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「脳が冴える勉強法(築山節)」という本はオススメ!

2012年09月07日 01時00分00秒 | 
<金曜は本の紹介>

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 この「脳が冴える勉強法(築山節)」という本は、貴重な時間を勉強だけに費やすのではなく、うれしいことや楽しいことを積極的に取り入れ生活をより充実させるために、脳の性質に即した「無駄のない勉強法」について分かりやすく説明した本です。

 第1章では、脳が冴えている状態を体を動かすなどで計画的に作り出し、冴えている時に新しい課題に取り組み、そしておさらいをすることが有効ということ等について説明があります。また、脳を休ませることや、褒美をあげることも大切とのことです。
 第2章では睡眠が大切ということ、第3章ではノート術や読書術、第4章では反復訓練等による脳の効率化、第5章では子どもの脳の育て方として幼少期は感覚系、小学校中学年くらいから運動系、そして最後に思考系を育てると良いこと、第6章では目標が大切など大人の勉強法についえ説明があります。

 効率的な勉強のためにとてもためになる本で、とてもオススメです!!

以下はこの本のポイントなどです。

・脳が冴えているのは、どんなときでしょうか?それは一つには、体をよく動かした後だと思います。散歩やジョギングをした後(あるいは、その最中)に思考がまとまったり、良いアイデアが浮かんだりする。友人と楽しいおしゃべりをした後に、頭の回転が速くなったように感じることもあると思います。これは、運動によって、脳全体によって、脳全体に血液が廻りやすくなるためです。動物である人間の脳は、体を動かすことによって働きを高めているところがあります。体を動かすことによって、体の活性度を高められるし、このとき同時に、脳の活性度も高められる。私は、勉強に関する脳の使い方について質問されたとき、まず次のようなことを申し上げています。「人間の脳は機械ではなく生体の一部ですから、体を動かすことによって、働きを高めていることが大事です。ところが、勉強は基本的に、椅子に座って、止まってするものですよね。そうすると、勉強する時間が長くなるほど、止まっている時間が長くなる。止まっている時間が長くなるほど、脳の働きは落ちてくる、という悪循環に陥ることがあり得てしまうんです。だから、勉強をするときには、運動とセットで考える方が良いですよ。」

・脳が冴えていると自覚しやすい2つ目のパターンは、作業的なことをした後かもしれません。たとえば、机の片づけをした後に、その前よりも勉強に向かいやすい状態になっている。あるいは、簡単な計算問題をたくさん解いているうちに、脳の回転が加速したように感じる。これは「作業興奮」と呼ばれる、よく知られている原理です。「クレペリンの作業興奮」と呼ばれることもあります。

・脳にとってご褒美は、成功体験であり、感情の「快」である、ということになります。自分であまり自覚していないかもしれませんが、机の上にある不要なものを一つ捨てる。簡単に解決できた。これも脳によっては成功体験であり、感情の「快」です。また一つ捨てる。簡単に解決できた。次は本を棚にしまう。また解決できた。そういう風に、手を動かして作業をし、小さな成功体験を得る。それを繰り返すことにより、小さな「快」がいくつも連続的に得られていく。それが報酬系の一部である側座核を刺激し、軽い興奮状態を起こさせるものです。難しい作業にしてしまうと、こうはいかないでしょう。しかし同時に、脳は変化に対応することによって活性度を保っている面もありますから、いつまでも同じ作業を続けているのは良くない、と考えてください。机の片づけをしたら、次は5分でできる程度の書類書きをする。それが終わったら、次は簡単な勉強をして、本格的な勉強に入っていく。そうやって、変化をつけながら作業を連続させていくと、作業興奮による脳が冴えている状態はつくりやすくなります。

