菅仮免の希望者全員仮設住宅入居「8月お盆」までは計算上は7月お盆まででなければならない

2011-08-06 10:27:43 | Weblog



 ――下手糞な国会追及が菅仮免を延命させている――

 8月1日(2011年)の参議院東日本大震災復興特別委員会での水落繁栄(みずおち としえい)自民党議員と菅仮免との質疑応答と4月22日(2011年)の首相記者会見から希望者全員仮設住宅入居「8月お盆」までの公約は計算上は7月お盆に終了するよう早めなければならなかったことを書いてみる。

 先ずは4月22日の記者会見。発言自体は一度ブログに使用。
 
 菅仮免「当面、仮設住宅の整備が大きな課題であります。各県で仮設住宅の建設を精力的に進めていただいておりまして、感謝をいたしております。政府も資材確保などに全力を挙げており、自治体が提供できる場所を決めていただいて、その中で作業を急ぎたいと思っております。5月末までには3万戸を完成させたい。最終的には仮設住宅、あるいは借り上げ等を含めて10万戸を避難される方に提供できるようにしていきたい。こう考えております。」――

 次に8月1日の参議院東日本大震災復興特別委員会。

 水落自民党議員「3月11日から今日で4カ月と20日。あと10日経つと5カ月になります。しかしながらヘドロ処理は殆んどされておらず、瓦礫の処理は仮置場への処理率が7月5日現在で34%。

 総理がお盆までに避難された方が入れるするようにすると言われた仮設住宅の建設予定4万9千戸に対して完成は3万8千個で、7月8日現在入居率は62%。

 そしてまだ避難所である体育館等で不自由な生活をされている方々、およそ1万8千人。暑さ厳しい毎日で体力的にも精力的にも限界です。

 加えて水産加工所の冷蔵庫から流れ出た腐敗したり、大量のヘドロで排水溝が詰まったりして、ハエや蚊が大量発生している。伝染病が蔓延する危険性があって、衛生面で最悪の状況になっている。被災地の首長さんを始め、関係者の方々、避難されている方々がそれぞれ努力して、我慢して早く元の生活に戻れるように頑張っているが、大震災から4カ月経ってのこの現象はまさに政治の責任と言わざるを得ない。

 総理は5月2日の参議院予算委員会で、我が党の林芳正議員が被災者の仮設住宅入居完了目標を8月中旬とした方針について、『十分に協議したのか』との指摘に、総理は『人を増やすのに色んな手当を含めてやれば、達成できるとの私の判断だ』と述べて、大畠国交相らと十分な調整をした上での発言ではなかったことが分かった。

 さらに『私が強く指示すれば、実現できるとの見通しで言った』と、如何にも指導力を発揮したかのようにおっしゃっている。ところが約束まで1カ月を切った7月22日の参議院の予算委員会では、『なかなか難しい』と言う。『見通しが甘かったのは私の責任』と白々しく答弁している。

 総理は私が指示すれば、お盆までにできると信じて、我慢に我慢を重ねて、苦しい避難生活をされている被災者との約束を反故にされた。避難されている方々の気持ち、期待を裏切ったんです。

 総理、『見通しが甘かったのは私の責任』、それで被災者の方々は納得するのでしょうか。どのような形の責任をお取りになるつもりなのか、総理、お答えください」

 大畑国交相「現状についてだけ的を絞ってご報告を申し上げます。ご指摘のように私共としても、避難所で生活をされている方々が一日でも早くご自分の将来を考えるために仮設住宅等安心して、将来を考えることができるように一生懸命努力をしてきたところでありますが、7月14日までは目標5万586戸、そしてそのときに着工の見通しが立ったものが4万9397戸という状況であったが、そこに加えて、7月の15日、福島県で2000戸の仮設住宅の増強という要求がありました。

 7月の20日、そのときに岩手県からは150戸、そして宮城県からは81戸の追加の要請があった。現時点での必要戸数というのは5万2817戸であって、着工確定数が5万617戸。着工済みが4万9297戸。完成戸数が4万3390戸いう状況になりました。

