増田防衛次官の「定例記者会見削減検討」は臭い物にはフタの更なる情報隠蔽

2008-03-08 10:31:53 | Weblog

 3月6日(08年)に読売インターネット記事≪防衛次官が定例会見削減を検討、省内外からは強い慎重論≫

 <増田好平防衛次官は6日の記者会見で、海上自衛隊イージス艦衝突事故で防衛省の説明が二転三転したことについて、「色んな方が会見する中で、その前の会見で会見者が何を言ったか掌握しないで会見し、混乱を巻き起こした」と述べ、同省幹部の定例記者会見の削減を検討する考えを明らかにした。>・・・・・

 <これに対し、省内外から「説明責任の観点から問題がある」と強い慎重論が出ている。>と言うことだが、回数多く会見することが「説明責任」を果たすことにつながるとは限らない。

 そこにウソ・隠し・ゴマカシがあったなら、百万遍記者会見を開いたとしても「説明責任」を果たしたことにはならない。戦前の大本営は大ウソの華々しい大戦果を発表して国民を鼓舞するインチキそのものの「説明責任」を自らに担わせていたが、その大ウソは際限もなく繰返される次の大ウソを招きよせた以外、何を生んだのか。国民にどのような利益を招きよせたというのか。

 大本営側にしてもウソの大本営発表で何か解決できたことがあったのだろうか。大日本帝国軍隊だけのことはあって、その場を凌いだことと責任回避の「解決」しか手に入れることができなかったはずだ。

 「説明責任」とは回数が問題ではなく、「説明」の内容が問題となる。「説明」が事実に則ってウソ・隠し・ゴマカシなく事実を事実と伝える内容となっていたなら、「前の会見で会見者が何を言ったか掌握しないで会見」したとしても、同じくウソ・隠し・ゴマカシなく事実を事実として「説明」を行いさえすれば、後で慌てて訂正するするような食い違いが生じるはずはなく、「混乱を巻き起こ」すことなど起こりようがない。

組織防衛の必要上、その殆どは組織のメンツの維持を図る、あるいは上の者の責任軽減もしくは責任回避を図ることを目的としているが、そのために「事実」に少しでもウソ・隠し・ゴマカシを混ぜたなら、「前の会見で会見者が何を言ったか掌握」していようと、会見者同士がどう口裏を合わせていようとも、記者会見の「説明」が真性の事実と異なるから、組織外の第三者が存在しない密室での出来事ならいざ知らず、そうでない場合は時間の経過と共に真性の事実が第三者によってもたらされ、ウソ・隠し・ゴマカシが露見するものである。

 このことはイージス艦「あたご」と漁船清徳丸との衝突後の記者会見等での「説明」の経緯を振り返れば容易に理解できる。

 【口裏を合わす】「あらかじめ内密に約束して、各自が表向きに言うことが矛盾しないようにしておくこと。」(『大辞林』三省堂)――増田が言っている「何を言ったか掌握」とはこういうことなのだろう。

 清徳丸の僚船が衝突現場に居合わせず、清徳丸一船だったなら、回避義務を清徳丸に押し付けるために真性の「事実」である「赤色灯確認」と「12前視認」を隠し、「緑色灯確認」と「2分前視認」を押し通した可能性は十二分に考えられる。

 だが、組織外の第三者として僚船が存在していた。その証言が防衛省側の「説明」で公となった〝事実〟の仮面を徐々に剥がし、「2分前視認」と「赤色灯確認」が虚偽情報、あるいは情報操作に当たるウソ・隠し・ゴマカシの虚構であったことを曝すに至った。

 「あたご」の航海長をヘリコプターで防衛省に呼んで行った事情聴取についても、「海上保安庁への事前連絡を取った」とする「説明」は防衛省組織内の密室で完結させることのできる演出なら、そのウソ・隠し・ゴマカシを押し通せるだろうが、海上保安庁という第三者が存在する以上、そのウソ・隠し・ゴマカシに同調しない限り「事実」は現れるもので、「事前連絡」のウソ・隠し・ゴマカシを剥がして「事後連絡」が真性の事実として姿を現すこととなった。

 尤も組織外の第三者が存在しない密室での出来事であっても、最近は内部告発という形をとって真正な事実が組織の外に現れることが多い。食品偽装の多くが内部告発の形を取った事実露見となっているが、そのことを証明している。