・緊迫感や切迫感が脳に興奮をもたらし、活性度を跳ね上げるのです。この性質をもっと意図的に利用するには、どうすればいいか。「時間の制約」が重要ということになります。たとえば、先ほどの簡単な作業にしても何時間かかってもいい、という考えで始めてしまうと、効果的な作業興奮は得られなくなるのでしょう。どうしても、だらだらしはじめると思います。そうではなく、時間の制限を決めて行う。たとえば、朝8時から勉強を始めると決めておく。今は7時30分。30分間で、この作業とこの作業をやってしまうおう。そういう「時間の制約」を設けて、時計をにらみながら作業をする。そうすると、適度な緊迫感や切迫感にも味方してもらえ、短時間でも十分な作業興奮を得やすくなります(刻々と時間が減っていく様子を視覚的に捉えやすい、アナログの時計や砂時計を使うとベターでしょう)。また、その後で始める勉強にしても、時間の制約がある方が捗りやすいと思います。たとえば、朝8時から勉強を始めて、9時には家を出なければならない。制限時間は1時間。その間にここからここまで終わらせる、という風に「時間」と「量」の関係がはっきりしてくると、緊迫感や切迫感が生まれやすくなり、脳が冴えている状態を維持しやすくなります。

・勉強の効率を高めたいときは、勉強だけを考えるのではなく、生活全体を見直すことが大切です。脳がよく働く状態があって、はじめて勉強も捗るものですよね。勉強がよくできる人たちは、おそらく「脳を動かす生活」をベースとして持っているものだと思います。体をよく動かして、脳の活性度を高める生活。作業興奮を起こして、やる気を自分でつくる生活。時間の制約を自然に設けて、脳に緊迫感や切迫感をもたらす生活。そこに勉強を組み込んでいるだけだから、効率よく勉強するし、長続きする。反対に、勉強が捗らない人たちは、勉強だけを真面目に頑張ろうとしすぎているのかもしれません。

・脳の覚醒度を自分でコントロールするときの前提条件として、まず次の2点を頭に入れてください。
 ・覚醒度がピークの状態は、多くても1日2~3回しかつくれない
 ・覚醒度がピークの状態は、長くは続かない
 多くても1日2~3回というのは、たとえば、午前中に1回、午後に1回、夕方以降に1回という具合です。(ただし、これは少し贅沢な考え方で、私自身は1日2回つくれれば十分、と考えています)。長くは続かないというのは、あくまでも「ピークの状態」だと考えてください。私は、そのピークの状態は基本的には1~2時間続けば良い方だと考えています。ここで誤解しないでいただきたいのは、「1回1~2時間しか勉強できない」という意味ではない、ということです。大切なのは、そのピークの状態が必ず勉強時間の中にあるようにすること。また、脳にとって負担の大きな勉強をピークの状態に合わせるようにコントロールすることです。脳にとって負担の大きな勉強とは、端的にいえば、「新しく取り組むこと」です。新しく勉強する単元や一歩進んだ応用問題。そういう新しい課題に取り組むとき、脳は新たに「稼動するネットワーク」を構築していかなければなりません。これをつくっていく作業が、すでに構築されている「稼動するネットワーク」を対応させればいい勉強をしているときより、脳にとって負担が大きいのです。その勉強を「脳がもっとも冴えている時間帯」を活かして乗り越える、という発想が有効だと思います。

・勉強を次の3つのブロックに分けて考えてください。
 ・ピーク前の勉強(脳の覚醒度を上昇させる)
 ・ピーク中の勉強(覚醒度がピークにある状態を活かす)
 ・ピーク後の勉強(覚醒度の下降に合わせる)
 ピーク前にする勉強には、作業興奮的な役割を担わせたいところですから、なるべく簡単な勉強が良いでしょう。少なくとも「新しく覚えなくても、できること」をする。理想的なのは、前日にした勉強の復習か、その科目の基礎固めになるような勉強だと思います。勉強には「反復訓練」が絶対的に重要です。それをこのピーク前の時間を使って、脳の覚醒度を上げる目的も兼ねて行う。勉強を始める前からの流れで言えば、①体を動かして脳の血流を良くする→②片付けなどの簡単な作業を行って、第一次的な作業興奮を起こす→③前日の復習など「できる勉強」を行って、脳の覚醒度をピークに向かわせる、ということです。ただしピーク前の勉強を時間的にどれくらいにするかは、原則としてはあまり長くしないほうが良いと思います。長くすると、どうしても単調になりますし、疲れきってしまっては、元も子もありません。飽きない程度に、疲れすぎないように、短めの「時間の制約」を設けて行うのがよい、と考えてください。たとえば15分、30分といった長さでも、短すぎることはないと思います。

