することが急がば回れかな、と勝手に意義付けしのめり込む。

指導すべき学生をしばらくほったらかしだが、教授がいま何を考え忙しくしているかもわかってもらえるとも思う。ごめんなさい学生諸君。

Webサイト+ブログ熱中は、ただし、あくまでもあまりにも多くのやりたいことをを整理するための手段。

職業でもある研究と教育の交通整理。
リアル「ドラマ人間模様」の交通整理。
自然に感動する自分のこころの整理。
人間の作り出した芸術に感動する自分の心の整理。
お庭の花たちの生き様の切り取り。
などなど、お!目一杯!多重熱中だ!
時間をくれ!

やりたいことにのめり込みこむことを「熱中」と定義する。研究に熱中すれば突き抜けます。
なんてね。説教臭いな。でもそこに熱中できないときは他のことに熱中していいんだよ。いいかげん飽きると、研究をしたくなる。私、楽学天真は義務感ではのめり込めないわがままな性格で、そんな人生を歩み続けています。

そこで、私の過去において、研究以外で「はまって熱中してしまった事例」を1つ、次回で紹介することにしよう。
(つづく)
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こころと彫刻

2006-07-15 01:51:40 | 芸術
 ワシントンD.C. 12日。会議は午前8時半開始。しかし、時差で目が覚めたので、ホテルを朝6時に出て、歩いてホワイトハウス裏の場所まで行くことにした。ケネディ記念館前からポトマック沿いにリンカーン記念館、NSFや国務省、ホワイトハウスと2時間かけて到着。その途中には数々の彫刻がある。英雄彫刻が街に散りばめられているのがアメリカであるが、その中に見事にこころを切り取り、見るものを引きつけるものがいくつもある。
 写真はケネディ記念館前の群像。じーと眺めていると、いろいろな心が見えてくる。
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