goo blog サービス終了のお知らせ 

楽学天真のWrap Up


一語一句・一期一会
知的遺産のピラミッド作り

地球温暖化対策アメリカに変化?

2006-12-29 06:56:36 | 時評
 昨日の朝日新聞の夕刊にアメリカのホッキョクグマ絶滅危惧種指定がのっていた。 そこにスピッツベルゲンのシロクマの写真が載っていた。私はその島で、調査のために3ヶ月ほど滞在したことがある。その島からも氷河が消えてしまうのか!と思うとこの地球温暖化というのはすざましいことなのだと思ってしまう。

 アメリカでは国立大気研究センターが2040年までに北極から氷が消えると発表し、一昨日紹介したアメリカ地球物理学連合大会でのゴアの取り扱いといい、科学の成果が、経済や政治の論理を変えつつあるかに見える。ブッシュは「地球温暖化はほんとかどうかはわからん」といい、それを科学のせいにしていた。

 それに対して日本の地球環境の研究は相変わらず、「環境対策」が重点である。根本的に地球を理解し、グローバルな環境変動ー短期から地質学的時間スケールを含めた長期までーを問うものへの投資が少ない。アメリカとは逆の意味での経済の論理が極めて強い。昨日記した地球科学的つっこみへの投資が驚くほどないがしろにされているのではないだろうか?

 「ゴミを出すな」「汚すなキャンペーン」はもちろん大事であるが、この地球を愛する心を根本から養わなければ「地球環境問題への対策が定着したことにならない。その意味でも人類の中でこの地球を最もよく知る人、それは地球科学者たちである。
 私も自分の専門は環境と関係ないやと思っていた。しかし、「地球のメタボリズム」ー全地球的な物質とエネルギーの循環・代謝ーを考えると本当に深く深く結びついている。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

帰路

2006-10-05 20:30:58 | 時評
 ワシントンからの帰路、マイレージアップグレードでビジネスクラス。往路はアップグレード待ちでぎりぎりゲートでアップグレード。足は完全に伸ばせるし、エコノミーとは別世界。これで手持ちマイレージは使い果たしたのでしばらくはまたエコノミーだな。とほほ。
 ところで帰路は北朝鮮が核実験声明直後。4席程度しかない一番前のファーストクラスの席に、「あれ?小池百合子ではないか?」という人がぎょろとした目で座っているではないか。配られた新聞を見ると、小池安全保障担当首相補佐官、ワシントンでこの問題でも会議とある。「そうか、その帰りか」。フライトアテンダントがこちらには挨拶にこないのに、幾人かに挨拶して回っている。ビジネスクラスにはどうも外務官僚とおぼしき集団が、散らばっている。
 14時間フライトの真ん中当たり。眠くておまけにワインを飲んでふらふらしている時、ファーストクラスのカーテンの向こうから小池百合子が誰かを探しまわりビジネスクラスの席へ下ってくる。「うえ!ついに北朝鮮は実験をやったのか?!」と思ってしまう。しかし、一般人にはニュースは一切入らない。ネットで試そうとしたが、つながらない。
 そして到着。ニュースを確認しても実験実施は思い過ごしであった。そして小池百合子先頭の外務官僚集団は、別口から消えていった。ん!なかなかの美人ではあるな。しかし、夜中に下ってきたときの顔は少々疲れ、年齢相応ではあったかな。
そういえば、往路はかの堺屋太一夫妻が乗っていたな。ワシントンはやはり政治家が日常的に出入りしている、確かにワシントンの首都なのだね。
さ、明日から日常。それにしてもワシントンはさわやかな秋であったのに、日本は雨か。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

原点にかえんなさい

2006-07-12 23:20:29 | 時評
いま、会議でワシントンD.C.にいる。泊まっているのはwatergate hotel.このホテルはかつて大統領であったニクソンが、辞職に追い込まれることとなったあの悪名高い「ウオーターゲイト事件」の舞台であった。しかし、なにか見かけ倒しである。値段はべらぼうである。
<この料金でこの程度?西海岸ならヒルトンだぞ>
とにかく疲れたので部屋へいって、横になりたい。
<よしよし、インターネットのケーブルは来ている>
と、飛行機が飛んでいる間に飛び交っているであろうメイルを処理しようとおもった。
北朝鮮の国連安保理での制裁決議の行方も気になるし。
しかし、つながらない
変だ変だと思い、一緒に来た人に聞くと、それはサファリだからだめだという。
では他では、と試してもだめ。
そこで、フロントに聞くと、そこの部屋は今、つながらないのだという。

<なに!ウオーターゲート事件って、世紀の大盗聴事件だろう!?
ここのホテルってどうなってんだ?>
と、ちょっと腹が立つ。

でも、アメリカのホテルではサービスの悪さと文句を言った時の対応の悪さ、を幾度も経験しているので、立腹に抑制がかかる。
<あ~あ。またかよ。若い時はどやしつけて、部屋を変えろ!といってケンカしたもんだな。
そういえば、掃除した後であるはずなのに、従業員の男女が密かに使い、とんでもない状態の部屋にチックインさせられた時もあったな。ベットの下にいやがらせにガラスの破片をばらまいていたところもあったな。それに比べればまだましか、でもそれって安ホテルの場合だよな?ここは4つ☆、きちんと抗議しよう>と思う。

