蓮舫の安倍晋三からお馴染みとなっている言葉の羅列を引き出すための紋切り型・人並みの9月28日代表質問

2016-09-29 11:01:25 | Weblog

 安倍晋三は2016年年9月26日の今回臨時国会の所信表明で、例の如く、「有効求人倍率は47全ての都道府県で1倍を超えた」、「実質賃金もプラスに転じ、6カ月連続でアップしている」、「雇用拡大し、賃金も上昇している」等々の指標を持ち出し、「経済の好循環は生まれている」とアベノミクスに太鼓判を押しているが、その事実を以てしても、個人消費は伸びていない。低迷したままである。

 2016年3月24日内閣府公表の。《個人消費の動向について》には、〈○雇用者数の増加などから雇用・所得環境が改善する中で、総雇用者所得は、2015年春以降、名目・実質ともに増加しているが、個人消費は力強さを欠いている。   

 ○その背景の一つとして、実質賃金の伸びが緩やかなものにとどまっていることがあげられる。また、2015年夏以降は、世界的に株価や為替が大きく変動する中で、消費者マインドが足踏みしており、先行き不透明感から消費が抑制されている。〉と記されている。 

 経済の活性状況を伝えるどのような指標を持ってこようと、一般的な国民一人ひとりの消費活動(=個人消費)が窮屈や不自由を強いられていたなら、政治は責任を果たしていると言えるだろうか。

 消費とは物質的欲求の充足のみならず、精神的欲求の充足でもあり、それらの充足によって人間は生活に於ける自己実現の主要な一部を見い出す。いわば消費は生命の活動をも意味する。

 その消費が抑えられることは生命の十全な活動を抑えられることにもなる。

 安倍晋三の所信表明演説に対する9月28日午前参院本会議での民進党の新代表蓮舫の代表質問は、誰もが取り上げることのできる紋切り型・人並みの内容でしかなかった。    

 蓮舫「さて。平成24年12月に発足した安倍内閣はデフレ脱却をスローガンに掲げました。しかしデフレ脱却ができないまま、内閣改造ごとにスローガンは上書きされクルクル変わっています。地方創生、女性が輝く社会、戦後以来の大改革、一億総活躍、そして、今回は未来への投資。スローガンだけは活発に循環していますが、経済はまったく好循環にならない現実にそろそろ向き合っていただきたいと思います。

  政権交代で安倍総理がアペノミクスを声高に唱えたことで行き過ぎた円高は是正され、これに伴い株価は上がりました。それは、明日にでも経済再生が実現するかのような期待をもたらし、国民のマインドを大き<変えました。

 この変化は率直に素晴らしいと私も評価をしました。ところが、4年近く経ち、安倍総理が目指していたデフレ脱却も経済の好循環も未だ実現していません。総理ご自身も『アベノミクスは道半ば』と公言していますが、総理の現状認識をお聞かせください。また、異次元の金融緩和、円安による輸出拡大、賃金上昇、消費拡大、更なる企業業績回復という好循環はー体、いつ実現するのでしょうか。具体的に国民にご説明ください」

 蓮舫は「スローガンだけは活発に循環していますが、経済はまったく好循環にならない現実にそろそろ向き合っていただきたい」と批判、安倍晋三の「経済の好循環は生まれている」とする主張を否定はしている。

 対して安倍晋三は「安倍内閣の責任は、確実に成果を生んでいるアベノミクスを一層加速させることだ」と答弁したと、9月28日付「ZAKZAK」記事が伝えている。  

 また蓮舫が「アベノミクスは成功だとしながら、2回も消費税増税を先送りしたのは矛盾だ、先送りを新しい判断としたことはゴマカシだ」と批判したことに対しても、同記事を纏めると、安倍晋三は消費税増税の再延期は「参院選で国民の信を問い、信任を得て、連立与党は安定した政治基盤を頂いた。矛盾、ごまかしとの指摘は当たらない」と反論で済ませていることが分かる。

 安倍晋三の両答弁は前々から繰返し行っていて、お馴染みとなっている言葉の羅列に過ぎない。紋切り型・人並みの質問だからこその何度も繰返している例の如くの言葉の羅列で済ませることができたということなのだろう。

 要するに蓮舫は安倍晋三からお馴染みとなっている言葉の羅列を引き出すために紋切り型・人並みの質問を行った。

 安倍晋三の「信任を得た」は消費税増税の再延期のみならず、アベノミクスの経済政策に対する発言でもある。

 問題は「信任を得た」の中身である。

 NHKの7月の内閣支持世論調査を見てみる。

 「安倍内閣を支持する」48%(前回調査+2ポイント)
 「安倍内閣を支持しない」36%(前回比±0)