 石巻、女川、気仙沼等々、用地の確保が大変難しいところがあるが、各自治体のみなさんのご努力をいただいて、現在、2階建て住宅を準備する、あるいはこの地域の方々のご了解をいただいて、できるだけ前倒しして完成させる努力をしているが、さらに最近にはグループホームを造りたい、こういう新たなご要請も出てきております。

 従って国土交通省としては、ご指摘を踏まえて最大限の努力をして、仮設住宅の建設に取り組んでいるところであります」――

 7月14日までは目標5万586戸に対して7月15日福島県から2000戸、7月の20日岩手県から150戸、宮城県から81戸の造設要請。合計必要戸数5万2817戸。

 対して着工済みが4万9297戸。3520戸が未着工となる。このうちの着工未確定戸数(必要戸数5万2817戸-着工確定戸数5万617戸)=2200戸が7月半ば以降の福島、宮城、岩手の造設要請分とほぼ相当することから、この2200戸を引いたとしても、未着工戸数が1300戸程度残る。

 この1300戸が全て用地確保済みだったとしても、仮設住宅の建設自体が着工から完成まで約1カ月を要するというから、8月1日の時点から計算すると、完成は8月末か9月に入ってからということになる。

 要するに7月半ばからの増設要請分を政府責任から免罪したとしても、「8月お盆まで」の公約は果たせないことになる。

 実際には「石巻、女川、気仙沼等々、用地の確保が大変難しいところがある」と言っているように用地未確保の場所もあるから、さらに遅れる可能性を抱えていることになる。

 菅仮免「ただ今国土交通大臣から実情についてはご報告がありました。私として、できるだけお盆までに希望される全員が仮設住宅に入れるようにと、当時は確か7万戸くらいが必要とされましたが、その後の色々な経緯の中で、いわゆる一般の住宅と言いましょうか、公営住宅等に入られる方もあって、多少変化があった。また完成しても、別の理由で入られないといったこともあります。

 そういう変化の中で私は国土交通相には本当に精一杯の努力を今もしていただいておりますし、8月のお盆に向けてさらなる努力をお願いしているところであります。

 確かに追加の物を含めて、完全にできなかったとすれば、それは私が、あー、そうした追加までを含めた見通しということで言えば、残念ながら、そこまでの見通しは持ち得なかったということで申し訳なく思っております

 追加分に重点を置いた見通しの甘さに置き換えて狡猾にも責任逃れを謀ろうとしている。追加分を含めなければ、約束違反はたいした戸数ではないと言外に意味を持たせている。

 だが、「当時は確か7万戸くらいが必要とされましたが」と菅本人が、多分不用意に言ってしまったのだろうが、「希望者全員仮設住宅お盆までの入居」の公約は必要戸数が7万2000戸とされていたときの公約であることを図らずも自ら暴露している。

 それが仮設住宅建設の遅れからの待ちきれなさや通学や通勤の利便性等の理由でアパートや旅館、ホテル、公営住宅等から借り上げた部屋への入居者が増えて、8月1日現在必要戸数5万2817戸という数字になったのであって、7月15日以降の福島県、宮城県、岩手県の造設要請戸数の2231戸を引いたとしても、5万586戸を対象とした「8月お盆まで」ではなかった。

 7万2000戸に対する「8月お盆まで」である以上、7万2000戸が5万586戸に減った以上、「8月お盆まで」は減った戸数に応じて前倒しされなければならない。2万戸以上減ったのだから、7月お盆までにほぼ完成させるべきだったのではないか。

 そうであるにも関わらず、福島県、宮城県、岩手県の造設要請戸数を引いても、「8月お盆まで」に完成させることができないのだから、公約違反というよりもウソをついたに等しい。