・脳の覚醒度がピークのときにすると良い勉強は、脳がもっとも高回転している状態を利用して、新しい課題、よりチャレンジングな問題に取り組むことです。このときに時間の制約を設けるべきかどうかは、柔軟に考えてください。

・ピーク後の勉強として理想的なのは、今日勉強した内容のおさらいだと思います。集中しているときには、どうしても全体よりも個に注目しがちになりますから、少し余裕を持って、ゆったりとした気持ちで全体を見直していく。テキストを改めて音読するのも良いですし、マーカーを引いた部分を拾い読みして、どんなことが書いてあったかを大まかに確認していくのも良いでしょう。一度解いた問題を丁寧に解き直してみるのも良いと思います。覚醒度が落ちてもいい段階ですから、時間の制約は必ずしも重要ではありませんが、勉強を終わりにする時間は決めておく方が良いので、そこに自然と制約ができるでしょう。

・脳の中の情報は、意識的に整理しようとしたときにだけ整理されているわけではないんです。自分では休んでいるつもりのときでも、寝ているときでも、脳は情報を整理しようとしている。むしろ、その自動整理の面が大きい。それを進ませるためには、情報を入力したり、考えたりすることをやめなければいけません。たくさん勉強する人ほど、休む時間も大切です。

・脳を休ませる、というのは、必ずしも何もしないことではありません。むしろ、勉強以外のことをしている方が「勉強する脳」は休められると思います。いちばん良いのは、運動や芸術鑑賞のようなことです。どちらも、思考系以外の部分を主に働かせる活動で、かつ、それをすることで、マイナスの感情を軽くできたり、癒しが得られたりする。友人と遊んだり、好きなことをしたりして、気晴らしするのも、もちろん良いでしょう。仕事や家事をするのも良いと思います。(ただし、容易には解決できないような難しいことをするのは、少なくとも脳の疲労回復には役立ちません。簡単にできるルーティンワーク的な仕事や家事が良い、と考えてください)。また、書く勉強をして疲れた後には、計算が主となる勉強をする、計算をする勉強をして疲れた後には、音読をする、という風に、脳の使い方を変えながら勉強することも、脳がリフレッシュされている状態を長く保つためには有効です。それに加えて、勉強時間が終わったら、まったく違うことをして、脳を休める。意識的に情報を入力したり、考えたりすることをやめ、脳に情報の自動整理を進めさせる。その活動と急速の繰り返し、緊張と弛緩のメリハリが大事だと考えてください。それはまた、脳を変化に対応させ、活性度を維持するためにも役立つことです。

・理想的なのは、勉強する時間を朝に持ってきて、出勤時刻を制約の大枠に利用することですが、仕事と勉強だけの生活を想定するのは、いかにも苦しいので、もっと楽しい予定と組み合わせることを考えていただきたいと思います。たとえば、積極的に、友人と会う約束をしたり、家族と団らんする習慣を持ったりする。マッサージやリラクゼーション、ジムトレーニングなどの予約を入れるのも良いでしょう。どうしても観たい映画があれば、観に行っていいと思いますし、テレビ番組も同様です。そんなことをしていたら、勉強する時間がなくなる、と思われるかもしれませんが、実際に、周囲にいる仕事や勉強が本当によくできる「冴えた人たち」を思い浮かべてみてください。彼らが、仕事や勉強ばかりしている、というのは考えにくいことではないでしょうか。むしろ、そういう人たちこそ、よく遊んでいるものだと思います。ある程度「勉強には使えない時間」があるからこそ、使える時間の制約が必然性を伴ったものになってくるのです。

・大人の勉強の報酬は、就職や昇給、資格の取得、社会的な評価や信頼の獲得など、最終的には社会から獲得してくるしかないものですが、特に勉強を始めた初期の段階では、勉強をしたからといって、何かが得られるわけではない時期が続くと思います。「できる喜び」もまだ十分には味わえない。この時期には、「勉強をした自分にご褒美を与える」ということが大切です。

