大相撲の正代を見ると日本の首相菅義偉を思い出す。菅義偉を見ると、なぜか正代の顔が思い浮かぶ。両者共に覇気のない顔をしている。
これまでブログで東京大会は無観客にすべきだと何度か書いてきた。理由は菅義偉が東京大会という一大イベントを取り巻く一般社会のコロナ感染対策と対策を受けた国民の安心・安全と同時並行させて東京大会という一大イベントのコロナ感染対策と対策を受けた選手や関係者の安心・安全を策すのではなく、一般社会と切り離して東京大会だけのコロナ対策の安心・安全を優先させているからである。この思考は東京大会が無事済めばいいという自己中心主義で成り立たせている。特に殆どの競技会場を占めている東京都のコロナの感染状況と医療体制の改善を徹底的に図った上で東京大会を感染対策と共に開催していたなら、開催反対の声や無観客とすべきという声はこれ程までに大きくはならなかったろう。
東京都のコロナの感染状況を徹底的に改善できれば、地方都市はこの改善に準じる傾向にあるから、全国的に改善することになり、東京大会の開催を受けた人流の増加による感染リスク自体、低く抑えることができることになる。だが、菅義偉は競技場に観客を入れたとしても、プロ野球やサッカーが緊急事態宣言下で観客を入れて試合を行っていても、「感染拡大防止をしっかり措置した上で行っている」という事実を以って、つまり感染が起きていないから、東京大会も同じように対応できると自信の程を見せていたが、野球場でも、サッカー場でも、東京大会のどのような競技場でも同じだが、社会的ディスタンスを維持できる範囲で入場制限を行いさえすれば、人と人の間隔を固定化できる。観客席に入ってから自分の席に行くまでに他者と近接することはあるが、知り合いでなければ先ず言葉を交わすことはないから、席に着けば、相互に距離を取ることになって、感染リスクは低く抑えていることが可能となる。つまり競技場内での感染リスクが高いから、無観客にすべきだと専門家にしても、誰にしても要求しているわけではない。
但し観客が競技終了後に距離を取って出口まで進むことになるだろうが、競技場外の街中に出た途端、観客以外の街中の人とも交差することになって、競技場内での人と人の間隔の固定化はたちまち崩れることになる。マスクをしていても、友達同士がお喋りしながら歩行し、そこに他者が近接した場合、会話で生じる飛沫がマスクから漏れて他者にかからない保証はなく、その確率が高ければ、それだけ感染リスクは高くなる。専門家が有観客にすることによる人流の増加を感染リスク要因とする理由がここにある。だが、菅義偉は東京大会開催だけを考えて、このことを理解する頭を持たなかった。
<「緊急事態宣言」から日を置かずに「まん延防止等重点措置」に移行した東京都は感染がここのところ前週比で縮小せず、徐々に感染拡大の傾向を見せたために政府は東京都に第4回目の「緊急事態宣言」を発令することを決めた。東京都は日本の経済・文化・商業の各活動の中心地であること、そして東京大会の殆どの競技が東京都で行なわれることから、東京都に発令された「緊急事態宣言」と「まん延防止等重点措置」の推移のみを図に纏めてみた。ネットで調べ直して図にしたが、間違っていたらごめんなさい。
2021年の東京都民は1月8日から現在に至るまで3月22日から4月24日までの約1ヶ月間を除いて政府指示の行動の制約を受けていたことになる。
菅義偉は記者会見で「感染の抑制とワクチン接種、全力で取り組んで、1日も早くかつての日常を取り戻すことができるように全力を挙げるのが私の仕事だ」などと言っていたが、東京大会開催までには感染の抑制は最優先の課題だったはずだが、何もできずじまいでここまできた。
菅義偉は緊急事態宣言なら「五輪の無観客も辞さない」という態度を取っていたが、2021年7月8日の東京都への4回目の「緊急事態宣言」の発令その他を伝える「記者会見」で東京大会について次のように発言している。
