《菅首相、「消費税」発言原因の支持率下落に敏感に反応した記者会見なのか(1)

2010-06-22 11:49:06 | Weblog

 菅首相が昨日(6月21日)夕方5時から首相官邸で記者会見を開いた。冒頭発言で、通常国会の閉幕を受けて行ったとしているが、通常国会が閉幕したのは6月16日、翌6月17日午後、民主党マニフェスト発表の記者会見に菅首相は民主党代表として出席、マニフェストの説明を行っている。6月19日、さいたま市と千葉市で国会閉会後初めての街頭演説。

 6月20日の日曜日は「asahi.com」日別の《首相動静》によると、小田原市と横浜市で街頭演説。4時半以降、公邸で外務省官僚や党役員、その他と会談。

 6月21日は内閣官房関係の高官、日銀総裁等と会談。夕方5時から通常国会の閉幕を受けて行ったとしている記者会見。終了後、地域主権戦略会議出席、その他で過ごしている。

 通常国会閉幕の6月16日以降、17、18、19、20日と4日間ありながら(土・日は公人としての職務は休日に当たっているというなら、2日間ありながら)、マニフェスト発表や選挙遊説を優先させて、記者会見を開かなかった。スケジュールの関係で前以て21日午後5時からと予定していたのだろうか。

 だとすると、6月21日のNHK総合テレビの番組表に載っていていいはずだが、載っていない。番組を差し替えて記者会見を生中継したのかもしれないが、前以て予定していた記者会見なら、番組表に載せていたはずである。

 残る唯一推測できることは、急遽決定した記者会見だったのではないかということである。その理由はマニフェスト発表記者会見で、消費税の増税に触れて、「当面の税率は自由民主党が提案している10%を参考にさせていただく」と発言したことの反響の修正、訂正の類以外には考えられない。

 「10%」発言に野党はほぼ反対や批判の合唱、民主党では賛成する閣僚もいたが、賛成が全員一致ではなく、国会対策委員長や参院側や閣僚の中からも軽率発言だといった批判が噴出したこと、何よりも菅「10%参考」発言を受けた「朝日」「読売」の世論調査で、「読売」は「10%」発言を、「評価する」48%、「評価しない」44%と「評価する」が僅かに上回ったものの、「朝日」では、増税率「10%」に関しては、「評価する」42%、「評価しない」46%と僅かに「評価しない」が上回っり、来年3月までに政府の案をまとめる考えを示しことと「10%参考」発言については、「評価する」39%、「評価しない」50%と、こちらはかなり厳しい結果が出ている。

 そして第一番の打撃は両新聞共、内閣支持率・政党支持率を同時に下げた調査結果を出していることだろう。それが僅かであっても(「読売」の内閣支持率は-4ポイント、「朝日」は-9ポイント)、参議院選の7月11日投票日まで20日間ある間に消費税増税と反対世論がどう一人歩きし、投票にどのような悪影響を与えるか予測はつかない。

 この世論調査を載せた両新聞の記事は「朝日」のWEB版が、(2010年6月20日22時36分)の日時、「読売」がWEB版が、(2010年6月20日22時50分)の日時、新聞は6月21日朝刊として発行したはずだから、菅首相が両世論調査結果を知ったのは真夜中以降、確率としては21日朝ではなかったろうか。

 例え首相本人が新聞に目を通さなかったとしても、側近、あるいは関係閣僚、党役員等が調査結果を知らせたことは容易に想像できる。

 「総理、あなたの消費税発言が餌食になっています。新聞をもう見ましたか?マスコミの連中め、目敏いことをしやがって――」とか何とか。

 「新聞が購読者に阿(おもね)るところは、政治家が国民に阿るところとそっくり瓜二つだあっー」とは言わなかったはずだ。

 菅首相は内閣と選挙の最終指揮官として、当然、消費税増税世論の一人歩きへの危惧、そのことが投票に与える悪影響への危惧を持ち、関係閣僚及び関係党役員と対応策を協議した。

 自分が撒いた種である以上、自分で刈り取らなければならない。それが通常国会閉幕を受けた記者会見だと名目した21日夕方5時からの記者会見ではなかったろうか。
 
 その証拠、決定的とは言えないが、かなり有力と言える証拠を示すことができる。

 《首相ぶら下がり1日1回 フリー記者に月1回会見開放案》asahi.com/2010年6月9日15時2分)

 記事は菅内閣が6月9日に内閣記者会に対して鳩山前政権下で原則1日2回行ってきた首相の「ぶら下がり取材」と官房長官の記者会見をそれぞれ1回ずつに減らす方針と併せて月に1回程度、フリー記者らも参加する首相会見を開く案を示したと報じている。

