安倍晋三のその人気にあやかろうとして片思いに終わった、見え透いた桑田佳祐コンサート鑑賞

2014-12-30 08:38:09 | Weblog


 安倍晋三が12月28日夜、横浜市で開催のサザンオールスターズのコンサートを昭恵夫人と共に鑑賞したという。SPを何人か引き連れて入場し、SPに囲まれて鑑賞したというわけなのだろう。

 桑田佳祐がその物々しさに反応したのかどうか分からない。このことを伝える『時事ドットコム」記事は、〈ボーカルの桑田佳祐さんは曲目「爆笑アイランド」の中で、客席の首相を意識したのか、歌詞の一部を替えて「衆院解散なんですと無茶を言う」とアドリブの「風刺」を披露。これには首相も身をのけぞらせて驚いていた。〉と伝えている。

 安倍晋三の方はこの驚いた時以外は、〈リズムに合わせて体を揺らし、桑田さんの軽妙なトークにも時折身を乗り出して聞き入った。〉と、その熱心なファン態度を紹介している。

 当然の風景となっているが、コンサートが終了してSPに囲まれながら会場から出てきたところを追いかけ待ち構えてきた記者団がICレコーダーなどを差し出して感想を聞いたのだろう。

 安倍晋三「楽しみましたよ」

 満足した様子で答えたと書いてある。

 短い記事だが、リズムに合わせて体を揺らして歌を愉しんだと言うことなら、かなり熱のこもったファン像を窺うことができる。

 だが、事実だろうか。政治家は往々にして他人の人気にあやかって、自身の支持率を高めようとする打算を職業病の如くに抱えている。安倍晋三もその一人ではないのかと疑った。

 桑田佳祐が「爆笑アイランド」の歌詞の一部を変えて「衆院解散なんですと無茶を言う」と謳ったこと自体を安倍晋三に敬意を表した単なるギャグだとでも思ったのだろうか。それとも批判の気持を込めたからかい、揶揄の類いとでも取ったのだろうか。

 もし安倍晋三が事実桑田佳祐の熱心なファンなら、桑田佳祐の人となり(人柄)、その政治姿勢をある程度は詳しく知っていたはずだし、そうでなければ熱心なファンとは言えない。

 勿論、どんな曲目を持ち歌としているか、曲目ごとのメロディと歌詞は、最低限、ある程度は頭に入っているものだろう。

 また、コンサートに入場する時、通常は曲名入りや、中には歌詞まで付いているプログラムを渡されるから、前以てどんな曲目を歌うか、コンサート開始までにその順番まで把握していたはずだ。その中に「爆笑アイランド」が入っていたことも目にしたはずだ。

 その歌詞の一節をアドリブで変えるということは、変えてもおかしくない歌の全体的内容でなければならない。いわば変えても、変えた部分の言葉と前後の言葉が一定程度つながりを持たなければ、歌としての全体的な整合性を欠くことになる。

 安倍晋三が「爆笑アイランド」の曲名の由来や意味・内容をどの程度把握していたのかによって、そのファン度が理解できるし、アドリブをどう受け止めたのかも推測できることになるから、インターネットで調べてみた。

 先ず発売年月日。1998年10月21日。16年前の発売だから、かなり古い。熱心なファンなら、当然曲の名前ぐらいは把握していることになる。

 作詞・作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズとなっている。タイトルの「爆笑アイランド」「爆笑」とは漫才コンビ「爆笑問題」の「爆笑」から取ったということを知った。

 「爆笑問題」は政治ネタ通して、笑いのオブラートに包みつつも、かなり辛辣な政治批判を披露している。そして爆笑問題の大田光は日本国憲法擁護者である。私自身は読んでいないが、太田光と中沢新一の対談集『憲法九条を世界遺産に』を出している。

 つまり安倍晋三の政治姿勢とは正反対と言うことになる。当然、政治的に反安倍の立場を取っていることになる。

 と言うことは、「爆笑アイランド」という曲名は「爆笑問題」から取っている以上、単なる“大笑いの島”といった意味ではなく、政治批判的な意味を込めた島を意味するはずだ。

 政治的に笑ってしまう日本という島国とといった意味を込めているのかもしれない。

 もしそうなら、曲を作った当時の時代背景も問題となる。発売年の1998年は小渕恵三が首相だった時代(任命期間1998年7月30日~2000年4月5日)である。

 歌詞をネットで探し出して、調べてみた。かなり抽象的な歌詞だが、一節ごとに自分なりに解釈してみる。

      「爆笑アイランド」
      作詞:桑田佳祐
      作曲:桑田佳祐

      有名な抑止兵器と条約
      民衆の群れは Blue…
      “Baby, 安全なんです”と
      長官は言う

 (安全保障の名のもとに、あるいは国土防衛の名のもとにミサイル等の最新兵器と日米安全保障条約で戦争への備えをする。当然、相手国も対抗手段として備えをし、対抗手段が相互にエスカレートすることになるが、官房長官は国民に備えがある以上、安全ですと言う。だが、国民は相互の軍備増強状態に安全を信じることができずに憂鬱な気分となる。)