菅義偉「オリンピックの開幕まであと2週間です。緊急事態宣言の下で異例の開催となりました。海外から選手団、大会関係者が順次入国しています。入国前に2回、入国時の検査に加え、入国後も選手は毎日検査を行っており、ウイルスの国内への流入を徹底して防いでまいります。選手や大会関係者の多くはワクチン接種を済ませており、行動は指定されたホテルと事前に提出された外出先に限定され、一般の国民の皆さんと接触することがないように管理されます」
東京大会を契機として懸念される世間一般の「安心・安全」は相変わらず脇に置いて、東京大会という一大イベントの「安心・安全」だけを言い募っている。このこととプロ野球やサッカーの試合が一定の観客を入れて試合を行っていながら、感染騒ぎがなかったことを以って東京大会も同じ基準とする考え方方かるすると、あくまでも有観客を押し通すように思えた。
だが、この記者会見後の同日、2021年7月8日夜の大会組織委員会と政府、東京都、IOC=国際オリンピック委員会、IPC=国際パラリンピック委員会の5者協議の末、東京 神奈川 埼玉 千葉の全会場は一転して無観客開催と決めている。菅義偉のこれまでの態度と違うこの決定は理由はなんだろう。
菅義偉は国会で、「国民の命と暮らしを守る、最優先に取り組んできています。そこは念入りに言わせて頂きます。オリンピック・パラリンピックですけども、先ず現在の感染拡大を食い止めることが大事だと思います」と言い、「国民の命と健康を守るのが私の責任だと。守れなければ、やらないと。これは当然のことじゃないでしょうか」と答弁している。このような発言からすると、政府は東京大会開催に一定以上の決定権を握っていることを窺うことができる。当然、有観客か無観客かの決定権にしても一定以上有していることになる。だが、従来の有観客の態度を一転させて、なおかつ有観客一辺倒の大会組織委員会の意向とは逆の無観客に舵を切ったのは東京都のコロナ感染の縮小の見通しが立たない中、開催によって競技会場外の感染が万が一拡大した場合の責任問題の浮上が自民党総裁選や10月21日に任期満了となる衆院選に悪影響を及ぼすことが目に見えていたことを避ける意味合いがあったはずである。
大体が「先ず現在の感染拡大を食い止めることが大事だと思います」と言っていながら、これまで感染拡大に手をこまねいてきた。
東京 神奈川 埼玉 千葉の全会場は無観客開催と決定したが、北海道札幌ドームのサッカー競技は大会組織員会が上限を設けた上で観客を入れて開催するとしていたが、北海道知事のの鈴木直道の養成を受けて大会組織員会は無観客開催へと変更した。「NHK NEWS WEB」2021年7月10日 0時57分)
北海道知事鈴木直道(7月9日よる記者団に対して)「1都3県から競技の観戦に訪れることを控えてもらうため、大会組織委員会とその取り扱いについて協議したものの、実効性を担保することは無理だと判断し、無観客とすることを決断した。道民の安全、安心を確保し、不安な気持ちにしっかり対応できるかを最優先に考えた結果として、大変残念ではあるが、無観客という形で行うことが適切だ」
要するに1都3県からの競技観戦者を抑える措置を大会組織員会と協議したが、実効性を担保できる案を捻出できなかった。競技場内は入場制限を行うことによって人と人の間隔を一定以上に固定化できるが、競技場外の人流にまで社会的ディスタンスを厳格に守らせるアイデアは見い出せなかった。あくまでも競技場内の「安心・安全」を問題にしていたのではなく、競技場外の「安心・安全」を念頭に置いていた。菅義偉みたいに競技場内の「安心・安全」だけを問題にしていたわけではなかった。
北海道のこの決定にソフトボールと野球を福島市で開催する福島県知事内堀雅雄は2021年7月10日に無観客で行うよう、大会組織委員会に要請し、了承を得ている。(「NHK NEWS WEB」)北海道が観客を入れずに開催すると前夜に発表したことで、東京など1都3県以外は観客を入れて実施するという前提が覆ったためだと理由をのべているということだが、ソフトボールと野球は人気種目である、チケットを持たないファンが競技場のすぐ外で競技場内で上がる歓声を耳にして熱戦の雰囲気を味わいながら、スマホでテレビ実況を楽しむ熱狂を演じない保証はない。また、そうすることを自身の一つのステータスにとし、自らの人生のレガシーの一コマとすることもある。