・勉強や仕事に向かう意欲を、勉強や仕事の中でつくる必要はまったくないんですよ。うれしいことがあったから、勉強を頑張る。楽しいことが待っているから、仕事も一生懸命やろうとする。そういうプラスの感情が発生する機会を積極的につくっていくことが大切です。たとえば、9時からはDVDで観たい映画を観る。それまでの2時間は集中して勉強しよう、と考える。あるいは、週末に友人と旅行に行く。それまでにここまでは終わらせておきたい。逆算して考えると、1日これくらいは進めなければいけない。週末の旅行を楽しむためにも、毎日3時間、集中して頑張ろう、と考える。そういう「勉強と報酬の関係」+「感情のバランス」を自分なりに認識して、生活スタイルを確立していくと良いと思います。そして、その欲を満たす楽しむ時間が「時間の制約」に必然性を持たせている、という状態になるのが理想的です。

・たとえば、4時間の勉強を予定していたけれど、どうしてもやる気が起こらない、というときは、その4時間を「脳を休ませるために必要な時間」と考えて、「好きなこと」をしてください。買い物に行ってしまっても良いと思いますし、美味しいものを食べに行くのも良いでしょう。好きな人と会ったり、仲の良い友人とおしゃべりしたりするのは、すばらしいことです。そういう活動をしても脳は疲れるのではないかと思われるかもしれませんが、勉強をする脳は休められる。そういう「好きなことをしながら、脳を休める」ということが、やる気が起こらないときには特に大切です。そもそもの勉強計画を立てるときに、そういう日ができることを計算に入れておくのがベターだと思います。

・私がどうしてもやる気が起こらないときによくするのは、明日の自分をアシストするようなことです。「今の自分には、仕事や勉強を大きく捗らせることはできない。しかし、明日やる気になっているかもしれない自分を少し手助けすることはできる」。そう考えて、資料の整理だけはしておいたり、問題が10個あるうちの1個だけは解決しておいたりする。要するに、やる気がなくてもできることで、負担が物理的に少しでも減ることをするのです。それだけでも、明日の自分は、より気持ちよく仕事や勉強を始められます。毎日同じように頑張ろうとするのではなく、長い目で見て、活動の山と谷を上手につくっていく。今日の自分だけで考えるのではなく、明日の自分も明後日の自分もいるのだという認識を持つ。それが、やる気の起こらない日を乗り越え、勉強を長続きさせるポイントだと思います。

・視覚的な集中と拡散の実験をしてみましょう。部屋の中でも、窓の外でもいいですが、風景の中の一点(たとえば、部屋の中にある観葉植物や外に停めてある車など)の細部をよく観察してみてください。この植物には葉っぱが何枚あるか、それぞれどんな形をしているか、といったことに注目していく。このとき同時に、風景全体を見る、ということができるでしょうか?おそらく、できないと思います。全体に注意を向けようとしたときは、一点に集中することができなくなっているはずです。つまり、脳には次のような面があると考えてください。
 ・注意の向け方には「集中」と「拡散」がある
 ・「集中」と「拡散」を同時平行的に行うことはできない。
何でもないことのようですが、これは意識しておいて損のない脳の性質だと私は考えています。集中力がないという人は、この集中と拡散の切り替えが下手な場合がよくあるのです。前述の実験では、視覚的・聴覚的な注意の向け方について実感していただきましたが、集中と拡散の切り替えは、脳の使い方全体について言えることだと考えてくだあい。たとえば、「今日やらなければいけないこと」や「やりたいこと」全体に注意を向けながら、同時に一つのことに集中することはできない。できるのは、今日のスケジュール全体を拡散的に見渡してから、今やるべき一つのことに集中する、それが終わったら、またスケジュール全体を拡散的に見渡す。その切り替えをスムーズに行っていくことです。

・仕事や勉強を始める前に、机の片付けやカバンに入っている物の整理をすると良いですよ、とお勧めしているのですが、その理由を次のように説明しています。「もし、管理能力に優れた面倒見の良い上司がいて、今やるべきこととやらなくていいことを明確に判断した上で、「今はこれだけ頑張ってほしい」と言って、その仕事に必要な道具だけを机の上に載せてくれたら、迷わずその仕事に集中できますよね。仕事や勉強を始める前の片付けや物の整理は、その上司の役割を自分ですることでもあるんです。」机の上やカバンを拡散的に見渡して、今必要でないものは片付け、必要なものだけを残す。そうしたものの整理をしているとき、脳は1つ1つの「やるべきこと」や「やりたいこと」の重要度や優先順位を判断しています。それを行っていないから、注意の向け方が拡散に切り替わりやすい、という面があるのです。また、集中が拡散に切り替わるきっかけになるものを視覚から消すことで、集中を持続しやすくなる、という効果もあります。

