護衛艦3等海曹イジメ自殺は乗組員全体が個人の自尊心を考えずに上下関係意識で思考・行動していた結果

2014-09-03 09:30:19 | Weblog



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       ◆生活の党議員の活動報告

       ◆OPINION : 日本大学大学院教授 円居総一
         「脱原発から水素循環型社会への連続的エネルギー転換こそが日本を救う」 

       ◆声明:終戦記念日あたって

       ◆INFORMATION:地域の活動

 9月1日(2014年)、海上自衛隊横須賀地方総監部が横須賀基地配備の海自護衛艦で乗組員だった3等海曹の30代男性が今年初めに上司の1等海曹の男性(42)の名前を挙げてパワハラを受けていたことを示唆するメモを残して艦内で自殺したと発表したという。


 どのようなパワハラかと言うと、繰返し頭を殴る、私物の携帯電話を隠す、バケツを持って立たせる、土下座させて謝らせる。船の出入り口のドアに手を挟む。

 ドアに手を挟むのは明らかに悪意を背景としている。当然、頭を殴ることもその他も、単に面白がってしたことではなく、悪意からの行為であることになる。悪意が成功したとき、残忍な思いで面白がる。「ざまあ見ろ」と。

 大体が上司が部下に対して面白がってする行為ではない。 

 職務上の上下関係が人間関係の力学とする上位者が下位者に持つ力の優位性を適正な範囲内で行使せず、悪用、イジメの形を取った。

 多くの記事が2004年の護衛艦「たちかぜ」内で起きた当時2等海曹(懲戒免職)から受けたイジメで後輩の1等海士が自殺した事件を、再び起きたという文脈で取り上げている。

 この事件にしても先輩・後輩の上下関係の力学を適正な範囲内にとどめる術を先輩は発揮できなかった。

 いや、先輩としての力の優位性が単に身分上伴うものであることを自覚せずに、いわば自分自身が本来的に備えているわけではないその優位的な力を後輩イジメに転用することで自身の力の証明――自己存在証明としていたのかもしれない。

 では、どのような経緯を辿って自殺するに至ったか、次の記事から見てみる。

 《護衛艦乗組員が自殺 いじめが原因か》NHK NEWS WEB/2014年9月1日 17時26分)

① 去年7月、自殺した3等海曹が幹部の乗組員に「上司の一等海曹と性格が合わない、この護衛艦の勤務から外れたい」と相談。

② 2か月後の去年9月、同じ幹部乗組員に同じ相談をする。幹部乗組員は「検討する」と応じたが、具体的な対応は取らなかった。

 いわば放置した。

③ 自殺の2日前に別の幹部の乗組員に「これ以上耐えられない、護衛艦の勤務から外れたい」と相談。

 翌日、乗組員と一等海曹が同席した面談が行われ、一等海曹が注意を受ける。

④ その日の夕方、面談に同席していた幹部の乗組員の1人が再び乗組員がバケツを持って立たされているところを目撃。止めるなどの対応は取らなかった。

⑤ 一連の経緯について護衛艦の艦長は報告を受けていなかった。

 9月1日午後、臨時の記者会見。

 河野克俊海上幕僚長(海上自衛隊トップ)「いじめをきっかけとした自殺を防げなかったことは痛惜の念に堪えない。海上自衛隊として重く受け止め、いじめに対する組織としての厳しい姿勢を各隊員に示し、行きすぎた指導を見逃さないよう改めて徹底する。

 今回の事案では被害に遭っている乗組員が上司にも相談し、シグナルを発していて、深刻に対応すべきだったが、根本的に誤った対応になってしまった」

 防衛省での記者会見。

 小野寺防衛相「大変重く受け止めている。亡くなられた隊員の冥福を心からお祈りするとともに、ご家族に対しては心からおわびをしたい。今後このようなことがないよう厳しく対処したい。亡くなった隊員が上司に相談をしていたにもかかわらず、それをしっかり受け止めて防げなかったということも含めて、厳正に対処したい」

 繰返しになるが、経緯を要約すると、最初に相談を受けた幹部乗組員は2度も相談を受けながら、何の対応も取らなかった。別の幹部乗組員が相談に応じて面談の場を設けて、一等海曹を注意した。

 注意した当日の夕方に面談に同席していた幹部乗組員の1人が、3等海曹が再びバケツを持って立たされているのを目撃しながら、何の対応も取らなかった。

 このような経緯からが窺うことができることは、一度は面談の場を設けてイジメ側の1等海曹を注意しているが、顔を合わせた者同士が別れるとき、「じゃあ、また」と形式的に言うのと同じ程度の、面談を成立させるための建前上の注意に過ぎず、1等海曹の3等海曹に対する行為を身分上備えている力の優位性を悪用したパワハラ、あるいはイジメと受け止めずに、上下関係に於ける優位的な力の当然の行使と見做していたということである。

 だから、幹部乗組員の1人が面談当日の夕方、3等海曹が再びバケツを持って立たされているのを目撃しながら、何の対応も取らなかった。

 1等海曹の行為を上下関係に於ける優位的な力の当然の行使と見做すということは、先輩としての当然の指導と見ていたことを意味する。面談の場で幹部乗組員から1等海曹が受けた注意というのは、多分、「行き過ぎないように」といった程度のことではなかったのではないだろうか。

 幹部乗組員たちは内心は3等海曹に対して海上自衛隊員としての根性を叩き込む指導なのだから、きつくても我慢すべきだとでも思っていたはずだ。

 いわば1等海曹と3等海曹の人間関係を職務上の上下関係のみの意識で把え、その範囲内で思考し、行動していた。

 このことの裏を返すと、1等海曹の上下関係からの30歳代の男性に対する継続化した頭を殴ったり、土下座させたりする行為が3等海曹の自尊心を超える力の優位性の行使となっていないかどうかを考えもしなかったことを意味する。

 3等海曹は自尊心がこれ以上傷つけられることに終止符を打つために自らの命に終止符を打たせた。

 9月2日の記者会見。
 
 小野寺防衛相「本人がさまざまな悩みを抱え、数度にわたって上司に相談し、上司もそれを把握していたなかでの事案なので、組織としての責任はより重い。

 少なくとも部下の問題にしっかりと耳を傾けて対処するのが本来の上司の責務だ。当然、報告を受けた上司を含め厳正なる対処も必要だ」(NHK NEWS WEB/2014年9月2日 14時15分)

 護衛艦内の人事管理上の危機管理がなぜ機能しないのか、機能しないのは機能しないなりの人事管理に関わる体質に支配されているのではないのか、その原因を探らずにそのままにして、不祥事が起きたら、その責任を問い、処分するというパターンの繰返しでは、忘れた頃に再び不祥事は起こる。

 学校の部活の先輩・後輩の上下関係でもよく見かけることだが、職務上の上下関係からのみ、上位者の下位者に対する行為を正当化するのは、職務上の上下関係にイコールさせて人格上はそうであるべき対等関係に上下関係をつけることであって、人格上下位者に立たされる者の自尊心を傷つけることになって、決して良好な人間関係とは言えない。

 個人の尊重は人格上の対等関係からのみ成り立つはずだ。個人の尊重が自尊心を守る。

 海自護衛艦の幹部たち、そして1等海曹は職務上の上下関係にも関わらず人格上は相互に対等関係にあると看做す思想を持っていなかった。


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