 元々ウソつきだから、無理もないウソ、菅のツラにショウベンのウソなのかもしれない。

 2011年4月25日23時37分発信の「asahi.com」記事――《仮設用地5万2千戸分めど 5月末までに3万戸完成》

 4月25日の国土交通所の発表。〈7万2千戸が必要とされる被災者向けの仮設住宅について、5万2千戸分で用地確保のめどがついた。〉

 この記事では〈着工から完成までに3週間かかる〉と書いてあるが、他の「asahi.com」記事は約1カ月かかるとなっている。

 いずれにしても当初は必要戸数を7万2千戸と計算していたことを4月25日発信の記事が伝えていた。インターネット上の発信時間が23時37分だから、26日朝刊記事として配信されたのだろう。

 その同じ4月26日午後の衆院予算委員会。《お盆までに希望者入居=仮設住宅で目標-菅首相》時事ドットコム/2011/04/26-18:23)

 菅仮免「遅くともお盆のころまでには希望者全員が入れるよう全力を尽くす」

 記者が枝野官房長官に質問している。

 枝野「首相の強い思いとして言ったと理解している。資材の確保は見通しが立っているが、最終的には土地の確保などの(制約)要因がある」

 7月13日(2011年)の記者会見での「脱原発依存」発言を他の閣僚や枝野官房長官が「個人の考え・思い」としたのと同じ経緯を取っている。

 要するに必要戸数7万2千戸を対象として「希望者全員のお盆まで入居」を公約したのである。決して福島、岩手、宮城の造設要請戸数2231戸を抜いた5万586戸を対象とした公約ではなかった。

 もし当初どおりに必要戸数7万2千戸のままであったなら、8月お盆どころか、10月にまでずれ込むか、あるいは10月でも無理といった状況になりかねなかったろう。
 
 4月22日の記者会見では「最終的には仮設住宅、あるいは借り上げ等を含めて10万戸を避難される方に提供できるようにしていきたい」と合計戸数を10万戸まで言っていたのだから、前倒しされて然るべきを前倒し一切なしの後倒しとさえなっている。計画的見通しも何もない大風呂敷も大風呂敷、最たる大風呂敷だった。

 にも関わらず、5万586戸を対象とした公約であるかのように狡賢くも誤魔化している。

 こういった点を追及すべきだが、水落議員は見落としてしまった。

 水落議員「6月27日に復興担当大臣を任命した今までの予算委員会でも、同僚や野党のみなさんからもご指摘があったように初期対応の遅れ、情報の混乱、あるいは命令系統の不統一等々で復興が進んでいない、これは組織を動かさない総理の責任です。

 菅総理は組織のトップです。組織の長というものは俺が責任を持つ、だから思い切ってやれ、こう言わないと組織は動かないんです。総理はこの4カ月半ばの間、俺が責任を持つ、だから思い切ってやれ。こう言ったことありますか。総理、端的にお答えください」

 情緒優先の下らない質問だ。こういった下らない追及が周囲を甘っちょろいもんだと見下さしめ、菅の居座りを助ける。

 菅仮免「先ずですね、現在の緊急災害法で法律的に私が本部長になりました。原発の問題で特措で私は本部長になった。これは法律上そのとおりであり、私の責任だと考えております。

 私がそうした全体の責任者であることは勿論、法律的にそのとおりでありますが、その許に設けられた対策チームについてはそれぞれ担当大臣に実質的な権限すべてをお任せをし、全力でやって欲しいと、私の方からそのことをお願い申し上げた。

 また、他の場面でもそうした形で、それぞれの大臣、それぞれの担当の方に権限をお与えして、全力を上げてやってきたつもりです。

 あの、色々と遅れているとかというご指摘があることは承知しておりますけれども、確かに被災者のみなさんからすれば、もっとはやくと言うことはあるかと思いますが、私は内閣全体としてはできる限りの努力を全力を上げてやってきていると、このように思っているところであります」

 菅仮免は三つのことを挙げた。一つは災害に関して法律上本部長に任命されることが首相としての責任だとしていること。二番目に内閣の仕事に関して担当大臣にすべての権限を与えて任せているということ。三番目に内閣全体として最大限の努力を払っているということ。