 イージス艦「あたご」と清徳丸の衝突・漁船沈没事故では最初から「事実」を「事実」とせず、責任回避からだろう、そこにウソ・隠し・ゴマカシを混ぜた。そのウソ・隠し・ゴマカシに少しでも綻びが生じると、新たなウソ・隠し・ゴマカシの上塗りで以って取り繕わなければならない。それが「防衛省の説明の二転三転」ということなのであって、「前の会見で会見者が何を言ったか掌握」するとかしないとかの問題ではない。

 もし「前の会見者」が組織防衛、あるいは組織幹部の責任回避からウソ・隠し・ゴマカシを混ぜた「説明」を行ったとしたら、「次の会見者」がその「説明」を自分の「説明」と食い違わないように「掌握」したとしても、ウソ・隠し・ゴマカシを混ぜた「説明」であると打ち明けられなかった場合は、気づかないままにウソ・隠し・ゴマカシの「説明」を引き継ぐウソ・隠し・ゴマカシの「説明」を行うことになる。

 もし組織防衛のためといったまことしやかな正当づけでウソ・隠し・ゴマカシを混ぜた「説明」だと明かされていたなら、その「説明」に食い違わない「説明」を行うことで、ウソ・隠し・ゴマカシに加担する、その上塗りを働くことになる。

 どちらであっても、従属的、積極的の違いはあってもウソ・隠し・ゴマカシの共犯者となることを意味する。

 例え自分の側に都合の悪い事実であっても、一貫してウソ・隠し・ゴマカシのない「事実」を「事実」として「説明」することを以って初めて「説明責任」は果たせる。そのことに向けて努力すると言うのではなく、「色んな方が会見する中で、その前の会見で会見者が何を言ったか掌握しないで会見し、混乱を巻き起こした」からと防衛省幹部の定例記者会見の削減を検討する。

 いわばウソ・隠し・ゴマカシを混ぜた「事実の説明」を「記者会見の方法」にすり替えることで、ウソ・隠し・ゴマカシを混ぜた「事実の説明」を臭い物としてフタをしようとする新たな「情報隠蔽」あるいは新たな「情報操作」の類に過ぎない。

 簡単に言うなら、口裏を合わせる時間が必要だから、記者会見の回数を減らすということなのである。さすが天下の東大法学部卒を最終学歴とした防衛省事務次官だけのことはある。
 * * * * * * * *
 参考までに引用。
  ≪防衛次官が定例会見削減を検討、省内外からは強い慎重論≫
                     (2008年22時28分/ 読売新聞)

 <増田好平防衛次官は6日の記者会見で、海上自衛隊イージス艦衝突事故で防衛省の説明が二転三転したことについて、「色んな方が会見する中で、その前の会見で会見者が何を言ったか掌握しないで会見し、混乱を巻き起こした」と述べ、同省幹部の定例記者会見の削減を検討する考えを明らかにした。

 これに対し、省内外から「説明責任の観点から問題がある」と強い慎重論が出ている。

 同省では現在、防衛相、次官、報道官が週2回、統合・陸海空の4幕僚長が週1回、記者会見を行っている。増田次官は「(会見数は)他の役所と比較すると多いという認識だ」と語った。同省では、陸海空3幕僚長の会見を廃止する案が浮上している。

 同省では衝突事故後、航海長聴取に関する運用企画局長の発言を、増田次官が「不正確。私の説明が正確だ」と翻すなど訂正が相次いだ。このため、石破防衛相も4日の記者会見で、「大勢の人間がそれぞれの立場で記者会見するのが本当にいいのか。緊急事態で色んな情報が出ていくと、かえって大きな混乱が生じることもある」と述べ、緊急時の報道対応を限定する必要性を強調していた。

 ただ、「27万人いる防衛省・自衛隊で、記者会見が多いのは当然」「実力部隊である各自衛隊の長の記者会見は必要だ」と省内でも慎重な意見が多い。「記者会見を減らすより、内部の情報共有を徹底する方が先だ」と指摘する声もある。

 旧防衛庁は2004年1月、自衛隊のイラク派遣報道にからみ、陸海空3幕僚長の定例記者会見の中止を発表。記者団の反発で撤回したことがある。>


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