・夜寝る直前にする「今日得たもの」の確認は、復習のためではなく、自分が獲得した報酬を確認することが主目的です。それをより有意義にするために、自分のしたことをできるだけ肯定的に評価するように心がけましょう。たとえば、予定通りに勉強をこなせなかったとしても、少しでも進められた自分を評価する。もし、まったく進められなかったときでも、「こういう日も脳には必要だ」と考えて、納得する(実際に必要です)。日中、脳が覚醒している時間帯には、自分を甘やかすべきではありませんが、寝る直前には、「肯定的な評価」というご褒美を脳に与えてください。

・どんなに勉強が大切な時期でも、社会生活はそれ以上に大切なものだと私は考えています。人間は社会的動物だからです。十分な睡眠と食事を心がけ、できるだけ生活のリズムを安定させる。また、社会との関わりを大切にし、家族や友人たちとの関係も大切にする。そうすることが、結果的に、感情のバランスが取れた状態や必然性のある「時間の制約」を脳にもたらし、覚醒度を上げやすい、意欲を起こしやすい状態をつくります。普段はなかなか意識しにくいことですが、脳が存在している最大の目的は「生きるため」です。生存にとって重要なことを蔑ろにしていると、脳を上手く使えなくなってくる、ということをぜひ理解していただきたいと思います。

・食事をした後には、少し体を動かし、脳に血液を巡らせ、次ぎに作業興奮を起こしてみる。単調な作業を続けた後には、まったく違うことをして、脳を変化に対応させる。それでもまだ眠く、実際に睡眠時間が少なかったときに、仮眠をとるようにしてください。仮眠の時間は、根拠のある具体的な数字を出すことは難しいですが、最近よく言われている「15分の仮眠」は、私も良いと思います。一つの理由は、そのくらいの時間であれば、深い睡眠に向かうサイクルに入ることはないだろうと考えられるからです。

・私は「深夜に勉強するのは効率が良くない」と考えています。最大の理由は、深夜に勉強すると、脳がより疲れやすいからです。たとえば、一般的な社会人や学生の生活時間帯(つまり、早朝から夜10時くらいまでの間)に合計4時間勉強するのと、深夜に4時間勉強するのとでは、どちらが疲れやすいか。同じ時間睡眠を取ったとしても、おそらく後者の方が疲れやすいと思います。疲れやすいというよりも、疲労が蓄積されやすい。深夜から早朝にかけて勉強して、その後、寝るのだとすると、日中の活動時間が減ることになります。そうすると、セロトニンが不足しがちになる。セロトニンが不足しがちになると、眠りについにくくなるだけでなく、感情が乱れやすくなります。感情が乱れると、それを抑えるために脳のエネルギーを使わなければならなくなって、余計に疲れる。一つには、そういう理屈です。また、成長ホルモンの問題もあります。成長ホルモンは、脳と体の成長と修復を促すホルモンで、通常、深夜0~3時頃に分泌されると言われています。なので、その時間帯は寝ているのが理想です。就寝できていなくても、少なくとも脳と体を休めている方が良い。その時間帯に、脳の覚醒度を上げて勉強しようとしていると、疲労が回復しにくくなります。そのため、デイタイムに活動する人と同じだけ睡眠を取ったとしても、まだ疲れている。深夜に活動する人たちは、どうしても、睡眠時間が長くなりがちなものではないかと思います。そのために、ますます1日24時間を有効活用することが難しくなる。

