生活の党PR
《11月5日(火)小沢一郎代表定例記者会見》
○『原発事故対応、政府が前面に出て対応すべき』
【質疑要旨】
・山本太郎氏天皇陛下への手紙手交問題、アントニオ猪木氏無断渡航問題について
・特捜による徳田毅事務所家宅捜査について
・特定秘密保護法案について
・国家戦略特別区域法案について
・福島第一原発4号機、核燃料棒取り出し作業について
・国家公務員制度改革法案、内閣人事局について
11月8日午前、参議院本会議は政府が提示した計12機関29人の国会同意人事を与党の賛成多数や全会一致で可決、同意した。
民主党はNHK経営委員会委員の5人の内、再任の1人を除いて新任の4人について安倍晋三に近い人物であり、公共放送の中立性を損なう可能性があるとして反対した。
「時事ドットコム」記事によると、4人とは作家の百田尚樹、埼玉大教授の長谷川三千子、日本たばこ産業(JT)顧問の本田勝彦、海陽学園海陽中等教育学校長中島尚正の面々。
〈「安倍カラー」が鮮明な人選となったことについては、経営委員会がNHK会長の任命権を持つことから、来年1月に任期が切れる会長の人事をにらんだ布石との見方も出ている。〉――
右翼の軍国主義者安倍晋三は記事が伝えているようにNHK会長人事に4人を使って間接的に介入、番組編成に保守的影響を与えようとする意図のもと、人選をしたのだろうか。
多くがご存知のように右翼の安倍晋三はかつてNHKの番組に介入している。いわゆる「NHK番組改変問題」である。殆ど「Wikipedia」を参考にして、その他の情報を使って、この介入について振返ってみる。
《NHK番組改変問題》
2000年12月8日~10日の3日間、VAWW-NETJapan(以下「バウネット」)主催の日本軍の性奴隷制を裁くとした民衆法廷(=模擬法廷)「女性国際戦犯法廷」を開催する。
2000年12月12日、法廷は「天皇裕仁及び日本国を強姦及び性奴隷制度について人道に対する罪で有罪」の判決を言い渡す。
2001年1月30日、NHKがこの裁判を取り上げ、ETV特集シリーズ『戦争をどう裁くか』の第2夜『問われる戦時性暴力』として放送。
2001年7月24日、バウネットは当初の企画通りの放送ではなく、改変されたとして、NHK、NHKエンタープライズ21、ドキュメンタリージャパンの3者を相手取り、「信頼(期待)利益の侵害」「説明義務違反」を問う訴訟を東京地裁に提訴。
《朝日新聞による政治家介入報道》
2005年1月12日、朝日新聞は、「NHK『慰安婦』番組改変 中川昭・安倍氏『内容偏り』前日、幹部呼び指摘」との見出しで、経済産業相・中川昭一と内閣官房副長官・安倍晋三からこの番組の編集についてNHK上層部に圧力があったとする報道を行った。
当時の安倍晋三は教科書から「従軍慰安婦」の記述をなくすことを課題に掲げた国会議員の議連「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」事務局長であった。
右翼の軍国主義者安倍晋三にとって従軍慰安婦について日本国家の罪を問う裁判を取り扱った公共放送であるNHKの番組放送は最大限に不都合な事実であったはずだ。
2005年1月13日、長井暁NHK番組制作局チーフプロデューサー(当時)がNHKのコンプライアンス推進委員会へ「政治介入を受けた」と内部告発。
告発内容。〈安倍・中川が番組内容を知り、「公正中立な立場でするべきだ」と求め、やりとりの中で「出来ないならやめてしまえ」という発言もあった。〉
NHK調査「NHKの幹部が中川氏に面会したのは放送前ではなく放送の3日後であることが確認され、さらに安倍氏についても放送の前日ごろに面会していたが、それによって番組の内容が変更されたことはなかった。この番組については内容を公平で公正なものにするために安倍氏に面会する数日前からすでに追加のインタビュー取材をするなど自主的な判断で編集を行なった」
長井暁チーフプロデューサー「NHKトップの海老沢会長がすべてを承知であり、その責任が重大だ」――
「NHK調査」の文脈からして、件(くだん)の番組についての面会となっている。だが、直接的な言葉では面会の目的に一切触れていない。まさか、NHKに遊びにいったわけではあるまい。
番組についての面会である以上、番組内容が変更されなかったとしても、番組に対する与党自民党の有力政治家の立場からの何らかのクレームがあったと見るべきだろう。
他の面会であるなら、面会の目的に触れて、疑いを晴らすはずだ。
また、中川昭一の番組についての面会が「放送の3日後」であったとしても、それを以て政治的圧力はなかったとする証明とはならない。右翼の軍国主義者安倍晋三が「前日ごろに面会」したが、放送そのものが中止にならなかったことを受けて、中川昭一が抗議のために「放送の3日後」に訪れたという推定は決して否定できない。
抗議だけではなく、抗議を通して今後の放送に対する圧力も面会の目的に加えていた可能性を考えることができる。
いずれにしても、NHKが番組についての面会でありながら、面会の目的を言って、政治的圧力を受けて番組を改変したとする疑惑を直接的に晴らそうとしないのは不思議である。
《女性国際戦犯法廷の報道をめぐるNHK裁判》の経緯
2004年3月24日東京地裁判決