そこで感情を入れず静かに抗議することにしよう、と決める。
「ここって☆☆☆☆だって、ガイドブックで。それってお金でなくてサービスだよね。たかが$10いらないから、っていいわけになっていると思う?速攻で直すのが4つ☆サービス。このままだと評判落ちるよ。ネットで」とメモを書いて証拠を残すことにした。

さて、そこで気分を取り直して時差ぼけ解消のために、少々散歩。会議は明日から。
さて、一歩でると、銅像がある。この手の銅像は好きなので。
<これって、誰かな?>と思い、眺める。

<おお、いいこと書いてあるじゃないか!>
「他者の権利を尊重することが平和である。メキシコの民からアメリカの民へ」
Bento Juarez (1806~1872)
 これって、時代は日本の幕末だね。その頃のアメリカは独立はしていてもまだまだ内紛で南北戦争だ、メキシコとの戦争だ、そして西部へ西部へという時代だね。メキシコは負け組だったけれど、こういう人がいたんだね。これって今のアメリカへ返したいことばだね。
歴史において、大きな戦争の後には、大量に人が死ぬので反省が生まれる。そしてもう二度とイヤだと思う。その時に教訓とすべき美しきことばがのこる。

しかし、人は忘却の動物。

 こんな美しきことばの後ろで人の権利を侵害する盗聴を率先してやり、表ではベトナム戦争にどんどん兵士を送り、敵も見方も大量に死においやった。最後には大スキャンダルで大統領を首になったんだからね。人間の歴史は懲りずに同じことを繰り返してきた。

いまも、そしてこれからも。

そうそう、こちらへくる飛行機の中で映画を2本見た。
あの「明日の記憶」とディズニー版「南極物語」。
前者はまさに人間讃歌。後者は最低。パクリの上に、陳腐。本物の日本版「南極物語」と比べるまでもない単なる娯楽映画。もうこの嘘は楽しめない年になってしまった、とちょっと寂しい気もするが。(中部時間10日記)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大学サロン

2006-06-19 15:50:10 | 時評
さて、秘密の話。
いま、ある教授を決めるための人事が進行している。それぞれの思う所が異なり、結論へと収束しない。もう1年半以上会議を継続している。繰り返すことほぼ20回。1回の会議がだいたい2時間半。参加している教授は8名。教授の給料は年収を時給換算にすると約5千円。従ってこの会議のための税金の消費は1回につき、10万円。これまで20回とすると、会議だけで既に200万円を使っている。それに候補者の様々なことを調べる時間をコスト換算すると、同じだけ時間を使っているので、倍の経費、すなわち400万円~500万円程度は既に消えている。
これで決まらなかったらどうなるのか?国民の血税が、若者で言えば一人分の年収が消えていく。確かに教授を決めることは、この分野の将来にとって極めて重要であるが、もっと気楽に決めて、数年~10年程度経過して、研究、教育において適切でなかったら、変えられるようにすることの方がいいのではないの?このような気の遠くなる議論をやめ、即断即決とまで行かなくとも、さっさと決めるだけで、就職先がなく喘いでいる、あらた優秀な若者を一人や二人救える経費が出る可能性があるのだから。大学人の議論好きも、世の中を考え、ほどほどにした方がよい、と思う昨今である。Time flys and time is money!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

負を正へ

2006-06-14 08:50:02 | 時評
今週に入り大学へ戻ったとたんの大問題は、定員の削減問題。
5%削減は具体的数値として、ほとんど全ての国立大学に求められている。しかし、生首を切ることはできない。ということは、今後長期にわたって、教授などの新たな採用ができないということになる。一方で, 中曽根内閣以来の大量博士生産計画で、すでに多くの有能な博士が生まれ、世界に日本国内に30代のポスドクが溢れ、定職につけずにいる。この深刻な現状は国の将来をどうするのか、ということと結びつき出口のないジレンマの中にある。このような時代、「役に立つ」ことを目的とする理系、すなわち工学、農学、薬学、医学などはまさにその目的に突き進めば良い。しかし、私たちのような「知る」ことを目的とする数学や理学はこの矛盾の最中にある。すぐには「役に立たない」しかしそれは百年先への見通しであり、こころの安らぎでもある、「知る」作業をないがしろにする社会は必ず必ず滅びる。生産に役に立たないとして自然をないがしろにして人類はどれほど苦しんだか、そのことに似ている。花を見て、こころを和ませ、自然の中で生気をもらう。美しい絵を見て音楽を聴いて感動をもらう。短時間では「知る」という作業はそのことと同じ位置にいる。しかも、それは未来へとつながるのである。
大学という知の殿堂は、この問題にこれからしばらく苦しめられるであろう。負を如何に正に転ずるか、そのことが問われている。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする