ブログ「教育の広場」(第2マキペディア)

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教育の広場、第26号、卒業式と国旗・国歌の問題

2006年03月07日 | 教育関係
教育の広場、第26号、卒業式と国旗・国歌の問題

(2001年02月21日発行)

 また卒業式のシーズンになりました。そして、君が代と日の丸でもめるシ
ーズンになりました。かつて都立高校に勤務していた友人の話では、このシ
ーズンになるといつも頭がいたく、気が重かったといいます。

 2年前に広島県の某公立高校の校長がこの問題に悩んで自殺したという事
件がありました。それをきっかけにして、眠っていた「国旗・国歌法案」が
眠りから覚めて、簡単に国会を通過してしまいました。つまり、今では日本
の国旗は日の丸であり、国歌は君が代だということなのです。

 しかし、その後もそれに反対する人々は多く、いろいろが事件が起きてい
ます。また、君が代と日の丸を推進する人々は、法律が出来たことで一層強
力にそれを押し進めているそうです。これは教育現場に強制しないというこ
とだったと思いますが、それは守られていないようです。

 (2001年)02月15日の朝日新聞によると、千葉県の高校生が教育委員会に
対して「卒業式での国旗掲揚・国歌斉唱を強制しないように求める請願書」
を出したそうです。私はこれは反対する方法として正しい態度だと思います
。ということは、私は実力行使には原則として賛成できないということです


 私は国旗や国歌の押しつけには反対ですが、ここではそれに反対する方法
について考えてみたいと思います。国旗・国歌法案が審議されていた時も多
くの人がそれに反対しました。しかし、高名な評論家から名もない人まで、
その法制化に反対し、その押しつけに反対するだけで、反対運動のあり方に
ついては黙っていたと思います。こういう態度は無責任だと思います。

 先にも述べましたように、この法案が眠りから覚めて出てきたのは広島県
の高校の校長の自殺がきっかけであり、その自殺には反対運動のあり方も関
係していたと伝えられています。もちろんそれだけではないでしょうが、か
なり理解のあったその校長に対して、理解があるからということで、県教委
の方針に従わないように団交で強要するようなやり方をしたことも一つの原
因ではあったと思います。

 人間は一般に「言いやすい人にだけ言う」という卑怯な性格を持っている
と思います。この場合でも、君が代と日の丸を押しつけている元凶は文部省
であり、教育委員会なのです。ですから、戦うならこの元凶と戦うべきです
。この校長のような理解ある校長はむしろ味方にするべき相手だと思います


 それはともかく、この某高校の反対派のやり方が間違っていたのは今日で
は明白だと思います。現に、卒業式での君が代と日の丸は阻止されるどころ
かますます一般化し、その高校でもその後実行されるようになってしまった
と言われているからです。

 悪法も法かというのは古来の難問ですが、決まったことは原則として守る
べきだと思います。そうでなければ世の中の秩序が成り立たないと思います
。たしかにこれにも例外はありうるわけで、外交官の杉原氏がナチスに追わ
れていたユダヤ人を逃れさせるために、規則に反してビザを発給した例もあ
ります。しかし、それは極めて例外的な場合です。

 法律で決まっている事は守りつつ、それに反対なら、決められたやり方で
反対運動をして法律の改正や妥当な適用を目指すというのが民主主義だと思
います。日教組が文部省と妥協したのは、違法な手段を使っての反対運動で
は勝てないということを認めたことだと思います。

 先の高校生の請願書に対して教育委員会はどういう回答を出すのでしょう
か。