菅首相が9月14日の民主党代表選で再選されあと、都内のホテルで記者会見を開き、普天間移設問題で記者と遣り取りしている。普天間に関する部分のみ参考引用。
《民主代表選:菅首相会見(4)止 普天間「日米合意踏まえ、沖縄の負担軽減に全力」》(毎日jp/2010年9月14日)
Q:普天間問題についておうかがいします。さきほど沖縄では小沢さんの方に支持という形で出ています。これはすべてではないにしても、普天間の問題について小沢さんに希望を託すという県民の世論があったと思う。そういう沖縄県民への、あるいは先の名護市議選で出た普天間移設についてのノーということについて、今後どのように進めていく考えか。それともう一つ、普天間問題についても特別チームを作っていくつもりか。
A:普天間移転問題については、この間も、何度も申し上げていますように、今年5月28日の鳩山政権の元での日米合意というものを踏まえて、同時に沖縄の負担軽減に全力を尽くすという姿勢で臨んできましたし、これからも臨んでいくという基本は変わりません。
もちろんこの合意に対して、沖縄のみなさんがかなり厳しい見方をされている。また、今度の名護の市議選でもそういう見方が一つの形に表れたということは私も十分認識しています。ま、そういう中でこれからどのような形でこの問題をさらに前進させることができるかどうか、しっかりとした形で取り組まなければと思っております。
この問題については私自身、外務省、防衛省、あるいは官邸に、官房副長官に実務をかなり担っていただいて、状況の把握には私自身が、ある意味直接に携わっております。ですから、今のところ、改めて別に設けるというより、官邸の中の、ま、いわば私がトップで、官房長官がその次で、副長官、政務事務含めて取り組むと、そこに外務省、防衛省の担当者もきちっといつづけていますので、それがある意味では官邸の特命チームにあたると理解していただいていいのではないかと思っています。
NHKニュースを聞いていて、「ある意味」という言葉を使っていたことに奇異な感じがして、引っかかった。
「状況の把握には私自身が直接に携わっております」ではなく、「状況の把握には私自身が、ある意味直接に携わっております」と言っている。
「それが官邸の特命チームにあたると理解していただいていいのではないかと思っています」ではなく、「それがある意味では官邸の特命チームにあたると理解していただいていいのではないかと思っています」と言っている。
この場合の「ある意味」、あるいは「ある意味では」とは、全面的な役割としていることとは反対の限定した役割を示す枕詞(まくらことば)として使っている言葉であろう。
全面的な役割を自らに担わせていたなら、「状況の把握には私自身が、ある意味直接に携わっております」とは言わずに、「状況の把握には私自身が直接に携わっております」と断定するはずである。
記者の「普天間問題についても特別チームを作っていくつもりか」の質問の回答に直接当たる発言として、「それがある意味では官邸の特命チームにあたると理解していただいていいのではないかと思っています」と言って、沖縄基地問題に当たっている「私自身、外務省、防衛省」、さらに官邸の「官房副長官」をひっくるめて「官邸の特命チーム」に見立てているが、「ある意味では」の枕詞をつけることによって、「官邸の特命チーム」そのものではない、限定した意味での組織としている。
「ある意味」で「状況の把握には私自身が」、「直接に携わっております」、「ある意味では」、「官邸の特命チームにあたる」と役割を限定している。
解決困難が予想される難しい課題に向けた取組みに於けるこのような限定性からはどのような決意も窺うことができない。
県民の殆んどが普天間の辺野古移転を反対して県外、もしくは国外移転を望み、辺野古のある名護市長が沖縄県民と名護市民の辺野古反対、国外・県外移転の意思の代弁者の立場に立ち、今回の名護市議選で辺野古反対派が多数を占めた結果、日米合意の沖縄県及び沖縄県民合意がより困難となった状況下で、沖縄県及び沖縄県民合意に向けた確固とした強力な「特命チーム」を組織し、沖縄及び沖縄県民双方の合意を経た日米合意遂行を図る姿勢の提示なら理解できるが、「状況の把握には私自身が、ある意味直接に携わっております」、あるいは「ある意味」で「特命チーム」に見立てていると、何事も「ある意味」で事に当たられたのではたまらない。無責任に過ぎる。
指導力、リーダーシップを欠いているから、自らをトップとする、あるいは自らを最終責任者とする組織を構成し、全面的な役割を最終的に自らが引き受ける決意と責任を持つことができない。
もしも「ある意味」なる言葉が、あるいは「ある意味では」なる言葉が口癖だとするなら、行動に関しても責任に関しても全面的に関わる姿勢を元々欠いていることから、そのような意識がつくり出した口癖であることは間違いない。
多分、「特命チーム」をつくった、うまくいかなかったでは判断能力、指導力、リーダシップを問われることになるから、前以て用心して、全面的関与を避けたい姿勢がつくらないを選択したといった程度のことではないだろうか。
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