ブログ「教育の広場」(第2マキペディア)

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教育の広場、第09号、論文捏造より悪いもの

2006年03月24日 | 教育関係
教育の広場、第09号、論文捏造より悪いもの

(2000年11月02日発行)

 (2000年)10月20日付けの朝日新聞は、神奈川歯科大学教授の論文捏造が
発覚し、既に免職処分されていると報じています。

たしかに、してもいない実験をしたかのよう偽ってデータを捏造するなど
というのはもってのほかです。それは論を待たないでしょう。

しかし、私は、大学教授にとって論文捏造より悪いものがあるのではない
かと考えています。それは、研究をせず、論文を発表しないことです。これ
に比べれば、論文の捏造は、論文を書かなければならないということを自覚
しているだけましとも言えるのではないでしょうか。

 「毒にも薬にもならない」という言葉があります。世の人々は、薬はもち
ろんのこと毒でさえ、「毒にも薬にもならないもの」よりはましである、と
考えているのです。

今の場合、この毒とは論文を捏造するような教授のことであり、「毒にも
薬にもならないもの」とは、研究せず論文を書かない教授です。論文を捏造
するような教授にははったりの強い人が多いようですが、そういう人はそれ
なりに学生を刺激する所もあるのではないかと思います。

それに対して研究をせず論文を書かない教授は、何の工夫もなく教壇に立
って時間をつぶすだけの授業をして、学生のやる気を失わせています。「生
きた屍」ははったり屋より悪いのです。ワル教授は何かに役立つが、無気力
教授は何の役にも立たないのです。

しかるに、こういう研究せず論文を書かない教授は処分されないのです。
これはおかしいのではないでしょうか。こういう教授からは研究費を返還さ
せるべきではないでしょうか。

 最近は大学もホームページを持って情報を開示し始めました。それを見ま
すと、大学によって随分違いますが、いずれもまだ不十分だと思います。一
人一人の教員について最低でも次の事は開示するべきだと思います。

 1、これまでの「すべての」研究業績。

(「すべての」業績の開示を義務づけている大学はほとんどないようです
。「主な」業績としている所が多いです。「主な」業績と聞くとそれ以外に
も業績があると考えるのが普通ですが、実際には「主な業績」が「すべての
業績」である人も結構沢山いるようなのです。これは誤魔化しだと思います


なお、研究業績の開示においては、それをどこに発表したのかも開示する
べきです。更に、本や論文で発表されたものは、その大学の図書館に特別に
「本学教員の研究業績」というコーナーを作ってまとめて展示するべきだと
思います。)

 2、担当授業の一つ一つについての「実質的な」シラバス。

(ここで「実質的な」としたのは、書き方の如何にかかわらず、その授業
がどういう授業かが大体分かるように書かれたものであること、という意味
です。こういうシラバスを発表している人は少ないです。又、教養課程の授
業と比較して専門課程の授業やゼミについてのシラバスの開示は遅れている
と思います。)

 3、学外での活動として、学会での活動や他大学での非常勤講師を発表し
ている人もいますが、これもぜひ必要だと思います。

特に、他大学でのアルバイトは詳しく発表するべきだと思います。それが
本当に「本務に支障のないもの」か判定できるように。

 4、以上の項目の開示は、専任教員についてのみならず、非常勤教員につ
いても行うべきだと思います。大学では専任教員のほかに非常勤教員も大き
な役割を果たしており、学生にとっては同じ先生なのだからです。

(実際には、非常勤教員の研究や授業についての情報を開示している大学
は一つもないと思います。ありましたら教えてください。)

 結論として、私の要求は、第1に、以上のような条件を満たした本当の情
報開示をすること、第2に、研究業績の評価システムを確立して、研究の不
十分な教授からは研究費を返還させ、そういう教授は降格すべきである、と
いうものです。