結局のところ菅義偉は「ワクチン接種というのは、正に感染症対策の切り札です」と常々言いながら、東京大会開催までに大半の国民に接種できなかったばかりか、切り札以外の対策でコロナ感染の縮小を図ることはとてもとてもできず、結局のところほんの少しを除いて無観客という変則的な開催を強いられることになった。
その原因は誰もが承知しているように日本の経済・文化・商業の各活動の中心地であり、東京大会の殆どの競技を担う東京都が大会期間中に緊急事態宣言の発出を受けたからに他ならない。そして緊急事態宣言発出の何よりの原因は感染者の増加傾向を受けてのことであることは当然だが、菅義偉は前々から同じことを発言しているが、2021年7月8日も同様のことを口にしている。
菅義偉「残念ながら首都圏においては感染者の数は明らかな増加に転じています。その要因の1つが、人流の高止まりに加えて、新たな変異株であるデルタ株の影響であり、アルファ株の1.5倍の感染力があるとも指摘されています。デルタ株が急速に拡大することが懸念されます」
但し変異株が感染拡大のそもそもの原因ではない。極端なことを言うと、変異株感染者が他に誰もいないところで2次感染源になることはない。そもそもの原因は人流の多いか少ないかの程度次第ということになり、感染抑止は人流の抑制にかかることになる。人流を抑制できれば、それが自動的な社会的ディスタンスとなって現れ、結果的に感染抑止策に繋がっていく。緊急事態宣言を発出しても、まん延防止等重点措置を発出しても、人流を抑制できず、人流の高止まり状態を許すようなら、目に見えた感染抑止を果たすことができないのは論理的帰結でもあるし、現実もそのとおりのことを示している。
と言うことは最終的なコロナ対策は人流の抑制に絞られることになって、それができず、人流の高止まりを招いているということは菅内閣のコロナ対策の失敗を示すことになる。
改めて東京都に発令された2021年の「緊急事態宣言」と「まん延防止等重点措置」の推移を見てみる。2021年の1月8日から現在に至るまで途中の約20日間を除いて緊急事態宣言下かまん延防止等重点措置下にあった。人流はどのように変化したのだろうか。「東京都時間帯別主要繁華街滞留人口の推移(2020年3月1日~2021年7月3日)」(中段辺りに表示)から見てみる。詳しくはサイトを覗いて頂きたい。
暮の2020年12月26日から2021年1月2日まで滞留人口は徐々に減少しているが、1月3日から緊急事態宣言発出の1月8日向かって一気に上昇、1月9日以降、発出を受けて減少するが、1月16日以降、増減を繰り返しながら上昇していき、東京都の3月21日緊急事態宣言解除を受けても上昇していき、3月27日から減少に転じるが、4月10日に上昇に転じて、4月12日にまん延防止等重点措置を発出、4月25日に緊急事態宣言発出、この日を境に滞留人口は一気に減少に向かうが、5月8日を境に今日に至るまで上昇している。
要するにまん延防止等重点措置を発出しても、緊急事態宣言を発出しても、見るべき人流の抑制を図ることはできなかった。よく言われている原因として「宣言疲れ」、「コロナ疲れ」がある。だが、この「宣言疲れ」、「コロナ疲れ」の何よりの原因は東京都に関して2021年1月8日から今日までの半年以上、宣言、措置のいずれかが解除されていた期間は3月22日から4月11日までの約20日間のみの短期間であり、特に若者の人流が減らなかった理由を如実に読み取ることができる。
結局は宣言、措置のいずれかをメリハリもなくダラダラと続けることになった。ダラダラではなく、適宜息を入れる短い期間を設けてメリハリあるものにして、「宣言疲れ」や「コロナ疲れ」を癒やす機会を設けるべきではなかったのか。
東京都の場合、2020年10月末から第2回目の緊急事態宣言発出の2021年1月8日に向かって感染者数が徐々に上がってきて、12月末のうちに緊急事態宣言の発出を促されていた。1月8日の発出は遅きに逸したと批判を受けている。先に挙げた2021年7月8日の記者会見で菅義偉は「先手先手で予防的措置を講ずることとし、東京都に緊急事態宣言を今一度(ひとたび)、発出する判断をいたしました」と発言しているが、もし10月末に感染拡大の傾向を読み取って「先手先手で予防的措置を講ずる」ために緊急事態宣言を発出、感染拡大を抑える目的からだけではなく、12月20日以降の暮から2021年1月1日を間に挟んで1月末までの皆さんの年始年末の自由な活動を保障するためだとして12月20日以前に宣言を解除したなら、宣言中の人流抑制・外出自粛の動機づけを各自が身につけることが可能となって、感染を抑えることができ、抑えることができた分、解除後のリバウンドにしても少しは抑えることができる。
だが、そうした手を打つことはせずに逆に正月気分も醒めない1月8日に宣言を発出した。
年始年末の自由な活動中にリバウンドが生じたなら、次の自由な活動の保障期間を4月の入学・入社・異動シーズンとすると前以って告知し、4月に入ったときの人流抑制・外出自粛の動機づけを与えつつ、リバウンドが生じた期日以降から3月下旬前のいずれかの時点で宣言か措置のいずれかを発出したなら、リバウンドを一定程度か、それ以上に抑えることができて、4月の宣言・措置に対する解除は難しくなくなる。
このようなメリハリをつけた手順で次にお盆を挟んだ夏休みを自由な活動の保障期間としてそれ以前に感染拡大に合わせて宣言か措置のいずれかを発出していたなら、発出期間中の人流抑制・外出自粛の動機づけを自由な活動に置かない者は先ず考えられないから、同時に感染を抑えることができる。人流抑制や外出自粛に倦んで、「宣言疲れ」や「コロナ疲れ」に見舞われる余裕を与えないことになる。
だが、菅政権はこういったメリハリをつけた対策は取らずにダラダラと自由な活動を制限し続けてきた。その結果の「宣言疲れ」や「コロナ疲れ」であり、このような疲れからの「人流の高止まり」であり、感染の高止まりという悪循環に陥ることになった。
西村康稔は2021年4月23日衆議院議院運営委員会で、「この新型コロナウイルスは何度も流行の波が起こるわけであります。諸外国を見ていてもそうであります。そして起こるたびに大きくなってくれば、ハンマーで叩く。つまり措置を講じて抑えていく。その繰り返しを行っていく。何度でもこれを行っていくことになります」と発言していた。この発言を受けて2021年4月26日の「ブログ」に次のように書いた。
〈もし東京オリ・パラを開催予定でいるなら、今回の緊急事態宣言で感染者が減らないようなら、6月中を期限とした緊急事態宣言と言う「ハンマー」を前以って打ち下ろして、徹底的に感染者を減らしてから、開催すべきだろう。
感染拡大防止にも無策、緊急事態宣言で与えることになる社会経済活動の打撃に対しての配慮をも欠いているようでは菅政権の責任は決して小さくはない。〉
これもメリハリのススメである。だが、メリハリとは逆のダラダラで対策で国民の多くに「宣言疲れ」や「コロナ疲れ」は発症させていて、思ったような人流抑制を図ることができず、感染の高止まりを招き、肝心の東京大会中の宣言の発出となった。
菅義偉は2021年7月8日の記者会見で、「ワクチンを1回接種した方の割合が人口の4割に達した辺りから感染者の減少傾向が明確になったとの指摘もあります。今のペースで進めば、今月末には、希望する高齢者の2回の接種は完了し、1度でも接種した人の数は全国民の4割に達する見通しであります」と発言している。2021年5月28日の記者会見では「イギリスでは1回目を5割打ったら大体ものすごい効果が出たということで、今、マスクなしにしていますけれども」云々と発言している。
だが、ネットで調べてみると、イギリスのワクチン接種率は1回目終了が86%を超え、2回目終了が64%を超えているが、ここにきて感染が急拡大し、2021年7月19日時点の新規感染者数は31800人、7日間平均で30040人となっている。その理由はインド型の変異株だと言うが、何よりもワクチン接種が進んだことによる社会活動の活発化、つまり人流の大幅な増加にあるとされている。
日本もインド型の変異株が拡大し続けると、「1回接種した方の割合が人口の4割に達した」としても当てにはならなくなる。菅義偉は情報把握をしっかりとして、安易な希望的観測となるような情報の垂れ流しはやめるべきである。責任問題である。
これまでブログで東京大会は無観客にすべきだと何度か書いてきた。理由は菅義偉が東京大会という一大イベントを取り巻く一般社会のコロナ感染対策と対策を受けた国民の安心・安全と同時並行させて東京大会という一大イベントのコロナ感染対策と対策を受けた選手や関係者の安心・安全を策すのではなく、一般社会と切り離して東京大会だけのコロナ対策の安心・安全を優先させているからである。この思考は東京大会が無事済めばいいという自己中心主義で成り立たせている。特に殆どの競技会場を占めている東京都のコロナの感染状況と医療体制の改善を徹底的に図った上で東京大会を感染対策と共に開催していたなら、開催反対の声や無観客とすべきという声はこれ程までに大きくはならなかったろう。
東京都のコロナの感染状況を徹底的に改善できれば、地方都市はこの改善に準じる傾向にあるから、全国的に改善することになり、東京大会の開催を受けた人流の増加による感染リスク自体、低く抑えることができることになる。だが、菅義偉は競技場に観客を入れたとしても、プロ野球やサッカーが緊急事態宣言下で観客を入れて試合を行っていても、「感染拡大防止をしっかり措置した上で行っている」という事実を以って、つまり感染が起きていないから、東京大会も同じように対応できると自信の程を見せていたが、野球場でも、サッカー場でも、東京大会のどのような競技場でも同じだが、社会的ディスタンスを維持できる範囲で入場制限を行いさえすれば、人と人の間隔を固定化できる。観客席に入ってから自分の席に行くまでに他者と近接することはあるが、知り合いでなければ先ず言葉を交わすことはないから、席に着けば、相互に距離を取ることになって、感染リスクは低く抑えていることが可能となる。つまり競技場内での感染リスクが高いから、無観客にすべきだと専門家にしても、誰にしても要求しているわけではない。
但し観客が競技終了後に距離を取って出口まで進むことになるだろうが、競技場外の街中に出た途端、観客以外の街中の人とも交差することになって、競技場内での人と人の間隔の固定化はたちまち崩れることになる。マスクをしていても、友達同士がお喋りしながら歩行し、そこに他者が近接した場合、会話で生じる飛沫がマスクから漏れて他者にかからない保証はなく、その確率が高ければ、それだけ感染リスクは高くなる。専門家が有観客にすることによる人流の増加を感染リスク要因とする理由がここにある。だが、菅義偉は東京大会開催だけを考えて、このことを理解する頭を持たなかった。
<「緊急事態宣言」から日を置かずに「まん延防止等重点措置」に移行した東京都は感染がここのところ前週比で縮小せず、徐々に感染拡大の傾向を見せたために政府は東京都に第4回目の「緊急事態宣言」を発令することを決めた。東京都は日本の経済・文化・商業の各活動の中心地であること、そして東京大会の殆どの競技が東京都で行なわれることから、東京都に発令された「緊急事態宣言」と「まん延防止等重点措置」の推移のみを図に纏めてみた。ネットで調べ直して図にしたが、間違っていたらごめんなさい。
2021年の東京都民は1月8日から現在に至るまで3月22日から4月24日までの約1ヶ月間を除いて政府指示の行動の制約を受けていたことになる。
菅義偉は記者会見で「感染の抑制とワクチン接種、全力で取り組んで、1日も早くかつての日常を取り戻すことができるように全力を挙げるのが私の仕事だ」などと言っていたが、東京大会開催までには感染の抑制は最優先の課題だったはずだが、何もできずじまいでここまできた。
菅義偉は緊急事態宣言なら「五輪の無観客も辞さない」という態度を取っていたが、2021年7月8日の東京都への4回目の「緊急事態宣言」の発令その他を伝える「記者会見」で東京大会について次のように発言している。
菅義偉「オリンピックの開幕まであと2週間です。緊急事態宣言の下で異例の開催となりました。海外から選手団、大会関係者が順次入国しています。入国前に2回、入国時の検査に加え、入国後も選手は毎日検査を行っており、ウイルスの国内への流入を徹底して防いでまいります。選手や大会関係者の多くはワクチン接種を済ませており、行動は指定されたホテルと事前に提出された外出先に限定され、一般の国民の皆さんと接触することがないように管理されます」
東京大会を契機として懸念される世間一般の「安心・安全」は相変わらず脇に置いて、東京大会という一大イベントの「安心・安全」だけを言い募っている。このこととプロ野球やサッカーの試合が一定の観客を入れて試合を行っていながら、感染騒ぎがなかったことを以って東京大会も同じ基準とする考え方方かるすると、あくまでも有観客を押し通すように思えた。
だが、この記者会見後の同日、2021年7月8日夜の大会組織委員会と政府、東京都、IOC=国際オリンピック委員会、IPC=国際パラリンピック委員会の5者協議の末、東京 神奈川 埼玉 千葉の全会場は一転して無観客開催と決めている。菅義偉のこれまでの態度と違うこの決定は理由はなんだろう。
菅義偉は国会で、「国民の命と暮らしを守る、最優先に取り組んできています。そこは念入りに言わせて頂きます。オリンピック・パラリンピックですけども、先ず現在の感染拡大を食い止めることが大事だと思います」と言い、「国民の命と健康を守るのが私の責任だと。守れなければ、やらないと。これは当然のことじゃないでしょうか」と答弁している。このような発言からすると、政府は東京大会開催に一定以上の決定権を握っていることを窺うことができる。当然、有観客か無観客かの決定権にしても一定以上有していることになる。だが、従来の有観客の態度を一転させて、なおかつ有観客一辺倒の大会組織委員会の意向とは逆の無観客に舵を切ったのは東京都のコロナ感染の縮小の見通しが立たない中、開催によって競技会場外の感染が万が一拡大した場合の責任問題の浮上が自民党総裁選や10月21日に任期満了となる衆院選に悪影響を及ぼすことが目に見えていたことを避ける意味合いがあったはずである。
大体が「先ず現在の感染拡大を食い止めることが大事だと思います」と言っていながら、これまで感染拡大に手をこまねいてきた。
東京 神奈川 埼玉 千葉の全会場は無観客開催と決定したが、北海道札幌ドームのサッカー競技は大会組織員会が上限を設けた上で観客を入れて開催するとしていたが、北海道知事のの鈴木直道の養成を受けて大会組織員会は無観客開催へと変更した。「NHK NEWS WEB」2021年7月10日 0時57分)
北海道知事鈴木直道(7月9日よる記者団に対して)「1都3県から競技の観戦に訪れることを控えてもらうため、大会組織委員会とその取り扱いについて協議したものの、実効性を担保することは無理だと判断し、無観客とすることを決断した。道民の安全、安心を確保し、不安な気持ちにしっかり対応できるかを最優先に考えた結果として、大変残念ではあるが、無観客という形で行うことが適切だ」
要するに1都3県からの競技観戦者を抑える措置を大会組織員会と協議したが、実効性を担保できる案を捻出できなかった。競技場内は入場制限を行うことによって人と人の間隔を一定以上に固定化できるが、競技場外の人流にまで社会的ディスタンスを厳格に守らせるアイデアは見い出せなかった。あくまでも競技場内の「安心・安全」を問題にしていたのではなく、競技場外の「安心・安全」を念頭に置いていた。菅義偉みたいに競技場内の「安心・安全」だけを問題にしていたわけではなかった。
北海道のこの決定にソフトボールと野球を福島市で開催する福島県知事内堀雅雄は2021年7月10日に無観客で行うよう、大会組織委員会に要請し、了承を得ている。(「NHK NEWS WEB」)北海道が観客を入れずに開催すると前夜に発表したことで、東京など1都3県以外は観客を入れて実施するという前提が覆ったためだと理由をのべているということだが、ソフトボールと野球は人気種目である、チケットを持たないファンが競技場のすぐ外で競技場内で上がる歓声を耳にして熱戦の雰囲気を味わいながら、スマホでテレビ実況を楽しむ熱狂を演じない保証はない。また、そうすることを自身の一つのステータスにとし、自らの人生のレガシーの一コマとすることもある。
結局のところ菅義偉は「ワクチン接種というのは、正に感染症対策の切り札です」と常々言いながら、東京大会開催までに大半の国民に接種できなかったばかりか、切り札以外の対策でコロナ感染の縮小を図ることはとてもとてもできず、結局のところほんの少しを除いて無観客という変則的な開催を強いられることになった。
その原因は誰もが承知しているように日本の経済・文化・商業の各活動の中心地であり、東京大会の殆どの競技を担う東京都が大会期間中に緊急事態宣言の発出を受けたからに他ならない。そして緊急事態宣言発出の何よりの原因は感染者の増加傾向を受けてのことであることは当然だが、菅義偉は前々から同じことを発言しているが、2021年7月8日も同様のことを口にしている。
菅義偉「残念ながら首都圏においては感染者の数は明らかな増加に転じています。その要因の1つが、人流の高止まりに加えて、新たな変異株であるデルタ株の影響であり、アルファ株の1.5倍の感染力があるとも指摘されています。デルタ株が急速に拡大することが懸念されます」
但し変異株が感染拡大のそもそもの原因ではない。極端なことを言うと、変異株感染者が他に誰もいないところで2次感染源になることはない。そもそもの原因は人流の多いか少ないかの程度次第ということになり、感染抑止は人流の抑制にかかることになる。人流を抑制できれば、それが自動的な社会的ディスタンスとなって現れ、結果的に感染抑止策に繋がっていく。緊急事態宣言を発出しても、まん延防止等重点措置を発出しても、人流を抑制できず、人流の高止まり状態を許すようなら、目に見えた感染抑止を果たすことができないのは論理的帰結でもあるし、現実もそのとおりのことを示している。
と言うことは最終的なコロナ対策は人流の抑制に絞られることになって、それができず、人流の高止まりを招いているということは菅内閣のコロナ対策の失敗を示すことになる。
改めて東京都に発令された2021年の「緊急事態宣言」と「まん延防止等重点措置」の推移を見てみる。2021年の1月8日から現在に至るまで途中の約20日間を除いて緊急事態宣言下かまん延防止等重点措置下にあった。人流はどのように変化したのだろうか。「東京都時間帯別主要繁華街滞留人口の推移(2020年3月1日~2021年7月3日)」(中段辺りに表示)から見てみる。詳しくはサイトを覗いて頂きたい。
暮の2020年12月26日から2021年1月2日まで滞留人口は徐々に減少しているが、1月3日から緊急事態宣言発出の1月8日向かって一気に上昇、1月9日以降、発出を受けて減少するが、1月16日以降、増減を繰り返しながら上昇していき、東京都の3月21日緊急事態宣言解除を受けても上昇していき、3月27日から減少に転じるが、4月10日に上昇に転じて、4月12日にまん延防止等重点措置を発出、4月25日に緊急事態宣言発出、この日を境に滞留人口は一気に減少に向かうが、5月8日を境に今日に至るまで上昇している。
要するにまん延防止等重点措置を発出しても、緊急事態宣言を発出しても、見るべき人流の抑制を図ることはできなかった。よく言われている原因として「宣言疲れ」、「コロナ疲れ」がある。だが、この「宣言疲れ」、「コロナ疲れ」の何よりの原因は東京都に関して2021年1月8日から今日までの半年以上、宣言、措置のいずれかが解除されていた期間は3月22日から4月11日までの約20日間のみの短期間であり、特に若者の人流が減らなかった理由を如実に読み取ることができる。
結局は宣言、措置のいずれかをメリハリもなくダラダラと続けることになった。ダラダラではなく、適宜息を入れる短い期間を設けてメリハリあるものにして、「宣言疲れ」や「コロナ疲れ」を癒やす機会を設けるべきではなかったのか。