・記憶を強化するためには、次の段階を経る必要があります。
 ・確実に認識する
 ・確実に解釈する
そのためには、出力すること、自分なりの言葉でまとめることが大切だと、ここまでに書いてきました。ここにさらに、重要なことを付け加えておきたいと思います。1つは「記憶を多面的にする」ということです。見ただけの情報より、見て聞いた情報の方が忘れにくくなりますし、意味を解釈すれば、もっと忘れにくくなる。出力すれば、運動系でもその情報が捉えられるので、さらに記憶が強化される。記憶を強化するためには、反復することが根本的に重要ですが、このとき同時に、多面化することも意識した方が良いのです。

・1つ1つの記憶を強化する方法として、次ぎに付け加えておきたいのは、「情報を使う場面とともに覚える」ということです。文章、文脈、シチュエーションをたくさん覚えておくと、その情報はより忘れにくくなります。その理由は、一つには、よりしっかりと知識の体系に組み込まれるからですが、おそらくそれだけではないでしょう。私は、記憶が強化されるには「目的」や「必然性」といったものが重要で、使う場面を知ることが、その情報を覚える目的や必然性を強化することにつながるからではないかと考えています。記憶を強化する方法として、さらに付け加えておきたいのは、「感情を伴わせる」ということです。「へぇ、そうなんだ」「なるほど」「この単語は以前にも書き間違えたな」そういった感情とともに記憶した情報は、より忘れにくくなります。

・黙読だけで認識の省略を完全に免れることは、ほとんど不可能と私は考えています。認識の省略を免れるには、出力するしかありません。いちばん良いのは、本に書かれている内容を全文書き写すことです。認識せずに書き写す、ということは絶対にできませんし、書き写すには、脳の中に情報を一時的に保持する必要がありますから、それによっても、認識が強化される。小学校時代、名文と呼ばれるような文章を書き写しさせられた経験を持っている人が多いと思いますが、それは文章の構成や息づかいを学ぶために有効であるだけでなく、書かれている内容を確実に認識するためにも、非常に役立つことです。しかし、社会人や学生、受験生にとっては、全文を書き写すのは時間がかかりすぎ、現実的ではないでしょう。そこで、私がお勧めしているのは、音読することです。小さな声でもいいので、声に出して読む。全文音読するのがいちばん良いですが、少なくとも、「ここに書かれていることは、ぜひ頭に入れたい」「この章の内容はよく分からなかったな」と思った部分に関しては、必ず音読する習慣を持つと良いと思います。

・一度目は黙読する、二度目は音読する。三度目は、キーワードを拾いながら読むことを心がけると良いと思います。講義を聴くときのノートの取り方として説明したことと同じですが、「重要そうな言葉やフレーズ」+「これを書き留めておけば、後で記憶を再現する助けになるであろう言葉やフレーズ」を抽出しておく。その言葉やフレーズを欄外に書き出したり、丸で囲んだりしておくと良いでしょう。重要な言葉は何度も出てくる場合が多いので、まずはそこに注目すると良いかもしれません。次は、その拾い出したキーワードを元に、どんなことが書いてあったのか、大まかに思い出して、自分なりの言葉でしゃべってみると良いと思います。

・教科書に載っているレベルの基礎的な知識、定理や法則、構文、問題のパターンなどは、その科目を勉強する上で根幹になるものだと思います。どんなにハイレベルな問題でも、その根幹と無縁であることはあり得ないし、よくよく考えてみると、基礎の組み合わせにすぎなかったりする。その根幹の部分がすべて反射的に分かるように訓練されていれば、ハイレベルな問題でも、脳のエネルギーを使って考えなければならないのは枝葉の部分にすぎません。だから、大幅に省エネ化できる。反対に、基礎の反復を蔑ろにして、「何とか分かる」という程度で次の段階に進んでいこうとする人は、応用的な要素が増えれば増えるほど、意識的に操作しなければならない部分が大きくなっていくので、思考が続かない。枝葉の部分まで考えることに脳が耐えられなくなっていくと思います。だから、習熟が遅いわけです。