 支持する理由
 「他の内閣より良さそうだから」43%
 「実行力があるから」18%
 「支持する政党の内閣だから」17%

 支持しない理由
 「政策に期待が持てないから」37%
 「人柄が信頼できないから」23%
 「支持する政党の内閣でないから」15%

 NHKの8月の内閣支持世論調査

 「安倍内閣を支持する」53%(前回調査+5ポイント)
 「安倍内閣を支持しない」32%(前回比-4ポイント)

 支持する理由
 「ほかの内閣よりよさそうだから」41%
 「実行力があるから」19%
 「支持する政党の内閣だから」15% 

 支持しない理由
 「政策に期待が持てないから」43%
 「人柄が信頼できないから」17%
 「支持する政党の内閣でないから」14%

 NHK9月の内閣支持世論調査

 「安倍内閣支持する」57%(前回比4ポイント)
 「安倍内閣を支持しない」26%(前回比-6ポイント)

 支持する理由
 「他の内閣より良さそうだから」42%
 「実行力があるから」20%
 「支持する政党の内閣だから」16%

 支持しない理由
 「政策に期待が持てないから」44%
 「人柄が信頼できないから」19%
 「支持する政党の内閣でないから」16%

 NHKの7、8、9月の世論を見ると、確かに内閣支持率は上昇傾向にあるが、但し安倍晋三に対する国民の積極的信任とは決して言えない。「他の内閣より良さそうだから」は選択肢がない状況での感覚的な判断からの信任に過ぎない。確固とした理由をそこに見い出すことはできない。

 NHK6月の世論調査から「アベノミクスに対する評価」を見てみる。

 「大いに評価する」5%
 「ある程度評価する」41%
 「あまり評価しない」34%
 「まったく評価しない」13%

 NHK7月の世論調査は「アベノミクスに期待するか」に質問が変わっている。この調査は参院選前のものである。

 「大いに期待している」9%
 「ある程度期待している」37%
 「あまり期待していない」34%
 「まったく期待していない」14%

 残念ながら8月、9月の世論調査には「アベノミクスに対する評価」は載っていない。

 他の世論調査でも「アベノミクス評価」は評価する・評価しないはほぼ拮抗している。問題は参院選前のNHK7月世論調査のアベノミクスに期待する・期待していないでほぼ拮抗状態にありながら、参院選では自民党が大勝したことである。

 この状況を証明するために読売新聞7月の世論調査を挙げておく。

 「アベノミクスを評価する」39%
 「評価しない」43%
 
 以上のことから判断できることは既に触れたように選択肢がない状況で、「他の内閣より良さそうだから」といった漠然とした感覚的な理由からの安倍内閣やアベノミクスに対する信任に過ぎず、決して確固とした理由があっての積極的な信任ではないことを証明しているはずだ。

 と言うことは、所信表明演説で、「有効求人倍率はどうの」、「実質賃金はどうの」、「雇用がどうの」と良好な各指標を取り上げようとも、あるいは代表質問に対する答弁で「経済の好循環は生まれている」といくら言い張ろうと、各指標を取り上げて安倍晋三が証明しようとしている経済の活性状況からの恩恵も、好循環の恩恵も、少なくとも国民の多くはは実感として受け止めていないことになる。

 実感として受け止めていたなら、「他の内閣より良さそうだから」といった支持理由がトップを占めるはずはなく、「実行力があるから」がトップを占めるはずだ。

 アベノミクスに対する評価も「評価しない」を抑えて圧倒的な数値を示すだろう。

 だが、そうはなっていない。

 安倍晋三が言っていることと国民の実感とのこの落差はいくつかの経済指標が好調でありながら、一般的な国民一人ひとりの消費活動(=個人消費)が低迷しているところに原因があるはずだ。

 他の指標がいくら良くても、消費活動(=個人消費)が低迷していたなら、さしたる意味を成さない。少しぐらい賃金が上がっても、その上がった分のカネを心ゆくまで消費に回すことができなければ、上がったことの有り難みは大したものではないことになる。

 人間にとって働くことにのみ意味があるわけではなく、消費活動にしても生きていることの証明としての意味がある。一定程度の心ゆくまでの消費活動なくして自己の存在を証明することは難しい。

 要するに安倍晋三やアベノミクスの経済政策に対する国民の信任の程度は安倍晋三が所信表明演説や代表質問答弁で繰返し発言している程にはアベノミクスの好循環を示しているわけではないことのバロメーターとしかならないことになる。

 他に選択肢がないから、半信半疑ながら、仕方なくアベノミクスに付き合っているという状況であるはずであり、そのことを消費活動(=個人消費)の低迷と世論調査が示しているということであろう。

 紋切り型・人並みの代表質問では堂々巡りは引き出すことはできても、安倍晋三にアベノミクスの転換を求めることはできない。安倍晋三の言葉の巧みさを許して、以後もこのままの状態ののさばらしを許すことになって、埒が明かないことになる。


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