〈「番組内容は当初の企画と相当乖離しており取材される側の信頼を侵害した」として、制作会社のドキュメンタリージャパンの責任を認容し、100万円の支払いを命じたが、「放送事業者には、取材素材を自由に編集して番組製作することが保障される」として、NHK・NHKエンタープライズ21への請求は退けたことから、判決を不服としたバウネットが控訴。〉
2007年1月29日東京高裁判決
〈「憲法で保障された編集の権限を濫用し、又は逸脱したもの」「放送番組編集の自由の範囲内のものであると主張することは到底できない」と認定。バウネット「期待権」に対する侵害・「説明義務」違反を認め、NHK、NHKエンタープライズ21、ドキュメンタリージャパンの共同不法行為として3者に200万円の賠償を命じた。NHKは、判決を不服として上告した。
政治家の介入に関しては、「製作に携わる者の方針を離れて、国会議員などの発言を必要以上に重く受け止め、その意図を忖度し、当たり障りのないよう番組を改変した」(2007年1月30日朝日新聞朝刊記事から)として政治家の介入を認める。〉――
要するに番組についての政治家の面会があり、NHKは政治家の面会に於ける発言内容から何らかの圧力を受けて「その意図を忖度し」、「当たり障りのないよう番組を改変した」ことになる。
圧力のないところに「忖度」はない。圧力があって、初めて「忖度」という事態が生じる。
【忖度】「他人の気持を推し量ること。推察」(『大辞林』三省堂)
NHKが政治家の気持を推し量らなければならない程の面会であった。政治家側から言うと、少なくとも結果的にはNHKに政治家の気持を推し量らせる内容の面会となった。
政治介入以外の何ものでもない。多分、NHK側が否定しているために確たる証言を得ることができなかったが、情況証拠は限りなくクロに近いものの、証拠不十分で無罪放免といったところではないだろうか。
情況証拠が限りなくクロに近いことは『週刊フライデー』と『週刊金曜日』の記者を経てフリーとなったジャーナリスト竹内一晴氏の記事――《カットされた4分間の謎 NHK「戦争をどう裁くか」に何が起きた》を読むと、十分に頷くことができる。
2008年6月12日最高裁判決
〈上告審では、最高裁判所第1小法廷(横尾和子裁判長)において高裁判決を破棄し、原告の請求を退ける逆転判決を言い渡した。最高裁は本判決においてバウネットの当番組に対する「期待権」は保護されないとの見解を示し、原告敗訴が確定した。
高裁判決が「NHK幹部が政治家の意図を忖度した」と指摘した政治家の介入について、「最高裁がこの問題をどう判断するかも焦点だったが、争点の判断に必要なかったために判決ではまったく触れられなかった」(産経新聞)としている。〉――
高裁で判決を出した「忖度」に最高裁が全く触れていなかったというのは理解できない。「忖度」は肯定も否定もされずに宙に浮いたことになる。
《政治家の反応》
中川昭一「私と安倍晋三前首相が『事前に番組に圧力をかけた』と朝日新聞で報じられたことが捏造だと確認されたが、(朝日新聞からは)私たちに謝罪はなく名誉は毀損されたままだ。問題はまだ決着していない」
安倍晋三「最高裁判決は政治的圧力を加えたことを明確に否定した東京高裁判決を踏襲しており、(政治家介入があったとする)朝日新聞の報道が捏造であったことを再度確認できた」――
最高裁判決は「忖度」に触れていなかったのだから、いわばNHK側の「忖度」の事実を全く否定したわけではなかったのだから、中川昭一がそのことを以って「朝日新聞の報道が捏造だと確認された」とするのは自分に都合のいい飛躍的解釈に過ぎない。
右翼の軍国主義者安倍晋三は「最高裁判決は政治的圧力を加えたことを明確に否定した東京高裁判決を踏襲しており」と言っているが、東京高裁が触れたNHK側による政治家の「意図の忖度」に最高裁は「まったく触れられなかった」(産経新聞)のだから、「踏襲」は事実無根であり、当然、最高裁判決にしても高裁共々、「政治的圧力を加えたことを明確に否定した」わけではない。
例え本人がいくら否定しても、番組に関して面会している以上、二人の自己都合解釈の発言は自己正当化のための否定であって、「政治的圧力」という事実の否定とはならない。
右翼の軍国主義者安倍晋三が報道に対する政治的介入の、状況証拠的に限りなくクロに近い前科を抱えているということは日本国憲法が規定している「表現の自由」を厳格に自他の権利としていない思想の持ち主であることの何よりの証明となる。
「表現の自由」を厳格に自他の権利思想としていない右翼の軍国主義者が自身に近い人物を4人も中立公正であるべき報道機関であるNHKの経営委員会委員に据える人事を与党の圧倒的多数の議席を武器に行ったといういうことは、「表現の自由」が何らかの方法で侵される危険性を抱えることを意味する。
その危険性とは、経営委員会がNHK会長の任命権を持つことを利用して、4人の新経営委員を間接的に操縦して自身の保守思想に共鳴する、自身の立場に近い会長を据えて、その会長をも間接的に操縦し、自身の思想「美しい日本」に合致する番組を主体的に編成、特に歴史の面で「美しい日本」を否定すると見ている、例えば日本の戦前の戦争を侵略戦争として扱う番組や、慰安婦を日本軍との関わりで伝える番組等を排除した番組編成に持っていくかもしれない危険性である。
この危険性こそが、右翼の軍国主義者安倍晋三の正体の一つであるはずだ。