特定秘密保護法は人間を国籍で判断・評価しろと強制する事実誤認の危険な思想を孕んでいる

2013-11-10 08:45:29 | 政治



 特定秘密保護法は秘密指定した、その秘密を扱うことになる対象者に適性評価を実施する規定となっている。(読み飛ばし可。)

〈第四章 特定秘密の取扱者の制限

 第十一条 特定秘密の取扱いの業務は、当該業務を行わせる行政機関の長若しくは当該業務を行わせる適合事業者に当該特定秘密を保有させ、若しくは提供する行政機関の長又は当該業務を行わせる警察本部長が直近に実施した次条第一項又は第十五条第一項の適性評価(第十三条第一項(第十五条第二項において準用する場合を含む。)の規定による通知があった日から五年を経過していないものに限る。)において特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者(次条第一項第三号又は第十五条第一項第三号に掲げる者として次条第三項又は第十五条第二項において読み替えて準用する次条第三項の規定による告知があった者を除く。)でなければ、行ってはならない。ただし、次に掲げる者については、次条第一項又は第十五条第一項の適性評価を受けることを要しない。

 一 行政機関の長

 二 国務大臣(前号に掲げる者を除く。)

 三 内閣官房副長官

 四 内閣総理大臣補佐官

 五 副大臣

 六 大臣政務官

 七 前各号に掲げるもののほか、職務の特性その他の事情を勘案し、次条第一項又は第十五条第一項の適性評価を受けることなく特定秘密の取扱いの業務を行うことができるものとして政令で定める者〉――

 読んでも素直に頭に入ってこないから、()内を取り除いてみる。

 〈第四章 特定秘密の取扱者の制限

 第十一条 特定秘密の取扱いの業務は、当該業務を行わせる行政機関の長若しくは当該業務を行わせる適合事業者に当該特定秘密を保有させ、若しくは提供する行政機関の長又は当該業務を行わせる警察本部長が直近に実施した次条第一項又は第十五条第一項の適性評価において特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者でなければ、行ってはならない。ただし、次に掲げる者については、次条第一項又は第十五条第一項の適性評価を受けることを要しない。

 一 行政機関の長

 二 国務大臣(前号に掲げる者を除く。)

 三 内閣官房副長官

 四 内閣総理大臣補佐官

 五 副大臣

 六 大臣政務官

 七 前各号に掲げるもののほか、職務の特性その他の事情を勘案し、次条第一項又は第十五条第一項の適性評価を受けることなく特定秘密の取扱いの業務を行うことができるものとして政令で定める者〉――

 この規定が言わんとしていることはを適性評価を行って、秘密を漏らす恐れがないと認められた者でなければ特定秘密の取扱者とはなれないということであって、たったこれだけのことを、私だけのことかもしれないが、素直には頭に入らないあれこれを盛り込んだ条文となっている。

 そして最後に適性評価を受けなくていい対象者として「行政機関の長」以下、「国務大臣」等を挙げているが、事実誤認も甚だしい。挙げた連中が秘密を漏らさない保証はないはずだ。

 核弾頭開発計画の情報を収集するスパイとしてアメリカへ入国、FBIのオトリ捜査で逮捕され、本国に強制送還されたロシアの美人スパイが一頃話題にのぼったが、色仕掛けで近づいてきた美人にヤニ下がらない自信のある大人物がどれ程いるだろうか。女の露わな裸の写真を何枚か見せて、脳がどれ程反応するかの適性検査ぐらい受けさせるべきだろう。

 では、どのような調査項目が調査の対処となっているか見てみる。(読み飛ばし可。)

 〈第五章 適性評価

 (行政機関の長による適性評価の実施)

 第十二条 行政機関の長は、政令で定めるところにより、次に掲げる者について、その者が特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないことについての評価(以下「適性評価」という。)を実施するものとする。