・試験の直前期にするべき勉強は、それまでに獲得した「稼動するネットワーク」を満遍なく使っていく勉強です。これは誰でも行っていることだと思いますが、過去問など、本番に近い形式の問題集をたくさん解いていくのがベストでしょう。また、それまでに使ったテキストやノートを見直して、どんなことを学んだのか、しゃべりながら再現したり、過去に解いた問題を解き直してみたりするのも良いと思います。弱点が見つかったときには、そこを集中的に勉強するのも良いですが、このとき少し気をつけていただきたいのは、弱点の克服に時間を費やしすぎない、ということです。人間は感情の動物なので、直前期に弱点が見つかると、どうしてもそこばかり強化したくなります。ところが、そうしている間にも、他の部分で「稼動するネットワーク」の風化が起こっているのです。結果的に、試験でより多くの問題を落とすことになるかもしれない。また、弱点ばかり勉強しようとしていると、「簡単にはできない」ことが多くなるので、意欲が起こりにくく、脳の覚醒度が落ちやすくなります。そうすると、勉強の効率も落ちてくる。得意な問題をたくさん解きながら、苦手なことも少しする、という方が、弱点の克服のためにも、かえって効率的だったりするのです。

・人間はある面で、脳に動かされているロボットのようなところがあります。脳の中に強い回路ができあがっているとき、人間はその回路に従って動いてしまう。しかし、人間が単なるロボットとは違うのは、その回路を自分で組み替えていくことができる、という点です。脳の中に、悪習慣を司る強い回路があっても「それに従わない」ということを意志的に選択して、自分にとってより有意義な行動を取ることもできる。そして、その「悪習慣の回路に従わない」という選択と「自分にとってより有意義な行動」を繰り返していくと、今度はそれにまつわる回路がヘッブの法則で強化されます。習慣を変えることができるのです。

・幼少期は感覚系(と感情系)、小学校中学年くらいからは運動系、いちばん最後に思考系を育てると良い。幼少期に、無理に体を鍛えさせたり、勉強させたりするのは、あまり意味のないことです。それよりも、感覚系の情報をたくさん入力させてあげると良いと思います。いろいろな音を聞かせたり、言葉を聞かせたり、いろいろな景色を見せたり、いろいろなものを触らせてあげたりする。そうやって感覚系を豊かに育てることに幼少期の脳は適しています。また、この段階の脳というのは、感情がむき出しのような状態になっていますから、安らぎを与えてあげることも大切です。端的に言えば、いちばん大事なのは、子どもが安心できる環境をつくってあげて、自分が「守られている、大切な存在だ」ということを感覚的に分からせることだと思います。次の段階として大切なのは、運動系の機能を高めることです。小学校中学年くらいから高校生くらいにかけて、体が急速に育っていくのと歩調を合わせるように、運動能力が飛躍的に高まります。この時期に、無理やりスポーツをさせる必要はありませんが、将来にわたって、自分の体を動かすことを苦にしない程度には、運動させることが大切と考えてください。自分の体をコントロールする力、運動を長く続ける力は、自分を律する力や長時間意識を働かせる力(集中力、持続力)にもつながりますそれを鍛えておくことは、後の勉強や仕事を捗らせるためにも有効なのです。また、運動をしていると、感情のコントロールもしやすくなります。

・子どもの脳を育てる順番として、最後に重要なのが思考系です。実はシナプスは減る一方ではなく、増える時期があります。特に重要なのは思春期で、このときには、思考系の中でも、特に意志や計画性、情動のコントロールを司る前頭葉の機能が発達しやすくなります。10代の半ばというのは、自分で目標を立てて、計画的に行動する力を高めはじめるのに最適な時期なのです。逆に言えば、その以前の子どもに、自主性や計画性を求めるのは、あまり有意義なことではないかもしれません。それよりも、勉強は楽しい(勉強すると良いことがある)と思わせてあげること、机につく習慣を身につけさせることのほうが、おそらく重要です。

・子どもの脳、特に思考系を育てる上でもっとも大切なのは、「話を聞いてあげること」だと私は考えています。

・遺伝子の導きによってつくられた脳のフォーマット=「やわらかい土」に、どんな「稼動するネットワーク」が形成されていくかは、環境と学習によって決まる、と私は考えています。ましてや、国語が得意か算数が得意か、文系か理系か、といったレベルのことは、ほとんど遺伝は関係ない(少なくとも決定的な影響はない)というのが私の考えです。

