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楽学天真のWrap Up


一語一句・一期一会
知的遺産のピラミッド作り

ウルトラ・ダラー「読後感」

2006-04-18 18:08:09 | 時評
 隙間時間に読んだ北朝鮮の偽ドルサスペンス小説。なりもの入りの宣伝の割に読後の後味が良くない。
数奇な運命の人を描く小説としても浅い。もちろん事実をえぐり出すドキュメントでもない。最後の場面はサスペンスのハイライトであるが、そこに至るまでが冗長である。何か消化不良にあったような読後感である。
はっきりとドキュメントであった佐藤優「国家の罠」と比べてしまう。
時の話題を取り上げた題材のため、期待しただけに残念である。
 私としてはめずらしく、negativeから入らざるを得なかった読後感である。
作者の手嶋さんとはある種の関係があるのだが、手嶋さん、ごめんなさい。
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学会の権威の崩壊

2006-03-22 22:49:45 | 時評
 学者の集まり、またはその道の専門家の集まりを学会という。私もさる筋の学会の長を仰せつかることとなっているが、今、日本中でこの学会の権威が揺らいでいる。大規模に発達するインターネット時代、一部の情報の独占や、その権威づけられた発信はもはや立ち行かなくなる、と見られているからである。ブロードバンドネットワークの実現により、またたくまに情報が世界を駆け巡り、かつ双方向の情報のやり取りを実現しているので。最初の情報が少々歪んでいても、あっと言う間に修正され、正確な情報となる。いま盛んに賑わっている、通信とメディアとの加速する融合の動きなどを見ると明らかである。ホリエモンには先が見えていた。ただ、ちょっと焦りすぎた。

 学会のお家芸であった、論文を掲載する学術雑誌はいまや大変貌を遂げつつある。最近大きな話題の完全公開、無料電子ジャーナルは、最初の投稿から修正過程が総て公開であり、知的所有権を一見すてる形(無料公開)で、実は知的先取権を強く宣言することとなっている。学会の今後のあり方は、価値ある情報発信源としての役割とともに、情報伝達のやり取りのハブとしての機能をどう強化するであろう。

 情報の価値のあるところに、人はお金を投資する。そのような経営的視点なしの、専門家のサロンとしての学会は、ほどなく淘汰されていくであろう。 

 中曽根内閣の宣言によって、今や世界中に溢れ出た日本の博士たち。その人たちが研究に職を得られないと分かった時、専門知識を生かして、そのような情報産業を各分野で作り上げた時、明治以来のサロン的学会は消滅していくに違いない。むしろ、そのような流れこそ、古い学会を「守る」ことより重要であるのかもしれない。 若者たち、奮起せよ!君たちの時代である。
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大学教授もさらしものー外部評価。

2006-03-17 17:01:36 | 時評
最近、大学では外部評価というものが盛んである。第3者には外からよく見えるらしく、なかなか鋭い指摘をされる。大学教授は象牙の塔に住んでいて、誰からも批判されず、安住する時代は遠い昔。peer reviewといって同じ専門家による評価を受ける。しかも、共同研究者や同じ大学で働いていた人は、仲間であり、利益相反と見なされ、排除される。大変ではあるが、なかなか良い仕組みである。教授達はあたかも面接試験の時のように、緊張して望む。その姿は、学会で発表するときより、はるかに緊張しており、なかなかおもしろい。学会発表では批判に対し、居直ったり、ごまかしたりして、時間をやり過ごし、発表後、皆の見ていない会場の隅で、「いや、鋭いね、そこは実はまだわからないのだよ」などと言い訳をしたりする。しかし、外部評価では変な居直りは、逆効果。「この教授ないし教室はものごとが分かっていない。大幅な改善が必要である。」などと評価される。すると、それは強烈な圧力となり、研究なり、教育なりの改善につながる、と期待されている。数年後にまた、繰り返されるので、評価が気に入らなくても、それに対してきちんと対応することが求められるのである。しかし、その評価をする人が、間違った指摘をすると、強烈な反発が生まれ、評価をした人こそふさわしくはなかった、ということになる。アメリカマイナーリーグの審判と同じですね。こんな仕組みが、日本でははじまったばかりであるが、20年くらい続け、うまく機能すると、大学はよくなるね、きっと。
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