 2 適性評価は、適性評価の対象となる者(以下「評価対象者」という。)について、次に掲げる事項についての調査を行い、その結果に基づき実施するものとする

  一 特定有害活動(公になっていない情報のうちその漏えいが我が国の安全保障に支障を与えるおそれがあるものを取得するための活動、核兵器、軍用の化学製剤若しくは細菌製剤若しくはこれらの散布のための装置若しくはこれらを運搬することができるロケット若しくは無人航空機又はこれらの開発、製造、使用若しくは貯蔵のために用いられるおそれが特に大きいと認められる物を輸出し、又は輸入するための活動その他の活動であって、外国の利益を図る目的で行われ、かつ、我が国及び国民の安全を著しく害し、又は害するおそれのあるものをいう。別表第三号において同じ。)及びテロリズム(政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し、又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人を殺傷し、又は重要な施設その他の物を破壊するための活動をいう。同表第四号において同じ。)との関係に関する事項(評価対象者の家族(配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下この号において同じ。)、父母、子及び兄弟姉妹並びにこれらの者以外の配偶者の父母及び子をいう。以下この号において同じ。)及び同居人(家族を除く。)の氏名、生年月日、国籍(過去に有していた国籍を含む。)及び住所を含む。)

 二 犯罪及び懲戒の経歴に関する事項

 三 情報の取扱いに係る非違の経歴に関する事項

 四 薬物の濫用及び影響に関する事項

 五 精神疾患に関する事項

 六 飲酒についての節度に関する事項

 七 信用状態その他の経済的な状況に関する事項 〉――

 「非違」とは、「法律に外れていること、違法」の意味だそうで、「違法」という言葉を使ってよさそうなものだが、やはり難しくしたいのだろう。難しくすれば、法律の価値が上がるとでも思っているのだろうか。

 この項目も一度や二度読んだだけではすんなりと頭に入ってこない。不必要な()内を取り除いてみる。

 〈〈第五章 適性評価

 (行政機関の長による適性評価の実施)

 第十二条 行政機関の長は、政令で定めるところにより、次に掲げる者について、その者が特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないことについての評価(以下「適性評価」という。)を実施するものとする。

 2 適性評価は、適性評価の対象となる者(以下「評価対象者」という。)について、次に掲げる事項についての調査を行い、その結果に基づき実施するものとする

 一 特定有害活動及びテロリズムとの関係に関する事項

 二 犯罪及び懲戒の経歴に関する事項

 三 情報の取扱いに係る非違の経歴に関する事項

 四 薬物の濫用及び影響に関する事項

 五 精神疾患に関する事項

 六 飲酒についての節度に関する事項

 七 信用状態その他の経済的な状況に関する事項〉――

 以上が調査事項であるが、ここに女性に対する警戒心の強弱の項目が抜けていることは国家機密保守に於ける危機管理の最大の事実誤認であろう。酒を飲まされた上に胸元が大きく開いたドレスから豊胸手術した大型のバストの上端膨らみを目の前に近づけて見せられて、生唾をゴクンと呑み込まない男はどれ程いるだろうか。目に焼き付いてしまったとしたら、秘密漏洩のスタート地点となりかねない。

 一の〈特定有害活動及びテロリズムとの関係に関する事項〉に関しての調査対象者は次のように細かく規定している。

 評価対象者の家族(父母、子及び兄弟姉妹)
 (婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある配偶者を含む)
 配偶者の父母及び子
 家族でない同居人

 調査項目
 各調査対象者の氏名、生年月日、国籍(過去に有していた国籍を含む。)と住所

 国家機密を扱うのだから、国籍を問うのは当然、調査項目に含まれていたとしても不思議はないが、これが参考のために聞くただの「国籍」ではないことが昨日土曜日の11月9日、TBS『サタデーずばッと』を視聴して分かった。

 佐古忠彦司会者「なぜ国籍を調べる項目が入っているのですか」

 中谷元元防衛庁長官(自民党議員)「狙われているからですね。と言うのは、エージェントって言いますけど、狙いをつけて、その人の弱点とか弱味とか、また金銭関係とか、そういうのは盾に情報を取ろうとするんですね。

