ブログ「教育の広場」(第2マキペディア)

 2008年10月から「第2マキペディア」として続けることにしました。

教育の広場、第 224号、寄り切りで勝たなければならない

2006年03月03日 | 政治関係
教育の広場、第 224号、寄り切りで勝たなければならない

  (2006年03月03日発行)

 民主党の永田寿康議員が謀略メールにひっかかって大失敗をした事件は、
同議員の2度目の謝罪会見でようやく収束に向かいそうです。

 多くの人がその原因を含めて発言していますが、私も一言します。

 私見によれば、根本は民主党が組織の体をなしていないということだと思
います。これはこれまでにも指摘しました。

 今回の失敗の直接の原因は、永田議員の衆議院での発言が事前に党内でし
かるべきチェックを受けていなかったということですが、それ以前に、一層
根本的には、民主党内では、多分、議員活動のあり方についての初歩的な教
育(研修)から始まって、中級の研修も、ましてや上級の研修も、「制度と
して」確立していないからだと思います(だから、前原代表は「代表は勝手
に発言していいのだ」と思い込んでいるようです)。

 自民党ではそれはそれぞれの派閥で行うようになってきたそうですが、そ
れを前回の選挙以降、派閥ではなく党として行うようにしようとかしている
と新聞では報じられています。

 自民党のことはともかく、民主党のこの研修制度の無さについては、実は
私は今回の事件の少し前、2月5日に経験的に感じました。

 というのは、2月5日、私の属する静岡7区の予定候補者である阿部卓也
さんの新年会が浜松のグランドホテルで開かれたのですが、私もそれに参加
したからです。

 その種の会合に参加するのは初めてでしたが、他のことはともかく、何人
かの人(ほとんどが民主党の代議士)の「挨拶」を聞いていて思ったことが
あります。私見では、その種の挨拶として適当だったのはたった1人(細野
豪志氏)で、前代表の岡田克也さんを含めて、それ以外の人の挨拶はみな落
第でした。

 そこで考えた事は、民主党ではこの種の挨拶はどのようにするべきかとい
うことを「組織として」研究しておらず、関係者に研修を施していないな、
ということでした。

 今回のメール事件の起きる前、民主党はいわゆる4点セットとやらで、楽
勝ムードだった小泉首相を追い込んでいました。又、ライブドア事件との関
わりでは、堀江貴文容疑者の資質の怪しげな点を見抜けなかった武部自民党
幹事長との対比で、それを見抜いた岡田さんの株が大いに上がっていました


 そこで岡田さんはかなり得意だったと思います。岡田さんという人は真面
目な人ですから、そんな事ではしゃいだりする人ではありませんが、前回の
「惜敗」(惨敗、ではない)の「真の原因」の反省をしていないということ
は言えると思います。

 岡田さんは年金未納問題で管直人代表が退いた後に、急遽代表になりまし
たが、直後の参議院議員選挙では、その真面目さが買われて「勝利」しまし
た。そして、この事が、「このままでいいんだ」という考えを無意識の内に
生んだのだと思います。

 そのために民主党の「根本的な欠点」を反省することなく「真面目さ」だ
けでやってきてしまったと思います。そのために前回の選挙では小泉首相の
「演出」に勝てませんでした。2480万票も取ったのに。

 その後、潔く代表を退いたのは当然としても、「根本的な反省」がないの
では困ります。

 岡田さんは2月からブログを始めました。ようやく外部の人との公開討論
を始めたのかと喜びましたが、それは「自分の決めた枠内だけでの公開討論
」(特定の政策課題だけしか取り上げない)だったようです。

 私は最初の挨拶的な投稿(コメント)の後、2回目には本気で次のコメン
トを送りました。

・・岡田さんは、12月26日のメルマガに次のように書いています。

 「民主党はいま、もう一度政策を再検討し、国民の立場に立った改革のメ
ニューをしっかりとつくり上げなければなりません。/ 同時に、全国からさ
らに人材を求めながら人を育てること。」