      需要に満ちた天下の往来
      欲望の花弁を売る…
      “Baby, 援交なんです”と
      少女は言う

 (二節目の援交少女と一節目の歌詩の内容がガラリと変わって、異質である。だが、「援交」は深読みすると、在日米軍に対する思いやり予算や対米従属の象徴とも読み取ることができる。

 あるいは戦争への備えをする国家の姿が一方にあり、その一方でカネで売り買いする肉体愛が需要と供給という形で渦巻いているという日本の社会を歌っているのかもしれない。)

       Hold me, Call me
       Why don't you understand?
       Love me, Try me
       嗚呼 極東 Plastic Island

(英語の歌詞は官房長官の呼びかけでもあり、援交少女の呼びかけでもあるのだろう。援交少女がアメリカに対する日本政府の姿を象徴していたとしても、言葉通りの意味であったとしても、桑田佳祐の価値観からしたら、両者共にあるべき姿を取っていないのだから、心にもない演技、信用できない呼びかけの意味となる。

 そしてこういった二つの世界を持つ日本は極東のプラスチックで出来た島のように不確かな存在だと。)

      夕方目に沁む東京タワー
      Woo, 病める Neon Sign
      “Japan-no More-rhythm”24 hours
      Woo, 見えぬ Party Line

 (「Party Line」は政党の方針等を意味する。残念ながら、パンティラインではない。日本の政治がどこに向かうのかその全体像が見えないことを無数の色がギラついたネオンや明るいだけの照明に譬えたのだろうか。)

     奇妙な世捨て人の老若
     娑婆に毒を振るう…
     “Baby, 瞑想なんです”と
     教祖は言う
     
 (訳の分からないものまで含めて様々な宗教が蔓延り、それぞれに信じ群がる信者たちがそれぞれの教えを振り撒くことで実際には社会に毒を振り撒いている社会になっているという社会世相を伝えたのか。

 但し、「奇妙な世捨て人の老若」とは、社会に関わりを持たないで自分たちの政治だけを進める政府の老若を問わない政治家たちを世の中から見たら「世捨て人」に譬えることができると解釈できないこともない。そういった政治家たちが社会に毒を振り撒いている。)

     優能な内閣総理の表明
     更多更詳盡歌詞在 ※ Mojim.com 魔鏡歌詞網
     原稿を読み国家を救う…
     “Baby, 行革なんです”と
     ギャグを言う hey

 (「Mojim.com 魔鏡歌詞網」とは調べたところ、「魔鏡歌詞網」という歌詞の検索サイトで、そのアドレスが「Mojim.com」であった。

 「更多更詳盡歌詞在 」は更に多く、更に詳しく歌詞をそのまま紹介しているという意味なのだろう。

 いわば内閣総理大臣は所信表明でも国会答弁でも原稿を読んで、「国家を救う」、「行革なんです」と言っているが、歌詞紹介サイトに載せてある歌詞の文字みたいなもので、国家を救うことにも行革にもなっていないのだから、言っていることはギャクでしかないと痛烈・辛辣に批判していることになる。そのような総理大臣こそが優秀だと評価されるということなのだろう。「Baby」扱いで呼びかけられたとしても仕方がない。)

      Hold me, Call me
      I think you'll understand
      Love me, Try me
      大爆笑 Plastic Island

 (国民にどう呼びかけようと、「大爆笑」としかならない。日本は滑稽な「Plastic Island」だ。)

      夕方目に沁む東京タワー
      Woo, 滲む Space and Time
     “Japan-no More-rhythm” against
      Woo, 大往生に入りんさい

 (「大往生に入りんさい」は日本を動かしている政治家たちへの願望といったところか。)

(セリフ)現下の最大の問題は国民の生の声を
      私 内閣総理大臣としての責任を感じ真摯に受け止め
      情報化 国際化 少子高齢化の問題に
      全身全霊を打ち込みます

 (このセリフの間に、「衆院解散なんですと無茶を言う」というアドリブが入ったのかもしれない。但し、「現下の最大の問題は 国民の生の声を私 内閣総理大臣としての責任を感じ真摯に受け止め」はこれまでの歌詞の意味からして、事実はそうはなっていない逆説の提示であろう。「全身全霊を打ち込みます」 は口先だけの言葉に過ぎないと。

 実際にも「情報化 国際化 少子高齢化の問題」は小渕内閣以来続く未解決な課題となっている。インフラや経済活動では「情報化国際化」を果たしているかもしれないが、精神活動の面で必ずしも果たしているとは言えない。)

      Oh… 夕方目に沁む東京タワー
      Woo, 病める Neon Sign
      “Japan-no More-rhythm”24 hours
      Woo, 見えぬ Party Line
      柔な身に沁む東京パワー
     Woo, 無節操な人災

 (「無節操な人災」は、日本の政治そのものが日本国民に対する人災と化しているという意味に違いない。)

 もし安倍晋三が熱心な桑田佳祐ファンなら、熱心なファンであること自体滑稽な、気味の悪い倒錯以外の何ものでもないように思えるが、 「爆笑アイランド」という名前の由来や歌詞の意味、それらが伝えることになる桑田佳祐の政治的姿勢を最低限ある程度は理解していたはずだし、理解していなければならない。