 で、まあ、秘密が悪いと言いますけども、一般の企業でも企業秘密ってあるじゃないですか。開発中の製品の情報が漏れたら、その費用がムダになりますけども、どこでもそういう秘密を守らなければということがあるのですね。

 で、じゃあ、その秘密をどういう形で守るかというと、やっぱり人なんです。それが適性であるかどうか。あの、車の運転のように(ハンドルを動かすジェスチャーをして)やはり適性というのがないと、あの、事故が起こってしまいますので、そういう項目でチェックをするということです」

 なぜ国籍を問うのかとの問に対する合理的な答弁となっていない。だが、国籍を調査事項に含めた理由として、「狙われているから」と言っていることからすると、一定の国を危険視していることになる。当然、国籍が重要となる。

 そして「やっぱり人なんです」と言っていることと併せると、正直とか不正直とかの人格や人間性が基準ではなく、国籍を判断基準として適性評価をするという意味となる。

 佐古忠彦司会者「想定している国があるのですか。それとも、今、狙われていると言いました。外国は全てダメなのですか。同盟国も入るのですか」

 中谷元元防衛庁長官「これは色々と背景があると思いますが、現に日本の防衛装備とか、技術?そういうのを狙っている国があるし、これは世界各国そうなんですね。

 軍事の世界では色んな諜報活動とか情報とか取ろうとしますけども、如何に自分の国のそういう軍事製品をレベルアップするかと。で、それを知りますと、それを持っている国の兵器が無用になってしまいますので、これは世界中で行われていることなんです」――

 要するに日本の軍事技術を狙っている国の国籍を持った人間を適性評価対象外としていることが分かる。公明党の斉藤鉄夫がこの後、「外国人であれば、全てダメということではありません」と発言したことと符合する。

 例え国籍で人間を判断しない日本人であったとしても、特定秘密取扱の失格者が出た場合の万が一を恐れて、責任回避から国籍で判断する無難・無事を選択する右へ倣えの付和雷同の雪崩現象が起きない保証はない。

 国の強制を受けた自らの自らに対する強制であり、事実誤認も甚だしい危険な思想となる。

 兎に角国が想定している国籍を基準に特定秘密取扱者から排除しておけば、何が起きても起きなくても、自分に責任は回ってこない。

 国籍で人間を評価・判断する思想の危険な最大の例はナチスのユダヤ国籍を基準としたユダヤ人に対する排斥・差別であり、虐殺であろう。日本に於いては朝鮮籍と中国籍を基準とした1923(大正12)年9月の関東大震災時に於ける朝鮮人・中国人虐殺を挙げることができる。

 現在では「在日特権を許さない市民の会」による在日韓国・朝鮮人に対するヘイトスピーチ(排斥的憎悪差別発言)が顕著な例となる。

 すべての国籍を対象として適性評価するなら、ある意味公平となるが、国が危険と想定した一定の国籍のみを適性評価の対象とした場合、その国籍に所属するすべての人間を危険か危険でないかを基準として一律的に評価・判断することになる。そこでは人格や人間性等、人間的な側面は一切問題としない思想が支配的となる。

 同じ思想を特定秘密保護法は掲げている。同じことの繰返しになるが、人間を国籍で判断・評価しろと強制するばかりか、施行された途端、国の強制を受けて、結果的に関わる全ての日本人は責任回避意識から付和雷同の自らに対する強制を行うことになるはずだ。国の言うとおりを守っていれば無難・無事に過ごすことができると。
 
 このような方法に欠陥がないわけではない。国が想定した国籍の人間が例えば友好国籍のアメリカ人を使って諜報活動をさせ、入手した秘密情報を国が想定した国籍の人間がウラで回収する迂回諜報活動も否定できない。

 そのような諜報活動の場合、一定の国籍を基準とした特定秘密取扱者の適性評価は事実誤認そのものの無効となる。

 特定秘密保護法は特定秘密取扱者の適性評価一つ取っても、欠陥だらけで、事実誤認の危険な思想を孕んでいると断定しないわけにはいかない。


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