麻生太郎、日本国総理大臣就任の挨拶及び御礼のためにアキバに現れる

2008-09-25 02:05:51 | Weblog

 昨日2008年9月24日、麻生太郎が第92代、59人目の首相に指名されると100%分かっていながら、午後になって第92代、59人目の首相に指名され、1日不愉快な思いをしていた。ニュースを見たくもなかったが、我慢して見ていた。この不愉快と我慢を次の総選挙で民主党が自民党を敗北に追いやり、晴らしてもらいたいと思っている。


どうしようもない戯言を一席

 夜の8時に総裁選に使った選挙遊説大型ワンボックスカーに乗って現れると既に道路を埋め尽くし、「麻生太郎日本国総理大臣」と書いたプラカードを林立させていたアキバの若者、メイド姿の若い女性等々が一斉にウオッー・キャッーと声を上げ、「麻生日本国総理大臣、麻生日本国総理大臣、麻生総理日本国大臣」のコールを開始する。そのシーンを捉えようとする脚立に乗ったマスコミ各社のカメラの夥しいばかりの放列。群集に押されて脚立が倒れ、人混みの中に倒れるカメラマンもいる。

 麻生太郎は満面に嬉しさを隠さず、車から降りてゆっくりとステップを伝ってワンボックスカーの屋根に上っていく。マイクを手に取り、

 「オタクの皆さん、秋葉原でも、結構評判がいいんですが、キャラが立ちすぎても永田町の古い古い自民党にも『選挙の顔』用にウケがよくなって第92代、59人目の首相に指名された麻生太郎です。正直、ウケがよくならなきゃなれなかった」

 爆笑。

 「日本国総理大臣となってから何かと忙しかったもんで、アキバの皆さんに応援・支持のお礼に来るのが遅くなってしまった。失礼な話なんだけど、オタクたちには」

 笑いと歓声の混じったどよめきがウオッー・キャッーと上がる。続いて再び「麻生日本国総理大臣、麻生日本国総理大臣、麻生総理日本国大臣」のコール、連呼。それが鳴り止むのを待って、

 「お蔭様で念願の日本国総理大臣をこの手に(と手を前方に差し上げ、広げていた手のひらをぎゅっと握って見せてから)ゲットすることができました。何てったって今回の自民党総裁選挙では全議員票の6割、217票も転がり込んでくるといった圧倒的支持を受け、その結果の麻生太郎日本国総理大臣の誕生というわけで、古い古い自民党のウケがよくならなきゃごっつぁんできないご馳走みたいなもんで、麻生太郎に入れてくれた票を家に持ち帰って、寝る前に毎日数えている麻生太郎でもあります」

 若者たちが「麻生日本国総理大臣コール」を途絶えさせて、麻生の言葉に迎合する大袈裟な笑い声を上げる。

 「217票の重みを噛み締めることができるように指に唾をつけて、1枚、2枚、3枚と2時間はたっぷりと時間をかけて数えてるんだぜ。そのシーン、みんなの目に見えると思うよ。麻生コールを聞いているときと同じくらいの至福の瞬間だぜ」

 再び「麻生日本国総理大臣、麻生日本国総理大臣、麻生総理日本国大臣」の熱狂。鷹揚ににこやかに手を振って応える麻生太郎日本国総理大臣。 

 「選挙に勝ちたい一心で『選挙の顔』にと上納金紛いにバラ撒いてくれた217票は何もかも古い古い自民党のお陰なんだけど、ご安心ください。首相官邸に入ったからといって、アキバを忘れはしない。マスコミがこのアキバでヒーロー扱いされる麻生太郎を大騒ぎして全国放送してくれるんだから、アキバにも顔を向けるし、古い古い自民党にも顔を向ける。必要に応じてどっちにも顔を向ける、みなさんに便利な『選挙の顔』麻生太郎。支持率が下がったら、元気を貰いにこのアキバに必ずやってくる」

 次の言葉を掻き消しかねない周囲を揺るがす「麻生日本国総理大臣」「選挙の顔っ」の連呼をやむのをしばらく待たねばならなかった。

 「何てったって古い古い自民党の代表、密室キングメーカー・森喜朗元首相センセイの後押しがあって、その他有象無象が麻生、麻生とウケが良くなったわけだから、古い古い自民党とは親戚になったようなもので、親戚の信頼を裏切るわけにはいかない。

 信頼を裏切って、安倍さんは『安倍さんでは選挙が戦えない』、福田さんは『福田さんでは選挙が戦えない』となったけど、最初の発信元はこの麻生太郎じゃないかとドキッとさせた議員センセイもいたが、お鉢が回ってきて『麻生さんでは選挙が戦えない』となる考えられる唯一の原因は『失言』しかなく、失言して突然総理大臣を辞任する記者会見を開いて、カメラのフラッシュで目を開けていられなくなってきつく閉じたはずが、ハッと目が覚めて冷や汗で身体中がびっしょり濡れているいやーなユメを見るようになった」


 笑いとそのジョークを見事と誉めそやす拍手が一斉に起こる。

 「野党はこぞって麻生太郎の失言を待ち構えていると思うよ。我が自民党の中にも少数派だが、失言を期待している議員センセイが少なからずいる。アキバのオタクの中にもいるかもしれない」

 「期待しているっー」の声があちこちから上がり、爆笑が起こる。

 「マスコミは間違いなく期待している」

 一斉に「期待しているっー」

 ワアッと爆笑。

 「失言しない戒め・おまじないに寝るときは口にガムテープを貼って寝るんだけど、夢の中で勝手に失言してしまう。政治も分からないアキバのオタクが騒いでくれるお陰で、政治家麻生の人気確立の一因ともなれた、これってどういうことなんだとつい自虐的失言を楽しんでしまう」

 再び嬉しそうな笑いが起こる。手が叩かれる。

 「失言しない麻生太郎にしようとするあまり口にチャックしたら、アキバにも顔を向け、古い古い自民党にも顔を向ける麻生太郎らしさを失ってしまうんじゃねぇか。それが心配だ。心配だけど、麻生らしさを失わないためについお喋りが過ぎたら、『麻生さんでは選挙が戦えない』になりかねない。悩み多き麻生太郎を癒してくれるのはマンガとアキバのオタクだけなんじゃねえか。いやーな夢を忘れさせてくれる」

 「麻生日本国総理大臣、麻生日本国総理大臣、麻生総理日本国大臣」のコールが鳴り止まない。

 「ありがとう、アキバのオタクたち。アキバのオタクが永遠である限り、政治家麻生太郎も永遠の命を授かる。サンキュー・ベルマッチ、イギリス留学時代の英語仕込み」

 手を大きく振る。「麻生日本国総理大臣、麻生日本国総理大臣」のコールと入り混じった吠え声じみたウオッー・キャッーの声。拍手。

 最後に言いそうになった「失言だけが麻生太郎の永遠の命を一瞬のうちに奪う」の言葉は呑み込んで口の中で「クワバラ、クワバラ」と呟き、顔をブルブルッと振るわせた。顔から笑みが消えていた。

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