・私は、子どもの能力を決める要素としてもっと大きい(遺伝よりも、親の模倣よりも大きい)のは、「報酬系の導き」だと考えています。たとえば、作文をすごく褒められた子どもは、その「快」をまた得ようとして、作文を書きたがるようになり、得意になっていく。算数で100点を取った子どもは、また100点を取ろうとして、算数を頑張るようになる。そういうきっかけが大きいと思うのです。反対に「苦手なこと」「できないこと」「怒られたこと」は、不快な経験として記憶され、疎外するようになる。その後の膨大な蓄積が、得意科目と不得意科目を分けていくのだろうと思います。だから、「子どもがよくできたときには褒めてあげること」+「子どもの頃に苦手科目をつくらせないこと」は、とても大事です。

・子どもの脳にとって、もっと分かりやすい報酬は「できる喜び」「褒められる喜び」「反応してもらえる喜び」です。先生には、それをできるだけたくさん、子どもたちに与えてあげてほしいと思います。子どもたちは「できる」のがうれしいから、もっと勉強しようとする。「褒められる」のがうれしいから、もっと発言したり、問題を解いたりしようとする。「反応してもらえる」のがうれしいから、その行動を繰り返そうとする。これは大人でも同じですが、子どもの脳においては、その報酬系の原理が「勉強する意欲を起こさせる方法のすべて」と言っても過言ではないのです。

・大人の勉強は、明確な目標がないと長続きしません。最大の理由は、目標がない勉強は、報酬に結び付かないからです。最終的には、大人の勉強のご褒美は、社会から獲得してくるしかないものです。就職や昇給、あるいは、より恵まれた環境への転職、周囲からの感謝、信頼の獲得、社会的な成功。それを目指して、近づいていくときの満足感、達成感こそが、大人の脳に意欲を起こさせる報酬になります。

<目次>
はじめに
第1章 脳を目覚めさせる
 「脳が冴えている状態」をつくる
 臨床経験で気づいた「覚醒度」の重要性
 脳の覚醒をフル活用する勉強法
 脳の情報整理を進ませる「効果的な休み方」
 欲は抑え込むのではなく利用する
 「どうしてもやる気が起こらないとき」の対処法
 「覚醒度、意欲、集中力」に関するQ&A
  Q覚醒度の高い状態が5~6時間も続くことがある。そういうときは?
  Q脳がよく働いているのに集中できないときは?
第2章 脳を眠らせる
 気持ちよく眠りにつく方法
 「睡眠」に関するQ&A
  Q日中、眠いときは仮眠を取るべきか?
  Q深夜に勉強するのはなぜ良くないか?
第3章 思い出しやすい記憶をつくる
 私の医学部時代の勉強法
 記憶を強化する「まとめノート」のつくり方
 脳の中の情報は出力するときに統合される
 知識を確実に自分のものにする「読書術」
 「ノート術・読書術」に関するQ&A
  Qマーカーを引くときは、どんなことを心がけると良いか?
  Q習熟する必要はなく、速読したいときは?
第4章 脳の回路を効率化する
 脳は「記憶」や「能力」をどのように獲得するか
 「教科書を13回、繰り返し勉強する」の意味
 「脳の回路の効率化」に関するQ&A
  Q反復訓練するとき、どれくらい感覚を空けて繰り返すのが良いか?
  Q試験の直前期には、どんな勉強をするべきか?
  Q基礎が十分身に付いている人は、どんな反復訓練を行うと良いか?
 習慣も「ヘッブの法則」で考える
第5章 子どもの脳を育てる
 「子どもの脳」と「大人の脳」の違い
 脳を育てる「合理的な順番」
 思考系を育てるために重要な「親の習慣」
 能力はどこまで遺伝で決まるか
 「子どもの脳の育て方」に関するQ&A
  Q子どもの脳に即した「理想的な授業」は?
第6章 大人の勉強はどうあるべきか
 なぜ大人の勉強には「目標が不可欠」なのか
 「勉強の範囲」を限定すると意欲が起こる
 「大人の勉強」に関するQ&A
  Q英語は大人になってからでも身に付くか?
  Q英語を聞き流すだけでも上達するか?
 語学や特定のスキル以外で勉強するべきこと
 勉強する「時間と場所」をどう確保するか
あとがきに代えて


面白かった本まとめ(2012年上半期)

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