 今後、記者会側と協議して、最終決定するそうだ。

 官邸側提案の具体的内容は――

(1)首相ぶら下がりは1日1回、正式な会見は月に1回程度開く
(2)毎日午前の官房長官会見を副長官が代行。長官会見は午後だけとし、フリー記者にも開放して時間を
   延ばす

 副長官が代行することについては、〈官邸側は「誰が発言するかが大事ではなく、政府としてのメッセージが出ればいい」と説明〉したという。

 記事はぶら下がり記者会見の回数を減らす理由について前日6月8日の菅総理就任記者会見での発言で説明している。、 

 菅首相「オープンにすることは非常にいいが、取材を受けることで政権運営が行き詰まるという状況もなんとなく感じている」 

 これは鳩山前首相が記者の呼びかけに気軽に応じて気軽に多く発言したものの、前の発言と違ったり、不用意な発言でありながら言質とされて、その発言に縛られることになったり、あるいは関係閣僚間の発言の違いを執拗に追及されたりした教訓から、マスコミに取材を受けることへの警戒心を募らせた反映としてある姿勢であろう。

 《菅流アピール「現場重視」…宮崎視察→街頭演説》YOMIURI ONLINE/2010年6月13日09時34分)では、記事の後半で、鳩山前首相と比較した記者会見数の減少を次のように描写している。

 〈◆記者団への対応激減、鳩山時代から一変◆

 一方で、首相の記者団とのやりとりは、鳩山前首相時代から一変している。宮崎では、口蹄疫問題以外の質問には、「また(別途)答える場面がある」とほとんど答えなかった。

 平日に首相官邸などで記者団の質問に答える「ぶら下がり取材」も、前首相時代に比べ、大幅に時間が短縮。1回あたりの時間は鳩山前首相の約半分だ。就任後初の9日こそ約7分間だったが、10日は約3分間、11日は約4分間に縮んだ。

 首相は、前首相が応じていた朝の取材も受け付けない。記者団が声をかけても、いちべつして「おはよう」と一言返すだけだ。

 首相周辺からは「鳩山前首相が退陣に追い込まれた原因の一つは頻繁にぶら下がり取材に応じたことだ。首相本人が言ったことは修正できない。取材に応じて良いことなど一つもない」との声が出ており、「一方通行」の方が得策だと考えている様子がうかがえる。〉――

 相当な記者会見アレルギーにかかっていることが看取できる。少なくともかなり過度の警戒心に支配されている。

 そして6月21日22時11分「asahi.com」記事――《菅首相、朝の「ぶら下がり」やめた 呼びかけにも無言》

 〈菅直人首相の秘書官が20日夜、内閣記者会の幹事社に対し、鳩山由紀夫前首相が平日の朝に行ってきた記者団との質疑に応じない方針を通告した。 〉という。

 首相秘書官「(首相は)どうせ答えないので、21日以降、朝の公邸前の取材は許可しない」

 その通告に心挫けることなくだろう、21日朝、記者が「朝のぶら下がりをやっていただけませんか」と呼びかけたが、首相は無言だったと書いている。

 すっかり記者会見を避けて通る嫌菅首相の姿を見て取ることができる。

 20日夜に首相の秘書官が「21日以降、朝の公邸前の取材は許可しない」と通告。翌21日朝の記者の問いかけに首相は何も答えずに通り過ぎた。

 だが、その日の午後5時から、発言の余波への警戒心から記者の問いかけに容易に応じなくなっていた首相が公の記者会見を首相官邸で自分から開くことになった。

 この経緯は自分が撒いた「消費税率自民党10%参考」発言を自分で刈り取るための記者会見であることのかなり有力な証拠とならないだろか。

 もしこの見方が当たっているとしたら、菅首相の消費税発言に国民も敏感に反応したが、菅首相も発言に対する世論調査に国民に劣らずに敏感に反応したと言える。

 昨日の記者会見から、《首相官邸ホームページ》の動画を利用して、首相の冒頭発言全体と消費税に関係する記者からの質疑応答のみを文字化してみた。

 所信表明演説やマニフェスト発表記者会見で発言したことと内容は殆んど変わり映えしない。ほぼ同じ発言の繰返しとなっている。このことも、単に記者会見を開く必要が消費税発言の釈明、もしくは訂正にあったことを窺わせる一つの証拠となり得る。

 《菅首相、「消費税」発言原因の支持率下落に敏感に反応した記者会見なのか(2)》に続く


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