 だが、この三つの点に共通しているのはすべて結果責任意識を欠いているということである。

 法律上本部長に任命されることは人事上の責任であって、職務遂行上の責任ではないし、各担当大臣に実質的な権限を与えて任せることも人事上だけの責任であって、特にできる限りの努力を全力を上げてやることだけが職務遂行上の責任ではない。

 本部長が負わされている役目に関して結果を出さなければ、法律など糞食らえということになる。各担当大臣に実質的な権限をすべて与えたとしても、それぞれが見るべき結果を出さなければ、任命責任の問題に発展する。

 また努力を払うことと結果を出すことは全然別ものである。努力が必ずしも結果を約束してくれるわけではない。

 だが、結果責任意識を欠いているから、結果を問題とせずに努力だけで済ますことができる。

 臨機応変に相手の言葉を掴まえて追及すべきだが、遣り過ごしてしまった。

 水落議員は平野大臣に総理から俺が責任を持つ、思い切ってやれといった言葉があったか、情緒的態度から抜け切れずに尋ねる。

 平野復興相「職を拝命するときにその趣旨の言葉をいただきました。特にどんどんやれということは事あるごとに、機会あるごとに総理から言われています」

 水落議員「やはり俺が責任を持つからしっかりやれという言葉はなかったと思う(菅仮免、唇を突き出し加減にして異議申し立ての意思表示で首を小さく何度か振る)。やはり先行き不安で、菅内閣には復旧・復興は任せられない。7月27日、全国議長会総会で岩手、宮城、福島の3県県議会議長が菅総理に退陣を求める緊急動議を発令して採択された。

 総理、総理は被災地の信頼を失っている。被災地はあなたでは復旧・復興はできないと意思表示したのです。そればかりではなく、総理経験者である村山元総理は、鳩山前総理も退陣すべきだと言っています。西岡参議院議長も退陣すべきだと強く言っています。

 民主党の最大の支持団体である連合の古賀議長さえ、お辞めになるべきだと言っている。一議員としてのあなたを支持する方はいるかもしれないが、最早総理としての菅直人を支持する者はおりません。

 早く総理の座から退いていただいて、新しいトップリーダーの許で復旧・復興をしていただきたいと強く申し上げます」

 そのまま福島原発事故で避難している被災者についての質問に移っていく。

 水落議員が「総理経験者である村山元総理は、鳩山前総理も退陣すべきだと言っています。西岡参議院議長も退陣すべきだと強く言っています。民主党の最大の支持団体である連合の古賀議長さえ、お辞めになるべきだと言っている」と発言しているとき、菅仮免はほんのいっときだけの間で、喉元通れば熱さ忘れるだろうが、少しは屈辱を感じたらしく、顔を膨らます感じて僅かに紅潮させた。

 このような退陣要求の声を知らないわけではなかったからこそ顔を屈辱で赤らめた。

 だったら、「私は内閣全体としてはできる限りの努力を全力を上げてやってきていると、このように思っているところであります」と先程発言したばかりの菅仮免の最後の言葉を再度取上げて、「総理は自分ではできる限りの努力を全力を上げてやってきていると思っていると答弁した。でも、辞めるべきだという声が内閣の中からも民主党の中からも、支持母体の連合からも経済界からも出てきていることは努力が実を結んでいない、結果を出していないからこその声のはずです。世論調査でも国民の早く辞めるべきだという声が多くなってきている。努力と結果は別物なんです。努力が結果に結びつくとは限らない。菅首相はそういった状況にあるのです」と、菅仮免のほんの僅かな屈辱の傷をさらに抉るようなことをすることぐらいなぜできなかったのだろうか。

 水落議員だけではない。菅仮免の矛盾した発言を捉えずに追及の機会を見逃してしまい、却って延命に手を貸すような場面に時折り出くわす。



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