 そうでなければ、熱心なファンとは言えない。とにかく夫人と連れ立ってコンサートを鑑賞しに行ったのである。

 当然、桑田佳祐の「衆院解散なんですと無茶を言う」というアドリブは会場にやってきた安倍晋三を多くの観客の前で狙い撃ちしたからかい、批判した言葉ということになる。

 但しそれが批判であったとしても、前以て「爆笑アイランド」の歌詞の意味をある程度ではあっても理解していたなら、元々歌詞が政治的批判を趣旨としていた関係からも、アドリブが歌詞全体の整合性に添うという関係からも、さらに桑田佳祐という人間の政治的姿勢の関係からも、アドリブが発せられることは予期していなかったとしても、批判自体は発せられた意味・内容、それにアドリブを発した目的を咄嗟に理解して、ああ、やっぱりなと予測した反応としなければならなかったはずだ。

 もしそうしていたなら、一般的には苦笑いを浮かべざるを得ない場面が待ち構えることになる。桑田佳祐の政治的姿勢、その反安倍の姿勢は受け入れ難いが、歌とその声が好きでファンとなっているということならの話だが、やっぱりなといった苦笑いの反応は見せずに、〈身をのけぞらせて驚いていた。〉と記事は伝えている。

 諸々の事情から当然予測した反応としていいはずの批判の言葉と内容と目的を全然予測した反応とすることができなかったということである。

 当然、桑田佳祐がファンであるというのはウソになる。

 もしこれがさすが桑田佳祐だと、身をのけぞらせるまでして驚いて見せた予測した当然の反応であるとするなら、その政治姿勢や批判に関わらずに安倍晋三は歌が好きなファンであるという理由一つですべてを受け入れる度量を見せたことになる。

 だが、安倍晋三を度量ある政治家、度量ある人間とすることができるだろうか。

 既に周知の事実となっているように総選挙前の11月18日、安倍晋三はTBS「NEWS23」に出演して、番組が街の人にインタビューした声の殆どがアベノミクスを実感できないというものばかりだったのに対して、「街の声ですから、皆さん選んいると思いますよ。もしかしたら」とテレビ局の意図的な情報操作だと疑ったことなど、とても度量ある政治家・度量ある人間には見えない。

 しかもその2日後の11月20日に安倍晋三の疑いに合わせたかのように萩生田光一筆頭自民党幹事長と福井照報道局長連名で選挙報道の公正・中立を求める「選挙時期における報道の公平中立ならびに公正の確保についてのお願い」と題した要請文書を在京キーテレビ局に出している。

 安倍晋三は自民党の総裁でもある。総裁が承知しないところでこのような情報統制そのものの圧力となりかねない文書を出すはずはないことから判断しても、こすからい反応としか言い様がなく、この点からも度量ある政治家・度量ある人間にはとてものこと見えはしない。

 自身のフエイスブックまで使って、自身を批判する気に入らない人物に対して執拗な逆批判を繰返す執念深さから判断しても、如何なる度量も見ることはできない。

 この度量のなさは桑田佳祐の安倍批判のアドリブに対して身をのけぞらせるまでして驚いて見せた姿勢を、結果的に批判を予測した当然の反応とした場合の度量とは真っ向から相反する。

 答はただ一つ、桑田圭佑のファンでも何でもないということである。桑田佳祐の若者人気にあやかって、若者のその人気を安倍支持にまで振り向けようと打算したコンサート鑑賞といったところなのだろう。

 だが、その見え透いた打算は片思いに終わった。まさか「衆院解散なんですと無茶を言う」といった内実は痛烈なまでの勢いを持った肘鉄砲を喰らうとは予測もしていなかったのだろう。

 大体が安倍晋三が桑田圭佑ファンであることは桑田佳祐自身が迷惑に感じるはずだ。


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4 コメント

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Unknown (間奏のセリフね)
2019-02-25 15:19:47
間奏のセリフはこの曲が発表された当時の小渕元総理の言葉をそのまま引用したんですよ
風刺にはちょうどいいいじり方じゃないですかね?

あと衆院とこはセリフ中じゃなくてたしか hold me call meの歌詞の前のとこを瞬時に替え歌したんだったと思う
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こんばんは! (オオクニヌシ)
2015-01-06 23:16:17
記事、参考になりました。今年もよろしくお願いします!
相変らず、嵐が湧いてますね Σ(・∀・;)

お体に気をつけて、ぼちぼち頑張って下さい!
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Unknown (Unknown)
2015-01-02 10:54:42
論理が長いね。。
安倍なんて国民的に人気は高い方なんだから、人気取りの為だけにわざわざコンサートなんか行くか。笑

だいぶ乱暴な事を言うな、このジャーナリストは。
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Unknown (反日芸人)
2014-12-30 13:48:39
聞きに来た客をオチョクルとはこいつはエンターテイナー失格だな。ロックが反体制だとは聞いてあきれる。今の体制のおかげでヌクヌク儲けていられるくせに。在日のうわさがあるんだよね。日本より韓国が好きらしい。
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