ブログ「教育の広場」(第2マキペディア)

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教育の広場、第18号、模擬授業での教員採用は特効薬か

2006年03月15日 | 教育関係
教育の広場、第18号、模擬授業での教員採用は特効薬か

(2001年01月03日発行)

 少し前のことですが、東京の或る大手私立大学で英語の教員を採用するに
あたって模擬授業をやらせたという記事を読みました。予備校の講師採用を
思わせる試みだと思います。

 たしかに教える技量を考慮しないで教員を採用するよりは好いことだとは
思います。しかし、これで本当に大学の無気力授業はなくなるのでしょうか
。私はそうは思いません。なぜなら、最初は熱心だった教師でもその後のぬ
るま湯的環境のために堕落するということがあるからです。

 実際、最初から堕落している教師は少ないと思います。多くは、大学の「
何もしなくても誰からも何も言われない」という環境が教師を堕落させてい
るのだと思います。つまり、結果責任を取らせるシステムこそが大切なので
す。

 予備校の真似をするなら、採用時の模擬授業よりも、採用後の学生による
授業評価を教師の待遇に反映させるシステムこそ真似するべきでしょう。予
備校はその講師採用にあたって模擬授業をやらせる所もありますが、やらせ
ない所もあります。

 しかし、どこでも結果責任は取らせるシステムになっています。つまり、
生徒を集める力のない講師は首になるということです。市場原理とはそうい
うことです。

 私企業では、お客さんに好まれず、売れなかったら意味がないのです。し
かし、いろいろな事情でこの市場原理の働いていない所があるのです。国公
立大学の教員はその最たるものですが、私立大学の教員でもほぼ同じです。

 その理由としては「大学教員は研究実績主義で教育が軽視されているから
」と、その記事にも書いてありました。そもそもこの現状認識が間違ってい
ます。本当は「アルバイト中心主義で研究も教育も軽視されている」と言う
べきなのです。

 では大学の教員について結果責任を取らせるという当たり前のことを実行
するとはどういうことでしょうか。「学生による授業評価」をすればそれだ
けでいいのでしょうか。そうではないと思います。

 人間の世の中の事は「こうすれば完全無欠になる」というシステムはあり
えないと思いますが、私は次のような事がそのための必要条件だと思いま
す。

 1、十分な情報公開が大前提です。つまり、教員一人一人について、イン
ターネット・ホームページに、その全ての業績の分かる詳しい紹介、すべて
の担当授業の実際の様子の分かるような紹介、学生による授業評価とそれに
対する回答、学外活動(学会での活動、他大学でのアルバイト)についての
詳しい説明、を発表することです。

 そして、その文書による研究業績については当該大学の図書館に「本学教
員の業績コーナー」を設けてそこにすべて展示するべきでしょう。

 2、管理職(行政職)の教員についても、その人のこれまでの研究業績や
授業や学外活動について、及び現在の仕事についての詳しい紹介を発表する
べきです。

 3、各大学に学外者による「大学オンブズ」を義務付けて、その「大学オ
ンブズ」による評価を発表するようにするといいと思います。

 4、そして最後に、すべての教員を5年以下の年限の「任期制」にするこ
とです。

 新しい世紀にあたっての私の提案です。