東京都の場合、2020年10月末から第2回目の緊急事態宣言発出の2021年1月8日に向かって感染者数が徐々に上がってきて、12月末のうちに緊急事態宣言の発出を促されていた。1月8日の発出は遅きに逸したと批判を受けている。先に挙げた2021年7月8日の記者会見で菅義偉は「先手先手で予防的措置を講ずることとし、東京都に緊急事態宣言を今一度(ひとたび)、発出する判断をいたしました」と発言しているが、もし10月末に感染拡大の傾向を読み取って「先手先手で予防的措置を講ずる」ために緊急事態宣言を発出、感染拡大を抑える目的からだけではなく、12月20日以降の暮から2021年1月1日を間に挟んで1月末までの皆さんの年始年末の自由な活動を保障するためだとして12月20日以前に宣言を解除したなら、宣言中の人流抑制・外出自粛の動機づけを各自が身につけることが可能となって、感染を抑えることができ、抑えることができた分、解除後のリバウンドにしても少しは抑えることができる。
だが、そうした手を打つことはせずに逆に正月気分も醒めない1月8日に宣言を発出した。
年始年末の自由な活動中にリバウンドが生じたなら、次の自由な活動の保障期間を4月の入学・入社・異動シーズンとすると前以って告知し、4月に入ったときの人流抑制・外出自粛の動機づけを与えつつ、リバウンドが生じた期日以降から3月下旬前のいずれかの時点で宣言か措置のいずれかを発出したなら、リバウンドを一定程度か、それ以上に抑えることができて、4月の宣言・措置に対する解除は難しくなくなる。
このようなメリハリをつけた手順で次にお盆を挟んだ夏休みを自由な活動の保障期間としてそれ以前に感染拡大に合わせて宣言か措置のいずれかを発出していたなら、発出期間中の人流抑制・外出自粛の動機づけを自由な活動に置かない者は先ず考えられないから、同時に感染を抑えることができる。人流抑制や外出自粛に倦んで、「宣言疲れ」や「コロナ疲れ」に見舞われる余裕を与えないことになる。
だが、菅政権はこういったメリハリをつけた対策は取らずにダラダラと自由な活動を制限し続けてきた。その結果の「宣言疲れ」や「コロナ疲れ」であり、このような疲れからの「人流の高止まり」であり、感染の高止まりという悪循環に陥ることになった。
西村康稔は2021年4月23日衆議院議院運営委員会で、「この新型コロナウイルスは何度も流行の波が起こるわけであります。諸外国を見ていてもそうであります。そして起こるたびに大きくなってくれば、ハンマーで叩く。つまり措置を講じて抑えていく。その繰り返しを行っていく。何度でもこれを行っていくことになります」と発言していた。この発言を受けて2021年4月26日の「ブログ」に次のように書いた。
〈もし東京オリ・パラを開催予定でいるなら、今回の緊急事態宣言で感染者が減らないようなら、6月中を期限とした緊急事態宣言と言う「ハンマー」を前以って打ち下ろして、徹底的に感染者を減らしてから、開催すべきだろう。
感染拡大防止にも無策、緊急事態宣言で与えることになる社会経済活動の打撃に対しての配慮をも欠いているようでは菅政権の責任は決して小さくはない。〉
これもメリハリのススメである。だが、メリハリとは逆のダラダラで対策で国民の多くに「宣言疲れ」や「コロナ疲れ」は発症させていて、思ったような人流抑制を図ることができず、感染の高止まりを招き、肝心の東京大会中の宣言の発出となった。
菅義偉は2021年7月8日の記者会見で、「ワクチンを1回接種した方の割合が人口の4割に達した辺りから感染者の減少傾向が明確になったとの指摘もあります。今のペースで進めば、今月末には、希望する高齢者の2回の接種は完了し、1度でも接種した人の数は全国民の4割に達する見通しであります」と発言している。2021年5月28日の記者会見では「イギリスでは1回目を5割打ったら大体ものすごい効果が出たということで、今、マスクなしにしていますけれども」云々と発言している。
だが、ネットで調べてみると、イギリスのワクチン接種率は1回目終了が86%を超え、2回目終了が64%を超えているが、ここにきて感染が急拡大し、2021年7月19日時点の新規感染者数は31800人、7日間平均で30040人となっている。その理由はインド型の変異株だと言うが、何よりもワクチン接種が進んだことによる社会活動の活発化、つまり人流の大幅な増加にあるとされている。
日本もインド型の変異株が拡大し続けると、「1回接種した方の割合が人口の4割に達した」としても当てにはならなくなる。菅義偉は情報把握をしっかりとして、安易な希望的観測となるような情報の垂れ流しはやめるべきである。責任問題である。