 政党が政策と組織(活動)の2面から成るとするならば、この2面を反省
したことは当然であり、正しいと思います。しかし、その内容には大問題が
あると思います。

 なぜなら、民主党の現状は政策は70点ですが、組織は10点だからです。そ
れに気づいていないからです。政党の組織の理想を台形型とするならば、民
主党の現状は逆ピラミッドです。

 そして、これは「全国からさらに人材を求めながら人を育てること」、つ
まり「勝てる候補者を探す」ことでは、是正できないからです。

 岡田さんはこのブログで「政策の再検討」をするようです。そして、「政
治スクールみえ」を開講して、人材を求めていくようです。

 では、質問します。

 党の末端組織の日常活動はどうするのですか。岡田さんが「負けた」本当
の理由は、政策でも候補者でもなく、党の末端組織の日常活動がなかったか
らではないのですか。選挙戦終盤の自民党と公明党の追い込みは組織があっ
たからこそだとは思いませんか。

 ごまかさずに答えてください。・・

 しかし、これは載せて貰えませんでした。そこで、私は、しばらくして岡
田さんの事務所宛に「なぜ載せないのだ」とメールを送りました。

 これに対して岡田さん(秘書の大塚さん)からは次の返事が来ました。

・・お問い合わせいただきありがとうございます。

 また、阿部卓也さんの新年会にご出席いただきましたことに、重ねて御礼
申し上げます。

 当ブログは、テーマごとに岡田かつやの考え方を述べ、それについて皆さ
んと議論を深めていくことを目的としています。議論の内容をより充実した
ものとするため、原則として、エントリーのテーマに関連したコメントのみ
を掲載させていただき、テーマと関連のないものや中傷を目的としたものな
ど、ブログの趣旨と異なるコメントは、掲載を控えさせていただいておりま
す。

 なお、他の個別テーマや一般的なご意見・ご質問等につきましては、大変
お手数ではございますが、 webmaster@katsuya.net まで Eメールをお寄せ
いただきますようお願いいたします。お寄せいただいた Eメールは岡田本人
も目を通しております。

 選挙で負けたことに関するご質問についてですが、末端組織の日常活動が
重要だというご指摘は、おっしゃるとおりです。岡田も毎週地元に帰り、座
談会などを通して後援会組織の強化に取り組んでおります。そういう意味で
は、阿部卓也さんの後援会の拡大は今後の課題かと存じますので、末永いご
支援のほどよろしくお願いいたします。・・

 私はその後、これに対する意見を送っていませんが、ここで1点だけ批評
しますと、ここから分かることは、岡田さんは後援会回りを党活動だと思っ
ているらしい、ということです。これでは民主党を本当の組織政党にするこ
とはできないだろうと思います。

 そして、堀江問題で同僚や新聞で褒められたので又々反省を忘れているな
、とも思いました(2月5日の挨拶でもそれに関係する事を話していました
が、聴衆はほとんど関心を示しませんでした)。

 社民党の福島党首も自衛隊は違憲状態だとかいう規定を盛り込んだそうで
す。格差拡大の問題と憲法9条の問題のどちらを主にするのか、相変わらず
揺れ動いているようですが、それ以前に、末端の日常的党活動のない社民党
が何を言っても意味がないと思います。

 今回の永田議員の質問は少し前の社民党の辻本議員の「総理、総理」の12
回連呼を思い出させてくれました。相撲に譬えるなら、横綱をけたぐりで倒
そうとしているようです。もちろんまぐれで決まることもあるでしょう。し
かし、野党の目的は横綱にたまに勝つことではなくて、横綱に5分以上の戦
績を残して自分が横綱になることです。そのためには寄り切りで勝てなけれ
ばなりません。

 これが分かっていないために、では寄り切りで勝つにはどうしたらいいか
という問題意識が出てこないのだと思います。